重賞レース

第64回 東京ダービー(SI)

  • 2018年6月6日(水)
  • 20:10発走
第64回優勝馬:ハセノパイロ号

東京大賞典と並び、TCK重賞で最も長い歴史を誇る伝統のレースです。羽田盃に続く南関東3歳クラシック三冠レースの第二関門として、南関東屈指の若駒たちがしのぎを削ります。実力だけでなく運も要求されるこのレースは、TCKリーディング過去21回獲得を誇る“TCKの帝王”的場文男騎手が過去36回の騎乗でいまだ未勝利。今年こそは悲願の初優勝に期待がかかります。
<上位2頭にジャパンダートダービーの優先出走権を付与>

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    <第64回 東京ダービー(SI)>

    ヤマノファイト
    南関東移籍後、ニューイヤーカップ、京浜盃、羽田盃と、負けなし3連勝。520キロ台のパワフルな体で、先行して押し切る安定感たっぷりの走り。最有力。

    リコーワルサー
    南関東生え抜きエトワールステージの愛息。デビュー後3戦目で初コースの鎌倉記念を制した素質馬です。休み明けを一度使った前走の羽田盃は2着でした。

    ハセノパイロ
    昨年は全日本2歳優駿3着やハイセイコー記念優勝で、NARグランプリ2歳最優秀牡馬を受賞。前走の羽田盃は3着に入り、久しぶりにこの馬らしさを見せたばかり。

    モジアナフレイバー
    キャリアの浅い馬ですが、前走の羽田盃は初めて重賞のペースを経験する中でも、優勝馬から0.7秒差の4着。実績馬たちとも対等に、好内容の走りを見せました。

    グラヴィオーラ
    母は大井ゆかりのカクテルラウンジ。前走の東京プリンセス賞は2着馬に7馬身差をつける圧勝。前日の羽田盃よりも勝ちタイムが速かったことも話題になりました。

    プロミストリープ
    中央2戦2勝の成績で南関東入りし、桜花賞を圧勝。前走は初ナイターで気持ちを高めているシーンも見られて2着。2度目の今回はどんな走りを見せるでしょう。

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    <第64回 東京ダービー(SI)>

    (6月4日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■ヤマノファイト
    *船橋 矢野義幸 厩舎 牡3歳
    *成績 12戦7勝2着1回
    *重賞タイトル
     羽田盃(SI)(2018)
     京浜盃(SII)(2018)
     ニューイヤーカップ(SIII)(2018)
     サンライズカップ(H2)(2017)
     イノセントカップ(H3)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     北海道から南関東に移籍以降、ニューイヤーカップを皮切りに、京浜盃、羽田盃と、本橋孝太騎手とのコンビで重賞3連勝を決めているヤマノファイト。一戦ごとに自信が増してきたのか、風格も出てきたように思います。「この時期の3歳なのに無駄なことはしないし肝が据わっていますね。頭がとてもよくて地力も高い馬」と、ルースリンドなども手掛けてきた上永吉厩務員は言っています。

     前走の南関東クラシック1冠目・羽田盃は、逃げると思われていた馬が逃げられなかったために、ヤマノファイトがまさかの逃げる形。しかし、予想外なことが起きても人馬ともに動じることなく、堂々たる勝ちっぷりでした。京浜盃では行きたがったり、久しぶりの右回りで張る部分も見せたそうですが、賢く学習能力が高い馬なので、羽田盃ではそういう部分は見せなかったそう。

     「これほど賢い馬はなかなかいないと思います。馬が場所を覚えているので、3コーナー手前から自分で息を入れてフワーッとしていて、4コーナーからは行くぞって合図をしたら、グッとハミを取り出しました。来れば来るだけエンジンのかかっていく馬なので伸び続けてくれました。すごい馬です」と、コンビを組む本橋騎手も絶賛していました。

