重賞レース

第34回 東京プリンセス賞(SI)

  • 2020年4月28日(火)
  • 20:10発走
第34回優勝馬:アクアリーブル号

浦和の桜花賞に続く、南関東牝馬クラシック三冠レースの第2弾。若き乙女たちが3歳女王の座を賭けて火花を散らします。牝馬クラシック路線を順調に進んできた有力馬と春に急成長した新勢力が、華麗な戦いを繰り広げます。
<上位2頭に関東オークスの優先出走権を付与>

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    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第34回 東京プリンセス賞(SI)>
    (4月22日現在)

    アクアリーブル
    南関東牝馬クラシック2冠など多くの重賞を勝ってきた女傑アスカリーブルのたった1頭の忘れ形見。ドラマチックに桜花賞を制し、次は2冠目を目指します。

    テーオーブルベリー
    北海道時代にラブミーチャン記念を優勝し、東京2歳優駿牝馬も2着。移籍後、前走の桜花賞は2番手からの競馬で、アクアリーブルから0.1秒差の2着でした。

    ルイドフィーネ
    まだ5戦とキャリアの浅い馬ですが、安定感はたっぷり。休み明けだった前走の桜花賞は3着で、一度使った変わり身に期待。半姉は重賞5勝馬のナターレです。

    レイチェルウーズ
    無敗で東京2歳優駿牝馬とユングフラウ賞を制覇。満を持して臨んだ前走の桜花賞は5着に敗れました。巻き返したい1戦で、快速牝馬が1800mの距離に挑戦します。

    カラースキーム
    渡邉厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームで調教中。全く底を見せない走りで、大井コースは連勝中。適性面を考慮し、桜花賞には向かわず東京プリンセス賞へ。

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    <第34回 東京プリンセス賞(SI)>

    (4月27日現在)

    ■アクアリーブル
    *船橋 佐藤賢二 厩舎 牝3歳
    *成績 14戦3勝2着2回
    *重賞タイトル
     桜花賞(SI)(2020)
     知床賞(M3)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年の桜花賞馬アクアリーブルの母は、兵庫と南関東で大活躍した名牝アスカリーブルであることはあまりにも有名です。

     アスカリーブルは繁殖入り後、最初に出産した仔がアクアリーブルで、初産でも子供の面倒をよく見ていたいい母親だったそうですが、離乳前にこの世を去ったそうです。アクアリーブルはたった1頭の忘れ形見。母は南関東で牝馬2冠を制していますが、桜花賞には出走していないため、母と娘で3冠制覇というドラマチックな結果になりました。

     桜花賞でアクアリーブルは山本聡哉騎手とコンビを組み(東京プリンセス賞は矢野貴之騎手)、道中は4番手から進出していき、ゴール前は力でねじ伏せての勝利。2番手から進めて2着に入ったテーオーブルベリーに4分の3馬身差をつけ、南関東牝馬クラシック1冠目を制しました。

     「スタートは出す気で行ってペースも落ち着いたので、余計ムキになった感じもありましたが、ゴール板あたりでは折り合ってくれました。追い切りでは先頭に立つとフワフワするところもあったので、ゆっくり行ってギリギリまで待って仕掛けました。着差以上の強さだったと思います」(山本騎手)。

     この東京プリンセス賞出走組の中で、今年唯一牝馬3冠のチャンスがあるのはこのアクアリーブルただ1頭。

     「前走は状態に自信はありましたが、今回も変わらずにいいですね。前に比べても、肉がついてハリも出てきています。左回りの方が成績をあげていますが、右回りも関係はないと思っています。距離延長も心配はしていません。3,4番手から、この馬の競馬ができれば」(佐藤賢二調教師)。

    ■レイチェルウーズ
    *船橋 林正人 厩舎 牝3歳
    *成績 6戦5勝2着0回
    *重賞タイトル
     ユングフラウ賞(SII)(2020)
     東京2歳優駿牝馬(SI)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     無敗で東京2歳優駿牝馬とユングフラウ賞を制したレイチェルウーズ。しかし、前走の桜花賞は内の5番手から、勝負所で前に行く馬たちから離されてしまい、断然の1番人気に推されながらも5着に敗れました。「ペースが上がる時についていけなくなって、手応えがよくなかったです」とコンビを組んだ本田正重騎手。

