重賞レース

第13回 フジノウェーブ記念(SIII)

  • 2022年3月9日(水)
  • 16:10発走
第13回優勝馬:ルーチェドーロ号

TCK唯一の1,400m重賞です。2013年までは東京スプリング盃の名称で実施しましたが、2014年からは同レースを4連覇したフジノウェーブの功績をたたえ、レース名を改称しました。翌月の交流競走・東京スプリントに向け、短距離路線を歩む有力馬たちが数多く出走します。
<優勝馬に東京スプリントの優先出走権を付与>

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    <第13回 フジノウェーブ記念(SIII)>
    (3月1日現在)

    ハートプレイス
    トライアルのウインタースプリントでは好位から直線抜け出す快勝。昨年の優勝スプリント2着など最近は一貫して1200m戦で好成績を挙げ、自身初の1400m戦。

    ワールドリング
    昨年は東京ダービー出走後、優駿スプリントとアフター5スター賞を連勝するなど短距離戦への適性の高さを見せています。これまでの疲れを癒し放牧休養明け初戦。

    ハルディネロ
    厩舎ゆかりのジャルディーノの半弟。兄は7歳で重賞初制覇を収めましたが、弟は今年6歳になり、念願の重賞勝ちを狙います。ここまで8勝のうちに1400m戦は5勝。

    レッドフレイ
    中央時代は3勝クラスを勝ち上がり、リステッド競走などに出走。昨年末から南関東の一員になり2連勝中で、自身初の重賞の舞台でどんな走りを見せるでしょうか。

    ルーチェドーロ
    全日本2歳優駿3着馬で、芝とダートの重賞戦線で活躍してきた実力馬。南関東へ移籍緒戦だった前走の船橋記念は忙しいと思われていた1000mで鬼脚を披露(4着)。

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    (3月7日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ルーチェドーロ
    *川崎 池田孝 厩舎 牡4歳
    *成績 10戦2勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央競馬からデビューしたルーチェドーロ。2歳新馬戦優勝を皮切りに、函館2歳S2着、全日本2歳優駿3着、端午S1着など、1800m戦のJBC2歳優駿で10着になった以外は、全て4着以内という立派な成績を残してきました。

     「調教から走り方が違います。時計が速くなると走り方が変わる馬もいますが、この馬は軽い時計の段階から、流れるように上手なきれいな走り方をします。軽やかでバレリーナのようですね。普段から扱いやすい馬で、カーッとなってもすぐに落ち着くし、メリハリのある馬です」と池田孝調教師。

     移籍初戦だった前走の船橋記念は、前と大きく離されながら後方2番手を追走していくと、最後の直線ではメンバー最速35秒4の脚を繰り出し、優勝したキモンルビーから0.3秒差の4着。

     「3か月振りの実戦で間隔が空いたのもあったのか、これだけテンに置かれるとは思わなかったですが、エンジンの掛かりが速ければ、忙しいと思っていた1000mも対応できるのはわかりました」。

     当初からこのフジノウェーブ記念を目標に進めてきたそうで、中央時代でも実績のある1400m戦でどんな走りを見せるか注目が集まります。気分屋な所もある分、大井1400m戦はすぐにコーナーがあるとは言えほぼワンターンで走ることができるのは理想的であることを、池田調教師も言っていました。

     今回の鞍上・御神本訓史騎手は、フジノウェーブの主戦だったことはあまりにも有名です。東京スプリング盃という名称で4連覇を飾ったフジノウェーブが(御神本騎手は2勝)天国へと旅立った後、フジノウェーブ記念というレース名へ。

     それ以降、このレースではまだ未勝利の御神本騎手。愛馬の名を冠したレースで初勝利をつかむことはできるでしょうか!

