Café Americano

Café Americano vol.13

第13回 37年ぶりの3冠馬誕生!そして米国競馬も下半期突入。

私の人生初のアメリカ3冠馬誕生!

 読者のみなさんもご存知のことと思いますが、アメリカ競馬に新たな歴史が刻まれました。アメリカンフェイローがベルモントステークスを制し、アファームド以来37年ぶりの米国クラシック3冠馬の栄冠に輝きました!ちなみにアファームドは、私の生まれる2年前(1978年)の戴冠。37年前は当社の社長もまだ学生で、業界で働いてもいなかったわけですから、当社社員は全員が3冠馬誕生を初体験することとなりました。

 我々業界の間では、第2冠目となったプリークネスステークスのレース後に「3冠確実視」の意見ばかりが飛び交うほど。プロの目から見ても、雨中のプリークネス優勝は3冠を確信させるものでした。ボブ・バファート師をはじめ、騎手のヴィクター・エスピノーザ、オーナーのザイヤット氏に、37年ぶりの偉業達成に対し、心からお祝いを申し上げたいと思います。
 昨日(6月17日)3冠終了後初めてサンタアニタ競馬場を訪問しましたが、既に競馬場は沈静化。調教師も騎手も気持ちを切り替えて、いつものペースに戻っていました。日々たえまない努力を重ねていかなければすぐに落ちてしまう、厳しい勝負の世界。日本ほど「Derby to Derby」という感じではありませんが、また今年のブリーダーズカップ、来年のクラシックに向けて関係者は始動しています。
 今日、6月18日。無事にアメリカンフェイローはお家であるサンタアニタに到着(写真1・2)。なぜ、バファート師の横に警官が立っているのかというと、オンタリオ国際空港からサンタアニタ競馬場まで、アメリカンフェイローは6人の護衛が付いて送られてきたからです!さすがアメリカですね!しかも、こんなに派手に飾られた馬運車で(写真3~7)。当の本人からは、「やれやれ、やっと着いたか・・・ふ~。」というため息が聞こえてきそうですが。
 来週の土曜日、ゴールドカップ開催日にアメリカンフェイロー3冠記念パレードが行われる予定になっています。37年ぶりの3冠馬を西海岸で見られる最後のチャンスかもしれませんので、渡米の計画がある方は是非お立ち寄りください。

写真1

Copyright © Santa Anita Park, all rights reserved.

写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7

 詳しくはネットケイバに掲載されている競馬評論家・合田さんのコラム(http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=30372)をご参照頂きたいと思いますが、今、ファンよりも関係者の中でアメリカンフェイローの取りあいなのです。

海外競馬は馬集めに必死なのです

 日本へ外国馬を遠征させるのは、とても大変なことなのです。どれだけ遠征に利益や特典があったとしても、騎手も調教師もそう簡単に「はい」とは言ってくれません。大事な馬を、環境も何もかも違うところに送ることも冒険ですし、騎手はその間、本国での騎乗機会を失い、ともすれば大事なお手馬が誰かに乗り変わられることも十分起こること。ですから、昨年大井に来場したケント・デザーモも、レース後は本国の追い切りに間に合うように米国へトンボ返りでしたし・・・。東京大賞典に遠征してくれたソイフェット。彼も、最近ようやく放牧から戻って一度出走。レース感が戻っていないのか8着入線となりましたが、遠征は馬にそれだけのダメージを与えます。したがって、海外にいるエージェントは大汗をかきながら海外遠征してくれる馬・陣営探しに奔走するのです。

 しかし、それは海外遠征だけではありません。出走条件や格ではなく、馬が溢れかえっていることで除外されてしまう日本競馬とは違い、世界中どこの競馬場もレースを成立させるため、また強い馬を集めて多くのファンに押し寄せてもらうために、毎週のレースへの馬集めに必死です。サンタアニタ競馬場も世界トップクラスの競馬場ですが、その努力を怠った瞬間にトップクラスから陥落します。

 したがって、米国競馬にとってアメリカンフェイローの存在は至宝。どこの競馬場も、彼に出走してもらいたくてしょうがないのです。そのためには、1着賞金を増額したり、出走するためだけの手当を別で出すなどなど、残された数少ない彼の出走機会を手にするために、競馬場は既に営業を始めています。それだけ賞金増額してアメリカンフェイローが負けたらどうするの?・・・という疑問には、私も競馬場の人間ではないのでお答えできません。彼を負かした馬が持って帰るだけ・・・でしょうか(笑)

そして米国競馬は下半期に突入!

 いよいよ来月から、米国は全てが下半期に突入します。というのは日本とは違い、アメリカの毎期の始まりは1月1日、そして12月31日に終了。学校の卒業式は5~6月で、入学式は9月なんですけどね・・・。なので、企業にとっても競馬にとっても、来月からは下半期のスタートです。

 西海岸下半期の最初の目玉は、デルマー競馬場での開催!古馬と3歳が初めて激突するG1・パシフィッククラシックも、この時期に開催されます。東海岸は3歳限定の大事な重賞・トラヴァーズSをはじめ、米国競馬は夏も大事なG1競走が目白押しです。ここでのひと押しが、秋のブリーダーズカップ競走への切符を手にできるかどうかということになってきますから。ここ2年間は、日本馬の出走がありませんでしたが、今年のキーンランド開催では誰か大井から飛んできてくれないものでしょうか・・・。例えばハッピースプリント君とか・・・。

 アメリカンフェイローは、この後モンマスパーク競馬場で行なわれるG1・ハスケルインビテーショナルに出走を予定していますが、果たしてその後は・・・?今年いっぱいでの引退が決まっている3冠馬。動きから目が離せません!

筆者:沼本光生
1980年東京生まれ。U.S. Equine, Inc., Sales & Operations Manager
http://www.usequine.com
今年のベルモントステークスは、Costcoで購入したピザを片手に、お家で小僧と一緒に観戦。昨年の東京大賞典で一緒に日本に行ったケント・デザーモが騎乗したKeen Iceは、3着に入線。小僧と一緒にケントの本馬場入りのシーンでテレビをバックに写真を撮ったのですが、その写真を携帯で「二人で応援してたぞ!」とメールすると、レース後ほどなく「Beautiful」との返事。その頃ヴィクター・エスピノーザは表彰式でトロフィーを高々と掲揚。勝者と敗者の陰陽を、なんとなく感じてしまったベルモントステークスでした。