重賞レース

第29回 アフター5スター賞(SIII)

  • 2022年9月8日(木)
  • 20:10発走
第29回優勝馬:プライルード号

短距離戦で持ち味を発揮する快速馬たちが、自慢のスピードで残暑を吹き飛ばす1,200mのスプリント戦。東京盃からJBCスプリントへ続く秋の短距離交流重賞に向け、南関東所属の有力馬が始動する注目のレースです。
<優勝馬にテレ玉杯オーバルスプリントおよび東京盃の優先出走権を付与>

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    <第29回 アフター5スター賞(SIII)>
    (8月30日現在)

    ギシギシ
    重賞初挑戦だった東京スプリントはタイム差なしの3着。前走の習志野きらっとスプリントは絶望的な位置からの差し切り勝ちで重賞ウイナーの仲間入りをしました。

    オリジネイター
    中央時代は未勝利で、移籍以降は勝ち星を重ねていきながら生涯連対率驚異の91.3%。前走のアフター5スター賞トライアルは10連勝目を飾り、いよいよ重賞初挑戦です!

    ワールドリング
    昨年は東京ダービー(8着)に出走しましたが、それ以降は路線を変更し、優駿スプリントとアフター5スター賞を連勝。大井1200m戦で好成績を残しています。

    プライルード
    全日本2歳優駿などダートグレード競走で3着が2回。短距離戦に戻った前走の優駿スプリントは全国区の力を見せつけるかのように完勝しました。古馬戦初挑戦!

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    <第29回 アフター5スター賞(SIII)>

    (9月6日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ギシギシ
    *大井 栗田裕光 厩舎 牡4歳
    *成績 16戦9勝2着2回
    *重賞タイトル
     習志野きらっとスプリント(SI)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ギシギシは今年の東京スプリントで重賞初挑戦しましたが、優勝したシャマルと2着のリュウノユキナにタイム差なしの3着。それ以降も3連勝中で勢いにのります。前走の習志野きらっとスプリントは、抜群のスタートを切るも道中は進みが今一つで4、5番手からの追走。しかし、最後は絶望的な位置から豪快に差し切って、念願の初タイトルを獲得しました。

     ギシギシの調教に乗るなど日々寄り添っているのは三浦誠調教師補佐で、上山競馬場の元騎手です。

     「ギシギシは調教でもレースでも道中は気を抜きながら走りますが、どこで本気を出せばいいのかわかっている感じで、最後は勝負根性がすごい馬です。大井競馬場のゴール板は知っているようにも思いますよ。賢くて、スピード、パワーがあるのはもちろんですが、筋肉や関節、口も柔らかいので、操作性も優れています。若い頃はクニャクニャしていた柔らかさに芯が入ってしっかりしてきたことで、パワフルにもなってきました」(三浦調教師補佐)。

     東京は猛暑続きでしたが、ギシギシは全く気にすることもなく元気いっぱいで、目標の東京盃に向け、このアフター5スター賞も使うことにしたそうです。

     アフター5スター賞は東京スプリントと同じコースと距離で行われますが、今回は斤量が自身初の58キロ。「いつも三浦が負荷をかけて調教は乗ってくれていますが、自分自身というよりは相手が走りやすくなるという点で斤量差は気になります。体調自体は順調そのもので一戦ごとに成長してくれていて、さらにパワーアップしていると思います」(栗田裕光調教師)。

     ここ2戦は自身の今後の経験のために遠征競馬を行いましたが、ここまでの走りを見ると、現状では大井1200m戦が最も力が発揮できる舞台と言ってもいいでしょう。陣営にとってもファンにとっても期待の大きいギシギシが、しっかりいい競馬をして東京盃に向かって欲しいと思います。

    ■ワールドリング
    *船橋 張田京 厩舎 牡4歳
    *成績 21戦6勝2着3回
    *重賞タイトル
     アフター5スター賞(SIII)(2021)
     優駿スプリント(SII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ワールドリングは素質の高さでクラシック戦線に出走しましたが、その後は短距離戦に路線を変更すると、昨年の優駿スプリントとアフター5スター賞を連勝して2つの重賞勝ちを収めました。その後の東京盃はダートグレード競走初出走ながら、優勝したサクセスエナジーから0.6秒差の5着。