    ■レッドフレイ
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) 牡7歳
    *成績 15戦6勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代は4歳以上3勝クラスを勝ち上がり、リステッド競走やオープンレースなどにも出走。昨年末に南関東の一員になると、森泰斗騎手とのコンビで2連勝。12月31日の大井1400m戦は中団後方からメンバー最速の脚を繰り出し先頭でゴールを決めると、2月17日の船橋1800m戦では3番手から抜け出すと後続に4馬身差をつける完勝。

     中央時代は先行した時の方が好走をしていた印象ですが、南関東では自在な競馬が続いています。中央時代も含めて7歳にして重賞初挑戦です!

     「前走は雪の影響で調教に乗れない時もありましたが、逆にスイッチの入りやすい馬なのでオフで競馬ができたのは良かったです。ここ2戦はオフの状態でしたが今回は間隔がなくて初めてオンの状態なのでそこは気になります。

     ここ2戦はもまれる競馬をしていないし、1400m戦の内枠はごちゃつく可能性が高いので、内枠よりも外枠の方が良かったです。森騎手も高く評価をしてくれて能力はある馬だと思いますが、南関東の一線級とは初めてなので、スピードとレースの流れに対応できるかどうか」(荒山勝徳調教師)。

    ■ハルディネロ
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) 牡6歳
    *成績 26戦8勝2着6回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     2016年の金盃で重賞初制覇を飾ったジャルディーノの半弟ハルディネロ。大井1400m戦は6度出走し、一度も連を外さず相性は抜群です。

     昨年12月9日のビオラ賞(大井・1400m)では、道中は内の3、4番手で進めていくと、4コーナーを回って外に持ち出し差し切りました。勝ちタイム1400m1分25秒9(不良)は例年のフジノウェーブ記念優勝タイムの水準レベル。

     その後は牧場での調整を挟み、2月中旬に小林牧場へ帰厩。「放牧明けなので、最終追い切りの動きも落ちるし、毛づやなどもまだ本当ではありませんね。大井1400m戦は相性のいい条件なだけに地力でどのくらい頑張ってくれるか。先に行きたい馬なので枠はこのくらいで良かったと思っています」(荒山調教師)。

    ■ワールドリング
    *船橋 張田京 厩舎 牡4歳
    *成績 15戦5勝2着1回
    *重賞タイトル
     アフター5スター賞(SIII)(2021)
     優駿スプリント(SII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     能力の高さで距離もこなし、昨年はクラシック戦線にも挑戦しましたが、それ以降は短距離戦に切り替えると、優駿スプリントとアフター5スター賞を2連勝。東京盃は初のダートグレード競走ながらも優勝したサクセスエナジーから0.6秒差の5着に入りました。楠賞(4着)後は放牧休養に入り、2月上旬に帰厩。

     「休み明けですがやることはやって来ました。今思えば、東京盃からスタートの一歩目が遅くなっていたので、目に見えない疲れがあったと思います。今は首が太くなって、体重が増えていても成長分です。

     大井1400m戦はどの馬がどの枠に入るかでもレースが全く変わるので、1200m戦とは別物と考えていいと思います。気むらなところがあるので短距離は合っていますが1400m戦の適性はやってみてからですね」(張田京調教師)。

     今回は自身初となる58キロも鍵。

    ■ハートプレイス
    *大井 佐宗応和 厩舎(小林) 牡4歳
    *成績 18戦5勝2着5回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年5月から一貫して1200m戦を走り続け、全て3着以内という抜群の安定感。前走のトライアルレース・準重賞ウインタースプリントは、今野忠成騎手を背に、道中は内ラチ沿いの6番手から進め、最後の直線では間を割って抜け出し快勝しました。

     「前走は馬込みで競馬ができたのは成長を感じました。この中間も何事もなく順調に調整ができています。1400m戦は初めてなので距離延長の部分に関してはムキにならなければこなしてくれると思っています。行く馬は行かせて3、4番手くらいからスムーズに追走できればいいですね」(佐宗応和調教師)。

     ハートプレイスにとっては昨年6月の優駿スプリント以来の重賞挑戦。ワールドリングに惜しくも敗れて涙を呑みましたが、それ以来の再戦です。それぞれ年を重ねて4歳になり、どんな戦い方を見せてくれるでしょうか!

