重賞レース

第37回 東京プリンセス賞(SI)

  • 2023年5月11日(木)
  • 20:10発走
第37回優勝馬:サーフズアップ号

南関東3歳牝馬クラシックの第2弾に位置付けられるレースで、若き乙女たちが3歳女王の座をかけて火花を散らします。浦和の桜花賞など牝馬クラシック路線を順調に進んできた有力馬と春に急成長した新勢力が、華麗な戦いを繰り広げます。
<上位2頭に関東オークスの優先出走権を付与>

  • 注目馬情報
  • 重賞直前情報
  • レースレポート
  • 歴代優勝馬
  • 高橋華代子の注目馬情報

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第37回 東京プリンセス賞(SI)>
    (5月2日現在)

    メイドイットマム
    北海道時代にエーデルワイス賞5着に入り、南関東移籍後も東京2歳優駿牝馬と桜花賞で完勝し、地力の高さを見せつけてきました。牝馬2冠目をかけて臨みます。

    サーフズアップ
    ここまで7戦2勝2着4回3着1回。2走前のユングフラウ賞は差し切りV、前走の桜花賞は4角先頭から押し切るかと思ったところで惜しくもかわされ2着でした。

    フークエンジェル
    9戦走り1勝2着4回3着3回着外は1回。桜花賞と日高賞はともに3着に入り、キャリアを重ねてきました。堅実に伸びる末脚を武器に、大井に初登場します。

    ボヌールバローズ
    デビュー3戦目で重賞のラブミーチャン記念を優勝。当初から東京プリンセス賞を目標に置き、前走のクラシックトライアルは牡馬に挑戦して逃げ粘り5着でした。

    スギノプリンセス
    北海道時代に4連勝で1700mのブロッサムCを制した実力馬です。今回は南関東移籍3戦目。大井1800m・外回りを舞台に、得意の末脚を生かし勝利を目指します。

  • 高橋華代子の重賞直前情報

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第37回 東京プリンセス賞(SI)>

    (5月9日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■メイドイットマム
    *船橋 石井勝男 厩舎 牝3歳
    *成績 9戦4勝2着1回
    *重賞タイトル
     桜花賞(SI)(2023)
     東京2歳優駿牝馬(SI)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     北海道時代にエーデルワイス賞5着になり、移籍後の東京2歳優駿牝馬を圧勝。NARグランプリ2歳最優秀牝馬を受賞した実力馬です。

     道中6番手を追走した前走の桜花賞は向正面でステッキが入るシーンも見られましたが、直線に入り一完歩ずつ詰め寄ると、先頭に立ったサーフズアップをゴール前で外から一瞬のうちに抜き去る圧巻の内容でした。南関東牝馬クラシック1冠目を獲得。

     本橋孝太騎手は「ムキになるタイプではなく促してあげなくてはいけない馬ですが、初コースもあったのか、いつもより落ち着きがあって気を抜いていました。でも、あそこで差し切れるのは力の証明だと思いますよ。この馬のいいところは、道中リラックスして走れて、追ってからがしっかりしています」と話していました。

     今年の南関東牝馬3冠馬になるチャンスがあるのは、もちろんメイドイットマムただ1頭。まずは牝馬2冠目をかけて臨みます。

     「浦和も克服してくれましたが、3走前の東京2歳優駿牝馬の勝ちっぷりが良かったので大井コースは合っているし、跳びの大きい馬なので1800mの外回りもいいと思います。2冠目を目指して頑張って欲しいですね」(石井勝男調教師)。

     なお、メイドイットマムの4代母は1991年のエリザベス女王杯を優勝したリンデンリリーで、5代母が1981年の東京3歳優駿牝馬(当時)の勝ち馬ラドンナリリーです。40年の歳月を経てもなお続いている血のドラマも醍醐味ですね。

    ■ボヌールバローズ
    *大井 福永敏 厩舎(小林) 牝3歳
    *成績 5戦2勝2着1回
    *重賞タイトル
     ラブミーチャン記念(SP1)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井生え抜きの期待馬が、牝馬2冠目から参戦します。デビューから3戦目のラブミーチャン記念は逃げ切りで、重賞初制覇。続く東京2歳優駿牝馬も果敢に逃げましたが、ここはメイドイットマムに4馬身差の2着でした。

     東京2歳優駿牝馬について笹川翼騎手は「道中も感じ良く走ってくれて3、4コーナーで勝てるかなと思ったくらいですが、勝ち馬とは決め手の差で、今日のところは完敗です。ただ、キャリアのない中で能力がないとこれだけ走れません」とコメント。

