Café Americano

Café Americano vol.20

第20回 夜があなたを輝かせる・・・はずです。サンタアニタトロフィー回顧

もうすぐ暑い夏も終わりです!

 原稿を書くたびに見つけます。時が過ぎること&子供の成長が早すぎて、全くそれについていけていない自分を・・・。特に子供の成長は嬉しいことなのですが、フィジカルについていけなくなる時があります。当家の坊やは、米系スーパーマーケットや公園など、広い敷地に入るとウズウズするようで、いったん両足が地面に着いたら走り始め・・・こうなったらもう放馬状態。人様に迷惑をかけないように早歩きしながらガードしていますが、このいつまでも走り回りそうなエネルギーはどこから来るのか・・・いつも閉口してしまいますが、それでも他のお子さんたちと同様、私の腕の中で電池切れを起こして眠りに落ちる様を見るのはかわいいものです。
 そんなパパ業2年目の男子は、一部の方々から「日本で遊んでいるのではないか」と疑われながら、今夏日本でも忙しくしておりました。もちろん、サンタアニタトロフィーが行なわれたからです。

全9日間の行程はあまり楽ではありませんでした・・・

 成田国際空港に到着すると、意外と涼しい雰囲気。「あ、今年の夏は大したことなさそうだな」と思い都心に入ります。翌朝、知り合いを連れて大井競馬場の調教見学に訪問する予定だったので、起床後一歩外へ出ると「・・・・」声にならないほど暑い。NHKでは「今日からいよいよ梅雨が明けます」という大変苦々しい一言が気象予報士から発せられ、「Oh…」と思わず嘆息。その後猛暑の中、大井競馬場~品川駅を移動し、新幹線で京都に移動。ローカル線に乗り換えてJRA・栗東トレーニングセンターへ訪問。2~3の訪問先を消化した後、京都へ帰投してその晩は京都駅横のホテルにお泊まり。京都とまったく関係ない軍鶏農場という居酒屋で、日本の美味しい軍鶏さんを頂き。翌朝新幹線で東京に戻り、さっと身支度を整えて大井競馬場へ再び訪問。夜は都内でお食事込みの打ち合わせ。ここまででもなかなかのタイトスケジュールです。
 そして休む間もなく、翌日には今回のメインゲスト・サンタアニタ競馬場のジョー・モリス上級副社長ご夫妻が成田国際空港にご到着。空港へのお出迎えから本番がスタート。まず翌朝、夫妻とともに羽田空港から飛んで札幌へ。JRA札幌競馬場を訪問して競馬観戦(写真1・2)&馬券購入という名目にて我が国の国庫へ寄付をさせた後、市内で宿泊。アメリカでは食せないホンモノのお寿司を味わって頂き、翌朝は社台スタリオンステーションへ。ディープインパクト、オルフェーヴル、ジャスタウェイ、キズナ(写真3・4)等、名だたる名馬・名種牡馬たちを見学。生憎の雨でしたが、ノーザンファームの各種施設(写真5)を見学した後に昼食を挟んで帰京。種牡馬たちもさることながら、ノーザンファームの様々な施設への投資については、サンルイレイダウンズ・トレーニングセンターの責任者も兼任するジョーにとって、非常に目新しいものであったようです。

写真1
写真2
写真3
写真4
写真5

 帰京後の翌朝は少しゆっくり目にスタート。お昼は、大井競馬場の役員の方々と天王洲で会食。今後の友好関係をさらに強固なものとしていきたいとの意思から、和やかな中にも真剣な雰囲気が立ち込める良い会食となりました。お互いの友好の記念に、心温まるギフト交換のシーンも(写真6・7)。一度ホテルに戻った後は、場外馬券場のオフト汐留の見学及び大井競馬場への非公式訪問ということで、競馬場内施設の見学や、サンタアニタウィークのためのイベント会場等を回っておられました(写真8・9)。札幌でもそうでしたが、日本特有の馬券、つまり枠番発売方式・ワイド・三連複・などについてジョーには(良い意味での)違和感があったようで、少しカルチャーショックを与えられたかなと思っています。出来ればアメリカでもワイドと三連複は発売して欲しいのですが・・・。

写真6
写真7
写真8
写真9

 翌日の朝は少し早起きして、日本文化に触れていただくため、築地場外市場へ。「良い包丁が欲しい!」という非常にハウスワイフな奥様のご要望にお応えした後、ジョーから「寿司を食べたい!」とのリクエスト。朝から寿司を食べるのは私も初体験でしたが、ご満足いただけたものと思います(写真10・11)。

写真10
写真11

仕切り直して本番!サンタアニタトロフィー

 朝ご飯で満足して頂いて、いったん仕切り直し。サンタアニタトロフィーのため、夕刻大井競馬場に参上致しました。東京トゥインクルファンファーレの皆様に歓迎の演奏をして頂き、記念撮影(写真12)。競馬場では、いろいろな方からお声がけを頂いたり、また東京都馬主会・騎手会・調教師会の方々からご挨拶を頂いたりと、あたたかく迎えて頂きました。皆様ありがとうございました。
 いきなり私がプレゼンターの通訳を努めることになった1つ前のアメリカン・アンバサダーカップでは、親交のある方が優勝し、賞典台前で固い握手。ちょっとテンションが上がり、お仕事を済ませて待機。続くサンタアニタトロフィーでは、大井の帝王・的場文男騎手騎乗のリアライズリンクスが直線で力強く抜けだして優勝。ジョーも「もうすぐ60歳になるのに信じられない!」と驚きのご様子。それはそうです、50代の騎手はサンタアニタにも数人いますが、的場騎手のように60歳の大台に乗る人はなかなかいません。9,000勝を超える勝ち鞍を記録したラフィット・ピンカイ・ジュニアでも54歳で引退、それを塗り替えて12,800まで勝ち星を積み上げたラッセル・ベイズ騎手も58歳で引退。60歳で騎乗している的場騎手は、アメリカ人にとっても非常に稀有な存在として映ったようです。

写真12

 翌日朝早く出立して寄り道をした後に、成田国際空港から帰国の途に着いたモリス夫妻。特に奥方のデビィさんはケンタッキー州・レキシントン在住であられることから、ロサンゼルスに数日滞在した後に、再び国内線でアトランタ経由でレキシントン・ブルーグラス空港まで飛ばなくてはなりませんでしたが、遠路はるばる日本まで来てくださったことに感謝しております(彼女にとって初の海外旅行でした)。

 このような継続的な国際交流は、地方競馬においては大井競馬場以外には無いと思われます。競馬は人と馬が一体となって優勝を目指すスポーツ。ぜひ、来年以降は馬も人と一緒になって渡航&交流して欲しいと思っております。