     そんなヤマノファイトが南関東クラシック2冠目・東京ダービーの舞台に上がります。今年の出走メンバーで、3冠馬の称号を獲得できるチャンスがあるのは、この馬1頭。

     ただ、陣営としては慎重な構えです。「順調にはきていましたが、最終追い切りを見ていると、内容は予定通りですが動き自体が物足りない感じで、それが時計にも表れているかもしれません。地力の高さでどのくらい頑張ってくれるかですね。どんな競馬でもできるし、距離2000mも問題ないと思っています。みんなダービーを目指してやってきたし、力は拮抗しているでしょうから、面白いレースになりそうですね。勝ちたいです」(矢野調教師)。

    ■リコーワルサー
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) 牡3歳
    *成績 6戦2勝2着1回
    *重賞タイトル
     鎌倉記念(SIII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     南関東生え抜き馬で、デビュー3戦目で初コースの鎌倉記念を制して、素質の高さを見せたリコーワルサー。負けたレースでも、2戦目のサプライズパワー・メモリアル(3着)、全日本2歳優駿(6着)とかなり大きな不利を受けてものなので、改めてレース動画を見て頂くと、この馬の強さを感じるでしょう。

     休み明け後の京浜盃は6着に敗れましたが、その後の羽田盃はヤマノファイトから0.2秒差の2着でした。荒山勝徳調教師は、東京ダービーがピークになるようにと、京浜盃の状態は6割、羽田盃が8割であったことは公言。今回は状態がさらに上向いているそう。この東京ダービーに向けて、ハードなトレーニングを積んできたそうです。

     「かなり攻めてきましたが、それでも無事に、馬もよく耐えてくれました。追い切った時に、トモの踏ん張りがよくなったことで力強さが出てきたし、ちょっと動かそうとしただけで反応もよくなって瞬発力もつきました。今までで一番の状態で出走できると思います」と、いつも調教をつけてお世話をする小川厩務員も笑顔(リンダリンダも担当)。

     今回は森騎手が負傷のために、今野忠成騎手との初コンビ。今野騎手も東京プリンセス賞馬グラヴィオーラの骨折が最終追い切り後に判明したことで、枠順発表直前に騎乗が決定。

     リコーワルサーのお母さんエトワールステージは荒山厩舎にいた時期もあり、今野騎手がコンビを組むことも多かった馬です。荒山調教師が初めて重賞を勝ったトゥインクルレディー賞のフサイチミライも、今野騎手が急遽騎乗したエピソードがあります。

     「馬自体はここまで順調にいくのかなというくらいに絶好調ですね。羽田盃の馬の状態とレース内容で、この東京ダービーはかなり手応えをつかめました。いつもスタートの遅い馬が前回はちゃんと出て、もまれない競馬ができたので、今回もできればスムーズな競馬は理想です。今野君に任せます。

     今年の日本ダービーで優勝した関係者の喜んでいる姿を見て、ダービーはすごいレースなんだなぁと改めて思いました。僕もダービーを勝ちたい気持ちが強くなりました」(荒山調教師)

     泣きのコメントでも有名な?!荒山調教師が今回は全く泣いてない(苦笑)。でも、リコーワルサーが鎌倉記念を勝った時も泣いていませんでした。さぁ、今回は?!

    ■ハセノパイロ
    *船橋 佐藤賢二 厩舎 牡3歳
    *成績 8戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     ハイセイコー記念(SII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年の全日本2歳優駿3着、ハイセイコー記念優勝などの活躍で、NARグランプリ2歳最優秀牡馬を受賞。しかし、ニューイヤーカップ(6着)では浦和コースが合わなかったりこれまでの見えない疲れなどでまさかの6着、休み明け後の京浜盃は5着と、精彩を欠く走りが続きました。

     しかし、休み明けを一度使った前走の羽田盃は久しぶりにこの馬らしさを見せての3着。矢野貴之騎手が初騎乗し、道中は4、5番手を進めていくと、勝負所で早々ステッキを入れられていましたが、これは3~4コーナーでササるところがあり、モタモタしていたそう。

     そこで、モジアナフレイバーにまくられて展開的に有利に進めることができませんでしたが、スピードにのってしまえば配無用で、モジアナフレイバーをキッチリと交わすと、さらに前にいたヤマノファイトとリコーワルサーにもグイグイ迫っていきました。