     その後は桜花賞には向かわず、当初から東京プリンセス賞を目標にゆったりしたローテーションが組まれてきました。前走のクラシックトライアルは牡馬たちと対戦。果敢に逃げ粘り最後は0秒5差の5着でしたが、休み明けで初の1800mでも力は見せました。

     「能力とセンスが高く精神面も強い馬ですが、5月21日の遅生まれなので体の緩さもあり、成長を妨げないような予定を組んできました。今回も放牧に出して1か月ほど前に帰厩し、順調に進めています。距離を経験できているのはプラスで、前々の競馬でどれだけ粘れるかですね」(福永敏調教師)。

     まだまだ成長途上とは言え、東京2歳優秀牝馬の頃よりも緩さが解消し、しっかりしてきたそうです。あの時のメイドイットマムとの4馬身差がどうなっているのかも興味深いです。

    ■サーフズアップ
    *船橋 山下貴之 厩舎 牝3歳
    *成績 7戦2勝2着4回
    *重賞タイトル
     ユングフラウ賞(SII)(2023)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     船橋所属だったハッピーウェーブの愛娘が、牝馬の重賞戦線で安定した走りを続けています。中団から追走した2走前のユングフラウ賞は大外一気の差し切りで、念願の初タイトルを手にしました。「言うことを聞いてくれるのでどこからでも競馬ができて、全体の平均点が高いです」と御神本訓史騎手。

     前走の桜花賞は4コーナーで先頭に立って押し切りをはかりましたが、メイドイットマムの強襲にあい1馬身半差の2着に敗れました。

     その後はいつものように牧場での調整を挟み、船橋競馬場へ帰厩後も予定通りのメニューをこなしてきたそうです。

     「体もたくましくなって成長はしていると思います。前走はメイドイットマムに完敗でしたが、あれから1か月半が経って、どのくらいの差になっているか見てみたいですね。気のいい馬なので折り合いはつけて距離をこなしてくれれば。あと、競馬は運も必要だと思っています」(山下貴之調教師)。

    ■フークエンジェル
    *船橋 米谷康秀 厩舎 牝3歳
    *成績 9戦1勝2着4回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ここまで9戦して1勝2着4回3着2回。唯一着外となったローレル賞はスタートで大きくつまづき9着に敗れましたが、それ以外はどんな条件になっても安定した走りが続いています。

     2走前の桜花賞は後方から脚を伸ばし最後はメンバー最速37秒6の脚を使い、メイドイットマムから0秒7差の3着。その後は水沢競馬場に遠征し、留守杯日高賞も3着でした。

     「前走に関しては小回りで前残りの馬場の影響もあって、この馬の流れではありませんでした。逆にレース後のダメージもありません。前回よりも今回の方が条件的には競馬はしやすいと思うし、脚質的には短い距離よりも長い距離の方がプラス。馬の能力はあるので、正攻法で競馬をさせて勝ちたいですね」(米谷康秀調教師)。

     母は川崎所属として長きに渡って走ったビーユアエンジェル。愛娘が重賞初制覇を狙います。

    ■スギノプリンセス
    *川崎 佐々木仁 厩舎 牝3歳
    *成績 10戦4勝2着2回
    *重賞タイトル
     ブロッサムカップ(H2)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     スギノプリンセスは北海道時代に1700mのブロッサムカップを制した重賞ウイナーです。レースは中団を追走し、3~4コーナーから先頭に立つとそのまま押し切り0秒7差をつけての完勝。その後はJBC2歳優駿(9着)にも参戦し、強い相手ともまれてきました。

     昨年暮れから移籍し、東京2歳優駿牝馬は4着、桜花賞が5着。当初から東京プリンセス賞向き(大井・1800m・外回り)と言われてきた馬で、いよいよ力が発揮できる舞台に挑みます。

     「しっかり乗り込んできて追い切りの本数もこなしてきました。カイバも食べてくれるようになったので、かなり攻めても馬体は増えています。走れる体になってきたので力強さや素軽さも出てきて、うちに来てからは一番いい状態です。どこからでも競馬はしやすいでしょうし、この馬の力を出せれば能力的には足りると思っているので楽しみですね」(佐々木仁調教師)。

