TCKコラム

TCK Column vol.09

「3連複・3連単」は夢を賭ける馬券だ

TCKをはじめとする南関東の競馬に昨年から導入された新馬券「3連複・3連単」のせいで、われわれファンの馬券に対する考え方は一変した。これまではオッズ3倍の本命馬券に1万円を投じて3万円を狙っていた人も、3連複・3連単の登場によって「百円で三万円を狙う時代」が来たといえる。つまり、3連複・3連単は夢を賭ける馬券なのだ。

我が家から車で十分ほどの距離にあるTCKへ、私は毎開催ごとに出掛ける。大井競馬場で繰り広げられるダートの熱戦は、中央競馬のダート戦よりも興奮する。それは、3連単で百万円以上の夢馬券がいとも簡単に飛び出すからだ。大井競馬場のレース形態がバラエティに富んでいることも、馬券的な波乱の原因になる。1,000mと1,200mのレースは、先行しない馬に勝つチャンスは訪れない。内枠が絶対有利の1,400m戦でも、不利な外枠の差し馬がよく穴を出す。1,500m以上のレースでは、とくに騎手の腕前がものをいう。第1コーナーは無理なく回って好位置に付け、勝負所の第3コーナーでは好位置をキープしながら馬の力を貯める。最大の勝負の別れ目は、第4コーナーだ。ここで内を突くか外のコースを選ぶかは、その日のダートコースの状態を把握しているかどうか、騎手の判断にかかる。騎乗数の少ない騎手は、コースを一周するどこかでミスが出る。したがって「馬券はビッグ3の騎手から買え」ということになる。TCKのビッグ3といえば、的場文男(昨年の連対率.438)を筆頭に、石崎隆之(.324)と内田博幸(.314)である。3連複と3連単は、3人の誰かを軸に狙えば、面白いように馬券が的中する。

私の3連複攻略法は「1番人気馬と3番人気馬」を軸にした流し馬券だ。昨年末の東京2歳優駿牝馬の日に、この買い方で第2レースを的中。石崎隆之のタイヨウタロー(1番人気)と森下博のアオバリュウ(3番人気)を軸にした8点流しで5,780円を仕留めたのだ。3連複に関する私のキーワードは「3」で、的場・石崎・内田の3人と、3番人気の馬といえる。

ついでTCKの3連単攻略法だが、私はビッグ3の騎手に穴馬2頭からめた「5頭によるボックス馬券の60点買い」を実行。百円ずつ買っても6千円の元手が要るから、連れと3千円ずつ乗りで買うケースが多い。この買い方で1月15日の東京シティ盃を的中させた。私の選んだ5頭はハタノアドニス(内田)、ナミ(的場文男)、ラヴァリーフリッグ(石崎)、メイプルベガ(左海)、コアレスフィールド(張田)。結果はハタノアドニス→ナミ→ラヴァリーフリッグの「ビッグ3の騎手馬券」による1万6,740円。人気騎手同士の組み合わせでも万馬券だから、やはり3連単が一番おもしろい。

狩野 洋一
競馬記者から麻雀プロに転向して、第6期最高位のタイトルを獲得。現在は作家専業で日本推理作家協会会員。25万部のロングセラー「3日間でわかる麻雀の本」(日本文芸社)や、安藤勝己騎手が主人公の競馬小説「天才騎手」(双葉文庫)など著作多数。