重賞レース

第1回 雲取賞(SIII)

  • 2019年2月7日(木)
  • 16:10発走
第1回優勝馬:ヒカリオーソ号

2018年まで準重賞として実施していましたが、2019年から重賞として実施します。TCKで行う年明け最初の3歳重賞となり、雲取賞→京浜盃→南関東3歳クラシック三冠レースと続く路線を確立しました。
<上位3頭に京浜盃、上位2頭に羽田盃の優先出走権を付与>

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    <第1回 雲取賞(SIII)>

    ウィンターフェル
    前走の全日本2歳優駿は、森泰斗騎手とのコンビで後方から押し上げ、地方最先着の5着でした。今回から船橋の川島正一厩舎に移籍。出走してきた際は最有力。

    ラプラス
    ここまで4戦3勝2着1回と連対率パーフェクト。前走のハイセイコー記念はスタートを決めて中団前の外目から、直線で差し切りました。今回は放牧休養明け。

    ヒカリオーソ
    南関東にゆかり深い血統の持ち主。平和賞の勝ち馬で、常に堅実な走りで力のあるところを示しています。大井は初コース。出走してきた際は楽しみな1頭です。

    ミューチャリー
    デビューから図抜けた走りで3連勝を飾り、鎌倉記念は最後に弾け飛んでくる姿は圧巻でした。前走の全日本2歳優駿は勝ち馬から1秒1差の6着。大井は初出走。

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    <第1回 雲取賞(SIII)>

    (2月5日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■ラプラス
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡3歳
    *成績 4戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     ハイセイコー記念(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ここまで4戦3勝2着1回とほぼパーフェクトの成績を残してきたラプラス。デビュー戦と2戦目は、ゲートで遅れながらも能力の違いで優勝。3戦目の準重賞ゴールドジュニアーも、ゲートで遅れて、道中も進んでいかずに1頭ポツンと最後方から、それでも最後は豪快に伸びてきて2着。子供っぽさはありますが、スケールの大きさを感じさせる内容でした。

     4戦目となった前走のハイセイコー記念は、過去3戦とも出遅れていたゲートを決め、中団前から、最後の直線ではライバルたちを差し切っての優勝。鍵を握っていたスタートも、ゲート練習をしっかり行って臨み、スタートでは尾っぽを持ち、クロス鼻革も装着。

     「気性の成長もあるでしょうし、クロス鼻革も効いたように思います。前は追い切りで物見をしたり、行き出す前にフワッとしたり止まろうとするところもありましたが、そういう部分がなくなりました。行儀がよくなりましたね」と、矢野貴之騎手は振り返っていました。

     あれから3か月が経ち、放牧先では緩めずに乗り込んできて、大井競馬場へ帰厩後も順調に進めてきたそうです。「前よりも集中して走れるようになってきて、子供っぽさは抜けてきたように思います。間隔は空きましたが、動きや息遣いはいいですね」(小泉厩務員)。

     どんな条件でもどんな状況になっても、高いレベルで安定した結果は残してきただけに、メンバーがグッと上がるこの舞台で、どんな走りをするのか非常に楽しみです。持ち前の末脚を生かす競馬にはなるでしょうが、前走初めてスタートを決めたとは言え、今回もスタートは鍵を握るでしょう。

     「練習ではしっかり出ていますが、本番でも決められるように最後までしっかりやりたいです。距離と直線が長くなることは、この馬にとっては今までよりも競馬がしやすいと思います。あとは57キロを背負うことになるので、それでどんな走りを見せてくれるかですね」(藤田輝信調教師)。

    ■ミューチャリー
    *船橋 矢野義幸 厩舎 牡3歳
    *成績 4戦3勝2着0回
    *重賞タイトル
     鎌倉記念(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     3戦3勝無敗の重賞ウイナー誕生として、大きな話題を集めたミューチャリー。その重賞勝ちを収めた鎌倉記念は、道中3番手内目から、最後の直線で弾け飛んでくる脚にはしびれました。2着馬に6馬身差もつける圧勝。勝ちタイムの1500m1分33秒6(良)は、14年ぶりにレースレコードを更新。

     南関の夢をのせて参戦した前走の全日本2歳優駿は、スタートでダッシュつかずに道中後方3番手から追走し、向正面から徐々に進出して最後は伸びてきましたが、勝ち馬から1秒1差の6着。

