重賞レース

第25回 ジャパンダートダービー(JpnI)

  • 2023年7月12日(水)
  • 20:10発走
第25回優勝馬:ミックファイア号

羽田盃、東京ダービーと続いた南関東3歳クラシックの最終関門です。地方・JRA共にトップクラスの3歳馬が結集する「砂のダービー」は、これまでに数多くの名馬を送り出しています。2024年からは「3歳ダート三冠競走」の最終戦としてレース名を「ジャパンダートクラシック」に改称、10月に時期を変更して実施します。

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    <第25回 ジャパンダートダービー(JpnI)>
    (7月4日現在)

    ゴライコウ
    昨年のJBC2歳優駿は直線で抜け出し、2着馬に2馬身半差のV。9番人気の低評価を覆す内容で、重賞初制覇を飾りました。今回はUAEダービー(12着)後の一戦。

    ミトノオー
    前走の兵庫チャンピオンシップは2着馬に6馬身差をつける圧巻の逃げ切りで、1番人気に応えました。3連勝で初タイトルを獲得し、今度はJpnⅠ制覇を目指します。

    ユティタム
    川田将雅騎手とのコンビで3連勝中。2歳未勝利、2歳1勝クラス、青竜S3歳オープンと、危なげないパフォーマンスで結果を残してきました。いよいよ重賞初挑戦!

    ミックファイア
    前走の東京ダービーはデビューから無傷の5連勝で、羽田盃に続き6馬身差のV。大井生え抜き馬から誕生した怪物が、3冠馬の称号をかけて、JRA勢と初対戦します。

    ヒーローコール
    浦和デビュー馬。鎌倉記念と雲取賞を制し、JRA初遠征の伏竜Sは初物尽くしの中、優勝馬ミトノオーから0.8秒差の3着でした。羽田盃と東京ダービーはともに2着。

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    <第25回 ジャパンダートダービー(JpnI)>

    (7月10日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ミックファイア
    *大井 渡邉和雄 厩舎 牡3歳
    *成績 5戦5勝2着0回
    *重賞タイトル
     東京ダービー(SI)(2023)
     羽田盃(SI)(2023)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     無敗の南関東2冠馬ミックファイアがダートグレード競走に初挑戦。いよいよ強力なJRA勢を迎え撃ちます。

     現在、デビューから無傷の5連勝中で、次元の違う走りを見せてきました。南関東1冠目の羽田盃と2冠目の東京ダービーは、いずれも2番手から追走。3~4コーナーで先頭に立つと楽な手応えで引き離し、6馬身差をつけてレースレコードを叩き出しました。

     渡邉和雄調教師のお話しでは、それだけのパフォーマンスをしながらも、東京ダービー口取り撮影時には息も乱れず、レース翌日も大きな疲れがなかったとのこと。ミックファイア、恐るべし。

     羽田盃からコンビを組んでいる御神本訓史騎手は「とにかくうるさい馬なので(苦笑)、羽田盃の返し馬では気性的に短い方がいいんじゃないかなと思いました。ただ、羽田盃より東京ダービーはこの馬なりに落ち着いていて、それでももうちょっと落ち着いてくれればいいなと。走らせれば器用というか性能がいいですね。跳びが柔らかくてバネもあって、最後の弾け方も良すぎるので、すごいなと思います。能力の高さは感じますし、心肺機能が高くて、あれだけ入れ込んでもレースでは走ってくれますから。成績の通りとんでもないスケールの馬なので、このまま無事に成長していって欲しいです」と話しています。

     東京ダービー後は4日ほどゆっくりしてから調教を開始。羽田盃、東京ダービー同様に、渡邉厩舎の認定厩舎でもあるミッドウェイファームの坂路とフラットコースを併用してトレーニングを積み、デビュー前から大井競馬場で担当している高橋厩務員がつきっきりでお世話をしているそうです。

