重賞レース

第44回 京浜盃(SII)

  • 2021年3月24日(水)
  • 16:10発走
第44回優勝馬:チサット号

4月のクラシック戦線開幕を間近に控え、3歳のトップクラスが勢揃いします。数多くのクラシック馬を輩出している伝統のレースで、地元デビューの素質馬だけでなく、初めてTCKコースに参戦する他場の所属馬や、他地区から転入した馬の走りなど、クラシックロードを占う上で注目の一戦です。
<上位3頭に羽田盃の優先出走権を付与>

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    <第44回 京浜盃(SII)>
    (3月17日現在)

    アランバローズ
    5戦5勝。昨年は全日本2歳優駿などを勝ち、NARグランプリの2歳最優秀牡馬を受賞。今回は放牧休養明けで、昨年の2歳チャンピオンホースがいよいよ始動します。

    ランリョウオー
    一度も3着以下がない堅実な走りが続きます。昨年は全日本2歳優駿とハイセイコー記念でアランバローズに敗れて2着。前走の雲取賞で念願の重賞ウイナーの仲間入り。

    トランセンデンス
    北海道時代はJBC2歳優駿で僅差の2着になり、重賞戦線で好走。南関東移籍後はニューイヤーカップで優勝し、初コースだった前走の雲取賞はランリョウオーの2着。

    マカベウス
    北海道と南関東で大活躍した女傑ショウリダバンザイの息子。自身も平和賞を優勝し、タイトルを獲得しました。昨年のハイセイコー記念以来となる放牧休養明けの一戦。

    チサット
    こちらも、北海道と南関東で大活躍した女傑ネフェルメモリーの息子。チサット自身も北海道からの移籍馬で、南関東移籍後は連勝中で他馬を圧倒。南関東の重賞初挑戦!

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    <第44回 京浜盃(SII)>

    (3月22日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■アランバローズ
    *船橋 林正人 厩舎 牡3歳
    *成績 5戦5勝2着0回
    *重賞タイトル
     全日本2歳優駿(JpnI)(2020)
     ハイセイコー記念(SI)(2020)
     ゴールドジュニア(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年は全日本2歳優駿JpnⅠなど重賞3勝を含む、5戦5勝と負けなし。NARグランプリ2020・2歳最優秀牡馬を受賞しました。南関東所属馬限定で言えば、無敗で全日本2歳優駿を制したのは、トーシンブリザード以来20年振りの快挙。

     アランバローズは430キロ台と小柄な馬ですが、林正人調教師によると、軸がしっかりしているために馬がぶれない走りができるそうで、人間で言えば、体幹がしっかりしているタイプとのこと。

     全日本2歳優駿は主戦の左海誠二騎手を背に、好スタートを切り、ハナにこだわってはいなかったそうですが二の脚が速かったためスーッとハナへ立ち、大きく縦長の展開。

     躍動感たっぷりに駆けていき、勝負所からさらに後続との差を広げると、最後は中央馬たちが入った中でも独走状態で、2着のランリョウオーに5馬身差。勝ちタイムは1600m1分40秒7(良)。強すぎました!

     その後は、クラシック戦線に備え放牧休養に入り、今回は3か月振りの実戦。2月中旬に船橋競馬場へ帰厩し、これまで通りのトレーニングメニューを順調にこなしてきたそうです。状態次第で羽田盃直行プランもありましたが、好仕上がりのため、この前哨戦から始動。

     「休み前と大きな変化はありませんが、跳びが力強くなって、追い切りの上がりもいい時計を出してくれました。休み明けの分、全日本2歳優駿と比較すれば割引きですが、それを言い訳にはできないですし、できることをちゃんとやって、いい感じでレースを迎えられます」(林調教師)。

     今回は距離延長も非常に興味深いところ。これから距離が延びていく上で、まずは1700m戦での戦い方もポイントです。

     「全日本2歳優駿の脚色を見ていると最速で上がっているし、大丈夫という判断で出走させますが、競馬場自体が違うので、やってみないとわからない部分はあると思います」。

     昨年の2歳チャンピオンホースがいよいよ始動。ここでどんな走りをしてクラシック戦線に向かっていくのか、ワクワクします!

