重賞レース
第2回 雲取賞(SIII)
- 2020年2月6日(木)
- 16:10発走
2018年まで準重賞として実施していましたが、2019年から重賞での実施となりました。TCKで行う年明け最初の3歳重賞となり、雲取賞→京浜盃→南関東3歳クラシック三冠レースと続く路線を確立しました。
<上位3頭に京浜盃、上位2頭に羽田盃の優先出走権を付与>
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<第2回 雲取賞(SIII)>
(1月28日現在)
■ゴールドビルダー
船橋の佐藤賢二厩舎が送り出すスケールの大きなハイセイコー記念ウイナー。前走の全日本2歳優駿(7着)は非常に悔しがっていた佐藤師。南関東同士で改めて。
■マンガン
末脚身上。抜群の安定感を誇りますが、唯一大敗したレースがハイセイコー記念(10着)。大井コースが合いそうなタイプなだけに、もう一度見てみたいところ。
■チョウライリン
10戦のキャリアがあるタフな馬。3戦3勝後、勝ち切れない成績が続きますが、重賞レースでも高いレベルで走ってきました。母は大井ゆかりのコロニアルディーバ。
■ストーミーデイ
大井期待の1頭で、4戦して2勝2着2回と連対率100%。前走のハイセイコー記念はゴールドビルダーに敗れて2着でした。母のエフテーストライクは南関東出身馬。
■ファルコンウィング
船橋で走ったユアカラーの息子。2走前には2着馬に3秒8差の大差勝ちをしたシーンは度肝を抜きました。前走のニューイヤーカップは3着で、展開の鍵を握ります。
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<第2回 雲取賞(SIII)>(2月4日現在)
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最有力候補がこのゴールドビルダーになるでしょう。ハイセイコー記念は3、4番手から鮮やかな差し切り勝ちを収めて重賞ウイナーの仲間入り。その後の全日本2歳優駿は5,6番手から勝負所では2番手に上がる勝ちにいく競馬でしたが、その分、最後は伸び切れずに7着。優勝したヴァケーションからは0.8秒差。
「3~4コーナーでもっとためていければよかったですが、終いの脚が使えなったですね。勝つ力があると思って送り出しているので、この結果は本当に悔しいです」と、レース後に佐藤調教師は非常に悔しがっていました。この馬の力を感じているからこそ。
その後は厩舎でササ針をしてリフレッシュさせたそうですが、今回は間隔が空いているとは言え、乗り込み量は豊富だそうです。
「4、5番手でじっくり脚をためて、前から4~5馬身差圏内にいられれば弾けてくれると思います。ここは負けられないレースです」(佐藤調教師)。末脚を存分に発揮し、平和賞とニューイヤーカップでは2着。平和賞はのちの全日本2歳優駿を制するヴァケーション、ニューイヤーカップは女傑ロジータのレースレコードを更新したグリーンロードに敗れていますが、マンガンも地力の高さは十分に示しています。
脚質的に、大井競馬場の外回りコースは向くように思いますが、昨年のハイセイコー記念は5番手につけるも後退して10着。内回りコースだったとは言え、残念な結果でした。
今回は馬場見せを兼ねた最終追い切りを大井競馬場で行って、右回りもスムーズな走りをしていたことは騎乗した山崎誠士騎手も言っていました。あとは本番でどんな走りをするのか、試金石の一戦です。
「この脚質でも道悪の時にいい結果を出しているので、良馬場でも大丈夫なところを見せて欲しいですね。砂をかぶってもいいし、一瞬で追いつけるスピードもあって、センスの高い馬です。大井1800m戦は目指してきた条件で、ここは力を出して欲しいです」(田島寿一調教師)。大井期待のストーミーデイがここから始動。前走のハイセイコー記念はスピードを生かしてハナに立つような勢いで2番手から進めていき、最後の直線では先頭に立ちましたが、ゴールドビルダーに交わされて2着でした。
「道中はリズムよく運べて、まだ追って切れるような脚がないので少し流していきました。勝負根性はあるし、直線でもまたひと伸びしてくれたのでもらった!と思ったのですが、さらに決め手を持っている馬がいたっていう感じです。負けてしまいましたが、現状のこの馬の力は見せることができました」とコンビを組む笹川翼騎手。
前走後はリフレッシュ放牧に出て、12月下旬に帰厩。ここまで4戦して2勝2着2回と連を外していません。
「1800mはこの馬にとってやってみないことにはわかりませんが、行かそうと思えば行ける先行力もあるし、今回は行きたい馬たちもいるからそれを見ながら行けるのも理想的かもしれません。折り合いはつけたいですね」(澤佳宏調教師)。南関東のリーディング・浦和の小久保智厩舎は3頭出しですが、ここでは重賞レースで好走している2頭を取り上げましょう。
船橋生え抜き馬ユアカラーの息子ファルコンウィング。2走前のパフォーマンスは度肝を抜きました。持ち前のスピードで軽快に逃げていき、2着馬に3秒8差もつける大差勝ち。その後のニューイヤーカップには逃げ切ることができずに2番手から進め、最後は3着に終わりました。