     「間違いなく1戦ごとに体つきは良くなっています。羽田盃は無駄な肉が取れただけという感じでも、あれだけの強い競馬をしてくれました。今は筋肉がつくところについて、理想的な体つきになっています。羽田盃前の休養中に裂蹄を発症して爪の不安もありましたが、今は調教メニューを考え、ケアも念入りにさせていて、不安もありません。体にどこか痛みがある時は身が入らないものですが、使いながらハリも出ているので。体調も上向いていて日を追うごとにやれる感触が強くなっていて、チャレンジャーではありますが、今回が本当の強さがわかるんじゃないかなと思っています」(渡邉調教師)。

     2001年は羽田盃、東京王冠賞(現在は廃止)、東京ダービー、ジャパンダートダービーを制したトーシンブリザードが史上初の無敗の4冠馬になりました。あれから22年が経ち、無敗の3冠馬誕生に大きな期待が高まります。

     「3冠がかかる今の状況はしびれますね(笑)。今回は前半のペースがこれまで味わったことがないくらいに速くなると思います。でも、ミックの良さは心肺機能の高さなので、ある程度のペースで前につけていっても、そこからさらにそれなりの脚を使えるんじゃないかなと。みんなが苦しい競馬になってこそ、強さが一番生きると思っています。乗り方は御神本騎手に任せますが、積極的に乗って欲しいとは伝えます。前をつかまえられない負け方だけはして欲しくないので。真っ向勝負から自分の競馬をしてくれれば結果はついてくると思うし、それで負けても悔いはありません。3冠を取りたいですね」(渡邉調教師)。

     ジャパンダートダービーは来年からジャパンダートクラシックに改称することが発表されています。この最後の年に、大井生え抜きの怪物が、JRA勢とどんな戦いを見せるのか、しっかり目に心に焼きつけたいと思います!

    <中央馬の顔ぶれ>

    ■オマツリオトコ
    *JRA 伊藤圭三 厩舎 牡3歳
    *成績 8戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年の兵庫ジュニアグランプリは4馬身差の快勝で、全日本2歳優駿がアタマ差の2着。母のマツリバヤシは川崎時代に東京2歳優駿牝馬3着など重賞で好走しました。

    ■オーロイプラータ
    *JRA 宮本博 厩舎 牡3歳
    *成績 9戦3勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     阪神ダート2000mの鷹取特別(3歳上2勝クラス)は自慢の末脚を繰り出し7馬身差のV。地方コースの中では直線の長い大井コースで重賞初挑戦での勝利を目指します。

    ■キリンジ
    *JRA 佐々木晶三 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦2勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     阪神ダート1800mの3歳未勝利と1勝クラスを連勝。重賞初挑戦だった前走の兵庫チャンピオンシップは渋太く脚を伸ばし、優勝したミトノオーの2着でした。

    ■ゴライコウ
    *JRA 新谷功一 厩舎 牡3歳
    *成績 6戦2勝2着1回
    *重賞タイトル
     JBC2歳優駿(JpnIII)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年は2歳未勝利戦で勝利を飾ると、続く、JBC2歳優駿は9番人気の低評価を覆して重賞初制覇を収めました。今回は3月のUAEダービー(12着)以来の実戦です。

    ■テーオーリカード
    *JRA 高柳大輔 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦3勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     デビューから全て1800mで走り、3歳1勝クラスと3歳上2勝クラスを逃げ切って連勝中です。伯母は2011年の関東オークスを制したカラフルデイズという血統。

    ■ミトノオー
    *JRA 牧光二 厩舎 牡3歳
    *成績 5戦4勝2着0回
    *重賞タイトル
     兵庫チャンピオンシップ(JpnII)(2023)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ここまで5戦4勝。黒竹賞と伏竜S、重賞初挑戦だった兵庫チャンピオンシップはいずれも逃げて後続を引き離し、3連勝中です。JpnⅠ獲得に期待が高まります。

    ■ユティタム
    *JRA 須貝尚介 厩舎 牡3歳
    *成績 4戦3勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     2歳未勝利、1勝クラス、青竜Sと目下3連勝中。いずれも楽な手応えで他馬を圧倒するパフォーマンスで、勢いそのままに重賞初挑戦でのJpnⅠ制覇を目指します。