     「(スタートで)内によれる、その後ももう一度、内によれて、あれだけダッシュがつかないと……。あの時点で位置取りは絶望的だったし、馬も嫌気を差して全然ダメかなとも思ったんですが、最後は力できてくれました」(御神本訓史騎手)。

     残念な結果に終わりましたが、それでも大きく負けていないのは、この馬の能力の高さでしょう。3戦の勝ちっぷりは圧巻で、南関同士のここは改めてこの馬の強さを見せて欲しいところ。長くいい脚を使え、かと言って、弾けるくらいの瞬発力のある脚もあり、脚色に幅があるところは最大の魅力。

     「前走はダッシュがつかずに中途半端な競馬になってしまいましたが、それなりには走ってくれていると思います。順調に調整はできていて、最終追い切りの動きも時計も予定通りです。前は歯替わりの時期で、カイバを食べても身にならないところもありましたが、今はよくなっているし、前回よりも雰囲気はいいと思っています」(森久保調教師補佐)。

     大井競馬場初参戦。普段から内馬場調整で、右回りも走ってはいるそうですが、調教とレースは違うだけに、本番でどんな走りを見せるでしょうか。気持ちを高めるところもあるだけに、初コースや初右回り、初距離、57キロの斤量と、初物尽くしの中での走りが興味深いです。

     なお、ミューチャリーは芦毛表記ですが、黒々しているルックスも注目です!

    ■ヒカリオーソ
    *川崎 岩本洋 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦2勝2着2回
    *重賞タイトル
     平和賞(SIII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     フリオーソを父に持つヒカリオーソは、平和賞の勝ち馬。6番人気ながらも逃げ切り勝ちを収めて、初タイトルを手にしました。

     その後の全日本2歳優駿は7着、ニューイヤーカップは2着。全日本2歳優駿は1コーナーでごちゃつく不利があり、ニューイヤーカップもポジション取りで前をカットされるなど、スムーズな競馬はできていません。「1、2コーナーでかなりガチャガチャしてしまい、(不利がなければ)掲示板はあったと思います」(全日本2歳優駿後の瀧川寿希也騎手)。

     その分、逃げにこだわらない競馬が続いていますが、崩れずに走れているのは好材料。脚質に幅が出てきたのは、今後に向けてもプラスでしょう。自分の形にならなくても、ちゃんと最後まで走り切っているのは、強い馬だからこそ、だと思います。

     それ以降は雲取賞に向けて調整を続けてきて、ここまでもずっとコンスタントに走ってきましたが、「トモも良化してきているし、状態はいいですね。使っても痛まないタイプで、馬は元気ですよ」(小林厩務員)。あとは、初コースや初右回り、初距離、57キロの斤量などを、どうクリアできるかということになるでしょう。

     「小向の馬場は1日置きに右回りの調教も行っているので、周りはスムーズな感じです。気がいいところがあって、浦和のレースではスタートから出して行った分ハミを取り過ぎたところもあるので、今回は距離が延びるので、余計に道中はいい意味で遊びがあれば」(岩本洋調教師)。

     遡ると、ヒカリオーソが優勝した平和賞は、父のフリオーソが現役時代に惜しくも2着に涙を呑んだレースで、愛息が父の無念を晴らしました。これも血のロマンで、競馬の醍醐味です。フリオーソの愛息が、これから続いていくクラシック戦線において、どんなドラマを魅せてくれるでしょうか。

    ■カジノフォンテン
    *船橋 山下貴之 厩舎 牡3歳
    *成績 4戦2勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     2000年から2006年までの地方競馬を彩った女傑ジーナフォンテンを覚えているでしょうか?

     ジーナフォンテンは上山競馬場の最強牝馬として南関東へ移籍すると、エンプレス杯やスパーキングレディーカップなど、通算重賞6勝。現役引退後は、繁殖生活に入り、これまで5頭の産駒を競馬場に送り出しましたが、ここにきて、カジノフォンテンという大きな夢を抱かせてくれる息子が登場!!!