     「僕も初めて乗せて頂きましたが、勝負所でササる癖があるのも把握できました。もっとスムーズに運んで、早めに最後の脚を使えれば、逆転ももちろん可能です。去年の東京ダービーは佐藤賢二厩舎のヒガシウィルウィンに負けました(2着のキャプテンキングに騎乗)。今年はその賢二厩舎の馬に騎乗するというのも何かあるのかなぁと。去年がきっかけになって、ダービージョッキーになりたいという気持ちは強くなりました」(矢野騎手)。

     この東京ダービーに向けてハセノパイロもかなりハードな調教を順調に進めてきて、今までで一番のデキで挑めることは関わる人たちが言っています。

     「相変わらず普段から大人しくて、どこでスイッチが入るのかなと思うくらいに優等生ですが、走っている時は気持ちが前向きになっていて、パワーもついてきました。本当にタフで丈夫な馬です。後悔のない仕上げができたし、パイちゃん(ハセノパイロ)に感謝しています」(林厩務員、過去にはサルサクイーン担当)。

     東京ダービーはトーシンブリザードと昨年のヒガシウィルウィンで制している佐藤賢二調教師もかなり力が入ります。「強い馬はいますが、ダービーは何度でも勝ちたいレースで、負けたくないですね。距離が延びるのも問題はないし、力のある馬。NARグランプリ受賞馬としての意地を見せたいですし、一矢報いたいです。」(佐藤調教師)。

    ■モジアナフレイバー
    *大井 福永敏 厩舎(小林) 牡3歳
    *成績 5戦4勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年6月8日の新馬戦はゲートでひっくり返るアクシデントで競走除外。1年後の東京ダービーに向けて大切に育てていこうと、オーナー様のご理解もあり、その後は放牧休養に出してリセットし、約4か月後のレースで復帰すると、一気に4連勝。クラシックトライアルを優勝したことで、羽田盃と東京ダービーの優先出走権を獲得。

     前走の羽田盃はこの馬にとって重賞初舞台。これまで味わったことのない重賞の厳しいペースで、どんな走りができるか大きな注目を集めていましたが、キャリアの浅さを感じさせないようなスケールの大きな走りを見せました。

     繁田健一騎手が手綱を取り、道中は中団を追走。勝負所で一気に動いていき、最後の直線では前を行くヤマノファイトとリコーワルサーに並びかけて食い下がるも、最後は惜しくも4着でした。この厳しい競馬は今後に生きていくでしょう。

     「いきなりの強いメンバーでしたが、これで突き抜けたら化け物だなと思いながら乗りましたが、そう思わせるくらいに期待の大きい馬なので。最後に(ハセノパイロに)差されたのは強気の競馬をした分です。一番強い内容だったし、脚の使い所次第では、ダービーでも一発あると思います」(繁田騎手)。

     羽田盃直後はシュンとしていたそうですが、次の日からはケロッとしていて、この東京ダービーに向けてハードトレーニングを課してきたそうです。最終追い切りは猛時計を叩き出したそう。

     「気合をつけていかないと、余裕を持って遊びながら走る馬なので。持っているポテンシャルの高い馬なので、時計自体は特にビックリはしていません。息の入り具合も速かったですし、カイバ食いもいいので、疲れは見られませんね。気は入っていますが、普段はボーッとしていておっとりしています。ここを目標にやってきて、できることはやってきたので楽しみにしています」(荒美厩務員、ブリーズフレイバーやボクを担当)。

     「今回は大一番なので攻めた分、当日のゲートのテンションは鍵ですね。普通にゲートから出てさえくれれば、走る方では問題ないと思っています。距離延長はプラスなのかはわかりませんが、流れや脚の使い所ですね。新馬戦の時にあのようなアクシデントがあってから、ちょうど1年です。先代からお世話になってきたオーナーさんの馬で、ダービーという馬たちにとって一生に一度のレースに出走させて頂けるのも、幸せなことだと思っています」(福永敏調教師)。