     今年の桜花賞は、アスカリーブルの娘アクアリーブルが優勝したレース。一方で、無敗の女王レイチェルウーズが初めて負けたレース。改めて、競馬を見続ける喜びや競馬の厳しさ、難しさ。様々な感情が渦巻きました。

     今回は巻き返しを図るべく、この東京プリンセス賞に出走してきます。レイチェルウーズが1800m戦でどんな戦い方を見せるのか非常に興味深い1戦。

     「前走はちょっと構え過ぎた感じもあって、流れに乗り切れませんでした。力負けではないと思っていますが、負けは負けです。レース後は疲れもありましたが1週間休ませて、そこから始動して問題はありません。最終追い切りは時計も動きもよかったです。

     そんなに大きい馬ではありませんが広い馬場の方が伸び伸び走れるので、大井コースは合っています。距離はやってみないとわかりませんが、折り合いもつくし、こなしてくれるという希望を持っています。

     今回はチャレンジャーなので肩の力が抜けた分、楽ですが、力負けではないぞという気持ちで改めて臨みたいですね」(林正人調教師)。

    ■カラースキーム
    *大井 渡邉和雄 厩舎 牝3歳
    *成績 4戦3勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     1月21日に大井競馬場で実施された準重賞・桃花賞は、吉原寛人騎手が手綱を取った2番人気カラースキーム(大井・渡邉和雄厩舎)が逃げ切り勝ちを収め、2着のエンジェルパイロに6馬身差をつける圧勝でした。さらに5馬身後方の3着に、のちの桜花賞馬アクアリーブル。

     カラースキームは桜花賞までの権利はつかみながらも、適性面や体調面などを考慮し、この東京プリンセス賞1本に絞られました。

     この中間は、ノーザンファーム天栄と、渡邉厩舎の外厩先でもあるミッドウェイファームでじっくりと入念にトレーニングを積んできたそうです。約3か月ぶりの実戦で、どのくらいパワーアップしているのでしょうか?!

     「前走を見ても、ハナに行っても折り合って最後は突き放して、ただの逃げ馬ではなさそうですし、距離延長でも問題はないと思っています。目標にされるでしょうが、ここも期待しています」(渡邉調教師)。

     今回は本橋孝太騎手との初コンビ。

    ■テーオーブルベリー
    *大井 中道啓二 厩舎 牝3歳
    *成績 9戦2勝2着3回
    *重賞タイトル
     ラブミーチャン記念(SP1)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     北海道時代の遠征競馬では、東京2歳優駿牝馬で果敢に逃げて2着になると、その後は大井に移籍し、ユングフラウ賞5着、前走の桜花賞は優勝したアクアリーブルから0.1秒差の2着。

     その後はこの東京プリンセス賞に向けて調教を積んできました。

     「桜花賞は2番手から自分の競馬はできました。今回もいい枠(2枠4番)を引けたので、逃げを主張して自分の競馬はさせたいです。状態の感じはさらによくなっています。右回りの方が若干スムーズですし、桜花賞ではハミを取らない所もあったそうなので、折り合いはつくし、大井1800mというのはこの馬には最高の舞台だと思っています」(中道啓二調教師)。

    ■ルイドフィーネ
    *川崎 内田勝義 厩舎 牝3歳
    *成績 5戦1勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     前走の桜花賞は休み明けでしたが、3番手を追走していき、先頭集団で進めていっての3着に入りました。「ちょっと間隔が空いていた分、いろんな意味で反応が鈍かったというかボケていた感じです。たらればを言えば、一度使っていたらまた違ったかもしれません。馬も一戦ずつ上手に走ってくれています」(笹川翼騎手)。

     ルイドフィーネの半姉は重賞5勝を挙げているナターレです。ナターレは9年前に東京プリンセス賞に出走し9着でしたが、妹はどんな走りを見せてくれるでしょう!

