TCKコラム

TCK Column vol.72

TCKジョッキーヒストリーWEB版 Vol.6 戸崎 圭太騎手編

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戸崎 圭太 騎手プロフィール
・所属厩舎
香取 和孝
・初騎乗年月日
平成10年4月12日
・生年月日
昭和55年7月8日
・出身地
栃木県
・2004年成績
734戦54勝(うちTCK46勝)
・2005年成績
860戦74勝(うちTCK71勝)

■ジョッキー人生七転び八起き

益田のためにも
大井のエースに

子供の頃は、野球小僧だったね。小学4年から学童野球、中学3年まで部活でセカンドとかセンターをやってたよ。どっちかと言えば、守備の人(笑)。ほんとに野球が生きがいだったし、巨人も好きだったんだけど、体が小さかったから「プロはキビしいかなあ」って子供心にも思ってた(笑)。けど、ジョッキーなんて職業すら知らなかったし、将来の夢にはぜんぜん入ってなかったなあ。

父親は普通の公務員だから、もちろん競馬と無縁だよ。きっかけとしては、近所の知り合いから「競馬の騎手はどうなんだ」みたいに薦められちゃって、体を動かすのは好きだったから「それもいいかなあ」と。あわてて乗馬センターに行ってみたりしてね(笑)。初めて乗った時も「おお、高いなあ」くらいの感じ。でも思い返してみれば、あれが人生の大転換期だったのかもしれない。


幼少時代

 親に相談したら「もう帰らない覚悟でやれ」みたいな感じで激励されたもんだから決心しちゃったよ。何にも知らないんで逆に怖いものなし(笑)。それで、中学を出てから騎手学校に進んだんだ。すぐにホームシックとかなっちゃって、辛いことも多かったけど、寝ることと乗馬だけを楽しみに頑張ったよ。馬も触れあってるうちに可愛くなってくるし、早く卒業してレース乗りたいなあと。

大井に来たのは運命かな。中央と地方の区別もつかなかったし(笑)。最初に騎手を薦めてくれた人の知り合いの知り合いみたいな繋がりで、香取先生を紹介されたんだけど、今はほんとにラッキーだったと思うよ。地方の一番大きい舞台でやれてるわけだし、なにより先生に巡りあえたのは超ラッキーかも。そういう回りの環境に助けられながら、ここまで来れたわけだから感謝しないとね。


騎手幼少時代

デビューの頃は目立ちたがりで、インタビューに「圭太魂で頑張ります!」なんて悪ノリもしてたけど、今は少しシビアになってきた(笑)。これから大井や南関東のリーディングは当たり前、チャンスがあれば中央でも活躍して、リスペクトしてる内田博幸騎手みたいに世界進出・・な~んて夢は大きく持ってるね。まずは、大井で花を咲かせて目立たないと。あ、そこは変わってないか(笑)。

■オフの楽しみは

ゴルフより騎乗に専念して。

休みはまったり寝てるか、1歳(※1)になる子供と遊んでるか。以前は、ゴルフが好きでマメに行ってたね。澤騎手(17年9月28日引退・現調教師)や立花騎手と回ったりしてたけど、最近はなかなか機会がないなあ。自分としても忙しくなってきたし。それで、あんまり上達しないままなのが残念。アベレージはもう少し上手くなったら発表するよ。

旅行もわりと好きで、伊豆とか箱根の近場はよく行くね。うちの子がもう少しわかるようになって、いろいろ連れて行きたいかな。あとは、ファンの期待を裏切らないよう好きな焼肉でパワーをつけておくことも、休みの過ごし方のポイントかもしれない(笑)。

※1 昨年インタビュー時

■座右の銘

「自分に勝つ」

小学生の頃に先生から言われた言葉で、今でも印象に残ってるなあ。まずは自分に勝って相手と対峙する。これが勝負師の基本じゃないかと思ってます。

■ファンへのメッセージ

穴騎手から実力派へ飛躍を。

世間では、穴騎手という評価のようですね。たぶん、あの975万馬券(※2)に絡んだりしてるからかもしれないけど、目をかけてもらえてるのかなと(笑)。ここまで順調に勝ち星を伸ばせてることを自分では満足してても、裏を返せば人気の馬で信用されてないってことだろうから、そのへんは今後の課題かも。

性格的に負けず嫌いなとこがあるんで、前の年から勝ち星を減らしたくない気持ちは強いです。もうどんどん積み上げていきたいですね。そうすれば大きい舞台への道も開けてくるだろうし。もちろん一番大事なのは大井のファンだけど、飛び出せる体制は整えたいかなあ。それだけの器になるところから。

※2 平成14年8月17日、当時日本最高配当の975万馬券がでました。

■感動の名馬

これからもっと
出会えるはず。


最初はやっぱり、ミヤサンヤシマだよね。レースでの初騎乗馬なんだけど、ついでにそこで初勝利までさせてくれたし。先生が自分に用意してくれたのかどうかは聞いたことないけど(笑)。そこそこの実績馬で強いのもわかってたから、ちょっと緊張してたけど好位差しで決めちゃったよ。初騎乗初勝利っていうのは、なかなか達成できるもんじゃないし、これは一生忘れられない馬だろうね。


ミヤサンヤシマ

 それから、メイショウアーム。覚えてもらってるかなあ、2001年JDDで2着した馬なんだけど。勝ったのはトーシンブリザードって言ったほうがわかりやすいかもしれない(笑)。もちろんそっちが断然1番人気で、こっちは最低人気。なんとか流れに乗ろうとは思ってたものの、かなり善戦できた。でもトーシンブリザードはレース中に骨折してたんだよね、後から判明したんだけど。それでもGIで2着したことが大きな自信になったのは確かだし、気難しくて引っ掛かったり物見したりとかワガママなとこはあったけど、感謝しなくちゃね。


メイショウアーム

そして、セイワクリスタル。浦和から転厩してきた馬で、少しづつ競馬のことがわかるようになって任されたから、成長していくのが実感できた。あんまり普段から走るって感じしないんだけど、レースでは賢い馬だったね。そのへんを考えながら責め馬したりとか、こっちもいろいろ教えられた気がするよ。

それと個人的なとこで、トールスファイアー。昨年の5月10日の最終レースで勝った馬なんだけど、その日は奥さんの誕生日で見に来てたんだ。「勝つから」なんて宣言しちゃって(笑)。まあ自分にプレッシャーかけるのも大事だしね。レース後は奥さんと馬と一緒に写真撮ってもらい、記念のバースデー・プレゼントになったから、これからもよろしくだね。

重賞には何度も乗せてもらっていたけれど、なかなか勝てなかった。7年目にして初めて勝ちとったこのレース(トゥインクルレディー賞)は本当に感激。

それと周りから「そろそろ重賞だな」って言われてやっと勝ったレース。長かった。コウエイソフィアについては、以前TCK女王杯で乗せてもらっていて敏感で繊細な馬だと思っていました。レースはケンカせずに折り合いに専念しました。


メイショウアーム