重賞レース

第13回 勝島王冠(SII)

  • 2021年12月8日(水)
  • 20:10発走
第13回優勝馬:コズミックフォース号

レース名称はTCKの所在地(品川区勝島)に由来します。年末の東京大賞典へのステップレースとして2009年に準重賞から重賞となり、さらに2018年からはグレードが「SIII」から「SII」に格上げされました。年末の大一番を目指す南関東の有力馬がひしめく、ハイレベルで注目度の高いレースです。
<優勝馬に東京大賞典の優先出走権を付与>

  • 注目馬情報
  • 重賞直前情報
  • レースレポート
  • 歴代優勝馬
  • 高橋華代子の注目馬情報

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第13回 勝島王冠(SII)>
    (11月30日現在)

    セイカメテオポリス
    大井生え抜き馬。2走前の戸塚記念でうれしい初タイトルを獲得し、クラシック戦線の悔しさを晴らす結果になりました。素質馬開花!今回は初の古馬戦に挑戦です。

    フィアットルクス
    中央未勝利から大井入りしコツコツと走り続けながら、今年のブリリアントカップで重賞初制覇!前走は初の浦和コースでもう一歩、今回は慣れた大井コースで改めて。

    ゴールドホイヤー
    昨年の羽田盃馬で、今年の報知グランプリカップも優勝。休養後はこの馬らしさが見られませんでしたが、前走のサンタアニタトロフィーで復活を予感させる2着でした。

    トランセンデンス
    今年の羽田盃とニューイヤーカップの勝ち馬。前走の埼玉新聞栄冠賞は自身初の逃げる形で9着。今回は羽田盃と同距離で古馬戦は2度目、巻き返しを図ります。

    コズミックフォース
    3年前の東京優駿は優勝馬ワグネリアンから0.2秒差の3着。昨年末から南関東に移籍し、オープン戦を好タイムで連勝中。重賞でどんな走りを見せるでしょうか!

    リッカルド
    中央の重賞ウイナーですが、南関東移籍後も重賞4連勝。10歳になった今もなお勝ち星を挙げています。若かった頃は濃いグレーだった毛色も、今ではすっかり真っ白に。

  • 高橋華代子の重賞直前情報

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第13回 勝島王冠(SII)>

    (12月6日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ゴールドホイヤー
    *川崎 岩本洋 厩舎 牡4歳
    *成績 14戦6勝2着1回
    *重賞タイトル
     報知グランプリカップ(SIII)(2021)
     羽田盃(SI)(2020)
     雲取賞(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ここまでの重賞勝ちは全て1800m戦で、昨年の雲取賞と羽田盃を連勝し、今年の報知グランプリカップも制覇。ササ針休養明けを一度使い2戦目だった前走のサンタアニタトロフィーは、主戦の山崎誠士騎手を背に道中は中団後方から、最後は間を割って進出し、優勝したトロヴァオから0.3秒差の2着でした。

     「復調してきましたね。前回はやめてしまった所もありましたが、今回は集中していました。内回りも対応できましたが、本来なら大井1800m戦の外回りの方がいいと思います」(山崎騎手)。

     能力の高さは関わる皆さんが惚れ込んできた馬ですが、最近はもう少しの成績が続いただけに、生え抜きクラシックホースの久しぶりの好走はうれしい出来事。

     その後は勝島王冠に向けじっくり乗り込んできたそうで、最終追い切りは大井競馬場で、同じ川崎のマンガンと併せてすばらしい動きを見せていたそうです。

     「やり過ぎないように気をつけましたが、動きも時計も満足のいくもので、報知グランプリカップや前走以上の仕上がりだと思います。ズブさ解消で前走は耳覆いを外して、いつも以上に反応が良かったことも功を奏したと思います。乗り方は出たところで誠士(山崎騎手)に任せます。相手も強くなりますが、どんな走りをしてくれるか」(岩本洋調教師)。

    ■コズミックフォース
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡6歳
    *成績 18戦5勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     コズミックフォースは中央時代にプリンシパルSを勝ち、日本ダービー3着になった馬。昨年末から南関東へ移籍し、藤田輝信厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを積んでいます。

     ここ2戦は御神本訓史騎手が手綱を取り、オープンレースで2戦2勝。

     前走の武蔵野オープンは、道中3番手から、勝負所で逃げるハルディネロに並びかけると、直線では先頭に立ち後続を引き離しました。ハルディネロはのちのサンタアニタトロフィー3着馬。勝ちタイムは1600m1分38秒1(良)。「競馬が上手でレベルの高い馬」と、御神本騎手も評しています。

     実績で言えば、出走メンバーの中でナンバー1。この舞台で重賞初制覇を決めることはできるでしょうか!

