重賞レース

第10回 フジノウェーブ記念(SIII)

  • 2019年3月6日(水)
  • 16:10発走
第10回優勝馬:キャプテンキング号

TCK唯一の1,400m重賞です。2013年までは東京スプリング盃の名称で実施しましたが、2014年からは同レースを4連覇したフジノウェーブの功績をたたえ、レース名を改称しました。翌月の交流競走・東京スプリントに向け、短距離路線を歩む有力馬たちが数多く出走します。
<優勝馬に東京スプリントの優先出走権を付与>

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    <第10回 フジノウェーブ記念(SIII)>

    キャプテンキング
    前走のゴールドカップは羽田盃以来となる復活の勝利を挙げました。能力の高さで長めの距離もこなしてきましたが、前走の勝ちっぷりからも、ここは最有力候補。

    クリスタルシルバー
    昨年のNARグランプリ3歳最優秀牡馬&TCK大賞を受賞。マイルグランプリは一線級の古馬たちを一蹴し、念願の重賞ウイナーの仲間入り。フジノウェーブと同じ芦毛。

    ノブワイルド
    オーバルスプリントは逃げ切り勝ちを収めました。JBCスプリント(16着)以来の実戦ですが、ダートグレード競走の勝ち馬としてスピードあふれる走りに期待!

    クルセイズスピリツ
    昨年の優駿スプリントの勝ち馬。それ以降は勝ち星から遠ざかっていますが、落鉄や不利がありながらも堅実に走り続けているのは、この馬の強さでもあるでしょう。

    リコーワルサー
    鎌倉記念の勝ち馬。それ以降は能力の高さで距離もこなしてきましたが、前走の大井1400mで実施されたアメジスト賞を圧勝し、適性の高さを見せたばかり。

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    <第10回 フジノウェーブ記念(SIII)>

    (3月4日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■キャプテンキング
    *大井 的場直之 厩舎 牡5歳
    *成績 16戦4勝2着3回
    *重賞タイトル
     ゴールドカップ(SII)(2018)
     羽田盃(SI)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     前走のゴールドカップは坂井英光騎手とのコンビ。ポジションは2番手から、3~4コーナーでは持ったままで先頭に並びかえていくと、最後の直線で一気に後続を突き放していく圧巻の内容で優勝しました。勝ちタイムは1400m1分25秒7(良)。

     「抜群の仕上がりでしたね。道中も余裕があってすごく手応えもよかったので、4コーナー過ぎでは負けることはないだろうなと思ったくらいです」(坂井騎手)。

     キャプテンキングは2017年の羽田盃馬。のちのNARグランプリ年度代表馬などに輝くヒガシウィルウィンを破ってのもの。その後はクラシックの疲れや骨りゅうなどもあり放牧休養を挟みながらで、勝ち星からは遠ざかっていました。クラシック戦線は能力の高さで距離もこなしてきましたが、本来は1400mから1600mまでがベスト。

     それを示したのが、去年のフジノウェーブ記念で、最後の直線では前が壁になる大きな不利がありながらも4着でした。(2着のオメガヴェンデッタとは0.4秒差)。

     あれから1年が経ち、馬の充実度が違うことは、いつも調教に乗る的場直之調教師も担当の橋本厩務員も口にしています。「パワーアップしたことで迫力が出てきて完成されつつありますね」(的場調教師)。「斤量慣れもしてきたと思います。筋肉もついてきましたが、関節の可動域も広くて柔らかいです」(橋本厩務員)。

     枠は外目(7枠14番)には入ったとは言え、適距離での競馬とレースセンスの高さを武器に、前走の勝ちっぷりからもここはどんな強さを見せるのか楽しみです。

     的場調教師と坂井騎手は教養センター同期コンビ!

    ■クリスタルシルバー
    *大井 村上頼章 厩舎 牡4歳
    *成績 12戦3勝2着2回
    *重賞タイトル
     マイルグランプリ(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     NARグランプリ2018の3歳最優秀牡馬を受賞したクリスタルシルバー。マイルグランプリは豪華な古馬勢を打ち破って念願のタイトルを獲得し、東京ダービーは優勝したハセノパイロとタイム差なしの2着。ジャパンダートダービーは地方最先着の4着。

     前走の勝島王冠は、この馬にとってはスタートが今一つだったそう。そのまま外を回ってリズムに乗りきれずという不完全燃焼。レース後も疲れはなかったそうですが、フジノウェーブ記念まで間隔が空くことからリフレッシュ放牧へ。