     福永調教師は日本ダービーをワグネリアンで制した中央競馬の福永祐一騎手と親戚関係にあたります。

    ■プロミストリープ
    *大井 藤田輝信 厩舎 牝3歳
    *成績 4戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     桜花賞(SI)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央2勝の成績で、大井・藤田輝信厩舎の外厩馬となり、ミッドウェイファームでトレーニングを積んできました。

     初戦だった桜花賞は全てが初物尽くしの中で、度肝を向くパフォーマンスで完勝。浦和競馬場よりも大井競馬場の方がプラスと見られていた前走の東京プリンセス賞は、どんな勝ち方をするのだろうと大きな興味を注がれていました。しかし、結果から言えば、優勝したグラヴィオーラから7馬身離されての2着。

     普段から牝馬とは思えぬほどに堂々としている馬だそうですが、桜花賞とは打って変わり、パドックではテンションの高さが目に付き、本馬場入場時も予定外の先出し。

     「1周目のゴール板まではちょっとハミを噛んでいましたが、折り合いはついていた方だと思います。勝負所の手応えはありましたが、グラヴィオーラの手応えがあまりにもよくて太刀打ちできませんでした。直線も止まっていないので、距離に関しては受け止めるのは早いかなとも思っています」と御神本訓史騎手。

     この日はグラヴィオーラがあまりにも強すぎましたが、プロミストリープは初めての大井競馬場とナイターで、テンションが非常に高い中でも2着に走り切ました。桜花賞の勝ちっぷりがあまりにも鮮やかだったので高いものを求めてしまいますが、決して悲観する内容ではなかったでしょう。

     今回出走メンバーの中で唯一の牝馬。これまで東京ダービー制覇をした牝馬は5頭います。1955年ローヤルレーザー、1965年ヒガシユリ、1989年ロジータ、1991年アポロピンク、2011年クラーベセクレタ。プロミストリープも続くことができるでしょうか?!

     「プロミストリープ自身が前回はいろんなことを教えてくれたと思っています。パドックに出てからのテンションが高かったので、今回はメンコを着用したり、これまでの調整過程で対策を練ってきました。学習能力の高い馬なので、今回は2度目ですから応えてくれると思っています。力は十分にある馬なので、勝ちたいです」(藤田調教師)。

    *東京ダービーの情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第64回 東京ダービー(SI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ヤマノファイト
    船橋6/2右良  1200m-83.3秒 1000m-65.8秒 800m-50.3秒 600m-37.0秒 強めに
    ■リコーワルサー
    小林6/1稍 1000m-67.0秒 800m-50.4秒 600m-36.8秒 馬なり
    ■ハセノパイロ
    船橋6/2右良 1200m-79.0秒 1000m-62.5秒 800m-49.0秒 600m-36.2秒 一杯追
    ■モジアナフレイバー
    小林6/1稍 1200m-75.3秒 1000m-59.0秒 800m-46.6秒 600m-35.2秒 一杯追
    ■プロミストリープ
    牧場6/2坂路 600m-38.1秒 200m-12.2秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第64回 東京ダービー(SI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     ダービーと冠したレースは、関係者にとってもファンにとっても特別なレースです。6月6日に大井競馬場で実施された南関東クラシック2冠目の東京ダービーは、今年で64回目を迎えました。

     雨が降り続けていた大井競馬場のパドックには、記念すべき舞台に上がる16頭が登場。関係者の作品とも言うべくサラブレッドたちの姿は、どの馬も立派で美しく、この大一番に向けてすばらしい仕上がりを披露していました。

     レースは手に汗握る展開となり、最後は4頭がクビ、クビ、ハナ差でほぼ横一直線。矢野貴之騎手がエスコートをした2番人気ハセノパイロ(船橋・佐藤賢二厩舎)が、僅かに先頭でゴール板を駆け抜けました。矢野騎手にとっても念願のダービージョッキーに!!