    *フジノウェーブ記念の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第13回 フジノウェーブ記念(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ルーチェドーロ
    川崎3/5良 1000m-64.4秒 800m-50.1秒 600m-37.3秒 一杯追
    ■レッドフレイ
    小林3/4良 1000m-66.5秒 800m-50.9秒 600m-37.4秒 追って
    ■ハルディネロ
    小林3/5稍 1200m-85.6秒 1000m-68.6秒 800m-52.0秒 600m-38.2秒 追って
    ■ワールドリング
    船橋3/5良 1000m-69.0秒 800m-52.7秒 600m-38.7秒 一杯追
    ■ハートプレイス
    小林3/4良 1200m-81.2秒 1000m-62.8秒 800m-48.8秒 600m-36.1秒 強めに
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第13回 フジノウェーブ記念(SIII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     大井競馬場稀代の名馬、多くの人たちの心を震わせたフジノウェーブ。

     2007年のJBCスプリントを優勝し地方所属馬初のJBC制覇という偉業を達成。東京スプリング盃は8歳から11歳まで斤量59キロを背負い4連覇。芦毛の馬体も年齢を重ねて神々しいほど白くなり、晩年は神馬のような美しさ。そんなフジノウェーブが天国へと旅立ち、東京スプリング盃がフジノウェーブ記念と生まれ変わって9年になりました。

     今でも毎日忘れたことがないというフジノウェーブの主戦だった御神本訓史騎手が、今年は1番人気ルーチェドーロ(川崎・池田孝厩舎)の手綱を取り圧巻の強さ見せました。

     ルーチェドーロは中央時代からダートグレード競走でも好走してきた実力馬で、移籍2戦目での念願の重賞初優勝。御神本騎手はフジノウェーブ記念というレース名になってからは初勝利。

     1400m戦のスタート地点はすぐコーナーがあることから外枠が不利とも言われていますが、そんな中でもテンのダッシュ力がピカイチのクルセイズスピリツが大外枠から一気にハナを奪いました。ルーチェドーロは移籍初戦の前走がダッシュつかずに後方から進めて行きましたが、今回は打って変わって最内枠から2番手外目のポジション。

     「枠も良かったですがスタートもちゃんと出てくれて、考えていたよりも前で競馬ができてスムーズに走ってくれたんじゃないかなと思います」(御神本騎手)。

     クルセイズスピリツやルーチェドーロの後ろには、ワールドリングやリコーワルサー、レッドフレイ、さらにはハートプレイスやリンゾウチャネルらが続いていき、結果的に上位に来る馬たちは3コーナー付近でここまでのポジションでの競馬。

     ルーチェドーロは3~4コーナーで逃げるクルセイズスピリツに並びかけていき、直線に入って残り200m手前では単独先頭に立つと、楽な手応えで後続勢を引き離していきました。2着に上がってきたレッドフレイに3馬身半差をつける完勝。3着が逃げ粘ったクルセイズスピリツ。勝ちタイムは1400m1分24秒1(良)で、レースレコード。

     「力があって頭もいいし、時計の裏付けが大きいです。最後の直線も沈み込んで加速したので、もう(後ろは)ついてこれないだろうなぁと。道中も無理をして走っていないので時計も遅いだろうなと思っていましたが、それであの時計が出たので驚きました。

     速い馬は余裕がある分時計が遅く感じるのはよくありますが、この馬はもしかしたらとんでもない能力を秘めているんじゃないかなと思っています。まだ4歳で馬も若くて体の改善の余地はありますが、未完成な部分が多いところも含めて期待しかないですね」(御神本騎手)。