     「追い切りは何本もやっているし、乗り込み量は足りています。休み明けも走る馬ですからね。4、5番手につけていって、すんなりした競馬ができれば」(村上頼章調教師)。

     このフジノウェーブ記念はかつて東京スプリング盃と呼ばれ、希代な名馬フジノウェーブが4連覇をしたことでも知られています。フジノウェーブが大井競馬場の砂上を駆けていた姿は、何年経っても色あせることはありません。

     ここ2年は奇しくもフジノウェーブと同じ芦毛馬が優勝しています(ケイアイレオーネ、リッカルド)。

     フジノウェーブの調教パートナーとしても知られた矢野貴之騎手は、昨年もこのレースをリッカルドで制しましたが、今年は同じ芦毛馬のクリスタルシルバーと参戦。

     「1年前に乗せて頂いた時よりも、追い切りで乗った感じは逞しくなって重心が低くなったように思います。1400m戦は独特ですが、うまく流れてくれれば。このレース名で、同じ芦毛で、やっぱり力は入ります」(矢野騎手)。

    ■リコーワルサー
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) 牡4歳
    *成績 11戦3勝2着2回
    *重賞タイトル
     鎌倉記念(SIII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     4歳世代の活躍が目立ちますが、リコーワルサーもその1頭。2歳時は鎌倉記念を勝ち、クラシック戦線も走ってきましたが、本来はもっと短い方が持ち味は発揮できると見られてきました。

     それを決定づけたのが、前走のアメジスト賞で、新馬戦優勝以来の1400m戦。主戦の真島大輔騎手を背に、7枠14番の外目の枠ながらも中団につけ、勝負所では持ったままの抜群の手応えで上がっていき、最後は差し切りました。勝ちタイムは1分28秒0(やや重)。

     「パワーアップして成長もしているし、何も言うことはないですね。今日も余裕があったので遊んでいました。一線級なら1400mから1600mの距離で走った方がいいと思います。重賞でも十分にチャンスはあるし、砂をかぶってもどれだけ集中させられるかです」(真島騎手)。

     あれから順調に調整も進めていて、担当の小川厩務員のお話しでは、前は追い切りでポテッとしていたそうですが、今はスッキリとスムーズに動けているそうです。

     フジノウェーブ記念は、荒山厩舎3頭出し。このリコーワルサーとトロヴァオ、オメガヴェンデッタ。

     「(リコーワルサーは)粗削りの部分はありますが、前走の勝ち方を見ると期待しています。(トロヴァオは)前走はスタートで大きく躓いてしまって力は出していません。折り合って最後にうまく脚を使える展開になれば。(オメガヴェンデッタは)前走はレース中の大きな不利で外傷と捻挫のために放牧休養へ。じっくり調整はできています」(荒山調教師)。

    ■クルセイズスピリツ
    *大井 荒井朋弘 厩舎(小林) 牡4歳
    *成績 25戦8勝2着4回
    *重賞タイトル
     優駿スプリント(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     このクルセイズスピリツも4歳馬で、短距離戦線を中心に存在感を示しています。昨年の優駿スプリントはスピードあふれる走りで優勝。クルセイズスピリツはもちろんのこと、荒井調教師、西啓太騎手、担当の川口厩務員にとって念願の重賞初制覇を収めました。

     しかし、それ以降は、この馬の力が出し切れていません。ゴールドカップは落鉄、船橋記念はスタートで躓き、前走のアメジスト賞は直線で前が壁になるなど、3戦連続4着。そういうアクシデントがありながらも安定して走れているのも、この馬の強さでしょう。今度こそはクルセイズスピリツの走りが見てみたい……。

     「外目の枠(7枠13番)に入ってしまいましたが、逃げられないとしてもスピードに任せて積極的な競馬がこの馬には合っていると思います。状態はいい意味で変わらないし、今回は最後までうまく走れるといいですね」(荒井調教師)。

    ■キャンドルグラス
    *船橋 川島正一 厩舎 牡5歳
    *成績 22戦9勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     クラシック戦線は能力の高さで距離をこなしてきましたが、短距離戦に転向してからはその素質が一気に開花。1200mから1400mで7勝を上げています。

     前走の準重賞ウインタースプリントは御神本訓史騎手が手綱を取り、道中は3、4番手から進め、最後はしっかり差し切り勝ち。「大井コースは走りやすそうですし、今充実しています。前々回の時からタイトルを取れる力はついているなぁと思っていました。1400mまでなら大丈夫だと思うし、何とか取らせてあげたいですね」(御神本騎手)。

     1400mのスタート地点はすぐに2コーナーに入るため外枠は不利と言われています。キャンドルグラスは去年もこのフジノウェーブ記念に出走しましたが8枠16番に入り、ポジション取りで脚を使った分、9着に敗れました。今年は1枠2番!!!