     レースはナムラバンザイがハナを切り、前半600m通過が36秒8-1000mは62秒7。ユニバーサルライトやクリスタルシルバー、ワグナーコーヴ、リコーワルサーが先行していき、ハセノパイロは5番手外。人気上位馬では、中団にヤマノファイトやクロスケ、後方にはモジアナフレイバーが進めていきました。

     「ハセノパイロは余計なことに力を使わないことが最大の武器ですね。羽田盃(3着)よりも馬は格段に集中力が増していて、返し馬の段階から状態のよさがビンビン伝わっていたので、いい勝負ができると思いました。前回は1、2コーナーで位置を取る時に少し行きたがったところもあったので、今回は外枠から馬なりであの位置になりました」(矢野騎手)。

     矢野騎手がハセノパイロに騎乗するのは今回が2度目。前回は勝負所でササる癖を出してモタモタしていたところで、人気馬にまくられて展開的に有利に運べなかったこともあり、前回の反省点も踏まえて対応できたという矢野騎手。

     ハセノパイロは3~4コーナーで4頭分の外を回りながらも、前回とは打って変わって、抜群の手応えで進出していきました。「勝負所の手応えが凄すぎて、『勝てる!』と思ったら頭が真っ白になってしまって、明らかに(仕掛けが)速かったですが動いてしまいました。これがダービーなんですね(苦笑)。最後は勝負根性を出して頑張ってくれたので、完全に馬のお蔭です」。

     最後はハセノパイロを挟んで、内にクロスケとクリスタルシルバー、外にはモジアナフレイバーと、4頭が横一直線に並ぶ大激戦になりました。「外からモジアナが来ているのはわかったので相手はモジアナだなと思って寄せていったら、勝負根性を出して伸びてくれました。ただ、内にいた馬たちも考えていた以上に粘っていました。ゴールした瞬間に勝ったと思ってガッツポーズはしたものの、しばらく流している時に、『あれ?本当に勝っているよね?』って。普通ならわかりますが冷静じゃなかったです(苦笑)」。

     1着はハセノパイロ、2着がクリスタルシルバー、3着はクロスケ、4着がモジアナフレイバー、5着はリコーワルサーと、南関東デビュー馬が掲示板を独占。勝ちタイムは2000m2分6秒7(重)。

     ハセノパイロは長谷川文夫様の所有馬で、父がパイロ、母はタイキアヴェニュー、母父がティンバーカントリーの3歳牡馬。生産は広中稔様の牧場(日高町)です。全日本2歳優駿は3着、ハイセイコー記念を優勝し、昨年のNARグランプリ2歳最優秀牡馬を受賞。

     今年に入り結果の出ないレースもありましたが、リフレッシュ放牧などを挟んで立て直し、この短期間で再び復活させたところも、さすがは大一番に強い佐藤賢二厩舎です。東京ダービーはトーシンブリザード、昨年のヒガシウィルウィンに続き、3勝目。先輩たちもこの後のジャパンダートダービーを制しているように、ハセノパイロも続いて欲しいと思います。

     「NARグランプリ受賞馬の存在感を示すことできてよかったです。次のジャパンダートダービーはさらに強い馬たちが来るでしょうから、また鍛えて臨みたいです」(佐藤調教師)。

     ハセノパイロ、関わってきた全ての皆さん、本当におめでとうございました!


     一方、地方通算最多勝記録7151勝に刻々と迫っている大井の帝王・的場文男騎手。これほど勝利を挙げている的場騎手が東京ダービー未勝利であることは、大井競馬場の七不思議のひとつにも挙げられています(あとの六つはわかりませんが、苦笑)。

     東京ダービーは37度目の騎乗。マルヨシロワインの仔クリスタルシルバーと初コンビを組み、東京ダービー10回目の2着でした「人気薄だったけど頑張ってくれたと思いますよ。この馬走る!黒潮盃行きましょう!」と、レース後に馬から下りるなり、すでに次の戦いに向けていた的場騎手。


     今年も東京ダービーが終わりました。また来年の東京ダービー馬探しが始まります!!第65代目となる東京ダービー馬は、今、どこで、何をしているのでしょうか……。


    <他陣営のコメント>

    3着 クロスケ 笹川翼騎手
    「競馬が上手な馬ですね。道中の折り合いもついて、3~4コーナーの手応えもよすぎました。ただ、直線で前がつまってブレーキがかかってしまったのが痛かったです。あそこからまた伸びているし、もっとスムーズに走れていれば勝っていたのではないかなと。距離も持ちそうですよね。本当に惜しかったです」

