重賞レース
第23回 ジャパンダートダービー(JpnI)
- 2021年7月14日(水)
- 20:05発走
羽田盃、東京ダービーと続いた南関東3歳クラシック三冠レースの最終関門です。地方・JRA共にトップクラスの3歳馬が結集する「砂のダービー」は、これまでにトーシンブリザード、カネヒキリ、フリオーソ、サクセスブロッケンなど数多くの名馬を送り出しています。近年は早い時期からダートの頂点を目指すJRA所属馬も多く、全国から大きな注目が集まります。
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高橋華代子の注目馬情報
南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中
<第23回 ジャパンダートダービー(JpnI)>
(7月6日現在)
■ウェルドーン
東京ダービー馬と同じヘニーヒューズを父に持つ関東オークス馬。前走は3番手から押し上げ、逃げるケラススヴィアを抜き去る内容でした。JDD牝馬優勝は史上初。
■スマッシャー
ユニコーンSは中団追走、内から外に持ち出し、35秒4の脚で差し切り勝ち。持ち前の末脚が、大井コースでどのくらい発揮されるでしょうか。一気の距離延長も鍵。
■リプレーザ
目下3連勝中。前走の兵庫チャンピオンシップは全てが初物尽くしの中、道中3、4番手から、最後は勝負強さを発揮し差し切り勝ちを収め、重賞初制覇を飾りました。
■ブライトフラッグ
北海道の重賞ウイナー。逃げ一辺倒だった馬が現在は脚質転換を図り、前走の東京ダービーは終いを存分に生かし、優勝したアランバローズから0.2秒差の3着でした。
■ジョエル
ダートグレード競走で大活躍したトーセンブライト産駒。クラウンカップは豪快に差し切り重賞初制覇を飾り、東京ダービーも僅差の4着。脚質は幅のあるタイプ。
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高橋華代子の重賞直前情報
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<第23回 ジャパンダートダービー(JpnI)>(7月12日現在)
調教追い切り動画はこちら
ホッカイドウ競馬デビュー馬で、ブリーダーズゴールドジュニアカップを優勝している重賞ウイナー。JBC2歳優駿は0.3秒差の4着。
逃げ一辺倒だった馬が現在では脚質転換を図り、本橋孝太騎手とともに南関東のクラシック戦線に参戦。羽田盃は優勝馬トランセンデンスから0.7秒差の7着。続く東京ダービーは優勝したアランバローズから0.2秒差の3着。ともに中団後方からメンバー中最速の脚(羽田盃は37秒7、東京ダービーは38秒6)を使い、豪快に伸びてきました。
東京ダービーを走り終えた後に本橋騎手は、「思っていたよりもペースが遅かった中で、ポジション的にはあのくらいの位置は想定内でしたが、そこから全てが裏目に出てしまって噛み合わなかったです。それでもよく伸びてくれて、普通なら交わせていたと思うので本当に悔しいです」と、何度も『悔しい』という言葉を口にしていたのは、それだけこの馬の力を感じているからこそ。
ブライトフラッグは藤田厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを重ねています。今回は東京ダービー1、2着馬が不在の中、地方の大将格として出走します。