     昨年11月に実施した園田競馬場の楠賞は1番人気も4着に敗れましたが、久しぶりに長距離遠征を経験したことで、ヤンチャだった性格や周りを気にするような部分も解消され大人になってきたことは、松久厩務員も言っていました。間隔を空けた後はもう少しの成績だったこともありましたが、タフな馬でコンスタントに使いながらまた復調しています。

     前走の高津オープン(川崎・1400m)は外の4番手から進め、最後は優勝したファルコンビークから0.2秒差の2着。「1200mくらいの流れで直線の長い方が差せるイメージですが、初めての場所でも対応してくれているので幅は広がってきました。どうしてもコーナーの立ち上がりがもたつくので早めに動きましたが、大井くらいに直線があれば1400mでも差せると思います」と張田昂騎手。

     今回は好成績を残してきた大井1200m戦が舞台。「どんな条件でも走ってくれてえらい馬です。状態も変わりなくきているし、自分のスタイルに持ち込んで頑張って欲しいですね」(張田京調教師)。

     ワールドリングは同い年のギシギシとは東京スプリント(7着)で対戦し、この時は1秒5差つけられました。しかし、その時とは走り自体が変わってきている今、ダートグレード競走でも好走してきたワールドリングの力も見せて欲しいと思います。

    ■オリジネイター
    *大井 的場直之 厩舎 牡8歳
    *成績 23戦19勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     JRAデビューも2戦未勝利で南関東へ移籍し、連勝街道を突き進み9連勝と10連勝で合計19勝。「初めて乗せて頂いた時はまだC2クラスでしたがモノが違いました。フットワークも良くて、ポテンシャルが高いです」と主戦の和田譲治騎手。

     7月26日に大井競馬場で実施したアフター5スター賞トライアルは道中2番手から直線抜け出す危なげない走りで、勝ちタイムは1200m1分10秒8(不良)という好タイムを出しました。

     今回、オリジネイターはB1クラスから重賞に格上挑戦のため、前走同様に斤量は53キロ。実績馬ギシギシとワールドリングが58キロのため、その差は5キロ。前走のタイム面も考慮すると期待も高まりますが、陣営はどんな思いで臨むのでしょうか。

     「前走の時計だけで言えば通用はすると思いますが、時計だけでは比較できないので、初めての一線級の中でも自分の競馬ができるかどうかですね。脚元に弱い部分があるので無事に大事に調教をしながら成績をあげてきました。今回は多少強化はしていますが、いつも通りの調整で状態は変わらずにきていると思います。

     能力はかなりのものがあるし、まだ底を見せていないのでどのくらいやってくれるかは走ってみないとわかりませんが、楽しみにしています」(的場直之調教師)。

     8歳でついに重賞初挑戦。11連勝を決めることができるでしょうか!

    ■ミチノギャング
    *大井 納谷和玖 厩舎 牡5歳
    *成績 29戦7勝2着8回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ミチノギャングはデビューから短距離戦でコツコツと走り続けてきた馬で、3歳時の優駿スプリント(9着)以来2度目の重賞挑戦。2走前の準重賞メトロポリタンカップは逃げるギシギシに2番手で食らいつき、最後は半馬身差の2着。ギシギシも相手なりに走る部分があるとは言え、ダートグレード競走3着馬にあれほど迫ったのも立派でした。

     「初めて乗せて頂いた時から背中がいい馬だなと思いましたが、その時のイメージ以上に成長してくれています。難しさはある馬ですが、道中自在に動けるようになってきて、もまれ強さも出てきました」(達城龍次騎手)。

     その後のサジタリウス賞 A2B1(一) 選抜特別も先行抜け出しで、1200m1分11秒0(良)の好タイムで快勝。最近の充実ぶりは目を引きます。

     「3走前(日本橋賞・優勝)に短期のリフレッシュ放牧に出しましたが、苦しいところがなくなって体が楽になった分、追い切りの動きも時計も良くなって、レースでもテンに行けるようになりました。今回も短期のリフレッシュ放牧に出して、ここまで順調にきています。一番強い馬たちと走るのは初めてですし、斤量(55キロ)の差はもっとあっても良かったのかなと思います。あくまでもチャレンジャーです」といつも調教にも乗る元騎手の納谷和玖調教師。