     「ナターレも動きのすばらしい馬でしたが、ルイドフィーネもバネがすばらしくて、素質はかなりのものがあると思います。一度使った後も順調にきているので、ここも楽しみにしています」(内田勝義調教師)。

    ■ミリミリ
    *大井 小野寺晋廣 厩舎(小林) 牝3歳
    *成績 15戦2勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     4月6日に大井競馬場で行われたチューリップ特別(1800m)は、藤本現暉騎手が手綱を取った3番人気ミリミリ(大井・小野寺厩舎<小林>)が、差し切り勝ちを収めました。ミリミリは1800m戦を中心に、強い牡馬たちを相手に果敢に走ってきた馬で、それが生かされた結果になったと言えるでしょう。

     「その後も順調に進めてきて、最終追い切りの手応えもよかったです。とにかく自分の競馬に徹するのみなので、強い馬たちがやり合ってペースが上がってくれれば。1800m戦を使ってきているのもプラスになると思います」(小野寺調教師)。

     ミリミリにとっても、小野寺厩舎にとっても、藤本騎手とっても、重賞初制覇を目指します!

    *東京プリンセス賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第34回 東京プリンセス賞(SI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■アクアリーブル
    船橋4/24稍重 1000m-62.6秒 800m-47.8秒 600m-35.7秒 一杯追
    ■レイチェルウーズ
    船橋4/24稍重 1000m-65.6秒 800m-49.8秒 600m-35.3秒 G前強
    ■カラースキーム
    牧場4/23坂路 600m-37.9秒 200m-12.2秒 馬なり
    ■テーオーブルベリー
    大井4/24重 1000m-64.6秒 800m-49.7秒 600m-36.9秒 仕掛け
    ■ルイドフィーネ
    川崎4/23稍重 1000m-66.0秒 800m-50.0秒 600m-37.2秒 馬なり
    ■ミリミリ
    小林4/24稍重 800m-49.5秒 600m-36.0秒 一杯追
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第34回 東京プリンセス賞(SI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     南関東牝馬クラシック2冠目・東京プリンセス賞。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、無観客競馬として実施されました。

     1番人気は、前走の桜花賞は敗れたものの、そこまで圧倒的な強さを見せてきたレイチェルウーズ(3.2倍)。2番人気が準重賞・桃花賞を完勝したカラースキーム(3.5倍)。桜花賞馬アクアリーブルは3番人気(4.9倍)。桜花賞2着などのテーオーブルベリー(5.8倍)は4番人気で、ここまでが10倍以下のオッズ。

     今年の東京プリンセス賞は、矢野貴之騎手が手綱を取ったアクアリーブル(船橋・佐藤賢二厩舎)が優勝し、桜花賞に続き牝馬2冠を達成しました。

     「初めて船橋の競馬で乗せてもらった時からいい馬だなぁという印象でしたが、パワーもついて真面目になりましたね。大井1800mはすごく合いそうだったので、きっちり勝たせて頂いてホッとしました」(矢野騎手)。

     レースはカラースキームが逃げ、2番手にはテーオーブルベリー、アクアリーブルは外の3番手につけていき、1~2コーナーから縦長の展開。「あまり不利のない所で競馬をしたいと思っていたので、いい位置を取ることができてよかったです」。

     アクアリーブルは3コーナー過ぎから先頭に並びかけると、最後の直線に入ったところでは、5、6頭が横一直線になる中、わずかに抜け出しました。そこに、6番手から進出してきた期間限定騎乗中の水野翔騎手が騎乗したリヴェールブリスが並びかけてきました。

     「前より真面目になったとは言っても、まだ気を抜く所はあって、直線では尻尾を振りながら遊んでいました。リヴェールブリスがきた時にはいい併せ馬になったというか、あえて後ろを待って並ばせたっていう感じだったので、着差以上の強さでしたね。ゴール前は力の差でねじ伏せてくれたと思います」。

     アクアリーブルが2着のリヴェールブリスに1馬身4分の3差をつけての勝利。3着は道中リヴェールブリスと追走していたルイドフィーネが入りました。勝ちタイムは1800m1分54秒4(重)。

     最近の南関東競馬はゆかり深い馬たちの活躍が目立ちます。アクアリーブルの母アスカリーブルは2012年の南関東牝馬2冠馬(東京プリンセス賞、関東オークス)で、親子制覇を達成。リヴェールブリスの母ハーミアは2010年の戸塚記念ホルダー。ルイドフィーネの半姉が2013年のしらさぎ賞などの勝ち馬ナターレ。