     「前走は力でねじ伏せるような勝ち方で、時計も速かったですよね。大井の1600m戦は内回りコースでトリッキーな面もあるので、1800m戦の方がより能力が出せると思っています。ポテンシャルはかなり高い馬ですし、楽しみにしています」(藤田調教師)。

    ■フィアットルクス
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡6歳
    *成績 28戦14勝2着3回
    *重賞タイトル
     ブリリアントカップ(SIII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     藤田厩舎は楽しみな馬たちを2頭出し。フィアットルクスは中央時代に8戦未勝利。その後移籍すると、大井競馬場のダートコースで毎朝の調教を積み重ね、C2クラスからコツコツとクラスを上げ、今年のブリリアントカップを優勝。

     「勝負所での進みはあまりいい方ではありませんが、根性のある馬」と主戦の本橋孝太騎手。中央未勝利馬が南関東重賞ウイナーになったことは大きな話題になりました。

     その後も放牧休養を挟みながら常に高いレベルで走り続けているのは力のある証。しかし、前走の埼玉新聞栄冠賞は南関東に移籍後初めての大井競馬場以外のレースで、南関東では初めて掲示板を外す結果(8着)に終わりました。

     敗因としては、そもそもコーナーの進みが良くないタイプなだけに、浦和コースは向かず、大井のような直線の長いコースの方がいいとのこと。今回は走り慣れた大井コースで1800m戦というのも、ブリリアントカップを勝った時と同じ条件。

     「前走は砂をかぶったことで、レース後に目をショボショボさせていて、乗り出しが遅くなりました。その分、リフレッシュできて馬の状態は良くなっていて、気合ものって元気いっぱいです。(大井では)1800m戦は負けなしですし、期待を持って臨みたいです」(藤田調教師)。

    ■トランセンデンス
    *浦和 小久保智 厩舎 牡3歳
    *成績 14戦3勝2着4回
    *重賞タイトル
     羽田盃(SI)(2021)
     ニューイヤーカップ(SIII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年の羽田盃とニューイヤーカップを勝ち、東京ダービー馬アランバローズとともに、この世代のトップクラスで活躍を続けたトランセンデンス。

     休み明け緒戦だった2走前の戸塚記念は、セイカメテオポリスに屈し惜しくも2着に敗れたものの、東京ダービー(11着)後の一戦だったたけに、改めて力のある所を示しました。

     前走の埼玉新聞栄冠賞は自身初となる古馬戦で、同じ58キロを背負っての競馬。主戦の森泰斗騎手を背に初めて逃げる形になり、3~4コーナーで先輩たちに並ばれながらも食い下がりましたが、控えるアクシデントがあって9着でした。

     「スタートも良かったし、浦和競馬と言うこともあって、奇襲という感じで逃げました。4コーナーで挟まれなければ、もっと上位に来ることができたと思います。3歳馬で先輩たちと同じ58キロを背負って、よく頑張って走ってくれました」と、労っていた森騎手。

     今回は羽田盃と同じ距離の1800m戦で、斤量は前走より3キロ軽くなり55キロ。前回味わった厳しい経験を、ここで生かしたいところ!

     「前走逃げたのはそれだけ馬の元気が良くなってきているということだと思いますが、そもそもは追っかけた方が持ち味は発揮できる馬です。

     今回の条件好転というよりも、馬自体の状態が良くなっています。歩様の硬さもなくなって、クラシックの疲労も抜けてきたなという感じです。包まれる競馬はしたくないので、内枠過ぎるかなという気もしますが、いい競馬はしてくれると思って送り出します」(小久保調教師)。

    ■セイカメテオポリス
    *大井 渡邉和雄 厩舎 牡3歳
    *成績 10戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     戸塚記念(SI)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井生え抜きの重賞ウイナー。素質の高さに定評はあったもののクラシックとは無縁に終わりましたが、2走前の戸塚記念で念願の重賞初制覇!矢野貴之騎手を背に、道中は中団の内を追走し、最後は間を割って鋭く差し切りました。素質馬開花!

