重賞レース

第35回 東京プリンセス賞(SI)

  • 2021年4月28日(水)
  • 20:10発走
第35回優勝馬:ケラススヴィア号

浦和の桜花賞に続く、南関東牝馬クラシック三冠レースの第2弾。若き乙女たちが3歳女王の座を賭けて火花を散らします。牝馬クラシック路線を順調に進んできた有力馬と春に急成長した新勢力が、華麗な戦いを繰り広げます。
<上位2頭に関東オークスの優先出走権を付与>

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    <第35回 東京プリンセス賞(SI)>
    (4月21日現在)

    ケラススヴィア
    昨年は負けなしで東京2歳優駿牝馬などを優勝。2走前のユングフラウ賞は斤量差などもあり惜しくも2着でしたが、前走の桜花賞は堂々たる走りで完勝しました。

    グロリオーソ
    南関東で走ったシャインエタニティの初仔で、父は偉大なるフリオーソ。ホッカイドウ競馬からの移籍馬で、南関東では抜群の安定感を誇り、前走の桜花賞は2着。

    レディブラウン
    こちらも父がフリオーソ。ホッカイドウ競馬時代には重賞戦線でも好走してきた馬で、南関東移籍後もコンスタントに走り続けています。前走の桜花賞は3着でした。

    ウワサノシブコ
    北海道デビュー馬。ユングフラウ賞は8番人気ながらもケラススヴィアを抑えて重賞初制覇を飾りました。前走の桜花賞は疾病(感冒)により出走取消。大井初登場。

    ディアリッキー
    新馬戦はスピードの違いで圧勝。最近は終いの脚が光り、東京2歳優駿牝馬は中団からメンバー最速の上りで3着。今回は外回りコースでどんな走りを見せるでしょうか。

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    <第35回 東京プリンセス賞(SI)>

    (4月26日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ケラススヴィア
    *浦和 小久保智 厩舎 牝3歳
    *成績 6戦5勝2着1回
    *重賞タイトル
     桜花賞(SI)(2021)
     東京2歳優駿牝馬(SI)(2020)
     ローレル賞(SII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     南関東牝馬クラシック二冠目の東京プリンセス賞(SI、大井・1800m)。桜花賞馬ケラススヴィアが満を持して出走してきます。昨年は無敗のまま、東京2歳優駿牝馬やローレル賞を勝ち、グランダムジャパン2歳シーズンの女王に輝きました。

     今年に入り、休み明け緒戦だったユングフラウ賞は斤量差などもあり、優勝したウワサノシブコの2着に敗れましたが、力のある所は十分に示す内容。しかし、陣営が非常に悔しそうにしていた姿も印象的で、それだけレベルの高さを肌で感じているからこそ。

     前走の桜花賞はその鬱憤を晴らすかのような、圧巻の走り。ラテン語で『桜の道』を意味する名前の通り、浦和競馬場に咲き誇っていた桜の下で、桜の女王に輝きました。森泰斗騎手を背に、先手を取っていくと軽快なスピードのまま押し切り、2着のグロリオーソに3馬身差。

     「前走負けてしまったことは残念でしたが、あくまでもトライアルで諸々不利な条件も重なったので、普通に走れば大丈夫だろうと思っていました。マイペースに運べて4コーナーまで脚もたまっていたので、いい内容の走りでした」(森騎手)。

     その後はこの東京プリンセス賞に向けて、いつものように短期のリフレッシュ放牧を挟んでの調整を行い、好仕上がりだそうです。

     「テンションや追い切りの動きも問題はないですし、予定通りの内容です。1800mを走ったことはありませんが、心配はしていません。逃げてはいますが行くだけの馬じゃないですし、乗っている人の意図している位置で、動かした分だけ動く無駄な力は使わない馬です。無事にレースにたどり着ければ結果はついてくると思っています」(浦志調教師補佐)。

     430キロ台の小柄な馬ですが、スピードやレースセンスはもちろん、この馬の持久力も、小久保智調教師は高く評価しています。

     「レースでは疲れが残るような走りをしていないので、今回はさらにボリュームが出てきた感じで良くなっていますね。この距離は経験していない馬が多いし、そのスペシャリストたちが出走してくる訳でもないですから。センスもあるから折り合いは問題ないし、終わってみたら、(この距離でも)『やっぱり強かった』ってなるんじゃないかなと思っています」(小久保調教師)。

    ■ウワサノシブコ
    *浦和 岡田一男 厩舎 牝3歳
    *成績 13戦4勝2着3回
    *重賞タイトル
     ユングフラウ賞(SII)(2021)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     2走前のユングフラウ賞は、和田譲治騎手を背に外の4番手を進めていき、逃げていたケラススヴィアに勝負所から並びかけていくと、最後の直線に入ってから何度か離されながらも食らいついていき、ゴール前で差し切りました。念願の初タイトルを獲得。それでも、「まだ遊んでいますよ」と、枠場に引き返してきた和田騎手。

     前走の桜花賞は疾病(感冒)により出走取消になりました。しかし、大事には至らず、すぐに東京プリンセス賞へのトレーニングを積むことができたのは不幸中の幸いでした。

     「乗り込み量は豊富で、最終追い切りもA1の古馬(ティーズダンク)と良い走りを見せてくれて、時計は平凡でも動きはとても良かったです。ユングフラウ賞よりも状態は上向いていると思います。右回りは北海道時代に走り慣れているし、距離はやってみないとわかりませんが、折り合いはつく馬なのでこなして欲しいですね」(岡田一男調教師)。