     いつもは控えめな御神本騎手にして絶賛のコメントが並び、かなりの感触をつかんだことが伝わってきました。

     かつては南関東リーディングに輝き、東京ダービー馬アンパサンドなどを手掛けた池田調教師にとっては13年振りの重賞勝ち。ルーチェドーロのスケールの大きさから、馬の成長度合いを見ながら、中央や世界へ挑戦する夢も描いていきたいそうです。

     まだ4歳で、たった11戦のキャリア。このフジノウェーブ記念を制した馬が、これからどんな競走生活を送っていくのでしょうか。この後は東京スプリントを予定しているそうです。



    <他陣営のコメント>

    2着 レッドフレイ 森泰斗騎手
    「レースはうまく立ち回れて頑張って走っているとは思いますが、今日に関しては勝ち馬を褒めるしかないですね。例年なら勝っていたと思います。距離は万能タイプで1800mでも大丈夫です」

    3着 クルセイズスピリツ 西啓太騎手
    「このメンバーに入って1400メートルの大外枠でも、いいスピードを見せられたし、あそこまで粘ってくれたのも良かったです」

    4着 リンゾウチャネル 笹川翼騎手
    「上手に走れていたし、1400mからマイルの適性は感じました」

    5着 ハートプレイス 今野忠成騎手
    「窮屈になって挟まれたので控えましたが、そこで集中力に欠けてしまった感じです。最近は砂をかぶせて合格点だったので、この相手とでもそういう競馬が理想でしたが、(不利を受けた際に)置かれてしまいました。1400mは大丈夫です」

    6着 オンザロックス 岡村健司騎手
    「9歳ですが、思っていた以上の走りをしてくれました。前回同様に落ち着いていましたが調子は良さそうで、思っていたよりも終いは伸びてくれました」

    7着 ハルディネロ 本田正重騎手
    「重賞でのこの距離はペースが忙しいですね」

    8着 ヒカリオーソ 古岡勇樹騎手
    「あまりダッシュがつかなくてあの位置になりましたが、それでも最後はやる気を出して頑張って伸びてくれました。現状では1400mが良さそうです」

    9着 クロスケ 石崎駿騎手
    「前に乗せて頂いた時よりもいい感じでしたが、プラス体重の分、余裕もあったのかなと思います」

    10着 ブラックバゴ 町田直希騎手
    「どうしてもゲートから出ないので、テンに行ければまた違うと思います。それでもこの馬なりに最後は脚を使ってくれました」

    11着 ワールドリング 張田昂騎手
    「休み明けだったので、レースに行くと動きも本物じゃないし重さもありました」

    12着 リコーワルサー 真島大輔騎手
    「昔は1400mでも大丈夫でしたが、現状ではちょっと忙しかったです。今はゆっくり行ける競馬の方がいいかもしれません」

    13着 ブルーウィザード 達城龍次騎手
    「スタートで挟まれてしまい、この馬場で後ろからではきつかったです。9歳ですが年齢の割に若いと思います」

    14着 サヴィ 安藤洋一騎手
    「前々回1200mを使った時に砂をかぶると全然進んで行かなかったので、今日はもまれない位置でというオーダーでしたが、スピードについていけずきつい競馬になりました」

    競走除外 ストーミーデイ (右後挫跖)
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    13 令4 ルーチェドーロ 牡4 御神本 訓史
    12 3 キャプテンキング 牡7 和田 譲治
    11 2 トロヴァオ 牡7 藤田 凌
    10 平31 キャプテンキング 牡5 坂井 英光
    9 30 リッカルド セ7 矢野 貴之
    8 29 ケイアイレオーネ 牡7 的場 文男
    7 28 ソルテ 牡6 吉原 寛人
    6 27 セイントメモリー 牡8 本橋 孝太
    5 26 ジェネラルグラント 牡4 石崎 駿
    4 25 フジノウェーブ 牡11 御神本 訓史
    3 24 フジノウェーブ 牡10 坂井 英光
    2 23 フジノウェーブ 牡9 御神本 訓史
    1 22 フジノウェーブ 牡8 戸崎 圭太