    *ジャパンダートダービーの情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第25回 ジャパンダートダービー(JpnI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ミックファイア
    牧場7/8坂路 600m-37.9 秒 200m-12.1 秒
    ■オマツリオトコ
    美浦7/9W稍 1000m-66.8 秒 800m-51.5 秒 600m-37.7 秒 200m-12.0 秒
    ■オーロイプラータ
    栗東7/9坂路 800m-54.8 秒 600m-38.8 秒 200m-12.2 秒
    ■キリンジ
    栗東7/9坂路 800m-55.3 秒 600m-40.2 秒 200m-12.8 秒
    ■ゴライコウ
    栗東7/9坂路 800m-57.0 秒 600m-41.8 秒 200m-14.0 秒
    ■テーオーリカード
    栗東7/9坂路 800m-59.0 秒 600m-42.2 秒 200m-12.0 秒
    ■ミトノオー
    美浦7/9W稍 600m-44.4 秒 200m-14.3 秒
    ■ユティタム
    栗東7/9CW稍 600m-41.2 秒 200m-13.0 秒
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第25回 ジャパンダートダービー(JpnI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     南関東クラシック3冠目のジャパンダートダービー(JpnⅠ)。全日本的なダート競走の体系整備により、来年からはジャパンダートクラシックと改称して実施することが発表されています。そんな最後の年、大井生え抜きの怪物が誕生。渡邉和雄厩舎所属のミックファイアがデビューから無傷の6連勝で、南関東3冠を達成しました。

     クラシックロードでは御神本訓史騎手とコンビを組み、1冠目・羽田盃、2冠目・東京ダービーはともに6馬身差のレコード勝ち。ダートグレード競走初挑戦だったジャパンダートダービーはJRAからの強豪たちが出走する中でも1番人気に推されました。

     これまでは逃げ、または3~4コーナーで先頭に立って後続を引き離す競馬スタイル。今回は経験したことがない外の5番手付近を追走しました。ハナを切ったJRAのミトノオーが勝負どころからさらに後続を引き離しにかかりましたが、ミックファイアは最後の直線に入ると一完歩ずつ詰めよっていき、残り100m過ぎから一気にかわし、2馬身半差V。2着が脚を伸ばしたJRAのキリンジで、3着がミトノオーでした。

     「デビュー以来着差は一番少ないですが、一番強い競馬をしてくれました。初めて苦しい競馬になって、レースを見ていた他の騎手たちも、1コーナーと3、4コーナーの感じで着外まであるんじゃないかと思っていたそうです。『それでもあれだけ離して勝てるのは化け物だね』と言ってくれました」(渡邉調教師)。

     「これまでと道中のペースが違ったので、最初から手応えがあまりないというかフラットな感じでした。内と外からのプレッシャーもすごくて、思いのほか後ろに。それでも下がらず気持ちを切らさず、あきらめないで走ってくれました。追い出してからは反応があって、直線残り200mを切ったところで前にいるミトノオーの脚が止まったのはわかったので、これはかわるなと。あとは後ろから何か来なければいいなと、必死に追いました」(御神本騎手)

     いつもはポーカーフェイスの御神本騎手もこの時ばかりは「うれしすぎて言葉が見つかりません」と喜びを爆発させていました。場内にいた14909人のお客様から生まれた『みかもと』コール。大井競馬場で地元ジョッキーのコールが鳴り響いたのは記憶にありません。

     さかのぼり、ジャパンダートダービーが始まった1999年は大井のオリオンザサンクスが優勝しました。私はこの世界に入ったばかりで右も左もわからない頃でしたが、その時の場内の熱気は今でも鮮明に覚えています。地元馬がすごいレースを勝ったことは実感できました。あれから24年が経ち、同じ大井の馬の勝利で幕を下ろすというのも運命的なものを感じます。

     今後のミックファイアは夏休みに入り(このまま渡邉厩舎の認定厩舎・ミッドウェイファームで過ごすか、北海道に移動するかは検討中とのこと)、年内はJBCクラシック(大井)から結果次第でチャンピオンズカップまたは東京大賞典を視野に入れるそうです。チャンピオンズカップでの遠征競馬や左回り競馬も考慮し、使い出しはダービーグランプリも選択肢に入っているとのこと。

