Café Americano

Café Americano vol.24

第24回 米国競馬の集大成である秋ですよ!(冬じゃないです)

心からの祈りを。

 前回の執筆時には九州での豪雨災害が起こりましたが、今回は米国・ラスベガスで史上最悪の銃乱射事件が発生。多くの罪のない方々が犠牲になる痛ましい事件となってしまいました。ここまで人間は冷酷なことができるのかと絶望を感じざるをえませんが、前に進まなくてはなりません。命を落とされた皆様のご冥福を心からお祈りするとともに、その方々の分まで生きていきたいと思います。

日本と違うのは季節感

 競馬ファンは競馬番組で季節を感じますよね。関係者も同様です。日本は怒涛の流れで有馬記念~東京大賞典まで流れていって競馬が終わります(一部の方々は東京2歳優駿牝馬まで行って取り返されるのでしょうか・・・)。

 私は日米の競馬を追わなければならないので少し米国関係者とは違い、ジャパンカップ・チャンピオンズカップの輸出入があると、途切れずに12月の中旬くらいまで緊張が続きます。

 その間にも、キーンランドで繁殖セールがあったり(写真1)、間髪入れずに輸出検査が始まったり。意外と余裕が無いんです。米国関係者はブリーダーズカップ(BC)が終わると気持ちが切れます(なのでBC出走牝馬が直後の繁殖セールに売りに出されたりするのです)。また同月末のサンクスギビングウィークエンドが年間を通して米国唯一の4連休のため、お正月気分になります。

写真1

 11月に入ると月末が恋しくてたまりません。そしてクリスマスが終わると春開催は始まります。

今年は名調教師のためにあるようなクラシックに

 微妙な空気が流れるかもしれませんが、読んで頂ければ近からず遠からずだと思って頂けると思います。現在BCクラシックに名乗りを上げている11頭のうち、4頭が殿堂入り調教師のボブ・バファート管理馬だからです。輝きを取り戻したい大将格のArrogate(アロゲート、写真1)、連勝街道からパシフィック・クラシックを制したCollected(コレクテッド、写真2)、アイルランド産・ドバイから転籍、オーサムアゲインSを優勝したMubtaahij(ムブタヒージ、写真3)、そして今年の真夏のダービー・トラヴァーズSを勝ったWest Coast(ウェストコースト、写真4)と、どれが勝ってもおかしくない4頭。これらに加えて三冠馬・アメリカンフェイローを負かした経験のあるKeen Ice(キーンアイス)や、「Arrogateがいなければ」最強馬の、私が大好きな(私情100%)Gun Runner(ガンランナー、写真5)などなど、まあ豪華なメンバーが出走するわけです。この中の1頭でも日本に来てくれたら・・・と思うのですがね。

写真1 アロゲート
写真2 コレクテッド
写真3 ムブタヒージ
写真4 ウェストコースト
写真5 ガンランナー

今年は日本馬の参戦はなさそうです。

 こう書いていて実は来ちゃったらごめんなさい。でも、この時点でメディアに何も書かれていないならば、日本馬が突然BCの何かのレースに参戦するということはないでしょう(香港やフランスと違って調教師・騎手・廐務員はビザを取らなければなりませんから)。最後のBCチャレンジウィナー・レッドファルクスは国内専念。ダートの王者たちもJBC~チャンピオンズカップの既定路線となるでしょう。

 毎年同じことを思います。JRAの馬がBCに来たら芝路線でいい成績が出せ、南関東の馬が参戦すれば違う歴史の開け方をすると。ダート競走が多く組まれている国は、おそらく米国以外にはドバイと日本しかありません。そのなかで南関東の、特に大井の馬がBCに参戦しその競馬を肌身に感じることで調教技術や馬のつくりかた等に大きな影響を与えるのではないかと。首都圏競馬から抜け出して、海をわたってみませんか・・・?