    ■ランリョウオー
    *浦和 小久保智 厩舎 牡3歳
    *成績 8戦5勝2着3回
    *重賞タイトル
     雲取賞(SIII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     全日本2歳優駿はどうしても優勝したアランバローズがクローズアップされますが、このランリョウオーも2着に入り、中央馬たちに先着して素晴らしいパフォーマンスを見せました。

     宿敵とも言えるアランバローズに敗れ重賞勝ちは逃してきたものの、前走の雲取賞は放牧休養明けながら力の違いを見せつけるような走りで、タイトルホルダーの仲間入りを果たして勢いにのります。さぁ、この京浜盃でアランバローズとの再戦!!!

     「休み明けを一度使ったという上積みが全てにおいてありますね。最終追い切りは野田トレセンの馬場で行いましたが、自身の意思でかなり動いています。首を動かさない個性的な走り方をする馬ですが、それで長距離戦を得意にしているのは、珍しいと思います。

     全日本2歳優駿の時はまだ真っすぐ走れないような状態で、今回は前回よりも上積みがある分、アランバローズに近づいてくれると思っています」(小久保智調教師)。

    ■トランセンデンス
    *浦和 小久保智 厩舎 牡3歳
    *成績 9戦2勝2着3回
    *重賞タイトル
     ニューイヤーカップ(SIII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     北海道時代はJBC2歳優駿で2着になり、南関東移籍後は、ニューイヤーカップで念願の重賞勝ちを収めました。決してその条件が向くタイプとは見られていませんでしたが、それでしっかり勝ち切ったところは地力の高さとも言えるでしょう。

     その後の雲取賞は自厩舎のランリョウーから0.6秒差の2着。

     「北海道から来て、その後はニューイヤーカップも使って、雲取賞は強行軍の中で疲れも抜けていなかったんだと思います。今回の方が具合はかなりいいですね。その分、前回より終いも切れるだろうし、ランリョウオーにもっと近づけると思っています。距離が延びていい馬ですし、これからの馬なので期待しています」(小久保調教師)。

     小久保厩舎からは、安定感抜群のジョーロノも出走するので、3頭出しです。

    ■マカベウス
    *船橋 米谷康秀 厩舎 牡3歳
    *成績 5戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     平和賞(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     北海道と南関東で大活躍したショウリダバンザイの息子。自身も平和賞を勝って重賞初制覇を収めると、ハイセイコー記念は5着に敗れました。放牧休養に出て、2月中旬に帰厩し、今回は4か月振りの実戦です。

     「精神面は大きく変わっていませんが、体重は増えていても重め感はないので成長分です。休み明けでも乗り込み量は豊富で、まだ気持ちの入り切っていないようなところはありますが、本番に行けば走ってくれると思うので、いい結果は出せる状態に仕上がっています。

     みんながそうだと思いますが最終目標は東京ダービーなので、そこに向けてもどんな走りをしてくれるのか楽しみです。距離は延びた方が競馬はしやすいタイプだと思います」(米谷康秀調教師)。

     主戦の本田正重騎手が騎乗停止中のため、今回は米谷厩舎と相性抜群な真島大輔騎手が騎乗します。

    ■チサット
    *大井 佐宗応和 厩舎(小林) 牡3歳
    *成績 11戦4勝2着3回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     こちらも、北海道と南関東で大活躍したネフェルメモリーの息子。北海道時代は2勝を挙げると、南関東では2戦2勝。前走の若獅子特別は二の脚速く先手を取っていくと、最後は後続馬に7馬身差をつける圧勝。勝ちタイムが1600m1分40秒7(良)。

     「もまれた時にどうなるかはまだわかりませんが、奥深い馬です。自分で抜くところは抜いて、直線は反応が良くて、競馬が上手なところがいいですね。大きいところを勝ったらいいなぁと、思える馬です」(笹川翼騎手)。

     南関東の重賞は初挑戦で、未知の魅力がたっぷりです!佐宗調教師自身も騎手時代、22年前の京浜盃でケイシュウエクセルとのコンビで惜しい2着だった思い出深いレース。

     「(チサットは)普段はそこまでずば抜けた走りはしないのですが、レースに行くとあっさりあの時計で走ってくれるので実戦型ですかね。今回も前走くらいの状態です。これまでと相手もペースも違いますが、どんな競馬をしてくれるか楽しみです。番手でも競馬はできるので、先行にこだわらず出たなりになるでしょうね」(佐宗調教師)