     2007年のアグネスターフ以来16年ぶりの川崎Vを目指します。

    *東京プリンセス賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第37回 東京プリンセス賞(SI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■メイドイットマム
    船橋5/6右良 1000m-65.9 秒 800m-49.9 秒 600m-36.8 秒 馬なり
    ■ボヌールバローズ
    小林5/6良 1200m-86.8 秒 1000m-68.3 秒 800m-51.2 秒 600m-36.4 秒 馬なり
    ■サーフズアップ
    船橋5/6右良 1000m-65.7 秒 800m-49.3 秒 600m-36.8 秒 馬なり
    ■フークエンジェル
    船橋5/5良 1000m-66.0 秒 800m-50.4 秒 600m-37.7 秒 G前強
    ■スギノプリンセス
    川崎5/6良 1000m-64.8 秒 800m-50.8 秒 600m-38.9 秒 一杯追
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第37回 東京プリンセス賞(SI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     前夜の羽田盃に続き、南関東牝馬クラシック2冠目の東京プリンセス賞が行われました。この後には、東京ダービー(6月7日)と関東オークス(6月14日)があり、上位馬たちがどの路線に進むのかも興味深い一戦。

     今年はフルゲートにはならず12頭立てになりました。昨年の2歳牝馬チャンピオンで桜花賞も圧巻の勝ちっぷりだったメイドイットマムが、単勝オッズ1倍台の断然の人気。以下、ユングフラウ賞を制したサーフズアップ、ラブミーチャン記念の勝ち馬ボヌールバローズ、ブロッサムカップ優勝馬スギノプリンセスが、10倍以下を切りました。

     この3歳牝馬の戦いは、御神本訓史騎手が騎乗したサーフズアップ(船橋・山下貴之厩舎)が差し切り勝ちを収め、終止符を打ちました。御神本騎手は羽田盃のミックファイアに続いての重賞V。

     レースを振り返ると、サーフズアップは向正面に入るところでは単独3番手を追走していきました。「スタートは悪くないので、出たところで勝負をしようと思っていました。いいところに収まるところができたなとは思います。向正面で砂をかぶせたので折り合いもつきました」と御神本騎手。

     直線に入ると、2番手から先頭に立ったボヌールバローズが押し切るかと思ったところに、サーフズアップが内から外に進路を切り替え、残り100mから一気の末脚で抜き去りました。

     「直線を向いて、前にいる翼(ボヌールバローズ)はかわせるなと思って最初は内に行きましたが、(相手が)寄れてきたので外に進路を取りました。そこでロスったぶん、後ろから来られたら嫌だなぁと思いましたが、力をつけているからこそ勝ち切ることができました」。

     勝ちタイムは1分53秒4(良)。1馬身1/4差の2着がボヌールバローズ、さらに1馬身差の3着が4番手から追走して脚を伸ばしたメイドイットマムでした。

     サーフズアップは母が船橋所属だったハッピーウェーブというゆかりのある血統。一般的に牝馬は体調管理が難しい言われているという中で、昨年6月にデビューしてから全て3着以内で走り続けているというのも本当に立派です。

     「前はスピードタイプの馬でしたが、うまく仕上げてくださっていて、馬体重は大きく変わりませんが中身がしっかりしてきたんだと思います。どこか抜けていいというよりは、総合力が平均点よりも高い馬だと思います。崩れないで走れるのは大きなアドバンテージで、なかなかできることではないのですごいと思いますよ。逃げなきゃいけないとか馬込みじゃなきゃいけないとか、競馬にいっての注文がつかないのもいいところですよね」。

     昨年の東京2歳優駿牝馬の上位組がこの東京プリンセス賞も上位を独占。サーフズアップ、ボヌールバローズ、メイドイットマムが、今後どのレースを選択するのかも見守りたいと思います。



    <他陣営のコメント>

    2着 ボヌールバローズ 笹川翼騎手
    「(道中の)運びは完璧でしたが、孝太さん(メイドイットマム)にはよーいドンではかなわないと思ったし、後続に脚を使わせながら粘り込みたいところもありましたが、結果的にはもう少し我慢をすれば良かったのかなと。最後1頭になるとソラを使ったところもありました。いろいろ考えることが裏目に出てしまい、もう少しうまく乗ってあげられれば勝ちまであったと思います。非常にいい仕上げで送り出してくださって、馬は頑張ってくれました」

    3着 メイドイットマム 本橋孝太騎手
    「スタートから終始プレッシャーがかかり、ストレスのある競馬になってしまいました。気持ちの強い仔なのであそこまで来ていますがが、もう少し気持ちよく走らせてあげたかったです。(プレッシャーがかかっていたぶん)外に意識を置いていたので、3コーナーまでマムと会話ができませんでした。もっと集中してあげたかったと後悔は残りますが、今後に生かしたいです。距離は問題ありません」

    4着 エオリエンヌ 吉原寛人騎手
    「腹をくくって後方で脚をためる形を選択しました。終いは良い脚を使ってくれたし、まだ上積みがあるように感じられたのでこれからも楽しみです」

