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競走馬生活としては約1年半と短かったが、その後の種牡馬生活を含めダート界に大きな功績を残したのがゴールドアリュール。自身初の重賞タイトル、そして鞍上の武豊騎手の大井競馬場での重賞初勝利となったのが、2002年ジャパンダートダービー。

父がサンデーサイレンスだったこともあり、デビュー当初は芝のレースに出走していたゴールドアリュール。2戦目で初勝利を挙げたが、以降は④③⑤④着と人気に応えられず足踏みが続く。転機となったのが、7戦目に使ったダート戦。先手を奪うとマイペースの逃げで快勝。同日に行われた古馬一千万(現2勝クラス)の勝ち時計を1秒4も上回るパフォーマンスで新星の誕生を予感させた。続く端午Sでは後の重賞ウイナー2頭(アッパレアッパレ、クーリンガー)を含む好メンバー相手に好位抜け出しで難なく突破。再び芝に挑戦した日本ダービーでは大外枠から⑤着と善戦。素質の高さを再確認した一戦となった。

そして、10戦目に迎えたのがジャパンダートダービー。鞍上には3戦目で手綱を取った武豊騎手と再コンビを結成。ダートに戻れば単勝1.5倍の一番人気に推されるのも無理はない。初のナイター競馬に動じることもなく、先手を奪うと後続に1秒3差をつけて待望のタイトル奪取。続くダービーグランプリでも後のGⅠウイナーのスターキングマンに1秒6差をつけてGⅠ連勝。同世代に敵なしの存在感を見せつけた。

戦いの舞台をJRAに戻して古馬の壁に挑んだジャパンカップダートでは好位から4角先頭に踊り出たが、突き放すことはできず5着。それでも着差は0秒4差。次走の東京大賞典で古馬の壁を突破してGⅠ3勝目。年明けのフェブラリーSでJRAのGⅠ勝利とその地位を絶対的なものとした。続くアンタレスSでは59キロを背負いながら正攻法の競馬で後続を1秒3千切る楽勝。迎えた帝王賞では単勝オッズ1.1倍と圧倒的な支持を集めたゴールドアリュール。しかし、ネームヴァリューの逃げを見ながら2番手で運び磐石の態勢に思われたが、捕まえるどころか直線では馬群にのまれて⑪着とデビュー以来初の掲示板を外す大敗。後日、喘鳴症(ノド鳴り)を発症していたことが判明。引退の運びとなった。

父としてはダートでの活躍馬を多く輩出し、GⅠウイナーも多数。大井競馬の生え抜き馬として大きな功績を残したのは2017年のJBCレディスクラシックを制したララベルだろう。管理していたのは、同じく生え抜き馬のテラザクラウドでも重賞タイトルを獲り、ゴールドアリュール産駒で重賞7勝を挙げている荒山勝徳調教師。「一時は『ゴールドアリュールの荒山厩舎!』と言われたこともあるくらい相性が良かったよ。テラザクラウドはやんちゃな気性。逆にララベルは物怖じしないドッシリした性格。この2頭でもタイプは違うけど、共通していたのは馬格のあるところ。牡馬でも牝馬でもこれは大事なことなのかもしれないね。ララベルの初仔(父ロードカナロア)が今1歳で、順調にいけば来年に荒山厩舎へ入厩予定。今度は母の父としてゴールドアリュールの活躍に期待しているよ」と当時の思い出も振り返りながら、楽しみな情報も提供してくれた。

ゴールドアリュールは2017年にこの世を去り、現2歳世代が最後。ジャパンダートダービーの過去成績では、ゴールドアリュールとシンボリクリスエスが父として2勝を挙げてトップタイ。この原稿作成時点で登録馬は発表されていないが、ゴールドアリュール産駒の出走が叶った際は亡き父へ捧げる単独トップの座を目指して奮闘を期待したい。

ケイシュウNEWS 藤田 裕之