     血統のロマンをまざまざと感じさせてくれた今年の東京プリンセス賞。これも競馬の醍醐味です。

     この後は6月10日の関東オークスに向かい、自厩舎の先輩で同じ高橋厩務員が携わったチャームアスリープ以来となる14年ぶりの南関東牝馬クラシック3冠馬の称号を目指すことになります。

     「牝馬でも入れ込むところもないし、馬屋でもおとなしいです。カイバも食べてくれるので、今日は体重自体は変わりませんでしたが、もうちょっと増えていてもよかったかなと思っています。(中央馬に)負けないように仕上げていきたいです」(佐藤調教師)。

     女傑アスカリーブルのたった1頭の忘れ形見アクアリーブルが、牝馬2冠を達成。東京プリンセス賞の親子制覇。アスカリーブルとハーミアの娘、ナターレ妹が、上位を独占。佐藤調教師と米谷康秀調教師(リヴェールブリス)の師弟対決。話題の尽きない、今年の東京プリンセス賞でした。



    <他陣営のコメント>

    2着 リヴェールブリス 水野翔騎手
    追い切りで乗らせてもらって、スタミナ勝負になればと思っていたので、いい走りをしてくれました。勝った馬が強かったですし、内にもたれたり手前を替えるのも遅かったですが、今回のメンバーでここまでやれたので今後が楽しみです。

    3着 ルイドフィーネ 笹川翼騎手
    馬は休み明け2戦目でいい状態でした。スタートも内容も、今までで一番良かったです。欲を言えば、直線はもう少し伸びがあればと思いましたが、そのあたりは、これからまだまだ伸びると思います。1800mは問題ないです。外にもたれるところがあるので、外を回さないように気を付けました。直線はうまく手前も替えられました。勝った馬が強かったです。

    4着 レイチェルウーズ 本田正重騎手(1番人気)
    道中折り合いに気を付けて乗っていましたが、その点は問題なかったです。思っていた通りの位置につけることはできましたが、あまり伸びなかったですね。少し距離的に長いのかもしれません。


     この東京プリンセス賞から3日後の5月1日早朝3時頃、佐藤賢二調教師が急逝されました(心臓死の疑い)。今でも信じられません。心よりお悔やみ申し上げます。
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    34 令2 アクアリーブル 牝3 矢野 貴之
    33 平31 トーセンガーネット 牝3 左海 誠二
    32 30 グラヴィオーラ 牝3 今野 忠成
    31 29 アンジュジョリー 牝3 笹川 翼
    30 28 リンダリンダ 牝3 桑村 真明
    29 27 ティーズアライズ 牝3 矢野 貴之
    28 26 スマートバベル 牝3 澤田 龍哉
    27 25 カイカヨソウ 牝3 今野 忠成
    26 24 アスカリーブル 牝3 今野 忠成
    25 23 マニエリスム 牝3 戸崎 圭太
    24 22 トーセンウィッチ 牝3 張田 京
    23 21 ネフェルメモリー 牝3 戸崎 圭太
    22 20 ブライズメイト 牝3 山田 信大
    21 19 アグネスターフ 牝3 町田 直希
    20 18 チャームアスリープ 牝3 今野 忠成
    19 17 テンセイフジ 牝3 石崎 駿
    18 16 ブルーロバリー 牝3 今野 忠成
    17 15 ディーエスメイドン 牝3 森下 博
    16 14 サルサクイーン 牝3 的場 文男
    15 13 ナミ 牝3 的場 文男
    14 12 アインアイン 牝3 市村 誠
    13 11 デアヴィクティー 牝3 張田 京
    12 10 ホクトオーロラ 牝3 石崎 隆之
    11 9 ミスジュディ 牝3 桑島 孝春
    10 8 スギヤマワッスル 牝3 湯浅 淳一
    9 7 ヘイワンリーフ 牝3 桑島 孝春
    8 6 ケーエフネプチュン 牝3 矢内 博
    7 5 アコニツトローマン 牝3 高橋 三郎
    6 4 チヤームダンサー 牝3 石崎 隆之
    5 3 ケイワンハート 牝3 早田 秀治
    4 2 ビツクワンシヨツト 牝3 佐藤 賢二
    3 平元 フジノダンサー 牝3 石崎 隆之
    2 昭63 イシノラツキー 牝3 尾形 秋徳
    1 62 ダイタクジーニアス 牝3 佐々木 竹見