「この短期間で逃げから差しを覚えてくれた適応力はすばらしいです。ダービーでも若干ハミを取るところはあって我慢をさせましたが、頭のいい馬なので、次はもっとリラックスして走れるんじゃないかなと思います。今回の流れの方が競馬はしやすいでしょうし、あとはこの馬の末脚を信じて乗ります」(本橋騎手)。ジョエルは船橋生え抜き馬。クラウンカップでは中団後方から内で我慢をし、勝負所から4頭分の外に持ち出すと、最後の直線ではメンバー中最速38秒1の脚を使って差し切りました。ジョエルと張田京調教師にとって、念願の重賞初制覇。エスコートをしたのは、張田調教師の息子・張田昂騎手。
続く、東京ダービーは8枠16番という大外枠ながらも、優勝したアランバローズの0.3秒差の4着まで追い込みました。
「スタートは抜群でしたが、大外枠過ぎて位置取りが良くなかったです。それでもそんなに差はないし、最後に(3着馬に)差されてしまったのは展開面で勝ちにいった分です。条件も問題はないし、体は緩すぎてようやく固まってきたところなので、これからの馬ですよ」(張田騎手)。
クラウンカップのイメージからどうしても末脚勝負の印象は強くなりますが、脚質には幅のあるタイプで、今回は4枠5番からどんな戦い方を見せるでしょうか。
張田騎手と言えば、現在はJpnⅠ2勝馬カジノフォンテン(船橋・山下貴之厩舎)とのコンビでも有名です。「カジノとの出会いで騎乗ぶりも変わってきたと思います」と、息子の騎手としての成長に信頼を寄せる張田調教師。
「スタートのいい馬なのである程度の位置は取れると思いますが、中央馬が入るとペースが全く読めないので、あとは騎手に任せます」(張田調教師)。■ギガキング
ホッカイドウ競馬時代には盛岡競馬場の遠征競馬で重賞・南部駒賞を優勝し、南関東では東京湾カップを圧勝。道中5,6番手から早め進出し、最後の直線ではのちの東京ダービー2着馬ギャルダルに5馬身差をつけ、南関東の重賞初勝利を飾りました。その後の東京ダービーは、2番手から進め最後は伸び切れず6着。
「残念でした。結果論ですが、久しぶりに前目の競馬をして戸惑ったのか、普通はあそこで下がってしまったらもっと下がると思いますが、また伸びてきたのでバテている訳ではないんじゃないかなと思っています。気性は課題ですね。レース後も元気はいっぱいで、馬の体力があるのでへこたれません。
今回は中央馬も相手にしますが2000mも2回目になるので、最後まで集中して走ることができれば、ヒケの取らない力はあると思っています」(稲益貴弘調教師)。<中央馬の顔ぶれ>
■ウェルドーン
関東オークスは初物尽くしの中、3番手から押し上げ、逃げるケラススヴィアを抑えて優勝しました。東京ダービー馬と同じ父ヘニーヒューズ。JDD牝馬優勝は史上初。
■ゴッドセレクション
1勝クラスと伏竜Sを圧勝し、断然の1番人気だった前走の兵庫チャンピオンシップは、2番手から早め先頭に立つも、リプレーザに交わされ半馬身差の2着でした。
■スマッシャー
坂井瑠星騎手とのコンビで、ユニコーンSは豪快に差し切って、重賞初制覇。この末脚が、大井コースでもどのくらい発揮されるか楽しみです。一気の距離延長も鍵。
■ダノンブレット
新馬戦は芝のレースに出走しましたが、それ以降はダート戦で安定した走りが続き、持ち味の末脚を生かしています。重賞初挑戦ですが、距離経験(2100m)は魅力。
■リプレーザ
未勝利戦、芝の1勝クラス、兵庫チャンピオンシップと、目下3連勝中で勢いにのります。前走は初の地方コースや一気の距離延長がありながらも勝負強さを発揮。
■ロードシュトローム
2歳未勝利戦の中京ダート1800m戦で逃げ切り、勝ちタイム1分53秒5(良)は2歳コースレコードを樹立。距離経験はあり、持ち前のスピードで押し切りたいところ。
■ロングラン
中山ダート1800m戦の未勝利戦と1勝クラスで優勝。スタートはゆっくりも、いずれも後方から脚を伸ばす内容。地方は初参戦で、終いの脚を生かせるでしょうか!
*ジャパンダートダービーの情報は、南関魂でもお伝えしていきます!
