重賞レース

第8回 優駿スプリント(SII)

  • 2018年6月26日(火)
  • 20:10発走
第8回優勝馬:クルセイズスピリツ号

3歳限定のスプリント重賞として2011年から新設しました。古馬の短距離路線の充実により、早い段階から短距離のスペシャリストを目指す若駒たちの新しい目標となるレース。2015年からグレードをSIIに格上げして実施しています。
<優勝馬に習志野きらっとスプリント、上位2頭にアフター5スター賞の優先出走権を付与>

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    <第8回 優駿スプリント(SII)>

    アヴァレソー
    前走の川崎競馬場で行われた優駿スプリントトライアルは、初騎乗の酒井忍騎手を背に、持ち前のスピードを生かしてハナを切ると、そのまま押し切り圧勝しました。1000m以下では負けなし。優駿スプリントでも自分の形に持ち込みたいところ。

    ラルウア
    父はノボジャック、母が北海道と兵庫で長きに渡って走ったトキノナイスの初仔。スピードを身上にし、大井競馬場の1200m戦を中心に、前走の優駿スプリントトライアルは的場文男騎手にエスコートをされて、逃げ切り勝ちを収めました。

    ヴィブラビ
    母のショウリダバンザイは桜花賞とロジータ記念などを優勝している実力馬で、初仔から絶対的なスピードのあるヴィブラビが誕生。大井競馬場1200m戦は2勝2着1回。前走の優駿スプリントトライアルは5番手から脚を伸ばして2着でした。

    ミスターバッハ
    クラウンカップ2着など重賞戦線で強い馬たちと戦ってきました。南関東では初めての1200m戦。北海道時代の重賞イノセントカップ(1200m)では、のちの羽田盃馬ヤマノファイトとタイム差なしの2着に入ったこともあり、興味深い出走。

    レベルスリー
    中央時代の1勝は中山競馬場のダート1200m戦。南関東に移籍以降はもう少しの成績でしたが、前走の夏木立賞(1400m)は距離を短縮し、古馬たちを一蹴したシーンは圧巻でした。素質馬が短距離戦へ転向し、本領発揮となるでしょうか?!

    シングンレガシイ
    母は北海道の名牝リードスキー、半兄は南関東重賞戦線で大活躍したロイヤルボス。デビューから強い馬たちと対戦しながら、一度も掲示板を外さずに安定して力を出してきたのもこの馬の強さでしょう。新馬戦以来となる1200m戦への出走。

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    <第8回 優駿スプリント(SII)>

    (6月25日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■ラルウア
    *大井 的場直之 厩舎 牡3歳
    *成績 9戦4勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年の優駿スプリントは大混戦ムード。そんな中、大井競馬場で行われた優駿スプリントトライアルを完勝したのがこのラルウアです。父は第一回JBCスプリントの覇者ノボジャック、母は北海道と兵庫で長きに渡って走り続けたトキノナイスという血統。

     ラルウアはデビュー時から的場文男騎手を主戦としてスピードあふれる走りを見せてきました。前走の優駿スプリントトライアルは二の脚速く先手を取っていくと、最後の直線ではさらに後続との差を広げていき、2着のヴィブラビに2馬身差。勝ちタイムは1200m1分13秒6(重)。「力通り、いい結果を出してくれました」と的場直之調教師。

     その後は目標に置いていたこの優駿スプリントに向けて、ひと息入れて調子を上げてきたそうです。どんな展開になるのか鍵を握る1頭。今回は的場騎手が負傷で療養中のため、自厩舎の横川玲央騎手が初コンビ。師匠の的場調教師からも信頼は絶大です。

     「調教に乗ってこの馬の癖もつかんでいるし、技術の高い騎手なので、心配することはないし自信を持って乗って欲しいです。人馬共にスタートはうまいですし、この枠に入ったので(2枠4番)、基本的には行かせて自分の競馬をさせたいですね。スタートのダッシュ力があって、道中もスピードはあるし、最後の持久力もある馬です」(的場調教師)。

    ■ヴィブラビ
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) 牝3歳
    *成績 6戦2勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     母は南関ファンにもお馴染みのショウリダバンザイ。南関東と北海道を中心に走り、桜花賞とロジータ記念、道営記念を制した女傑です。母になってから最初に誕生させたのがヴィブラビ。血統的にも地方競馬ファンにとっては非常に注目度の高い1頭です。

