TCKコラム

TCK Column vol.07

ずっと苦手の大井競馬

かなり昔から大井競馬場とロンシャン競馬場を苦手としてきた。大きく勝った経験は全くないし、1レースも的中しなかった日はかなり多い。特に頻繁に訪れる大井競馬場では相当負けていると思う。ということは的中したファンのために貢いでいることになるようだ。最もショックだったのはカウンテスアップが勝った東京大賞典で、TV中継のゲストとして出演し、短距離馬だからとても3000m(現在同レースは2000m)は無理と断言してしまった。むろん私の未熟さのせいではあるが、その後もまるで熟達することはなく、相変わらず負け続けている。

いま大井競馬場では日本で最も多くの種類の馬券が発売されており、勝ち馬を選ぶ以上に馬券の種類を選ぶのが難しくなっている。馬単を買ったところ馬複なら当たっていたとか、ワイドをボックスで買って的中しても、同じ馬の3連単ボックスならすごい配当だったというようなことは珍しくない。ただ、こうしたことはもっと真剣に考えればそうも適切な判断が難しいというものではないように思う。オッズを必ず見ること(私はあまり見ない)。同じ馬の組み合わせで他の買い方がないかどうか考えてみること(私はほとんど考えずに思いついた馬券を買ってしまう)。そしてそれ以上に重要なのは個々の馬の個性によって馬券を選ぶことだ。穴馬タイプのエブロスとか、ホリスキーとか、ティンバーカントリーのような種牡馬の産駒で人気がない馬を狙うときには、ワイドではなく3連単か3連複のボックスを買うべきだ。どのみちワイドにも絡む可能性はそうも高くなく、それでいて配当はさほど高くない。しかし、そういう馬の入った3連単は高配当になる。堅実に走るが勝ちきれないことが多いタイプのトニービンとか、ダンスインザダークとか、スキャンのような種牡馬の産駒が人気を集めている場合には、これらの2着流しの馬単馬券が良いと思う。1着になっても配当がつかないけれど、人気薄からの2着ならそこそこの配当にありつけるはずだ。

このように馬のタイプと馬券の種類をうまく組み合わせていけば、当たる可能性に対する配当率がぐんと高くなり、今まで貢いできた分を取り戻せるのではないかと、いま密かに研究している(ホントかな?)ところである。

山野 浩一
著書に「レボリューション」「サラブレッドの誕生」「サラブレッド血統辞典」「競馬全日本フリーハンデ」などがある。現在、東京中日スポーツでコラム連載中。