TCKコラム

TCK Column vol.57

アジュディミツオー&内田博幸騎手、ドバイへの挑戦 後編

ドバイの地で・・・

○ ここでは、ドバイ遠征で撮影したさまざまな写真をご紹介していきましょう。

「高層ビルと砂漠」

ドバイは・・・高層ビルやゴージャスなホテルが立ち並ぶ「近未来都市」という言葉がぴったりの、想像以上に大都会。でも、元々は砂漠の何もないところから作り上げてきたので、郊外に出るとすぐに砂漠が広がっているんです。毎年どんどん進化しているというドバイ。至る所で、大規模な建設ラッシュ中でした。

「内田博幸騎手」

ナドアルシバ競馬場をバックに、スーツ姿がばっちり決まっている内田騎手。いつもの勝負服姿ではない、こんな姿がとっても新鮮ですね。3月24日の5レースまで騎乗し、そのまま羽田空港⇒関西国際空港⇒ドバイ国際空港⇒ナドアルシバ競馬場へ。かなりハードな長旅でしたが、飛行機の中ではたっぷり睡眠をとったということで、疲れをまったく感じさせない爽やかな内田騎手でした。

「打ち合わせ中」

川島正行調教師と内田騎手が、ナドアルシバ競馬場の説明を受けているところです。パドックでは?馬場では?スタートでは?どうするか・・・など。その様子を、日本や海外の報道陣が取材をしていました。この写真は真剣な表情ですが、常に笑い声も飛び交う明るい雰囲気。ドバイという土地柄が、そんな雰囲気を作ってくれているのかもしれません。

「ドバイの皆さんも一緒(笑)」

ドバイワールドカップデーのその日・・・たくさんの人たちが競馬場を訪れていました。ちょうどレースを待っている間の皆さんの様子ですが、暑さをしのいで木陰に集まっています。民族衣装を着て芝生に寝転がっているたくさんの人たち・・・装いは違うにしても、日本でもこんな光景よく見かけますよね。競馬の楽しみ方って、共通なんですね(笑)

「パドックの中で・・・」

わたしも日本とはちょっと違う装いで参加してきました。「ナドアルシバ競馬場で、帽子を被らない女性は目立つぞ・・・」と言われていたので帽子を被ってみたんですが・・・帽子を被らない人も結構いたかも(苦笑)。パドックは、ナドアルシバ競馬場のコースをそのまま小さくしたおにぎり型。中には蹄鉄の形をした植木もあって、とてもお洒落でかわいらしかったです。実はここで、口取り写真などが撮影されていました。

「純血アラブ君」

日本にも頭数は少ないのですが、純血アラブがいるということは聞いたことがあります。今回、本物を見るのは初めてでした。個人的に、ドバイワールドカップの次に、楽しみにしていた純血アラブのレース。サラブレッドと比べて、純血アラブは大きく変わったところはないと思うんですが、サイズは小柄ですね。で、耳が少々長いかなぁ…と。(これは個人的な見解のために、真実は定かではありません。苦笑)このお馬さんは、優勝したシェイク・ハムダン所有のマジャニ。力関係がまったくわからなかったので、前髪が茶髪なお馬さんだなぁ…と思っただけで、偶然にもパドックの様子を撮影していたラッキーな写真です(苦笑)。

「ローゼズインメイ」

ドバイワールドカップに優勝したアメリカのローゼズインメイ。ブリーダーズカップクラシック2着の底力を見せつけられました。

「アジュディミツオー、6ミリ歯鉄の勝負鉄」

いつも使っている勝負鉄(レースで使用する蹄鉄のこと)を含めて、3種類の勝負鉄を用意していきました。勝負鉄をどうするか?レース当日の朝まで話し合われましたが、結局はナドアルシバ競馬場の滑りやすい砂に対応するため、6ミリ(上のものです。下のものは参考までに掲載しましたが、これだけ引っかかりの高さが違うのです)の歯鉄がついた勝負鉄が選ばれました。ちなみに、この高さは日本では禁止。ナドアルシバ競馬場でも規定されているギリギリの高さです。前脚は日本でも使用しているものを着用し、後脚のみをこの勝負鉄で挑みました。

「クリステイラー騎手とガールフレンド」

クリスさんは南アフリカのジョッキーで、毎年ドバイにも遠征へ。日本でもお馴染みのマイケルロバーツ騎手の親戚ということです。今回、佐藤裕太騎手がドバイに来るまでの期間、アジュディミツオーの調教をつけてくれました。ちょうどレース前日に、クリスさんとお話しすることができました。「調教では、ミツオーのやりたいように伸び伸びと走らせて、リラックスすることに心がけてきました。スピードもあるし、ちょっと気合いをつけただけでビューンと加速する反応のいい馬。車で例えれば、フェラーリのガソリン満タンが入っている感じですよ(笑)。本当に素晴らしい馬。自分のペースで先行できれば、十分チャンスはあります!」

「藤川伸也厩務員と水田陽子さん」

今回の遠征には、この二人のことを紹介せずにはいられません。アジュディミツオーの藤川伸也厩務員と通訳兼コーディネーターの水田陽子さんです。1ヶ月あまりの長期遠征で大変なことも多かったようですが、二人三脚で乗り越えてきました。ミツオーが異国の地でいい状態で出走できたのは、この二人がミツオーをしっかり守ってきたことも大きな要素。この写真は帰国前日だったこともあり、満面の笑みの二人。しかし・・・「やることはやったという気持もあるけれど、あいつ(ミツオー)のこと、着順表示盤にのせてやることができなかった・・・悔しいです。今度は絶対勝ちたい・・・」23歳の藤川厩務員にとっても、大きなかけがえのない経験になりました。本当に本当にお疲れ様!!無事に日本に帰ってこれてよかったね!!あとは・・・ドバイの人たちと仲良くなったのはすっごく良かったけれど、あまり変な日本語を教えないように!(笑)

まとめ

アジュディミツオーのドバイワールドカップ遠征が終わりました。川島調教師が、以前から世界に目を向けていたのは有名な話。趣味と実益を兼ねて、海外の競馬場や牧場に足を運び続けてきました。そんなさまざま経験が、随所にこの遠征にいかされています。レース直後には早くも、今回の遠征での反省を踏まえ、次回に向けてのプランを巡らしていた姿が印象的。もうすでに、始まっているのです。地方所属馬が世界に遠征する・・・これまでは、重たい扉で閉ざされ続けてきました。しかし今回のアジュディミツオーの挑戦により、その扉が開放。一筋の光が差し込んできました。そんな画期的な瞬間に立ち会えたこと、幸せに思います。これからはドバイだけに限らず、海外に挑戦する地方馬の姿を見られるのは確か。次はどの馬が、世界のどの舞台に立っているのでしょうか・・・

高橋華代子
東京シティ競馬中継レポーター
厩舎関係者にファンも多い。