     ヴィブラビは新馬戦と2戦目は1200m戦で圧勝したものの、その後は東京2歳優駿牝馬などを見据えてマイル戦に挑戦していた時期もありました。

     前走は再び1200m戦に切り替え、優駿スプリントトライアルに出走。久しぶりの忙しい競馬になりましたが、新境地を開きました。これまでは逃げて結果を出してきましたが、道中は5、6番手から砂をかぶって進めていくも、最後の直線では力強く脚を伸ばしてきて2着に入りました。以前までは気性的に難しいところのあった馬ですが、成長を見せた一戦にもなったでしょう。

     「前走は久しぶりの1200m戦でも頑張ってくれたし、やっぱりこの距離の適性は高いですね。脚質の幅が広がったのは強みですし、時計はもっとつめたいですが、この距離なら楽しみはあります」(荒山勝徳調教師)。

     母が多く獲得した重賞タイトルを、愛娘も手にすることはできるでしょうか?!

    ■サンニコーラ
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦2勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年の東京ダービー馬ハセノパイロと同じパイロ産駒。サンニコーラは昨年10月の1200m戦の新馬戦で、当時期間限定騎乗で来ていたライアン・クアトロ騎手を背に、2着馬に3秒6差をつける大差勝ち。なかなかできる芸当ではありません。タイムは1200m1分13秒6(不良)。

     2走前から再び1200m戦へ。御神本訓史騎手を背に、マーガレット特別(優勝)も優駿スプリントトライアル(3着)も、スタートがゆっくりで、中団、後方を追走していくも、最後は37秒4の脚で猛追してきました。

     「全体的な能力の高い馬です。調教で何とか対応できないかなとクラシック路線に目を向けていた時期もありましたが、1200m戦は元々が強い勝ち方をしてきました。

     スタートは速い方ではありませんが、この中間はゲート練習もして、本番では尾っぽも取る予定です。この馬の末脚を生かして、いい結果を期待したいですね」(藤田輝信調教師)。

     今回は先行馬が多いだけに、展開面では有利に働くようにも思います。この馬の強靭な末脚が炸裂するのでしょうか?!

    ■レベルスリー
    *船橋 林正人 厩舎 牡3歳
    *成績 11戦3勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代は5戦目で勝ち上がり、その時は中山競馬場のダート1200m戦を完勝。船橋の林正人厩舎に移籍後は、初戦の浦和競馬場で実施した新風特別で1600m戦を快勝したため、その後はこの路線で戦ってきたものの勝ち切れず。

     前走の大井競馬場で行われた1400m戦の夏木立賞は、古馬と初対戦ながらも2番手につけていき、早め先頭に立って押し切る横綱相撲で勝利しました。勝ちタイムは1分27秒8(重)。改めて短距離適性の高さを示した結果とも言えるでしょう。

     「浦和で勝った時に距離も持ちそうだなと思って使ってきましたが、本来は小細工なしでいける短距離戦の方が合っていますね。大井の1400m戦と1200m戦ではテンのペースは変わってくるので、そのスピードに戸惑わなければいい勝負はしてくれると思っています。先行していきたいですね」(林調教師)。

     今回は移籍後初めての1200m戦。中央時代に勝った同じ距離で、どんな一面を見せてくれるか楽しみです。

    ■メモリーメンヒル
    *大井 庄子昭彦 厩舎 牡3歳
    *成績 4戦3勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     4戦3勝とキャリアの浅い馬ですが、一貫して1200m戦を使い続け、未知の魅力がたっぷりのメモリーメンヒル。父は偉大なるフリオーソです。

     メモリーメンヒルも500キロを超える大型馬。化骨がゆっくりだったことから、デビューしたのは昨年末。能力試験で800m49.3秒の時計で駆けたことで、かなり注目を集めてのデビュー戦でしたが、危なげない走りで快勝しました。

     前走のフォーチュネイト白百合特別3歳選定馬選抜馬では中央馬たちに立ち向かい、逃げ切り勝ちを収めました。勝ちタイムは1分13秒5(良)。

     庄子昭彦調教師は開業後重賞初挑戦。父の厩舎にいた調教師補佐時代にはバグパイプウィンドで金盃を制していて、引き続き、弟の聡厩務員とタッグを組みます。

     「間隔があまりないのは初めてなので、前走の反動は少なかったですが、やりすぎないように気をつけてきました。前走の勝ちっぷりを見ると、ここも期待しています。逃げにはこだわっていませんが、どこの位置を取ることはできるか。前よりも道中は力を抜いて走れるようになってきました。

