TCKコラム

TCK Column vol.68

TCKジョッキーヒストリーWEB版 Vol.3 坂井 英光騎手編

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坂井 英光 騎手プロフィール
・所属厩舎
栗田 裕光
・初騎乗年月日
平成7年4月11日
・生年月日
昭和50年4月11日
・出身地
愛知県
・2004年成績
553戦62勝(うちTCK61勝)
・2005年成績
741戦80勝(うちTCK74勝)12月9日現在

■ジョッキー人生七転び八起き

いつかは一番 夢見て10年

 えー、デビュー10年目にしてブレイク中(笑)坂井です。去年は、なんとか大井のリーディング3位になれました。あんまり苦労してないように見えるかもしれないけど、それなりにいろいろあったよね。騎手学校時代に謹慎処分になったりとかもしてるんだけど・・ま、それはまたの機会でいいか。

 出身は愛知県。親父が名古屋競馬場の厩務員してたから、生まれながらにして競馬の申し子ってとこかなあ(笑)。小さい頃から、そばに馬がいるのが普通な環境で育ってきたわけで、騎手になるのは当然かなと。自分も思っていたし回りもそんな目で見ていたし、こっちから進んだというより、そういう人生の道筋が自然に出来上がっていたって雰囲気だったなあ。


騎手学校時代

 もちろん、小さい頃からお遊び程度は馬に乗ったりしてたけど、中3頃からちゃんと乗り出して、卒業して騎手試験を受けるのは定めみたいな。やっぱ最初は大きいとこ行きたくてJRA狙い(笑)。3回ほど受験したかなあ。1次試験までは2回通過したんだけど、それから先は難関でした。でも、どうせ乗るなら絶対に大きいところというのは譲るつもりはなかったから・・。


中学校卒業(下段左から3人目

 スパっと切り替えて地方で一番大きな大井を選んだわけ。そして、その選択は正解だったよねって、今だから言える(笑)。
 デビューして2年目に、新人王決定戦に出たりもしたけど、それから鳴かず飛ばず状態。物井先生はずっと可愛がってくれてたけど、いつからか甘えが出てたのかもしれない。それを打ち破るため、どこかでアクション起こさなきゃいけないと思ってたんだ。


騎手学校入学(上段右から4人目)

 そんな時、今お世話になってる栗田先生から「そんなに乗せてはやれないけど頑張れるなら来なさい」と言ってもらえて嬉しかったな。それで「2~3年で目が出ないなら騎手やめちゃえ」くらいのプレッシャーをかけて、やっと去年のブレイクに結びついたよ。ほんとにここ最近だなあ、なんとかやっていけそうな実感が出てきたのは。ファンの目も変わってきたし、これからイケイケで一番目指し・・調子に乗ると止まらないタイプなんで、このへんにしておきます。

■オフの楽しみは

癒しの時間は子供と一緒に

 ヒマがある時は、ビリヤードとかボウリングとかやるよ。ゲームそのものより他人と競うことが好きだったり(笑)。厩務員さんと飲んだりするのもコミュニケーションには大事なんで、そういう時間もつくらないといけないし、休みでもいろいろ忙しかったりするね。

 いちばん癒されるのは、子供と一緒にいる時間かな。こう見えて、ほんとはとても子煩悩な父親。上の子が7歳で、下の子が4歳になるけど、もう可愛いなんてもんじゃなくて我が家のお宝。けど、幼稚園で「うちのパパ、あんまり勝てないんだ」みたいなこと言ってたらしい(笑)。大きくなったら無理矢理にでも騎手にしようとか思ってないし、そういうのは内緒にしてほしいかも。

■座右の銘

「可能性」

 他に一番になれそうな職業はないけど、騎手なら可能性があるわけで、そんな可能性を大事にしていきたいです。性格的に諦めるのは絶対に嫌だし、可能性がある以上は、どこまでも頑張っていきたいと思ってます。

■ファンへのメッセージ

いちばん好きな 一番になりたい

 いつも大きな声援いただき、ありがとうございます。
 パドックで厩務員と喋ったりしながら(もちろん馬の話)笑ったりして「ニヤニヤすんな」とヤジもらったりもしますけど、プレッシャー受けないタイプとご了承ください。なにより恐いのは下手に乗って、自分自身が納得できないこと(笑)。皆さんからの声援をいつまでも受けられるよう、これからもガッツでいきますから。

■感動の名馬

もっともっと出会いたいね

 1年目に出会ったのが、マスターガール。ふだんはやんちゃながらレースでは素直な馬だったね。ぜんぜん前に行こうとしないけど、最後で凄い脚を使えるから勝手にピューっと伸びて勝手に勝っちゃう。まだ新人なのにビシっと追い込み決めたりしてたから「あのアンちゃん乗れる」みたいな感じで、わりといいイメージついたかなと(笑)。メインレース初勝利もこの馬だったしね。


グローリアスイモン

 偶然のラッキーだったのが、エムジーロード。あの時は、開催前に落馬して骨にヒビ入っちゃって。2日くらい休んで乗ることにしたけど、予定していた馬は乗り替わりになった後。そしたら、たまたまエムジーロードが回ってきて、準重賞で優勝。ぜんぜん無印だったけど自分が予定してた馬にも勝っちゃった。まあ、そんなラッキーもたまにはいいのかなあとか思ったりして(笑)ほんとにいい馬だったよ。

 あと、トゥモローウィン。的場さんが乗ってもなかなか勝てなくて。でも自厩舎の馬だしビデオで研究したりして「自分だったらこう乗る」みたいなこと考えてたんだよね。そしたら乗せてもらえるチャンスが来て、そこで勝てたのはもの凄く自信になった。

 それより今、期待してるのがいるんだよ。アイカワファースト。これはマジで重賞いけると思ってる。ちょっとだけ気性悪いのが難点だけどね。練習でもゲート立ち上がるし、的場さんが調教つけてもダメだったから。北海道に帰して休養させたりとか、乗馬の訓練させたりとか、手はつくしてるけど、なかなか言うこと聞いてくれないし大変なんだよ。でも、栗田厩舎に転厩した時「ゲートは悪いけど走るからお前に任せる」って先生に言われてるから、絶対モノにしないとね。それだけ手もかかってる分、いい付き合いしていきたいと思ってるけど、そのへん理解してくれてるのかなあ(笑)。最近、ようやく指示に従えるようになってきたから、今後のお楽しみということで。