第23回 ジャパンダートダービー(JpnI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)
■ブライトフラッグ 牧場7/10坂路 600m-37.9秒 200m-12.0秒 強めに ■ジョエル 船橋7/10右不 1000m-66.2秒 800m-49.6秒 600m-36.6秒 一杯追 ■ギガキング 船橋7/10右不 1000m-66.2秒 800m-49.6秒 600m-36.6秒 一杯追 ■ウェルドーン 栗東7/7CW良 1200m-81.7秒 1000m-65.9秒 800m-51.4秒 600m-37.9秒 200m-12.3秒 馬なり ■ゴッドセレクション 栗東7/11坂路 800m-53.2秒 600m-37.9秒 200m-12.3秒 末強めに ■スマッシャー 栗東7/7CW良 1200m-88.7秒 1000m-71.0秒 800m-55.3秒 600m-42.3秒 200m-12.1秒 馬なり ■ダノンブレット 美浦7/8W稍 1000m-67.8秒 800m-53.2秒 600m-39.5秒 200m-13.4秒 馬なり ■リプレーザ 栗東7/8坂路 800m-55.5秒 600m-40.2秒 200m-13.0秒 馬なり ■ロードシュトローム 栗東7/7CW良 1200m-83.8秒 1000m-66.7秒 800m-51.0秒 600m-37.7秒 200m-12.3秒 一杯追 ■ロングラン 美浦7/11W重 1000m-69.4秒 800m-54.1秒 600m-40.5秒 200m-12.7秒 馬なり -
高橋華代子のレースレポート
南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中
<第23回 ジャパンダートダービー(JpnI)>
優勝インタビュー動画はこちら
今年23回目を迎えた南関東3冠目のジャパンダートダービーJpnⅠ。3歳ダート王決定戦としても定着し、全国からこれからのダート界を担っていく猛者たちが集まりました。
中央からはユニコーンSの覇者スマッシャーを筆頭に、兵庫チャンピオンシップの勝ち馬リプレーザと2着馬ゴッドセレクション、関東オークス馬ウェルドーンなど。
迎え撃つ南関東勢からは、東京ダービー馬・2着馬、羽田盃馬不在も、東京ダービーでは僅差の走りを見せた3着のブライトフラッグと4着馬ジョエルがそろって参戦。
そんな中、多くの人たちに衝撃を与えたのは、仲野光馬騎手がエスコートをした12番人気キャッスルトップ(船橋・渋谷信博厩舎)。単勝万馬券。人馬ともに重賞初勝利がJpnⅠ制覇という大仕事をやってのけました。
「馬もどんどん成長していて、悪いところがないくらいにとても順調でした。前はスタートで遅れていましたが、ゲートで尾っぽを取るようになってからハナを切れるようになって、最後も来られたらまた伸びる形で勝負根性を発揮してくれるようになりました。
光馬が怪我をして内田利雄騎手に乗って頂いて初勝利を挙げましたが、その時に、『初コースに行くと能力以上の力を発揮する馬もいる』と言っていたので、それも出走する決め手になりました。最初はジャパンダートダービーと船橋の自己条件との両睨みだったので」(渋谷調教師)。
大井競馬場の騎乗自体が1年9か月振りだった仲野騎手は、このレースに向けてかなり入念に研究して臨んだそうです。
様々な場面を想定した上で、「こういう競馬になればいいなぁと思っても、そうならないのが競馬です。でも、今回は全てがうまくいってしまいました。返し馬も、川崎遠征では馬がパニックになって力を出し切れませんでしたが、今回はドシッとして成長を感じたので、僕自身も気持ちが楽になりました」(仲野騎手)。
キャッスルトップは8枠12番から積極的にハナを切っていくと、少し離れた2番手にロードシュトローム、さらに離れた3番手にはゴッドセレクション、すかさずウェルドーンなどが続いていきました。前半600mは35秒6というハイペースで進めていくと、そこから2ハロンが13秒台。
「馬が自分から反応してくれて、スタートして一歩目でハナに行けると思いました。スタートで気合をつけてもそこから引っ掛かっていく馬ではなくて、周りに馬がいなくなると自分からフワ~ッとハミが抜けます。ペースを自然に落とせることはわかっていたので、自分が落としたというよりも、そこは馬に任せました」。
馬群は縦長から、3コーナー手前には固まる展開。先頭のまま4コーナーに入ると中央勢も迫ってきましたが、そこからの粘り強い走りは感動的でした。
「一気に来られるのは嫌だったので、3コーナー手前でそろそろ来てくれないかなと思っていました。他の馬たちが来たら自分からハミを取ってくれて、その後は本当に渋太く頑張ってくれていたので頭が上がりません。僕も必死だったので、『ここまできたらもう少し頑張ってくれ!!!』と言いながら追いました」。
キャッスルトップは、アタマ、アタマ、クビ差で、中央勢の追撃を振り切りました。勝ちタイムは2000m2分5秒9(やや重)。2着がゴッドセレクション、3着はウェルドーン。
仲野騎手は高校卒業後に地方競馬教養センターの騎手試験に合格したものの、卒業間際に体重調整が厳しくなり、この道を断念。別の仕事をしていましたが騎手になる夢を諦めきれず、船橋競馬場の調教専門厩務員として働き始め、4年の歳月をかけて一発試験に合格し、24歳で騎手デビュー。デビューしてから丸7年、怪我などが多く、自身45勝目でJpnⅠジョッキーに!