    4着 モジアナフレイバー 繁田健一騎手
    「スタートは馬に力が入っていて少し遅れましたが、道中は予定通りの位置取りでした。折り合いもうまくついていたし、距離も大丈夫ですね。残り100mから50mくらいの間で止まってしまったので、結果論としてはもう少し我慢していればと思うのですが、38秒0の一番の上がりを使って頑張ってくれました。勝ったと思いましたが……惜しかったです」

    5着 リコーワルサー 今野忠成騎手
    「砂をかぶるとハミを取らずに進んでいかないと聞いていたのですが、ポジション取りで接触されたことで、気の小さい馬なのでスイッチが入ってしまったようで、ずっと手応えがよくなっていました。それでも、3~4コーナーでは勝てると思ったくらいのいい手応えだったのですが、最後の直線でまた狭くなった時にひるんでしまい、自分でブレーキをかけてしまった感じです」

    6着 プロミストリープ 御神本訓史騎手
    「前走に比べたらテンションはマシでした。末脚を生かそうと思ってあの位置取りから行きましたが、今回は弾けきれなかったですね。よく考えれば距離もあるかもしれません。マイルくらいの方がよさそうです」

    7着 ヤマノファイト 本橋孝太騎手(1番人気)
    「(他馬がポジション取りのところで入ってきたことで)馬が怒って行きたがってしまい、それで終わってしまいました。今日は1度もファイトを楽に走らせていないですし、とても悔いの残るレースになりました」

    8着 トーセンブル 本田正重騎手
    「この馬の終いを生かそうと思って乗りました。3コーナーで狭くなるところはありましたが、その後から仕掛けて、最後も脚は使ってくれたと思います」

    9着 キングオブポップ
    吉原寛人騎手が疾病のために石﨑駿騎手に騎乗変更。後方から進めて最後に脚を生かす競馬でした。

    10着 フレアリングダイヤ 真島大輔騎手
    「道中ガツンとハミを噛むところがなくてフワフワしていました。3~4コーナーで内に入れて、一瞬おっ!という手応えでしたが、またハミが抜けてしまいました」

    11着 ナムラバンザイ 張田昂騎手
    「思っていたよりもスタートは出るようになっていて、ひとつずつ課題をクリアしてくれています。しっかり逃げることができたし、ペースは楽でしたが、3コーナーあたりで手応えが怪しくなりました。自分の競馬はできたと思いますし、もっと短い距離の方が力は発揮してくれそうですね。(ダービー初騎乗でしたが)3歳の重賞自体もあまり経験がないのですが、ダービーに乗せて頂けてとてもうれしかったです」

    12着 マースインディ 達城龍次騎手
    「道中の手応えはもう少しで、4コーナーで(他馬に)ぶつけられた際に馬が気にしてやめてしまいました。距離はもっと短い方が持ち味は発揮できそうです」

    13着 ユニバーサルライト 瀧川寿希也騎手
    「裕太先生からは『積極的に楽しんで乗ってきて』と言って頂きました。ダービーなので積極的に2番手を取りにいって、力は出せたと思います。右回りは慣れていませんがセンスのある馬です。一生懸命に走る馬なので、4コーナーを回るところではアップアップしていた感じなので、距離はもう少し短いほうがよさそうですね」

    14着 ワグナーコーヴ 岡林光浩調教師
    「正直敗因はわかりません。もっと走れる馬だと思うので……。この後は放牧休養に出してもう一度立て直します」

    15着 スプリングマン 左海誠二騎手
    「ポジション取りのところで(他馬に)入られたことで、リズムを崩してしまったのが残念でした。距離はもっと短い方がよさそうですね」