    *京浜盃の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第44回 京浜盃(SII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■アランバローズ
    船橋3/19右良 1000m-68.5秒 800m-49.7秒 600m-35.4秒 馬なり
    ■ランリョウオー
    浦和3/18右良 800m-54.5秒 600m-38.3秒 末強めに
    ■トランセンデンス
    浦和3/19良 800m-54.0秒 600m-39.0秒 一杯追
    ■マカベウス
    船橋3/20右良 1200m-82.2秒 1000m-66.4秒 800m-51.2秒 600m-38.0秒 一杯追
    ■チサット
    小林3/19良 1000m-65.0秒 800m-49.5秒 600m-37.3秒 強めに
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    <第44回 京浜盃(SII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     南関東クラシック戦線に向けて非常に重要な一戦、京浜盃(SⅡ、1700m)。前哨戦とは言え本番さながらの豪華メンバーが集ったことでも話題を集めました。

     昨年の全日本2歳優駿などを勝ち、2歳チャンピオンホースに輝いたアランバローズが、ここから始動。

     さらには、雲取賞馬ランリョウオーや、ニューイヤーカップの勝ち馬トランセンデンス、平和賞の覇者マカベウス。このタイトルホルダーたちに、中央の新馬戦を圧勝した移籍緒戦のイグナイター、連勝中のチサットなども加わり、役者たちがそろいました。

     「ハイレベルなメンバーの中でもこういう競馬ができてちょっとびっくりしました。決してロスなく乗っている訳ではなく、むしろロスが多かったので、内容的には最高の競馬になりました。言うことはありません!」と、チサットに騎乗した笹川翼騎手は愛馬の走りを絶賛。

     南関東クラシック戦線に、ニュースター候補が誕生しました。チサットはホッカイドウ競馬デビュー馬で、重賞レースでも好走。大井の佐宗応和厩舎<小林>へ移籍後は、2戦2勝と圧勝続き。南関東では重賞初挑戦でも3番人気に推されていたのは、この馬への期待度の高さでしょう。一気にタイトルホルダーの仲間入りを果たしました!

     レースは、人気を集めていたアランバローズやトランセンデンスが、スタートで後手を踏み後方から進めるという波乱の幕開け。持ち前のスピードを生かしてジョーロノがハナを切っていくと、イグナイターやピースフラッグがすかさず好位につけていき、チサットは中団。

     「並びがゴチャゴチャして後手に回らざるを得ない形になって、うまく誘導してあげられませんでした。ごちゃついたところではハミを取る感じは薄くなりましたが、この馬のいいところは反応の良さで、促したらすぐに行ってくれるようなギアを持っています。

     そこからリカバリーができてうまく立ち回ってくれました。元々のポテンシャルの高い馬ですが、総合力の高さでカバーしてくれた部分もあるし、本来ならもっと強かったと思います」(笹川騎手)。

     厳しい競馬になりながらも、勝負所からステッキが入って外を回りながらもグーンと進出。最後は38秒1の一番の上がりでライバルたちを差し切りました。1700m1分46秒8(やや重)と好時計をマーク。

     好位から早め先頭に立った2着のイグナイターは、1馬身4分の1差で2着。3着はマカベウス。この3頭が、南関東1冠目・羽田盃への優先出走権を手にしました。

     ここ数年のクラシック戦線は、南関東にゆかり深い馬たちが非常に活躍しています。チサットの母ネフェルメモリーは、2009年の南関東牝馬2冠馬(桜花賞、東京プリンセス賞)で、東京ダービーでは1番人気になったほど。

     曾祖母は1992年の羽田盃と黒潮盃を制したカシワズプリンセス。チサットにとって4代母に当たるシャドウ(カシワズプリンセスの母)は、1979年に南関東牝馬2冠馬(桜花賞と関東オークス)となり、キヨフジ記念(現在のエンプレス杯)なども制した名牝。

     2着のイグナイターの母ビアンコも大井所属だったことのある馬で、3着のマカベウスの母ショウリダバンザイは、桜花賞や道営記念などを制している女傑。

     一戦ごとにインパクトたっぷりな姿を見せているチサットが、本番ではさらにどんな強さを見せてくれるでしょうか?!そして、タイトルホルダーたちの巻き返しや、移籍緒戦を好走したイグナイターと、大混戦ムードがより増した今年の南関東クラシック戦線。今から待ち遠しいです!