地元では落ち着いて走り結果を出しているだけに、再び大井コースに変わるのと展開が鍵を握るでしょう。
一方、チョウライリンは大井で長きに渡って走り続けたコロニアルディーバの息子。デビューから3連勝後は勝ち切れないレースが続いていますが、ハイセイコー記念と平和賞3着、前走のニューイヤーカップは4着と安定した成績。
「(ファルコンウィングは)前走は逆の展開になればまた違っただろうし、今回は何が何でも行かせたいです。(チョウライリンは)的場さんが目をかけてくれている馬。まだパンチ力は足りないので、今回は調整を替えてきたので、それがどう出るかですね」(小久保智調教師)。去年はこの雲取賞を勝ち、のちの東京ダービーも制したヒカリオーソ。同じ岩本厩舎の後輩がこのゴールドホイヤーです(担当の小林厩務員も一緒)。
1月4日に行われた3歳馬の招福(しょうふく)オープンは、吉原寛人騎手とのコンビで優勝。道中は中団を追走し内から外に持ち出すと、3~4コーナーで一気に進出。最後の直線で先頭に立つと後続との差を広げていき、2着馬に3馬身差をつける完勝でした。
「持ち時計通り強かったですね。エンジンがかかり出したら速かったです。乗りやすい馬で、距離が延びてもこなせると思います」と吉原騎手は振り返っていて、また楽しみな馬が岩本厩舎から出てきました。今回は初物尽くしの中でどんな走りを見せるのでしょうか。
「跳びの大きい馬で、エンジンのかかりは遅いですが、終いは伸びてくれます。最終追い切りは大井競馬場での馬場見せを兼ねて用意はしてきました。試金石の一戦なのでここは頑張って欲しいですね。素質は高いと思っています」(岩本調教師)。*雲取賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!
第2回 雲取賞(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)
■ゴールドビルダー 船橋2/2右良 1000m-64.2秒 800m-52.7秒 600m-38.9秒 一杯追 ■マンガン 大井2/1稍 1000m-64.8秒 800m-51.1秒 600m-37.8秒 馬なり ■ストーミーデイ 大井2/1稍 1000m-64.0秒 800m-50.4秒 600m-37.1秒 G前強 ■ファルコンウィング 浦和2/1稍 1000m-70.2秒 800m-52.3秒 600m-38.6秒 末強めに ■チョウライリン 浦和2/1稍 1000m-70.4秒 800m-52.5秒 600m-38.8秒 直一杯追 ■ゴールドホイヤー 大井2/1稍 1000m-64.8秒 800m-51.1秒 600m-37.8秒 馬なり -
高橋華代子のレースレポート
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<第2回 雲取賞(SIII)>
優勝インタビュー動画はこちら
昨年から準重賞に格上げされた3歳重賞の雲取賞。1着馬から3着馬までに京浜盃、1着馬と2着馬には羽田盃の優先出走権も与えられるトライアルレースです。
昨年の覇者は、のちに東京ダービー馬となるヒカリオーソ。これからのダートグレード競走においても、南関東のトップホースの1頭として活躍が期待される馬へと成長しています。そんなヒカリオーソと同じ川崎の岩本洋厩舎に所属するゴールドホイヤーが、先輩に負けじと、強いパフォーマンスで重賞初制覇を飾りました。
ゴールドホイヤーの担当もヒカリオーソと一緒の小林厩務員です。「(ゴールドホイヤーは)利口で我の強い馬ですが、前に比べると大人になってきました。今回は大井競馬場の馬場見せを行い初馬場でも何も問題なかったですし、デビュー前から素質の高い馬と言われてきたので楽しみです」(小林厩務員)と、レース前から言っていて、そんな期待に応えてクラシック戦線に向けても弾みをつけました。
スティールペガサスが抜群の手応えでハナに立っていこうとしたところに、何が何でもという形でファルコンウィングが1コーナー手前でハナを取り切った時には、すでに縦長の展開。その後ろに、ストーミーデイ、レイワデジタル、内にゴールドビルダー、ゴールドホイヤーはその外にポジションを取りました。
「前回の川崎では砂をかぶって上に跳んでいる感じだったので、今回は大外枠だったし、なるべくもまれないようにレースを運べればいいなぁと思っていて、理想の展開にはなりました。終始気分よく走ってドシッと落ち着いていたので、射程圏内に入れながら、いつでも動けるぞという感じでした」と、ゴールドホイヤーとコンビを組んだ吉原寛人騎手。
ゴールドホイヤーは3~4コーナーで外から前に取りついていき、最後の直線ではファルコンウィングも渋太く粘り込もうとしましたが、残り100m付近で一気に交わして先頭へ。「あれだけ楽に突き放してくれて余裕がありました。乗っていても背中がよくて操作もしやすいし動きがいいです」(吉原騎手)。
ゴールドホイヤーは2着のファルコンウィングに3馬身差をつける完勝。勝ちタイムは1800m1分56秒1(良)。3着にはストーミーデイ。