     デビュー戦は能力の違いで2着馬に7馬身差で完勝。その後は、1戦のキャリアで平和賞にぶつけてきたのは、陣営の期待の表れでもあるでしょう。しかし、その2戦目(7着)も、3戦目(1着)も、4戦目(4着)も、スムーズな走りができていないだけに、レース後の陣営の悔しそうな表情が印象的でした……。

     この馬はフリオーソを手掛けた波多野厩務員が担当していて、その素質の高さに惚れ込んでいます。

     「繊細で牝馬のようなところはありますが、追い切りの後も息は乱れないし、心肺機能はいいですね。大物感はありますよ。今までで雰囲気は一番いいし、これまでまともに走っていないので、スムーズに自分の走りができた時に、このメンバーとどれだけやれるのか知りたいです」(波多野厩務員)。

     今回からコンビを組む本田正重騎手が、この中間は調教に乗ってきたそうです。「神経質なところはありますが、速いところを走らせると、跳びがとても力強くて、走っているフォームが僕は好きですね。追い切りもいい動きだったし、ここでどのくらい走れるのか、この馬の力を出せるように頑張ります」(本田騎手)。

    *雲取賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第1回 雲取賞(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ラプラス
    大井2/3良 1000m-67.1秒 800m-53.0秒 600m-39.0秒 馬なり
    ■ミューチャリー
    船橋2/2右良 1000m-64.2秒 800m-49.8秒 600m-37.2秒 一杯追
    ■ヒカリオーソ
    川崎2/2稍 1000m-67.8秒 800m-50.1秒 600m-36.2秒 馬なり
    ■カジノフォンテン
    船橋2/3良 1000m-64.9秒 800m-50.3秒 600m-38.1秒 強めに
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第1回 雲取賞(SIII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     3歳馬による雲取賞は準重賞として定着していましたが、今年から重賞として生まれ変わり、例年以上の豪華メンバーが集まりました。1着馬と2着馬には羽田盃、1着馬から3着馬までには京浜盃の優先出走権が与えられるトライアルレース。

     鎌倉記念の勝ち馬ミューチャリー、ハイセイコー記念優勝馬ラプラス、平和賞馬ヒカリオーソといった、南関2歳重賞ウイナーたちが集結。57キロを背負いながらも、ここで直接対決が見られることは、クラシックを前にして贅沢な時間になりました。

     その戦いを制したのは、瀧川寿希也騎手騎乗の4番人気ヒカリオーソ(川崎・岩本洋厩舎)。父は地方競馬の至宝フリオーソ、母は大井からデビューしたヒカリヴィグラス、母の叔母には笠松の女傑ライデンリーダーいる地方にゆかり深い血統。

     レースは父譲りの逃げる形になりました。好スタートを切ってからのダッシュ力もすばらしく、スーッと先頭へ。

     「今後のことも考えて控えた競馬をさせる予定でしたが、スタートとダッシュがよかったので、これで行かないのも消極的になってしまうのでハナに行きました。でも、ずっと外にもたれっぱなしだったので、逃げたのは失敗だったかなぁとも思いましたが、結果論としては道中の遊びができたのはよかったのかもしれません」(瀧川騎手)。

     重賞ウイナーたちの位置取りを振り返ると、逃げるヒカリオーソを見る形で、5番手付近にラプラス、中団にはミューチャリーが追走。前日の金盃と同じ、馬場は重。先頭から後方まで馬群が固まる展開でした。

     ヒカリオーソは3~4コーナーでも抜群の手応えで、最後の直線に入ると、3番手につけていた女傑ジーナフォンテンの愛息カジノフォンテンが並びかけようとしましたが、また突き放しました。

     「ずっともたれっぱなしで、3~4コーナーでは止まりそうな感じになったので、肩に合図を出したらすごい手応えでした。賢い馬なので、これまではずっと左回りで走っていたので、今日も左回りの感覚だったのかもしれませんね。1回使ったので変わりそうですが。最後も遊びっぱなしで、余裕のある勝ち方でした」。

     2着には、中団から最後の直線で大外を回り、38秒3の最速の末脚を繰り出したミューチャリー。ヒカリオーソとの差は2馬身差。3着にはカジノフォンテン。ラプラスは5着。勝ちタイムは1800m1分55秒8(良)。

     ヒカリオーソは平和賞での逃げるイメージが強いですが、ここ数戦は控えて砂をかぶる競馬もしてきて、それでも最後までちゃんと走り切る脚質の幅は見せてきました。スタートもよく、そこからのダッシュ力もすばらしく、だからこそ、好位置をキープでき、レースセンスがあります。そして、ここまでの成長力には目を見張るものがあります。

     「飛節に甘い所があったので、そこを治療しながらやっているんですが、良化してきたことで腰もしっかりしてきていると思います。まだ良くなっているところですし、体ももっとボリュームアップさせたいです」(岩本調教師)。

