レースヒストリー

 年末の東京大賞典とともに南関東最高峰のレースと言えるのが帝王賞で、上半期のダート競馬を締めくくるチャンピオン決定戦。東京大賞典よりも地方馬の活躍が目立つレースでもあり、ダートグレード制が施行された1997年以降、2015年の第38回まではJRA所属馬の10勝に対し、地方競馬所属馬も8勝しており、ダートのJpnⅠ競走では最も地方競馬所属馬が活躍している。

 そのような中で一番思い出深い馬が、第31回と33回を制覇したフリオーソ。長い歴史の中でも連覇した馬はおらず、2勝馬も第11回と14回を勝ったチヤンピオンスター以来2頭目で、直近の第36回と38回を勝利したホッコータルマエを含めても3頭のみが達成している大記録。

 そんな歴史的名馬フリオーソがデビューしたのは2007年の7月。石崎隆之騎手が手綱を取り連勝で平和賞を迎えたが、1番人気でハナの差2着に惜敗。次走に選んだのがダート2歳チャンピオンを決める全日本2歳優駿だった。JRA勢と初対戦で5番人気に甘んじたが、結果はニューパートナーの内田博幸騎手に導かれて快勝。その年のNARグランプリ2歳最優秀馬にも選出された。

 3歳シーズンはJRAの芝に挑戦したりして順調さを欠いたものの、羽田盃、東京ダービーがともに僅差の競馬で、ジャパンダートダービーをレコードで優勝し交流重賞2勝目をゲット。その後はJBCクラシックと年末の東京大賞典でともに2着してこの年を終えた。

 フリオーソが本領を発揮し始めたのは古馬になってから。明け4歳緒戦の川崎記念こそ2着に敗れたが、続くダイオライト記念でボンネビルレコードに5馬身差をつかける圧勝。この勝利から名パートナーの戸崎圭太騎手とコンビを組むこととなり、1回目の帝王賞を迎えた。レースはフリオーソがハナを切る展開で終始マイペースの逃げ。後続に影を踏ませることなく逃げ切り、ボンネビルレコードに1馬身半の差をつけてJpnⅠ競走3勝目を難なく手中に収めた。その後の秋のキャンペーンはボンネビルレコードの逆襲や、ヴァーミリアン、カネヒキリの牙城を崩せず善戦止まり。5歳を迎えてダイオライト記念を連覇したものの、史上初の連覇を狙った帝王賞ではヴァーミリアンの徹底マークに遭い惜しくも2着と、大偉業は幻に終わった。

 勝てない日々が続き、衰えも見え隠れする中、3回目の帝王賞。6歳になったフリオーソはかしわ記念2着でキッカケを掴み、見事に好位から横綱相撲で帝王賞2勝目を達成。特にこの2度目の勝利は、カネヒキリやサクセスブロッケン、ヴァーミリアンなどハイレベルなメンバーを従えてのもので、価値の高いものとなった。その後も翌年の川崎記念とかしわ記念を勝ち、フェブラリーSではミルコ・デムーロ騎手の手綱で2着するなど、8歳まで息の長い活躍を続け、JpnⅠ競走6勝をマーク。川島正行調教師の最高傑作と言っても過言はないだろう。

 2012年の東京大賞典6着をもって引退し、2013年からダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで供用。フリオーソはブライアンズタイムの優良後継種牡馬となった。

 くしくも今年はフリオーソ産駒デビューの年。その2世達の走りにもこれから注目したい。

ケイバブック 齊藤大輔