    <他陣営のコメント>

    2着 イグナイター 矢野貴之騎手
    「気がいいタイプ。精神的に幼いので、今後はゲートの出し方や折り合いを考える必要性はありそうです。外の4頭目になりそうで早め先頭に立つ形になりましたが、この強気の競馬でも2着なので、力はありますね。ベストは1700mから1800mくらいかな」

    3着 マカベウス 真島大輔騎手
    「休み明けの分、最後の反応は良くなかったですが、次は良くなりそうですね。初めて乗せて頂きましたが、乗りやすいし、馬自体の張りもあって、いい馬ですね!」

    4着 トランセンデンス 森泰斗騎手
    「スタートでトモを滑らせました。最後は差してきていますが、あれだけ遅れてしまうと……」

    5着 ランリョウオー 本橋孝太騎手
    「見えない疲れもちょっと残っていたのか、いつもより早めに頭が上がったり、4コーナーでは手前もやっと替えていました。この馬の走りはこんなものではありません!巻き返したいです!」

    6着 セイカメテオポリス 御神本訓史騎手
    「スタートが良すぎて結果的には外に弾かれて、内に入れられず後ろからになりました。もう少しちゃんと競馬ができていれば、掲示板はあったと思います」

    7着 ワールドリング 張田昂騎手
    「成長段階なので、まだまだこれからの馬です」

    8着 ピースフラッグ 山崎誠士騎手
    「久しぶりの分もあって、反応はもう少しでしたね。右回りは問題なかったですが、距離はもしかしたらもう少し短い方が持ち味は生きるかもしれません」

    9着 アランバローズ 左海誠二騎手(1番人気)
    「スタートで後手を踏んで、気の小さい馬で怖がりな面もあるので、初めて砂をかぶってずっと嫌々していました。すんなりした競馬ならわからなかったですね。今日は残念でしたが、仕切り直して、羽田盃は自分の形で巻き返したいです」

    10着 ジョーロノ 今野忠成騎手
    「距離の心配もあったので、そんなに無理せず自分の形を作れればなぁと思っていましたが、2コーナーくらいから他馬にこられて、息が入りませんでした」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    44 令3 チサット 牡3 笹川 翼
    43 2 ブラヴール 牡3 本橋 孝太
    42 平31 ステッペンウルフ 牡3 御神本 訓史
    41 30 ヤマノファイト 牡3 本橋 孝太
    40 29 ヒガシウィルウィン 牡3 森 泰斗
    39 28 タービランス 牡3 森 泰斗
    38 27 オウマタイム 牡3 左海 誠二
    37 26 ハッピースプリント 牡3 吉原 寛人
    36 25 ジェネラルグラント 牡3 石崎 駿
    35 24 パンタレイ 牡3 森 泰斗
    34 23 クラーベセクレタ 牝3 戸崎 圭太
    33 22 ジーエスライカー 牡3 戸崎 圭太
    32 21 ナイキハイグレード 牡3 戸崎 圭太
    31 20 ディラクエ 牡3 今野 忠成
    30 19 トップサバトン 牡3 御神本 訓史
    29 18 サワライチバン 牡3 内田 博幸
    28 17 シーチャリオット 牡3 内田 博幸
    27 16 ベルモントストーム 牡3 石崎 隆之
    26 15 ナイキアディライト 牡3 石崎 隆之
    25 14 ノムラリューオー 牡3 石崎 隆之
    24 13 トーシンブリザード 牡3 石崎 隆之
    23 12 アイアイアスリート 牡3 脇本 一幸
    22 11 オリオンザサンクス 牡3 早田 秀治
    21 10 ゴールドヘッド 牡3 的場 文男
    20 9 キャニオンロマン 牡3 吉井 竜一
    19 8 ナイキジャガー 牡3 的場 文男
    18 7 ジョージタイセイ 牡3 藤村 和生
    17 6 スペクタクル 牡3 張田 京
    16 5 ブルーファミリー 牡3 的場 文男
    15 4 カシワズプリンセス 牝3 高橋 三郎
    14 3 アーバントツプ 牡3 田部 和廣
    13 2 アウトランセイコー 牡3 高橋 三郎
    12 平元 ロジータ 牝3 野崎 武司
    11 昭63 ナスノダンデー 牡3 宮浦 正行
    10 62 クリノロイヤル 牡3 石崎 隆之
    9 61 ハナキオー 牡3 堀 千亜樹
    8 60 マルゼンアデイアル 牡3 的場 文男
    7 59 ステートジヤガー 牡3 山口 勲
    6 58 サンオーイ 牡3 高橋 三郎
    5 57 ホスピタリテイ 牡3 西川 栄二
    4 56 コーナンルビー 牝3 堀 千亜樹
    3 55 タガワテツオー 牡3 高橋 三郎
    2 54 ダイシンプリンス 牡3 成田 清輔
    1 53 ハツシバオー 牡3 宮浦 正行