     こういう舞台に挑戦できるのは感慨深いものがありますね。親父はたくさん重賞を勝たせてもらっているので、それに続けるように、いい結果を出したいです」(庄子調教師)。

    *優駿スプリントの情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第8回 優駿スプリント(SII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ラルウア
    大井6/22重 1000m-63.8秒 800m-50.7秒 600m-37.3秒 馬なり
    ■ヴィブラビ
    小林6/22不 1000m-64.0秒 800m-49.1秒 600m-36.3秒 強めに
    ■サンニコーラ
    大井6/22重 1000m-65.6秒 800m-51.8秒 600m-37.5秒 馬なり
    ■レベルスリー
    船橋6/20不 600m-49.7秒 200m-36.8秒 強めに
    ■メモリーメンヒル
    大井6/22重 1000m-68.5秒 800m-53.2秒 600m-39.2秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第8回 優駿スプリント(SII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     今年8回目を迎えた南関東3歳スプリント王決定戦の優駿スプリント。遡ると、初代チャンピオンに輝いたのは、牝馬のミヤサンキューティでした。真島大輔騎手を背に、この優駿スプリントと東京シンデレラマイルの2つの重賞を制覇。そんなミヤサンキューティも現役引退後は繁殖牝馬となり、初仔がもう間もなくデビューを迎えます。

     そして、第5回の覇者ルックスザットキルは、早田功駿騎手の手綱で、この優駿スプリントを皮切りに、習志野きらっとスプリント、アフター5スター賞と、3つの重賞勝ちを収めました。今年からイーストスタッドで種牡馬生活をスタートさせたルックスザットキル。このまま順調にいけば、来春にはルックスジュニアが誕生予定です。

     優駿スプリントはこれからもどんなチャンピオンホースを誕生させ、歴史を作り上げていくのでしょうか。

     さて、今年の優駿スプリントはどの馬が勝ってもおかしくないような大混戦の様相を呈していました。そんな中、11番人気クルセイズスピリツ(大井・荒井朋弘厩舎<小林>)が優勝。達城龍次騎手が疾病のために、西啓太騎手が手綱を取りました。

     西騎手はもちろん、クルセイズスピリツ、荒井調教師、担当の川口厩務員と、全員が記念すべき重賞初制覇といううれしい瞬間が待っていました。「素直にうれしですが、正直びっくりしたというか、気づいたら勝っちゃったって感じでした(苦笑)」と、今年デビュー5年目を迎えた西騎手。

     クルセイズスピリツは北海道時代にフレッシュチャレンジを優勝し、その後は名古屋に移籍すると、中央遠征などでも先行していくスピードを見せていました。大井に移籍後、若竹賞(1800m)を使い、今回が2戦目。1200m戦は北海道時代に経験しただけで久しぶりの挑戦でしたが、しっかり対応しきれたのは立派の一言に尽きます。抜群のスタートを決めると二の脚も速く、2番手をキープ。

     「ビッグマロンが主張していったので、先生からは2~3番手につけられればと言って頂いていたので気持ちとしては楽でした。スタートは速いとは聞いていましたが、イメージ以上に速かったです。思っていたよりもいい位置につけられたので、自分ではお~!と思いながら乗っていました。折り合いもつくし、とても乗りやすい馬でした」(西騎手)。

     残り200m付近で完全に先頭に変わると、そのまま最後まで力強い走りでゴールしました。勝ちタイムは1200m1分12秒6(やや重)。後続から追い込み馬たちがやってきましたが一蹴。2着はシングンレガシイ、3着にはヴィブラビが突っ込んできて、大井の小林分厩舎所属馬たちが1着から3着までを独占しました。

     「前にいた馬の手応えがなくなってきたので、あとは(クルセイズスピリツが)どこまで頑張ってくれるかなと。残り100mくらいになって、あれ?うそでしょ?って。ここから一気に後ろからの馬たちに来られるかなと内心は心配だったのですが、頑張ってくれました。

     道中もかなり強気に進めたので、ずっとプレッシャーをかけ続けて、息が入らない厳しい競馬になったと思います。それでもこれだけの走りをしてくれて内容も強かったですし、時計も優秀です」。

     南関東3歳スプリント王に輝いたニューヒーローのクルセイズスピリツ。今後もマイルまでの距離を使っていきたい意向のようです。父は偉大なるサウスヴィグラス。移籍2戦目を終え、関係者にとってもまだまだ奥が深い馬だそう。これからどんな存在になっていくのか楽しみです。



