Café Americano

Café Americano vol.28

第28回 史上2頭目の無敗の3冠馬が誕生!米国3冠競走回顧&新プロジェクト☆

夢にも思わなかった歴史の1ページに

 2005年、日本でディープインパクトが3冠に王手をかけた菊花賞前、いつもチャンピオンではなくシルバーコレクターを応援したくなる私は思いました。「ルドルフじゃあるまいし、無敗で3冠できる馬なんてそうそういないよ。身体も小さいし」。そして、ロケットスタートを決めてしまったディープは、道中少しひっかかりながら、最後はきっちり差して無敗の3冠馬として歴史に名を残すことになりました。無論、馬券はハズレました。

 2008年に渡米してはや10年。数々の2冠馬が3冠に王手をかけ、ベルモントSで跳ね返される光景を目にしてきました。
 まず、2008年のビッグブラウン。3冠がかかったレースでまさか競走中止するとは夢にも思いませんでした。
 2012年のアイルハヴアナザーは出走取消。
 2014年のカリフォルニアクロームは、レース中にケガをして3冠の夢は潰え、オーナーの悪態が全米に報道されて後味の悪い幕引きとなりました。
 2015年は、ご存知の通り第12代米国3冠馬・アメリカンフェイローの出現。3冠の圧勝のみならずブリーダーズカップ・クラシックまで優勝してグランドスラム達成。
 「これからの人生、アメリカはローテもキツイし、そうそう3冠馬など出ないだろうな」と思っていたら、もう出てしまいました(笑)しかも無敗のおまけ付きで。
 2018年、米国競馬史上無敗の3冠馬・ジャスティファイ(Justify)。

ジャスティファイ(Justify)

 まずは、尊敬の念を込めて、それぞれの3冠競走をあらためてご覧ください。後世に語り告げるものがまた増えました。

1冠目ケンタッキーダービー
2018年5月5日
2冠目プリークネスステークス
2018年5月19日
3冠目ベルモントステークス
2018年6月9日

 我々米国在住の日本人競馬ファン・関係者にとって、主に目が行くのは日本と米国の競馬なわけですが、両国で無敗の3冠馬を目にする機会を得た私たちは、関係者・ファンに関わらず競馬にかかわる者として、とても幸運だなと思います。ましてや早熟性の強い米国サラブレッドにおいて、3歳デビューの3冠馬は史上初。できれば、このままキャリアに傷をつけずに引退してほしいと思います。

 米国競馬は、これから夏に向けて動きが変わっていきます。西海岸においては、サンタアニタは6月末で開催が終了し、2週間ほどメインサーキットがロスアラミートス競馬場に移ります。その後は7月18日からデルマー競馬場での開催が始まり(サンタアニタからデルマーへ向かって、馬の大移動があります)、終了は9月3日。その後はサンタアニタでまたブリーダーズカップ開催週まで開催があり、11月はまたデルマーという流れです。11月は滞在競馬ではないので、大移動はありません。片道110マイル、往復で220マイル(約350キロ)ありますから、移動だけでも大変ですし・・・。

TCK・新プロジェクト発動

 皆様既にお聞き及びのことかと存じますが、大井競馬場=サンタアニタ競馬場間における、長年の友好提携が結実し、TCK所属馬のサンタアニタダービーへの出走枠が与えられる他、東京都馬主会の馬主様がサンタアニタ競馬場の調教師に、所有馬を預託できるステーブルプログラムが発動しました。特に後者については、既にFasig-Tipton Midlantic Saleにて、上場番号10番の牝馬を購買しております。サンタアニタ到着直後は動きも少しカタいように見えましたが、この1ヶ月弱でかなり良化しています。

購買した牝馬のウォーキングの様子

 馬の調教について、焦っていいことは一つもありません。まず身体をしっかり作り、競馬場の雰囲気(馬の数や調教のスピードの違いなど)に慣れて、無事にレースを迎えることが一番です。トレーニングセール出身馬で早々に9月頃のG1を勝つような馬もいますが、その後はパッとせずあっという間に引退するケースも散見されます。何よりも「無事是名馬」です。

 大成長したらどんな未来が描けることでしょう。米国競馬のみならず、日本競馬へも逆輸入してTCKで走る日が来るかもしれません。そんなことを目標にして、プロジェクトは進行していきます。