     渡邉調教師は「古馬ともいい競馬をしたら、『失効したパスポートを取っておこう、いつ(海外に)行ってもいいように』って三野宮(勇調教師補佐)にも話しをしました。順調ならそういうローテーションでも恥ずかしくない馬かなと。夢が夢で終わらない可能性のある馬なので、本当に楽しみです」と期待を膨らませていました。



    <他陣営のコメント>

    2着 キリンジ 藤岡佑介騎手
    「返し馬からコンディションがいいなと感じました。大井の2000mは合うだろうと陣営の方とも話していて、期待以上にいい形で走ってくれました。砂をかぶって頭を上げていたり、まだ若さが残る中でこれだけのパフォーマンスができているし、いい競馬だったと思います。個人的なことを言えば、去年ふがいない競馬で馬券に絡むことができなくて迷惑をかけました。今年人気はありませんでしたが、馬券に絡みたいという気持ち強かったので、馬が走ってくれて良かったです」

    3着 ミトノオー 武豊騎手
    「前半ちょっと力んで掛かってしまったのが痛かったです。ペースは悪くないとは思いましたが、力んでいるぶん、最後スタミナがなくなりました。前向きすぎるところがあるので、今後の課題でもあると思います。能力はある馬」

    4着 ユティタム 川田将雅騎手
    「リズムよく走れていましたが、3コーナーから進んでいかなかったのは、中間の暑さも影響したかもしれません」

    5着 オーロイプラータ 團野大成騎手
    「一歩目に躓いてしまいましたが、最後はしっかり脚を使って伸びてくれています」

    6着 ゴライコウ 幸英明騎手
    「最後は少し止まりましたが、手応えもあって、いいレースはしてくれました。相手は強かったですが、前回よりも馬は良くなっているし、これからもっといいと思います」

    7着 ドラケン 菅原涼太騎手
    「厳しい流れでしたが、それなりに伸びています。操縦性もすごくいいし、使うたびに成長してくれているので楽しみな馬です」

    8着 ブルマリンシェール 町田直希騎手
    「ずっと強いメンバーとやっていて、この馬なりの競馬はしてくれています。地方馬同士の重賞ならもっといいところを見せられると思います」

    9着 オマツリオトコ
    インの3番手付近から進めましたが、最後は伸び切れませんでした。

    10着 ライズゾーン 山崎尋美調教師
    「道中はもっと離れるかなとも思いましたが、3コーナーでは見せ場も作ってくれたし、レース内容は良かったと思います。次は戸塚記念を目標に予定を組んでいきます」

    11着 テーオーリカード 岩田望来騎手
    「逃げたかったですが、行けなかったので番手から。距離、初ナイターのぶんなのか、3コーナーで手応えがなくなりました」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    25 令5 ミックファイア 牡3 御神本 訓史
    24 4 ノットゥルノ 牡3 武 豊
    23 3 キャッスルトップ 牡3 仲野 光馬
    22 2 ダノンファラオ 牡3 坂井 瑠星
    21 令元 クリソベリル 牡3 川田 将雅
    20 平30 ルヴァンスレーヴ 牡3 M.デムーロ
    19 29 ヒガシウィルウィン 牡3 本田 正重
    18 28 キョウエイギア 牡3 戸崎 圭太
    17 27 ノンコノユメ 牡3 C.ルメール
    16 26 カゼノコ 牡3 秋山 真一郎
    15 25 クリソライト 牡3 内田 博幸
    14 24 ハタノヴァンクール 牡3 四位 洋文
    13 23 グレープブランデー 牡3 横山 典弘
    12 22 マグニフィカ 牡3 戸崎 圭太
    11 21 テスタマッタ 牡3 岩田 康誠
    10 20 サクセスブロッケン 牡3 横山 典弘
    9 19 フリオーソ 牡3 今野 忠成
    8 18 フレンドシップ 牡3 内田 博幸
    7 17 カネヒキリ 牡3 武 豊
    6 16 カフェオリンポス 牡3 柴田 善臣
    5 15 ビッグウルフ 牡3 武 豊
    4 14 ゴールドアリュール 牡3 武 豊
    3 13 トーシンブリザード 牡3 石崎 隆之
    2 12 マイネルコンバット 牡3 大西 直宏
    1 11 オリオンザサンクス 牡3 早田 秀治