     「条件はいいですね。とにかく成長力がすばらしい馬で、ここまで無理はさせずに大事に育ててきました。チャンスのあるレースだし頑張ってほしいです」(川島正一調教師)。

    *フジノウェーブ記念の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第10回 フジノウェーブ記念(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■キャプテンキング
    大井3/2不良 1000m-66.0秒 800m-51.2秒 600m-37.9秒 馬なり
    ■クリスタルシルバー
    大井3/2不良 1000m-65.4秒 800m-51.2秒 600m-37.5秒 馬なり
    ■リコーワルサー
    小林3/2不良 1000m-68.1秒 800m-51.5秒 600m-36.9秒 G前強
    ■クルセイズスピリツ
    小林3/2不良 1000m-66.9秒 800m-50.3秒 600m-37.1秒 仕掛け
    ■キャンドルグラス
    船橋3/2右不良 1200m-84.1秒 1000m-66.5秒 800m-52.5秒 600m-39.4秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第10回 フジノウェーブ記念(SIII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     希代の名馬の名を冠したレース、フジノウェーブ記念。かつては東京スプリング盃として行われ、そのフジノウェーブが8歳から11歳にかけて全て59キロを背負い優勝したという伝説的なレースです。

     フジノウェーブは2007年にはJBCスプリントを制し、地方所属馬として初めてJBC競走を優勝。年齢を重ねるごとに芦毛のグレーが真っ白になり、神馬のようないでたちで駆け抜けた姿。記録にも記憶にも残った、多くの人たちの心を震わせた馬でした。

     今年のフジノウェーブ記念は、坂井英光騎手が手綱を取った1番人気キャプテンキング(大井・的場直之厩舎)が優勝。坂井騎手と的場調教師は教養センター同期コンビ。キャプテンキングの調教には的場調教師が乗り、レースは坂井騎手へとバトンタッチ。

     キャプテンキングは2017年の羽田盃馬。のちにNARグランプリ年度代表馬に輝くヒガシウィルウィンを破ってのもので、ハイレベルな戦いを演じました。その後はクラシック戦線での疲れや骨りゅうなどもあり、放牧休養をはさみながら勝ち星からは遠ざかっていました。前走のゴールドカップで久しぶりに勝利を挙げたばかり。

     能力の高さで距離もこなしてきましたが、本来はマイルまでがベスト。昨年のフジノウェーブ記念(4着)で、最後の直線で前が壁になるような大きな不利がありながらも差のない走りを見せたことで、距離適性の高さを示していました。

     今年のレースを振り返ると、ノブワイルドやクルセイズスピリツ、ヨンカーが先行していき、キャプテンキングはその後ろを追走。「前走でこの馬の力は把握できていたので、自信を持って乗りました。前に行く馬を後ろで見ながらペース次第で競馬をしようと考えていたので、思い通りの競馬はできました」(坂井騎手)。

     3~4コーナーでは他の騎手たちの手が動く中、キャプテンキングの坂井騎手の手綱は持ったまま。抜群の手応えで進出し、最後の直線でGOサインを出すと力強く伸び、残り200mでは単独先頭へ。

     「抜け出すのが早くて最後は集中しないというか遊んでいて余裕がありました。1400mは彼にとってベストだと思います。めちゃめちゃ乗りやすい馬で、どんな競馬でもできますね。スタートが上手で先行力もあって、折り合いがついて砂も嫌がらないし、直線抜け出すと遊ぶところはありますが、そこは許容範囲内なので。ほんと、優等生ですよ」。

     キャプテンキングは後続馬に2馬身半差をつける快勝で、勝ちタイムは1400m1分25秒9(不良)。2着は御神本訓史騎手が手綱を取ったキャンドルグラス、3着が矢野貴之騎手騎乗のクリスタルシルバー。

     坂井騎手は2012年東京スプリング盃をフジノウェーブとのコンビで優勝。御神本騎手はフジノウェーブの主戦で、矢野騎手はフジノウェーブの調教パートナーの1人でした。フジノウェーブに関わった騎手たちが上位を独占。

     「フジノウェーブは自分にとっても思い入れのあるというか、大井競馬場にとって宝のような馬です。大井の騎手である以上、ここは勝ちたいレースでした」と、坂井騎手は優勝インタビューで語りました。

     さて、キャプテンキングの具体的な予定はこれから考えられていくそうですが、今後も1400mから1600mまでを中心に使っていくと思われます。今年は浦和競馬場でJBC競走が実施されるので、もちろんそこは大目標になっていくでしょう。まだ5歳、今後この路線でどんな存在になっていくのか期待が高まります!



