TCKコラム

TCK Column vol.61

夏休み特集~TCKの砂上を駆け抜けたあの馬に会ってきました~ Part1

 暑中お見舞い申し上げます。夏休み真っ只中、競馬ファンの方なら牧場巡りに行っている人も多いかもしれませんね?わたしもその一人。7月17日から21日までの4泊5日で、北海道の牧場巡りに出かけていました。天気が良かったこともあって、もう満喫しまくり!毎年のことながら、南関東で活躍したお馬さんたちに会って、パワーをもらって帰って来ました。今回は、旅で出会ったお馬さんたちの今・・・夏休み特集として3回に渡ってたっぷりご紹介しまーす!

■アジュディミツオーの夏休み


先輩らしく、後輩たちを引き連れています
(先頭 ミツオー)


ミツオーが草を食べているぅ(驚)

 ドバイワールドカップ(6着)に参戦後、かしわ記念当日にお披露目をしたミツオー。その後、静内のカタオカステーブルで疲れを癒していました。6月中旬頃から調教を開始。わたしがちょうどおじゃました時は、1歳の後輩たち(ダーレーのお馬さん)を引き連れて、坂路調教を行っているところでした。普段はとてつもないヤンチャでも、調教になると自分の仕事がわかっていて従順。そんなところはまったく変わりません。ここに来た頃は、これまでの疲れがどーっと出てしまったとか。でも、さすがはミツオー!調教を開始したら、体もどんどんふっくらしてきたそうです。
 朝は坂路を2本乗り、それが終わると昼過ぎまでたっぷり放牧。んっ・・・?ミツオーが青草を食べている!以前から藤川厩務員に「青草が好き」とは聞いていたけれど、自ら進んで草を食べているその姿は非常に新鮮。だって、普段のヤンチャぶりを見ていると、お肉をもりもり食べていますって感じのタイプなんだもんなぁ、ミツオーは(笑)。これで草食動物ということが判明、ホッと一安心(笑)。ただ、青草をむしり取る姿は切れ味満点。普通に草を食べているだけなのに、こんなに迫力溢れているお馬さんは初めて見たかも(笑)。
 カタオカステーブルには、デビュー前の育成段階と新馬勝ちをした後の放牧とで、2回来ています。片岡場長さんは「あの頃に比べたら、だいぶ大人しくなったと思いますよ。自分で体を作るようで、ある程度になると草を食べずに、放牧地の真ん中でよくたたずんでいるんです。そんな姿を見ていると、やっぱり他の馬と雰囲気が違うなぁって思います」
 ちなみに、カタオカステーブルとミツオーの生まれた場所・藤川ファームは目と鼻の先。ちょうどミツオーの放牧されていた場所から、藤川ファームの看板が見えるんです。久しぶりに故郷の空気を吸って、きっとリフレッシュしたことでしょうね。


待っててね

 25日にカタオカステーブルから宮城の山元トレセンに移動。まもなく船橋に帰厩予定です。世界のミツオーに会えるのも、もうすぐですよ!

■アジュディミツオーの母オリミツキネンと弟(父アジュディケーティング)


お乳を飲んで大きくなるぞぉ


ミツオー兄ちゃんに似てる?

 今年のセレクトセールでも話題になりましたね。アジュディミツオーの全弟が、5000万という高値で購買されました。 あまりお母さんにべったりしている訳でもなく、好奇心旺盛なタイプに見えました。お客さんがいても、ドーンと寝転がってお昼寝もしちゃうし、動じない精神力の持ち主かも。気性の激しいところはお兄ちゃん似です。4月14日生まれなのですが、かなり立派な体つきをしています。

■本邦初公開!アジュディミツオーの当歳時(藤川ファームにて)


織戸ご夫妻とミツオー


チビミツオーでしゅ

 ミツオーの織戸オーナーさんから、貴重なお写真を提供して頂きました。2001年6月2日生まれのミツオー。ちょうど生まれて10日後の写真です。オリミツキネンの初仔ということもあり、生まれてすぐはこんなに薄くて小さかったんですねぇ。しかし、秘めたる素質がどんどんあふれていき、今では520キロの雄大な馬体。活躍ぶりはここでは改めて書きません。が、このチョコンとしたチビちゃんが、後々には世界最高峰の舞台へ!これだからお馬さんは止められません、ネ。

■オリオンザサンクス(南関東クラシック/羽田盃・東京ダービー・JDD制覇)


サンクスパパ


3冠馬だぞ!

 サンクスも、早いもので種牡馬生活4シーズン目を迎えました。初年度産駒の中からオリオンザブレイブが新馬勝ちをし、サンクスパパに嬉しい1勝をプレゼントしました。実は今年、サンクスには25頭の花嫁さんが集まりました。これは、今までで一番多いそうです。北海道に所属しているサンクス産駒たちの駆ける姿が、デビュー前にもかかわらず生産者の方々の目に留まったそう。「サンクスは今どこにいるんだぁ?」という話しになったそうなんです。ちなみに、その後のサンクス産駒の勢いは凄い!これまで北海道で5頭がデビューし、3頭が勝ち上がっているんです。これって、物凄いことですよぉ!ちょうど種付けシーズンだったら、花嫁さんの数はさらに増えたと思われますが、その楽しみは来年のシーズンにとっておきましょう。
 引き続き、静内の荒木克己さんの牧場に繋養されているサンクス。昨年秋から、「南関・夜空に輝いた 種牡馬・・・オリオンザサンクス」という大きな看板が牧場入口に掲げられているので、一目でわかるようになっています。
 ちょうどサンクスのクラシック時に、わたしはこの世界に入りました。だからサンクス世代は、勝手に同期だと思っているんです(苦笑)。「サンクスも頑張れ、わたしも頑張る」そんな言葉を投げかけて、サンクスのところを後にしました。こんな自己満足も、牧場巡りの醍醐味です。

■サプライズパワー(11重賞を制した東京ダービー馬)


サプ


リラックスサプ

 「サプ」。長年連れ添った多田厩務員にもファンにも、こんな愛称で親しまれていたサプ。今回、砂上を去ってから初めて会いに行くことができました。
 裂蹄と戦いながらの現役生活でしたが、今ではその具合いもだいぶ良くなったそうです。これまでは蹄に負担をかけないように小さな放牧場で過ごしていましたが、6月頃から広い敷地へ放せるまでに回復したそうですよ。そんな広い空間で気持ち良さそうに青草をほおばっていたサプ。お客さんが来たと思ってか、お食事は中断し、自ら歩み寄ってきました。人懐っこいところは変わっていません。綺麗な体も、もちろん。
 夕方になり、放牧地から馬房に帰るとき。担当者に引かれたサプはいきなりジャンピングをしました。それまですっごく大人しかったのに・・・あーっ!ふと、船橋にいた頃を思い出しました。よく多田厩務員に引かれて、洗い場から馬房に帰るとき、急にジャンピングして元気一杯になったよなぁ、って。そんな癖まで変わらないんだぁ・・・懐かしさがグーッとこみ上げてきました。
 門別の高橋牧場(近々、移動予定です)で種牡馬として過ごしているサプ。いずれ南関東で、ジュニアの走る姿を見せて欲しいですね。

Part2は、種牡馬を引退したベテランさんたちと新米パパさんたち。そして、今年ママになった女傑をご紹介します。お楽しみに!!

高橋華代子
東京シティ競馬中継レポーター
厩舎関係者にファンも多い。