    5着 フークエンジェル 矢野貴之騎手
    「道中もう少し(前に)行けるかなと思いましたが、意外にモコモコしていたので、距離はもっとあってもいいと思います。最後はしっかり脚を使っているし、直線が長いのは良さそうです。道中もう少しいいところにつけて、あの脚が使えれば」

    6着 ベストホリデー 澤田龍哉騎手
    「ずっと内にもたれながら走っていて、自分が御せていないところもありましたが、1コーナーではふくれるところもありました。それでも、このメンバーの中でも終いはこれだけ来るのは見せられたので収穫かなと思います。一度使ったことで、次の右回りはスムーズに進めることができるかなと思います」

    7着 ポーチュラカ 森泰斗騎手
    「人気薄でしたが一発狙いました。ペースを落とさず逃げて、後ろがけん制し合ってくれればいいなと。一発があるならその形かなと思いましたが、自分が思っていたよりも後ろを離す逃げができずに完敗でした。距離はマイル以下の方がいいと思います」

    8着 コアリオ 菅原涼太騎手
    「ある程度前目につけたかったです。スタートも良かったので、人気の本橋さん(メイドイットマム)をマークして後ろから行こうかなと思いましたが……。男の子みたいな仔なので、ドシッと構えていたし、集中して頑張ってくれました」

    9着 スギノプリンセス 本田正重騎手
    「道中はすごくいい感じで思っていた位置につけられましたが、跳びの大きい馬なので勝負どころで置かれてしまい、そのまま……。結果論ですが、3コーナーくらいから上がっていくように、もっと強気に乗っても良かったのかなと。右回りのほうが良さそうです」

    10着 ラピスアダマンス 和田譲治騎手
    「自分のペースで進めました。砂をかぶっても問題なく立ち回れて直線もジリジリきていますが、相手も強かったです。コースは問題ありません」

    11着 デザートウインド 山崎誠士騎手
    「馬自体はいい感じでしたが、距離は1200mくらいがいいと思います」

    12着 インプローヴィング 藤本現暉騎手
    「メンバーは強かったですが、一生懸命に走ってくれました。自己条件で走れれば」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    37 令5 サーフズアップ 牝3 御神本 訓史
    36 4 スピーディキック 牝3 御神本 訓史
    35 3 ケラススヴィア 牝3 森 泰斗
    34 2 アクアリーブル 牝3 矢野 貴之
    33 平31 トーセンガーネット 牝3 左海 誠二
    32 30 グラヴィオーラ 牝3 今野 忠成
    31 29 アンジュジョリー 牝3 笹川 翼
    30 28 リンダリンダ 牝3 桑村 真明
    29 27 ティーズアライズ 牝3 矢野 貴之
    28 26 スマートバベル 牝3 澤田 龍哉
    27 25 カイカヨソウ 牝3 今野 忠成
    26 24 アスカリーブル 牝3 今野 忠成
    25 23 マニエリスム 牝3 戸崎 圭太
    24 22 トーセンウィッチ 牝3 張田 京
    23 21 ネフェルメモリー 牝3 戸崎 圭太
    22 20 ブライズメイト 牝3 山田 信大
    21 19 アグネスターフ 牝3 町田 直希
    20 18 チャームアスリープ 牝3 今野 忠成
    19 17 テンセイフジ 牝3 石崎 駿
    18 16 ブルーロバリー 牝3 今野 忠成
    17 15 ディーエスメイドン 牝3 森下 博
    16 14 サルサクイーン 牝3 的場 文男
    15 13 ナミ 牝3 的場 文男
    14 12 アインアイン 牝3 市村 誠
    13 11 デアヴィクティー 牝3 張田 京
    12 10 ホクトオーロラ 牝3 石崎 隆之
    11 9 ミスジュディ 牝3 桑島 孝春
    10 8 スギヤマワッスル 牝3 湯浅 淳一
    9 7 ヘイワンリーフ 牝3 桑島 孝春
    8 6 ケーエフネプチュン 牝3 矢内 博
    7 5 アコニツトローマン 牝3 高橋 三郎
    6 4 チヤームダンサー 牝3 石崎 隆之
    5 3 ケイワンハート 牝3 早田 秀治
    4 2 ビツクワンシヨツト 牝3 佐藤 賢二
    3 平元 フジノダンサー 牝3 石崎 隆之
    2 昭63 イシノラツキー 牝3 尾形 秋徳
    1 62 ダイタクジーニアス 牝3 佐々木 竹見