Café Americano

Café Americano vol.17

第17回 米国競馬回顧&東京大賞典・年末3重賞で懐を温めてください!

皆さん、12月29日のご予定は?私は大井に行きますけど・・・ふふふ。

 早いもので今年も暮れます。昨年の今頃は、東京大賞典に参戦するソイフェット号陣営の準備や段取りで、大変な騒ぎになっていて、馬と人が帰国する大晦日の夜8時過ぎまで休みなく働いていました。同じ大晦日に、米国ではやはり当社スタッフが帰国した馬の受け入れのため、ロサンゼルス国際空港に詰めていましたので、日米ともに当社社員は最後まで働いていたことになります。勤勉です。

 今年の年頭に12月の計画を考え、あの忙しさを思い出したら心臓がドキドキしてしまったのですが、もう12ヶ月経ちます。あと数日で東京大賞典です。残念ながら、予備登録したエフィネックス(Effinex)は出走を辞退することになりましたが、来年こそは再び米国馬を連れて帰りたいと思っています。

 今年の有馬記念でお小遣いがなくなり、奥さん(もしくはだんなさん)にドヤされるであろう方々。彼氏・彼女と有馬記念に行き、馬券を外して「かっこいい(デキる)」ところを相手に見せられないかもしれない方々。そんな方々も、有馬記念の翌々日に大井競馬場の東京大賞典で取り返しちゃってください!今年も私はお仕事で大井競馬場を訪問しますが、東京大賞典で一山当てます!大賞典ではずしたら?大丈夫、まだ東京シンデレラマイルと東京2歳優駿牝馬が残っています。最後は、愛しい彼女たちが取り返してくれるはずです。今から「TCKという名の銀行」の、「競馬という名の口座」から預けた?お金を利子付きで引き出すべく、「馬番という名の暗証番号」を検討して月末を楽しみにしていてください。

今年のアメリカ競馬を振り返って

 今年も数多くのドラマが生まれました。話題性ナンバーワンだったのは、なんといってもアメリカンフェイロー(American Pharoah)の3冠達成。37年ぶりのTriple Crown戴冠となったばかりでなく、BCクラシックまで制覇したことでメジャーなアメリカのG1を完全制圧する最初の馬となりました(37年前はBCがなかったのですが)。何年かおきに2冠馬(ビッグブラウンやカリフォルニアクローム等)は誕生するものの、3冠最終戦のベルモントSで負けるたびに、「1ヶ月ちょっとで3冠を終わらせるのはナンセンスだ」という人達もいました。しかし現実にアメリカンフェイローの達成を見ると「不可能ではない」と思わせてくれます。私個人的にはBCクラシックまで逃げ切るとは思いませんでしたが、レースは完勝。本物のチャンピオンホースとして、歴史に語り継がれる1頭となりました。私個人は、一人目の子どもが生まれた年に誕生した3冠馬として、記憶に残り続ける馬になりました。Sports Illustratedという有名なスポーツ紙の「Sportsman of the year」に馬として選ばれたことも、全米のスポーツ関係者がアメリカンフェイローを特筆すべきアスリートであることを認識する証明になっていると、一言添えておきたいと思います。

 もう1頭のチャンピオンホースを忘れてはいけません。現役最強牝馬・ビホールダー(Beholder)も語り継がれるべき1頭になりました。残念ながらBCクラシックは肺出血の疑いのため回避となりましたが、今年残した成績は殿堂入り確実と言ってもいいレベル。2着に大差をつけての圧勝だったパシフィック・クラシック、他の牝馬をもてあそぶかのような勝利を収めたゼニヤッタS、その強さはアメリカンフェイローすら超越しているのではないかという夢を見させてくれました。明年の動きはまだ未定ですが、もう一度だけ、彼女の走る姿を目の当たりにしたい・・・と思わせてくれる馬です。

 古馬路線でもいろいろありました。東海岸ではオナーコード(Honor Code)、リアムズマップ(Liam’s Map)の2頭がそれぞれクラシック・マイル路線での王者として君臨。オナーコードは、久しぶりに見た追い込み一辺倒の馬でしたが、敵をねじ伏せる強さは異常とも言えました。リアムズマップはその後BCマイルを快勝しましたが、レース直後の種牡馬入りがもったいないくらいの強さ。彼の子どもが米国競馬を牽引するのを夢見て、3年後のお楽しみにしたいと思います。
 悲しいニュースは、昨年から今春にかけて、圧倒的な強さを見せつけてきた男・シェアドビリーフ(Shared Belief)がチャールズタウンクラシック(CTC)で骨折、休養した後に疝痛を起こしてこの世を去ったということです。あまり聞き慣れないかもしれませんが、CTCはG2格付けでありながら、1着賞金が100万ドルというレースで、昨年日本に遠征したインペラティヴ(Imperative)が最強馬・ゲームオンデュード(Game on Dude)を破って優勝するなど、強い馬が集まってくるレースの一つです。G2ということもあり、ファンの期待を一身に背負っての出走でしたが、骨折のため途中であえなく失速。休養明けでサンタアニタに戻ってきた直後の訃報でした。よき相馬眼で知られるアメリカのセリ会社・バレッツ社の社長キム・ロイドも、「あそこまで完成された馬は見たことがない」と絶賛していました。せん馬でしたので、もともと子孫を残すことはできなかったわけですが、歴史に名を刻む馬をこのような形で亡くすのは悲しいことです。今は冥福を祈ることしかできませんが、また再び生まれ変わってきてくれたら・・・と切に願います。

 来年もまた3冠馬が出るのか、群雄割拠となるのか。古馬路線では残存勢力が力を見せつけるのか、もしくは休養を余儀なくされていたカリフォルニアクロームやテキサスレッド(Texas Red)が巻き返してくるのか。大きな夢を抱きながら、米国競馬新シーズンの開幕を待ちたいと思います。

個人のお仕事を振り返って

 今年はよく移動した1年間でした。数えてみると、この後の月末の東京大賞典への出張も含めて、ハブ空港でのトランジット込で22回(!)のフライト。国内はシカゴ、レキシントン、サクラメント、ラスベガス。国外は日本とイギリス。前半のフロリダでの競りに飛んでいないので最大数ではありませんが、なかなかの移動距離でした。特に、以前半年住んでいたイギリスに10年ぶりに訪問し、タタソールズセールに参加したこと、若手の有力調教師であるロジャー・ヴァリアン(Roger Varian)に昨年の有馬記念ぶりに再会し、厩舎を訪問させてもらったことは大きな刺激となりました(覚えていてくれたことも奇跡的ですが)。1歳年上の彼と私とで、ほぼ同じくらいの長さの人生を歩んできた今では立ち位置が大きく違いますが、彼には彼の使命が、私には私にしかできない使命があると思い、また1年間頑張ろうと決意させてもらいました。米国ダート競馬はもちろんですが、ぜひ英国はロジャー・ヴァリアンの競馬にも注目してあげてください。

 月末の東京大賞典、どの馬が最初に決勝線を通過するのか。そろそろ久しぶりに、地元・大井所属の馬が夕暮れに輝いてもいい時でしょう。

筆者:沼本光生
1980年東京生まれ。U.S. Equine, Inc., Sales & Operations Manager
http://www.usequine.com
英国タタソールズセール参加後、10年ぶりに思い出深いロンドンの街を散策しました。1日しかなかったですが、昔住んでいた頃を思い出しながら、大きく変わった市内・また変わらない場所を思い出に浸りながら歩きました。観光には、10日くらいないと足りない街。今度行く機会があれば、もう少しゆっくりと、アフタヌーンティーを楽しめる余裕を持ちたいところです。