一方、キャッスルトップは昨年10月に船橋競馬場からデビューするも、初勝利までに9戦を要し、そこから一気に4連勝。5月の段階では3歳の下のクラスで走っていた馬が、2か月後にはJpnⅠ馬に!
競馬って、夢がありますね。
<他陣営のコメント>
2着 ゴッドセレクション 中井裕二騎手
「すごく悔しいです。今回からブリンカーを外して、良くも悪くも繊細な馬なので返し馬から丁寧に臨みました。有力所が僕の後ろにいたのでできる限り動き出しを焦らずに心掛けましたが、結果的にはノーマークだった馬が勝ちました。勝った馬はとても根性のある馬なので負けてしまいましたが、すごい地方馬がいるんだなぁと思いました。またリベンジしに帰って来ます!」
3着 ウェルドーン 武豊騎手
「惜しかったですね。馬は前回よりも良く感じて、乗るたびに強くなっています。最後は交わす感じはあったけど、残り100mから全く同じ脚色になってしまいました。男馬相手で外を回る競馬になりましたが、立派だったと思います」
4着 スマッシャー 坂井瑠星騎手
「ポジション的にはイメージ通りで、道中あまりにもスローになって、勝負所で一気に速くなった時に少し置かれてしまった感じで、力負けではないと思います」
5着 リプレーザ 幸英明騎手
「思ったよりも前の方で競馬ができましたし、4コーナーで前に取りついた時には、これなら!という感じでしたが、最後に伸びを欠いたのは、大井の馬場なのか?距離なのか?それでも差がなかったですし力のある馬です」
6着 ロードシュトローム 松山弘平騎手
「2番手から自分の形の競馬はできて、最後までよく頑張ってくれていると思います」
7着 ブライトフラッグ 本橋孝太騎手
「砂をかぶっていないこともあってか、1コーナーで行きたがってしまいました。もっと折り合えばもう少し脚を使えたんじゃないかなと思います」
8着 ジョエル 張田昂騎手
「ずっと窮屈な競馬になってしまい、力は出し切れませんでした」
9着 ロングラン 大野拓弥騎手
「前走よりもリズム良く道中は運べたかなと思います。ただ、直線を向いて手応えの割にちょっとだらけてしまったので、距離の壁を感じました」
10着 ギガキング 和田譲治騎手
「出たなりで競馬をしようと思って、あのポジションになりました。砂も大丈夫で、手応え良く回って、終いもあの仔なりにジリジリ伸びてきました」
11着 セイカメテオポリス 矢野貴之騎手
「レースでは4コーナーくらいでは来そうな感じもありましたが、道中手応えが良くない分、最後もバラけてしまいました。ダービーも本来の走りではなかったし、こんなものではない馬です。1800mくらいまでの方がより持ち味は発揮できると思います」
12着 キラカイドウ 的場文男騎手
「外にもたれて乗りづらかったですね。距離はもっと短い方がいいと思います」
13着 ダノンブレット 横山典弘騎手
「頑張ってはいます。まだ気持ちも幼いし、いろんなことでいい経験になったんじゃないかなと思います」
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回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手 23 令3 キャッスルトップ 牡3 仲野 光馬 22 2 ダノンファラオ 牡3 坂井 瑠星 21 令元 クリソベリル 牡3 川田 将雅 20 平30 ルヴァンスレーヴ 牡3 M.デムーロ 19 29 ヒガシウィルウィン 牡3 本田 正重 18 28 キョウエイギア 牡3 戸崎 圭太 17 27 ノンコノユメ 牡3 C.ルメール 16 26 カゼノコ 牡3 秋山 真一郎 15 25 クリソライト 牡3 内田 博幸 14 24 ハタノヴァンクール 牡3 四位 洋文 13 23 グレープブランデー 牡3 横山 典弘 12 22 マグニフィカ 牡3 戸崎 圭太 11 21 テスタマッタ 牡3 岩田 康誠 10 20 サクセスブロッケン 牡3 横山 典弘 9 19 フリオーソ 牡3 今野 忠成 8 18 フレンドシップ 牡3 内田 博幸 7 17 カネヒキリ 牡3 武 豊 6 16 カフェオリンポス 牡3 柴田 善臣 5 15 ビッグウルフ 牡3 武 豊 4 14 ゴールドアリュール 牡3 武 豊 3 13 トーシンブリザード 牡3 石崎 隆之 2 12 マイネルコンバット 牡3 大西 直宏 1 11 オリオンザサンクス 牡3 早田 秀治