     この後のヒカリオーソは京浜盃をスキップ予定で、羽田盃、最大目標でもある東京ダービーへと進んでいくプランがあるそうです。

     「びびるくらいの成長力ですね(苦笑)。ここまで変わってくれると乗っている方も楽しいですし、今日の勝ち方はダービーに向けて夢が広がりました。距離が延びても大丈夫です」(瀧川騎手)。

     ヒカリオーソの父フリオーソはクラシック3冠のうちにジャパンダートダービーを制しましたが、羽田盃と東京ダービーは惜しくも勝つことができませんでした。愛息がこれから始まる南関クラシックロードにおいてどんな活躍を見せるのか。これも血のロマン、競馬の醍醐味です。



    <他陣営のコメント>

    2着 ミューチャリー 御神本訓史騎手(1番人気)
    「ペースが遅すぎました。最後はつかまえられるかなと思いましたが、向こうもまた伸びました。右回りも関係ないし、心配していた距離も持つから大丈夫ですね。今後に向けても収穫はありました」

    3着 カジノフォンテン 本田正重騎手
    「スタートもよくて楽にあの位置につけられて、道中も折り合いも問題はありませんでした。(ヒカリオーソの)手応えがもう少しのような感じだったので、最後はお~!勝っちゃう!と思ったくらいで、見せ場は十分だったと思います」

    4着 アギト 左海誠二騎手
    「いい走りだったと思います。馬場が前残りの中でも脚を使ってちゃんと走れていました。久しぶりに乗せて頂きましたが、馬はよくなっているし、クラシックが楽しみになってきました。直線が長いコースは合うし、距離は延びれば延びるほどいいです」

    5着 ラプラス 矢野貴之騎手
    「今日は休み明けの分もあるかもしれませんが、スタートといい、道中の運びといい、成長を感じました。斤量も背負っていたし、前残りの馬場の中でもよく辛抱して走ってくれたので、悲観する内容ではないと思います。1800m戦や2000m戦はいいですね」

    6着 ハルディネロ 真島大輔騎手
    「前より成長はしていますが、もっとやれていい馬ですよ。これからの成長が楽しみです」

    7着 マムティキング 柏木健宏騎手
    「道中はうまくさばけましたが、最後はちょっと力の差が出たのかなと」

    8着 マイコート 石崎駿騎手
    「直線を向いたら時にもうひと伸びするかなと思いましたが、その時に(相手から)ステッキを叩かれて(ステッキが)飛んでいってしまいました。馬の気も抜けてしまって残念です。緩い所があるのでエンジンがかかりきれていませんが、しっかりしてきたら楽しみです」

    9着 レオズハウライト 笹川翼騎手
    「競馬に慣れていないところがあって、引っかかるようなところもありました。体つきはまだ子供ですが、いいものを持っているし、反応もいいです。競馬は覚えているところなので、これから順調にいけばもっと対応できると思います」

    10着 サーブルグロワール 張田昂騎手
    「前に1度乗せて頂いた時よりも馬はよくなっていました。距離はもっと短い方がよさそうです」

    11着 グラビテーション 今野忠成騎手
    「1コーナーで狭くなってから気にするようになって、自分でブレーキをかけてしまって、追い出してからも怖がって行かない感じです。もうちょっと反応してくれると思ったのですが……。がっちりもまれるのも初めてだったので、いい勉強にはなったと思います。もっと走れる馬です」

    12着 アイオロス 佐々木仁調教師
    「前向きに考えれば、行かなくても競馬ができることがわかりました。ズブイタイプなのか、レース後も全く疲れていません」

    13着 メイレー 吉原寛人騎手
    「砂をかぶりたくなかったので本当は行きたかったのですが、(ヒカリオーソが)あまりにも速すぎました。ハミ受けの関係で、1歩目が左に出てしまったので、それを修正している間に行かれてしまい、自分の競馬ができませんでした。馬っぷりもいいし、砂をかぶらずにスムーズな競馬ができればもっとやれます」

    14着 アトムズスピアー 森泰斗騎手
    「スタートでトモを滑らせて、ダッシュがつかなく、初めて砂をかぶりました。幼さが出たというか、力を出せずに終わっちゃった感じです。いい経験になったし、ポテンシャルでは十分にやれると思いますよ」

    15着 サージュ 酒井忍騎手
    「外々になって内に入る隙もありませんでした。外枠だった分、外を回りすぎました」

    16着 オーシャンブラック 西啓太騎手
    「大型馬の休み明けなので、使いながらよくなっていくと思います。行きっぷりももう少しで、自分の形にならなかったので、これからです」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    1 平31 ヒカリオーソ 牡3 瀧川 寿希也