    <他陣営のコメント>

    2着 キャンドルグラス 御神本訓史騎手
    「枠もよくて道中はいつも通りの感じでしたが、今日は力負けですね。充実しているし、よく走ってくれていますが……」

    3着 クリスタルシルバー 矢野貴之騎手
    「(京浜盃以来でしたが)一回り大きくなって、走りも重心が低くて非常にパワーアップしているなと思いました。内に入れた方がたまるタイプのように思うので入れたかったですが、外々を回らされることになったのが悔やまれます。最後の3着、4着争いは力で交わしてくれたと思うのでそこは収穫でした。勝負根性がありますね」

    4着 ショコラブラン 森泰斗騎手
    「すごい手応えで4コーナーまで回ってくることができたのですが、最後は手応えほど伸びませんでした。ムキになりすぎちゃうところがあるので伸びきれないのか?距離は一概には言えませんが、1200mの方が向いている印象は持ちました。いい馬ですし、力は通用する手応えがあります」

    5着 マッチレスヒーロー 的場文男騎手
    「こっちに来て初戦だったし、まだよくなりそうですね。ズブい馬だけど、自分が思っていたよりは進んでくれました」

    6着 リコーワルサー 真島大輔騎手
    「進みがもう少しでしたね……」

    7着 アルタイル 和田譲治騎手
    「スタートで挟まれてそこで終わってしまいました。終いはいい脚できているので力はあります」

    8着 ブルージェット 町田直希騎手
    「この相手に牝馬でも頑張りました。4コーナーではお~っという見せ場もあったし、すごくまじめで乗りやすかったです。牝馬路線で楽しみだと思いますよ」

    9着 バルダッサーレ 笹川翼騎手
    「モロに休み明けっていう感じでした。その割にはしっかり走っていたので次以降楽しみです。スタートは一歩目では反応していますが、その後リズムにのれなくて、そういう意味では間隔が空いた分のように思います」

    10着 トロヴァオ 吉原寛人騎手
    「できれば前々で、先団を射程圏に入れて進めたいと考えていましたが、理想のポジションで運ぶことができませんでした。直線勝負に切り替えましたが、外々を回らざるを得なかったために、脚をためることができなかったです」

    11着 トーセンデューク 村上忍騎手
    「もう少し好位で流れにのりたかったですが、南関東で初めてのスピード競馬だったので、慣れてくれば対応はできると思います」

    12着 ヨンカー 石崎駿騎手
    「折り合いひとつですね。大外枠もきつくて、前に馬を置けないので気分よくサーッと走っていました。1000mや1200mの方がちょうどいいペースだと思います」

    13着 オメガヴェンデッタ 今野忠成騎手
    「外枠だったし、スタートで挟まる感じになって、砂を被る競馬になってしまいました。本来の走りができなかったので、自分のレースができればまた違ったと思います」

    14着 クルセイズスピリツ 西啓太騎手
    「行きたかったですが枠の差ですかね。どうしても外からこられて息が入らない状態で、3コーナーから厳しい感じになりました。ずっとプレッシャーのかかった分で、もっとスムーズな競馬なら違ったと思います」

    15着 ゴーディー
    大井最年長11歳馬。後方から進めるも、伸びきれず。

    16着 ノブワイルド 左海誠二騎手
    「休み明けの59キロはやっぱりしんどいと思います。直線を向いた時に手前を替えない時点で苦しいかなと。秋の最大目標に向けてまた頑張ります」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    10 平31 キャプテンキング 牡5 坂井 英光
    9 30 リッカルド セ7 矢野 貴之
    8 29 ケイアイレオーネ 牡7 的場 文男
    7 28 ソルテ 牡6 吉原 寛人
    6 27 セイントメモリー 牡8 本橋 孝太
    5 26 ジェネラルグラント 牡4 石崎 駿
    4 25 フジノウェーブ 牡11 御神本 訓史
    3 24 フジノウェーブ 牡10 坂井 英光
    2 23 フジノウェーブ 牡9 御神本 訓史
    1 22 フジノウェーブ 牡8 戸崎 圭太