     「当初からこの馬は雰囲気が良くて、重賞も狙えるんじゃないかと思っていたので、ひとつ大きいタイトルを取れて非常にうれしいです」(矢野騎手)。

     その後はダービーグランプリへ向かうも、4コーナーで他馬との接触でトモを怪我するアクシデントがあり、不完全燃焼の中でも3着。

     この勝島王冠は古馬たちと初めて戦います。過去12回の中で3歳馬が勝ったのは、プーラヴィーダ(2012年)とモジアナフレイバー(2018年)の2頭。

     「暑さに弱いので、この時期になって馬のコンディションは全てにおいて良くなっています。馬体重も増えていた方がいいです。一週前追い切りでは3頭併せの外から抜群の動きを見せてくれました。来年さらに良くなってくると期待していますが、現状でどのくらいやれるのか。ここまで好成績をあげているのが左回りなので、今の状態で改めて右回りも見てみたいです」(渡邉和雄調教師)。

    *勝島王冠の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第13回 勝島王冠(SII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ゴールドホイヤー
    大井12/3重 1000m-61.8秒 800m-49.5秒 600m-36.3秒 馬なり
    ■コズミックフォース
    牧場12/4坂路 600m-37.7秒 200m-12.0秒 強めに
    ■フィアットルクス
    大井12/4稍 1000m-67.1秒 800m-52.8秒 600m-37.9秒 馬なり
    ■トランセンデンス
    浦和12/3稍 800m-54.3秒 600m-39.0秒 強めに
    ■セイカメテオポリス
    大井12/3重 1000m-67.2秒 800m-53.1秒 600m-38.9秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第13回 勝島王冠(SII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     この勝島王冠は2009年に準重賞から重賞に格上げされ、大井競馬場1800m戦を舞台に、南関東を担う猛者たちが激突。昨年はのちのJpnⅠ馬となるカジノフォンテンが勝ち、その前年には大井生え抜きの星モジアナフレイバーが、ダートグレード競走で活躍する地力を見せつけ連覇を飾りました。

     今年はどんなニュースターが誕生するのか。

     前日からの激しい雨が降り続き、馬場は水が浮くほどの不良馬場。上位人気は拮抗し、単勝1番人気が大井1800m戦のブリリアントカップを完勝しているフィアットルクスで3.9倍。2番人気が日本ダービー3着馬コズミックフォースで4.7倍、3番人気が重賞2勝馬ゴールドホイヤーで4.9倍。

     レースも6頭が固まるような形でゴールになだれ込み、そこを一歩抜け出たのが、御神本訓史騎手が手綱を取ったコズミックフォース(大井・藤田輝信厩舎)でした。「JRAでもすごい成績を残して転厩してきた馬なので、早く1つタイトルをと思っていたので無事に達成できてホッとしています」(御神本騎手)。

     レースはワークアンドラブがハナを切っていき、前半1000mの通過は61秒9。すかさず2番手にノーブルサターン、3番手の外目にフィアットルクス。

     その後ろは3頭が横並びで、内からトランセンデンス、中央からの移籍緒戦だった真っ白い馬体のエルデュクラージュ、その外には再移籍緒戦のリコーワルサー。

     続いて、内からセイカメテオポリス、外にコズミックフォース。「重賞に入っていつものペースとは違うだろうなと思っていましたし、今日の馬場も特殊だったので、周りを見ながらこの馬のリズムを念頭に置いて騎乗しました」。

     中団には9歳アングライフェンと南関東最年長10歳リッカルドが進めていき、結果的には上位に来る馬たちはここまでのポジション。

     先頭から後方まで固まっていた馬群も徐々に広がり、3~4コーナーからリコーワルサーがスーッと先頭に立って最後の直線を迎えると、その後ろからコズミックフォースも追い上げていき、ゴール前には前6頭が固まるような激しい攻防が繰り広げられ、コズミックフォースが差し切ったところがゴール。

     2着のリコーワルサーに半馬身差をつけ、さらに半馬身差の3着が38秒3の一番の上がりで大外から突っ込んできたアングライフェンでした。勝ちタイムは1800m1分53秒1(不良)。

     「3コーナーまではリズム良く進めたので、あとは追ってからどのくらい反応があるのかなという感じでした。前にリコーワルサーがいて、少し離されていたので捕まえきれないかなとも思いましたが、手前を替えてからは一杯になりながらも何とか差し切ってくれたので、この馬の地力に感謝したいです」。

     念願の重賞初制覇を飾ったコズミックフォースは中央時代にプリンシパルSを勝ち、日本ダービー3着になったほどの逸材。昨年末から南関東へ移籍し、藤田厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを積んでいます。