なお、この勝利は岩本厩舎にとって通算600勝というメモリアルになりました。現在75歳の岩本調教師は、騎手から調教師になり、もうすぐ40年。
「私の若い頃は開業して4頭しか馬房を与えられなくて、10頭になるのも10年かかった時代です。調教師になったのも早い方ではないですし、私の年齢で600勝は遅いかなと思いますが、馬主さんやスタッフ、関わってくださった皆さんのお陰でここまでくることができました。でも、まだ通過点ということで(笑)。東京ダービー連覇をしたいですね。
ゴールドホイヤーは入厩当時からヤンチャでかなり大変だったのですが、ここまで成長してくれて感無量です。本番ではパドックから大人しくて従順だったので、安心して見ていました」(岩本調教師)。
ゴールドホイヤーは新馬戦快勝後、脚部不安のために約5か月の休養を挟みました。「持たせるのではなく固めるという考え方」(岩本調教師)と言うことで、無理をさせなかったことも功を奏し、460キロ台だった体も480キロ台になり、馬全体の成長を遂げています。
気になる今後のローテーションについて、昨年は厩舎の先輩ヒカリオーソが雲取賞優勝後に京浜盃を使い、鼻出血のために大差負けをし、その後は羽田盃をスキップして東京ダービーというローテーションになったため、ゴールドホイヤーはこのまま羽田盃直行というプランもあるそうです。これからのクラシック戦線にどんな姿で登場してくるのか待ち遠しいです。
<他陣営のコメント>
2着 ファルコンウィング 左海誠二騎手
「元々の能力は高いですが、まだ幼さの方が強いですね。テンに速くないので、半ば強引に行った感じはありましたが、今の感じでは逃げた方が力は出せると思います。ただ、ずっとフラフラ走っていて、まだ気が入っていないというか幼いです。
4コーナーでは勝てるかなと思ったのですが、直線でもフラフラしていて、交わされてからは逆にフラフラが止まりました。1頭だからフラフラ走っていたのかもしれませんね。それでも精神的には徐々に大人になってきているし、ハナに行っても引っ掛かるところがないので、距離も問題はないです。これでしっかり走れるようになったらすごい馬になれると思いますよ」
3着 ストーミーデイ 笹川翼騎手
「最内枠はすごく乗りやすくて、折り合いはそんなに心配はしていませんでしたが、ちょっと砂をかぶるくらいの方が折り合いはつきますね。一周手前を替えませんでしたが、競馬の上手さとタフでカバーしてくれました。今回は休み明けの中でも頑張ってくれたので、距離なども含めて次はどんな走りをしてくれるかですね」
4着 マンガン 山崎誠士騎手
「今回は大井競馬場で最終追い切りを行うなどして用意もできていたので、大井コースの走りもスムーズで問題はなかったです。いい競馬ができました」
5着 ゴールドビルダー 本田正重騎手(1番人気)
「ササ針休養明けだったので、まだ中身の重さを感じたのでこれで変わってきてくれれば。位置取りは予定通りで、道中の手応えではもうちょっと伸びるかなぁと思ったのですが……。体がしっかりしてくればもっとよくなると思います。これからの馬です」
6着 ブリッグオドーン
2枠3番の好枠からロスなく中団後方待機で進めるも、掲示板までもう少し。
7着 チョウライリン
内の中団から、最後の直線では外に持ち出し、的場ダンスも見られましたが……。
8着 グランメガスマイル 森泰斗騎手
「終いを生かす競馬は指示通りで、現状ではよく伸びています。距離もよさそうですし、今日戦ったことがいい経験になると思います」
9着 レイワデジタル 張田昂騎手
「感触は悪くなかったですし、もっとよくなりそうですね。どんな競馬でもできそうです」
10着 ミリミリ 藤本現暉騎手
「重賞で周りも速いのであの位置になりました。あまり慣れていないペースでしたが、それでも動くところでちゃんと動いてくれて、頑張ってくれたと思います」
11着 スティールペガサス 矢野貴之騎手
「スタートの出は一番速かったので逃げられる感じではあったのですが、距離のこともあったので生かせる感じで乗りました。背中はいいですが、芯がまだしっかりしていなので、外に張りながら走っていました。もうちょっと気分よく走れていれば」
12着 リバースルローズ 今野忠成騎手
「最後は脚を使ってくれたので、この経験を次につなげられれば。距離は問題ありません」
13着 ピアノマン 石﨑駿騎手
「フラフラ走っていましたね。もっとやれると思うのですが……」
14着 サドンゲイル 藤江渉騎手
「自分の力は出して相手なりには走れています。距離はいくらでも持ちそうな馬ですよ」
15着 マルモリラッキー 酒井忍騎手
「900mを2回使った後なので、いきなりの1800m戦では息が上がりましたね」
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回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手 2 令2 ゴールドホイヤー 牡3 吉原 寛人 1 平31 ヒカリオーソ 牡3 瀧川 寿希也