    <他陣営のコメント>

    2着 シングンレガシイ 赤岡修次騎手
    「(勝った馬が)まさかあんなに手応えを残しているとは思いませんでした。今日は残念でしたが、短距離適性のあることがわかったので、これから期待しています」

    3着 ヴィブラビ 本田正重騎手
    「休み明けを一度使って前回よりも雰囲気はよさそうでした。最初にササりながら気の難しさは出していましたが、ロスなく回ってイメージ通りに走れました。直線に入った時には勝てるかなって思うくらいの手応えで、最後も伸びてくれましたが……」

    4着 サンニコーラ 御神本訓史騎手
    「前走よりもスタートはよかったですが、前残りの馬場で位置取りの差が出ました。終いはしっかり伸びていましたが、スタートの出がよくなればもっといいと思います」

    5着 ミスターバッハ 石崎駿騎手
    「スタートを決めてヨシと思っていたのですが、砂をかぶった瞬間に一気に下がってチグハグしていました。砂をかぶる質も短距離と長距離では蹴りの違いからも差が出てきます。最後はいい脚を使ってくれたし、久しぶりの短距離だったので一度使っていれば対応は違ったと思います。距離はもう少しあった方が持ち味は発揮できそうですね」

    6着 ハタノサンドリヨン 岡部誠騎手
    「ゲートはスムーズだったし、内でうまく立ち回れたと思います。もう1ハロンくらい距離があってもいいかもしれません」

    7着 ユニバーサルライト 坂井英光騎手
    「スタートはよかったですが、長い距離を使ってきたので、戸惑ってついていけない感じがありました。3コーナー手前からハミを取り出して、スペースがあったのでうまく上がっていけましたが……。久しぶりの短距離で集中力を欠いているようにも感じたので、もっと走れそうです。短いところは合いますね」

    8着 デニストン 佐野謙二調教師
    「枠が大外だったので後方からになりましたが、もっといい位置につけられれば掲示板もあったのかなと。最後はとてもいい脚で伸びてくれました」

    9着 サンダーマックス 藤本現暉騎手
    「ペースが上がった時に一緒についていければ違ったと思うのですが……」

    10着 ビッグマロン 笹川翼騎手
    「重賞ですし一発狙って逃げることは決めていたので、自分としては思い切って騎乗ができて悔いはないです。ただ、思っていた以上にクルセイズスピリツの手応えがずっとよくてプレッシャーをかけられていたので、厳しい展開になりました」

    11着 オーサムロード 酒井忍騎手
    「先行しないと馬を気にするところがあるのですが、このメンバーでは自分の競馬ができなくて、砂をかぶるとやる気をなくすところもありました。ただ、この馬はとてもいいものがあるので、これからの成長を楽しみにしています」

    12着 レベルスリー 左海誠二騎手
    「前回に比べて反応はもう少しでした。3コーナーで接触が合った時にひるんで、そのままダラッとしてしまいました」

    13着 ラルウア 横川玲央騎手
    「ゲートの中でソワソワしてしまって出遅れが痛かったです。出負けしたところで挟まれて、砂をかぶって嫌がっていました。直線はしっかり伸びてきているので自分の競馬ができていれば……残念です」

    14着キタノシャガール 瀧川寿希也騎手
    「とても乗りやすい馬で流れにのせて走らせましたが、スタートからついていけなくて、3歳で57キロもきつかったです。距離ももっとあった方がよさそうですね」

    15着 メモリーメンヒル 真島大輔騎手
    「空気にのまれている感じで、ゲートで固まっていました。いつもならゲートを出てから二歩目でスピードにのっていくのですが、周りも速くて行けなかったし、もまれたらまだ弱いところもあります。キャリアは浅いですが素質は高い馬なので、これからに期待したいです」

    16着 アヴァレソー 薮口一麻調教師
    「右回りは外にもたれるようです。あのペースでも楽についていけるスピードはあるのですが……」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    8 平30 クルセイズスピリツ 牡3 西 啓太
    7 29 バンドオンザラン 牡3 赤岡 修次
    6 28 エイシンヒート 牡3 矢野 貴之
    5 27 ルックスザットキル 牡3 早田 功駿
    4 26 アピア 牡3 御神本 訓史
    3 25 ハードデイズナイト 牝3 山崎 誠士
    2 24 ゴールドキャヴィア 牝3 御神本 訓史
    1 23 ミヤサンキューティ 牝3 真島 大輔