    16着 ドンビー 和田譲治騎手
    「今回は真っすぐに走っていましたが、3コーナーで手応えが怪しくなりました。もっと短い距離の方が持ち味を発揮してくれそうですね。体重は20キロ減っていましたが、乗っている感じでは関係ありませんでした」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    64 平30 ハセノパイロ 牡3 矢野貴之
    63 29 ヒガシウィルウィン 牡3 森 泰斗
    62 28 バルダッサーレ 牡3 吉原 寛人
    61 27 ラッキープリンス 牡3 今野 忠成
    60 26 ハッピースプリント 牡3 吉原 寛人
    59 25 インサイドザパーク 牡3 左海 誠二
    58 24 プレティオラス 牡3 本橋 孝太
    57 23 クラーベセクレタ 牝3 戸崎 圭太
    56 22 マカニビスティー 牡3 戸崎 圭太
    55 21 サイレントスタメン 牡3 金子 正彦
    54 20 ドリームスカイ 牡3 戸崎 圭太
    53 19 アンパサンド 牡3 戸崎 圭太
    52 18 ビービートルネード 牡3 町田 直希
    51 17 シーチャリオット 牡3 内田 博幸
    50 16 アジュディミツオー 牡3 佐藤 隆
    49 15 ナイキアディライト 牡3 石崎 隆之
    48 14 キングセイバー 牡3 酒井  忍
    47 13 トーシンブリザード 牡3 石崎 隆之
    46 12 ヒノデラスタ 牡3 桑島 孝春
    45 11 オリオンザサンクス 牡3 早田 秀治
    44 10 アトミックサンダー 牡3 張田  京
    43 9 サプライズパワー 牡3 石崎 隆之
    42 8 セントリック 牡3 宮浦 正行
    41 7 ジョージタイセイ 牡3 藤村 和生
    40 6 カネショウゴールド 牡3 一ノ瀬 亨
    39 5 プレザント 牡3 桑島 孝春
    38 4 グレイドショウリ 牡3 石崎 隆之
    37 3 アポロピンク 牝3 鈴木 啓之
    36 2 アウトランセイコー 牡3 高橋 三郎
    35 平元 ロジータ 牝3 野崎 武司
    34 昭和63 ウインドミル 牡3 石川 綱夫
    33 62 ジヨージレツクス 牡3 本間  茂
    32 61 ハナキオー 牡3 堀 千亜樹
    31 60 ミルコウジ 牡3 本間  茂
    30 59 キングハイセイコー 牡3 高橋 三郎
    29 58 サンオーイ 牡3 赤間 清松
    28 57 ダイシンシラユキ 牡3 田部 和廣
    27 56 スズユウ 牡3 武井 秀治
    26 55 タカフジミノル 牡3 赤間 清松
    25 54 ソウルシヤトー 牡3 赤間 清松
    24 53 ハツシバオー 牡3 宮浦 正行
    23 52 サンコーモンド 牡3 赤間 清松
    22 51 ロツキライン 牡3 角田 次男
    21 50 ゴールデンリボー 牡3 赤間 清松
    20 49 ダイエイモンド 牡3 高橋 三郎
    19 48 ヨウコウザン 牡3 岡部 正道
    18 47 トキワタイヨウ 牡3 赤間 清松
    17 46 フジプリンス 牡3 溝辺  正
    16 45 リユウトキツ 牡3 佐々木吉郷
    15 44 ヤマノタイヨウ 牡3 田畑 勝男
    14 43 ウエルスダイバー 牡3 高橋 三郎
    13 42 ヒカルタカイ 牡3 竹山  隆
    12 41 シンオウ 牡3 高柳 恒男
    11 40 ヒガシユリ 牝3 佐々木竹見
    10 39 パールマウンテン 牡3 大和田五郎
    9 38 シンニツケイ 牡3 小筆  昌
    8 37 セルコール 牡3 須田  茂
    7 36 ヤグチホープ 牡3 矢熊  壽
    6 35 ダイサンコトブキ 牡3 矢熊  壽
    5 34 セイシヨウ 牡3 吉田  実
    4 33 ダイニコトブキ 牡3 須田  茂
    3 32 ハツユキ 牡3 永井  繁
    2 31 オートネ 牡3 栗田  武
    1 30 ローヤルレザー 牝3 朝倉文四郎