     納谷調教師と達城騎手は騎手時代の先輩・後輩という間柄。ともに重賞初制覇を飾ることができるか注目が集まります。

    ■プライルード
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡3歳
    *成績 8戦2勝2着2回
    *重賞タイトル
     優駿スプリント(SII)(2022)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     全日本2歳優駿と兵庫ジュニアグランプリでともに3着という実力馬で、クラシック路線にも挑戦しましたが、羽田盃(13着)後は路線変更。前走の優駿スプリントは本田正重騎手が手綱を取り、外の3番手から直線で先頭に立つと後続を引き離し快勝。念願の初タイトルを獲得しました。勝ちタイムは1200m1分11秒9(良)。

     「急に1200mに変わるのはどうかなと思いましたが、気性が良くてとても前向きな馬なので問題はありませんでした。跳びがピッチ走法だし短距離は合います。終始手応えが良くて3コーナーまでの進みも抜群でした。スタートが速いし砂をかぶっても大丈夫で楽しみな馬です」(本田騎手)。

     その後は放牧休養を挟み、藤田輝信厩舎の外厩先でもあるミッドウェイファームでトレーニングを積んできたそうです。「間隔は空きましたが乗り込んできて順調です。前回は斤量57キロでもあれだけ走れて時計は十分間に合っていますし、今回は53キロになって楽しみです。これからさらに大きいレースに出るような馬になってくれると期待しています」(藤田調教師)。

     昨年は3歳だったワールドリングが優勝。今年3歳で唯一参戦するプライルードが2年連続で続くことができるでしょうか。

    *アフター5スター賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第29回 アフター5スター賞(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ギシギシ
    大井9/3重 1000m-64.7秒 800m-50.5秒 600m-37.0秒 一杯追
    ■ワールドリング
    船橋9/4内稍 1000m-66.9秒 800m-49.8秒 600m-36.6秒 G前強
    ■オリジネイター
    大井9/4重 1000m-73.1秒 800m-57.1秒 600m-41.8秒 馬なり
    ■ミチノギャング
    大井9/4重 1000m-62.7秒 800m-48.2秒 600m-35.6秒 一杯追
    ■プライルード
    小林9/3坂路 600m-37.8秒 200m-11.8秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第29回 アフター5スター賞(SIII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     アフター5スター賞はTCKの1200m戦で行われ、これから続いていく東京盃、JBCスプリント(今年は盛岡競馬場)に向けても重要な一戦。

     今年は11頭と少頭数ながら豪華メンバーが集結しました。唯一の3歳馬2番人気プライルード(大井・藤田輝信厩舎)が、初対戦の古馬勢を圧倒し、前走の優駿スプリントに次ぐ2つ目のタイトルを獲得。昨年優勝したワールドリングに続き、2年連続で3歳馬が勝利を飾りました。

     プライルードは6月の優駿スプリントを制した後は放牧休養に入り、その後は藤田厩舎の外厩先でもあるミッドウェイファームでトレーニングを積んできたそうです。

     今回は2か月半ぶりの実戦。「前からうるさい馬ではありませんが、大人しすぎたのでちょっと不安でした。返し馬で走っている時は問題ありませんが歩いている時に大丈夫かなと思いましたが、結果的には関係ありませんでしたね」とコンビを組んだ本田正重騎手。

     プライルードは道中5番手を追走。4コーナー手前で外に持ち出すと、先行して先頭に立っていたオリジネイターやカプリフレイバーに並びかけ、直線では力でねじ伏せるかのように引き離していきました。

     「一番いい位置につけられて、4コーナーではだいたい勝つなという手応えでした。追い出してからも前の馬たちをかわす時の勢いが違ったので、これは強いなと」。

     プライルードは2着のカプリフレイバーに3馬身半差をつけての快勝。勝ちタイムは1200m1分11秒4(良)。3着がクビ差で、4番手から脚を伸ばしてきたクルセイズスピリツ。1番人気だったギシギシはスタート直後に躓くような形で中団から進めると、最後も伸び切れず7着に終わりました。

     プライルードはホッカイドウ競馬デビュー馬で、南関東移籍後は全日本2歳優駿と兵庫ジュニアグランプリでいずれも3着。一時はクラシック路線にも挑戦しましたが、現在は1200m戦で活躍中です。

     「どこでも真面目に走ってくれて、ひるんだりもしないし、本当に乗りやすい馬です。唯一の3歳馬で斤量53キロの恩恵はあったにしても、古馬の強い相手とこれだけ走ってくれたので、今後がとても楽しみになりました」。

     藤田調教師もレース後のインタビューで、能力がある馬なのでJBCに行きたい思いますと話し、3歳になってからの1200m戦では全く底を見せていないプライルードが、更なるビッグレースでどんな戦い方を見せていくのか興味深いです。