     今年6歳ですがキャリアはまだ19戦。新天地の南関東で肩掛けを初めて獲得した日本ダービー3着馬が、ダートを主戦場にさらにどんな活躍を見せていくのか興味深いです。



    <他陣営のコメント>

    2着 リコーワルサー 真島大輔騎手
    「北海道でも頑張っていたし、今日もすごく頑張ってくれたと思います。あとはこのまま無事にいってくれれば」

    3着 アングライフェン 松﨑正泰騎手
    「4コーナーの手応えは抜群で勝ったと思いましたが、休み明けの分、最後は脚色が一緒になってしまいました。1馬身しか離されていないので勝ちたかったですが、これで負けたら仕方ないと思うくらいのいい競馬ができたと思います」
    *来年10歳、現役続行予定。

    4着 セイカメテオポリス 矢野貴之騎手
    「すごくいい状態で迎えられたし、レースも狭い所を狙って進めることができて、いい競馬ができました。ゴール前にようやくエンジンがかかった感じで、あと50mあれば交わったかもしれません。現状なら距離が長い方がよりいいかもしれませんね」

    5着 トランセンデンス 森泰斗騎手
    「調子が戻ってきているなと思ったし、今日の感じでは古馬とやれる手応えはつかめました。来年は楽しみですね」

    6着 フィアットルクス 本橋孝太騎手(1番人気)
    「コーナーで置かれるところがあるので、3コーナーからペースが流れた分、あそこでじっくり行けていれば、もう少し接戦だったかなと思います」

    7着 リッカルド 石崎駿騎手
    「1コーナーで狭くなった時に反応してハミを取り過ぎたり、4コーナーではうまくさばけなかったので、レース自体はうまく行きませんでした。それでもこの差なので悲観する内容ではありません」
    *来年11歳、現役続行予定。

    8着 ゴールドホイヤー 山崎誠士騎手
    「外回りはいいので期待していましたが残念です。終いはしっかりしていましたが、道中のリズムが良くありませんでした。あの水を浮くような不良馬場は良くなかったですし、気分屋な所があるので、うまくいかないと全力を出し切れませんね」

    9着 マンガン 町田直希騎手
    「この不良馬場というよりは、ガツンとくるところがありませんでした。馬自体の感じは悪くないので、きっかけひとつでまた走ってくれると思うのですが……」

    10着 デアフルーグ 左海誠二騎手
    「返し馬の雰囲気は良かったですが、脚質が後ろからの競馬になりそうなので、この馬場は不利ですね。良馬場なら違う競馬になったかなとも思うし、今日は重めでもあったので、次はもっと違うと思いますよ。こっちでもやれそうです!」

    11着 エルデュクラージュ 本田正重騎手
    「ダイオライト記念も2着にきているので、こっちの馬場適性は問題ないと思いますが、乾いた馬場の方がいいと思います」

    12着 ワークアンドラブ 笹川翼騎手
    「気が向かずにやめちゃいましたね。スタートしてからずっと進んでいかないし、走りが良くなかったです。気持ちの問題ですね」

    13着 ブレスジャーニー 山崎良騎手
    「道中の手応えがもう少しでしたし、末脚を生かせる展開になってうまくはまってくれれば、もっとやれる馬だと思います。良馬場で差しが決まる競馬なら」

    14着 ノーブルサターン 和田譲治騎手
    「初めて乗せて頂きましたが、スタートは良かったので積極的に行こうと思って2番手から進めることができましたが、最後は現状の力差が出ました」

    15着 サブノクロヒョウ 藤本現暉騎手
    「前よりピリッとした感じがありませんでした」

    16着 ドーヴァー 東原悠善騎手
    レース中、鼻出血を発症
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    13 令3 コズミックフォース 牡6 御神本 訓史
    12 2 カジノフォンテン 牡4 張田 昂
    11 令元 モジアナフレイバー 牡4 繁田 健一
    10 平30 モジアナフレイバー 牡3 繁田 健一
    9 29 ディアドムス 牡5 岡部 誠
    8 28 セイスコーピオン 牡6 森 泰斗
    7 27 ムサシキングオー 牡6 笹川 翼
    6 26 ハブアストロール 牡4 左海 誠二
    5 25 ガンマーバースト 牡6 森 泰斗
    4 24 プーラヴィーダ 牡3 戸崎 圭太
    3 23 スマートインパルス 牡4 A.ムンロ
    2 22 スーパーパワー 牡5 真島 大輔
    1 21 セレン 牡4 石崎 隆之