     そして、ギシギシをはじめとした古馬勢の巻き返しも期待しています。



    <他陣営のコメント>

    2着 カプリフレイバー 真島大輔騎手
    「前走から調教を攻め過すぎずに軽くしてもらって、馬の気持ちを優先していただきました。すごく感じが良くて集中して走れているし、1200mも問題はありません。元々素質のある馬なのでこれからも楽しみです」

    3着 クルセイズスピリツ 西啓太騎手
    「年齢を重ねて良くも悪くもズブさが出てきています。このメンバーに入って自分の形でなくても競馬ができているし頑張っています。一歩目は速いですがその後のダッシュ力がもう少しのところがあるので、1000mは忙しいので1200mから1400mが良さそうです」

    4着 セイジミニスター 笹川翼騎手
    「周りに速い馬がいっぱいいたので、馬のリズムを第一に感じ良く進めようと思いました。スムーズに4コーナーを回ることができて、最後も一生懸命に伸びていました。前は行かないとモロさもありましたが、今日はそういう所がなくて、どんな競馬でもできますね。次は自己条件なのですごく楽になると思います」

    5着 ミチノギャング 達城龍次騎手
    「最内枠がアダになってしまい出られるところがなくて、今日は力を出せていません。外枠なら2着はあったと思います」

    6着 ベストマッチョ 森泰斗騎手
    「前は砂をかぶると全然競馬ができませんでしたが、今日は内枠で砂をかぶる位置になりましたが、最後まで頑張って走っていました。1200mはちょっと短くて、1400mがベストですね。いい時の雰囲気はあったので、1400mに距離を延ばしてどこかでもう一花と思っています」

    7着 ギシギシ 矢野貴之騎手
    「スタートが速すぎて躓いている感じです。体の重さなのか、今回は斤量の影響も多少はあるし、伸びそうで伸びませんでした」

    8着 オリジネイター 和田譲治騎手
    「ポテンシャルの高い馬でここでもやれると思うので、また立て直します」

    9着 ワールドリング 張田昂騎手
    「スタートして一歩目はめちゃめちゃ良かったですが、その後の進み方が全然良くありませんでした」

    10着 ウインプリンツ 吉留孝司騎手
    「連闘でも疲れはなくゲートも出てくれて思い通りの競馬はできましたが、力の差なのか、上がっていく時についていくのがやっとでした。今日はメンバーも強かったですが、自己条件なら1200mでも大丈夫そうです」

    11着 キモンルビー 本橋孝太騎手
    「行きっぷりは良かったですが、4コーナーで手応えがなくなってしまいました」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    29 令4 プライルード 牡3 本田 正重
    28 3 ワールドリング 牡3 張田 昂
    27 2 サブノジュニア 牡6 矢野 貴之
    26 令元 キタサンミカヅキ 牡9 森 泰斗
    25 平30 キタサンミカヅキ 牡8 森 泰斗
    24 29 キタサンミカヅキ 牡7 繁田 健一
    23 28 ルックスザットキル 牡4 早田 功駿
    22 27 ジョーメテオ 牡9 坂井 英光
    21 26 サトノタイガー 牡6 吉原 寛人
    20 25 ハードデイズナイト 牝3 山崎 誠士
    19 24 ジーエスライカー 牡5 坂井 英光
    18 23 タカオセンチュリー 牡8 柏木 健宏
    17 22 ヤサカファイン 牡4 石崎 駿
    16 21 ケイアイジンジン 牡3 的場 文男
    15 20 ディープサマー 牡6 川島 正太郎
    14 19 ベルモントサンダー 牡6 石崎 駿
    13 18 コアレスタイム 牡8 内田 博幸
    12 17 ロッキーアピール 牡7 今野 忠成
    11 16 ハタノアドニス 牡8 早田 秀治
    10 15 ハタノアドニス 牡7 内田 博幸
    9 14 キングリファール 牡5 佐藤 隆
    8 13 スピーディドゥ 牡5 内田 博幸
    7 12 ゴールドヘッド 牡5 的場 文男
    6 11 イナリコンコルド 牡4 内田 博幸
    5 10 サントス 牡5 鈴木 啓之
    4 9 サプライズパワー 牡3 石崎 隆之
    3 8 スペクタクル 牡5 内田 博幸
    2 7 ツキフクオー 牡3 森下 博
    1 6 ツキノイチバン 牡5 佐々木 竹見