    ■グロリオーソ
    *大井 佐野謙二 厩舎 牝3歳
    *成績 13戦3勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     父は南関東の偉大なるフリオーソ。母は中央未勝利から南関東に移籍し、長きに渡って走り続けたシャインエタニティ。そんなゆかり深い仔グロリオーソが、3歳牝馬戦線で好走中です。

     どうしても、桜花賞馬ケラススヴィアの強さが目立つ今年のこの路線ですが、グロリオーソも、ユングフラウ賞では優勝したウワサノシブコと2着のケラススヴィアからアタマ差・クビ差の3着、桜花賞はケラススヴィアから3馬身差の2着。

     今回は走り慣れた右回りコースで、ホッカイドウ競馬時代に1700m戦までの経験はあり。

     「矢野騎手がつきっきりで調教に乗ってくれていて、『馬の状態もいい感じ』と言ってくれています。まだトモに緩さがあって器用さのない馬ですが、置かれながらも終いは伸びる競馬が続いているので、大井の外回りになるのは悪くないと思います。距離はやってみないとわかりませんが、みんなが初めてなので決めつけずにベストを尽くしたいです」(佐野謙二調教師)。

    ■レディブラウン
    *川崎 原三男 厩舎 牝3歳
    *成績 12戦2勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     グロリオーソと同じ偉大なるフリオーソを父に持つレディブラウン。こちらもホッカイドウ競馬デビュー馬で、重賞2着の実績馬。

     南関東移籍緒戦は、牡馬と牝馬混合の川崎ジュニアオープンで、初コースや初左回りも苦にせず快勝し、力の違いを見せつけました。

     その後は、東京2歳優駿牝馬5着、前走の桜花賞は3着。「背腰やバネのいい馬で、暴れた時の一瞬の力というのもすごいですね。やっぱり走る馬だなぁと感じますよ」と、原三男調教師は愛馬の頑張りを称えています。

     ホッカイドウ競馬出身馬だけに、今回は走り慣れた右回りに戻り、1700mまでの経験はあり。

     「状態は変わらず平行線です。桜花賞は3~4コーナーでやめているのか手応えが全くなくなりましたが、直線を向いたらもう一回頑張ってくれました。前は直線が短い方がいいのかなと思っていましたが、今は直線が長くなるのはいいかもしれませんね。スタートのいい馬で、どんな競馬でもできるので、うまく流れにのりたいです」(伊藤裕人騎手)。

    ■ディアリッキー
    *船橋 新井清重 厩舎 牝3歳
    *成績 5戦3勝2着0回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ここまで5回出走し3勝を挙げ、一度も掲示板を外さず安定した走りを見せているディアリッキー。

     特筆すべきは2走前の東京2歳優駿牝馬で、道中は内の中団から外に持ち出すと、最後の直線ではメンバー中最速の38秒9の脚で豪快に伸び、優勝したケラススヴィアの3着でした(0.8秒差)。

     その後は桜花賞をスキップし、この東京プリンセス賞に狙いを定めて仕上げてきたのは予定通りのローテーション。

     「ここまで順調に仕上げられました。前よりカリカリしなくなってきたので、そこはいい方に出てくれれば。1800mはペースが落ち着くことも多いので、この馬には速くなってくれた方がいいですね。終いにかける競馬になると思います」(新井清重調教師)。

    *東京プリンセス賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第35回 東京プリンセス賞(SI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ケラススヴィア
    浦和4/23良 800m-54.6秒 600m-39.8秒 強めに
    ■ウワサノシブコ
    浦和4/23良 800m-54.8秒 600m-39.8秒 一杯追
    ■グロリオーソ
    大井4/24良 1000m-66.2秒 800m-51.3秒 600m-37.4秒 馬なり
    ■レディブラウン
    川崎4/24良 1000m-64.9秒 800m-49.9秒 600m-37.2秒 一杯追
    ■ディアリッキー
    船橋4/24右良 1000m-62.5秒 800m-48.7秒 600m-36.5秒 一杯追
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    <第35回 東京プリンセス賞(SI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     3月31日に浦和競馬場で実施した牝馬クラシック1冠目の桜花賞は、森泰斗騎手とコンビを組んだ南関東2歳女王ケラススヴィア(浦和・小久保智厩舎)が堂々逃げ切り勝ちを収め、まずは牝馬1冠目を獲得しました。

     そんなケラススヴィアが、牝馬2冠目の東京プリンセス賞に登場。引き続き1番人気(単勝オッズ1.5倍)に支持をされ、危なげなく2冠目の称号を獲得。初距離ながらもより強さが際立ちました。

     一生に一度のクラシックの砂上に登場した11頭のうら若き3歳牝馬たち。

     ケラススヴィアは二の脚が速く一気に先頭へ。桜花賞2着馬グロリオーソが2番手につけ、3番手の内には桜花賞3着馬レディブラウン、外にはユングフラウ賞の勝ち馬ウワサノシブコ。その後ろに、ティーズアレディーやディアリッキーが続いていき、前の集団がかたまる展開。

     引き続きケラススヴィアとコンビを組んだ森騎手は、「すばらしい仕上がりだったことは、返し馬の時点で感じることができました。テンションは少し高めでしたが、許容範囲内で我慢はしていましたね。ゲートでちょっとうるさくて心配でしたが上手に出てくれて、何か主張してくる馬がいれば行かせてもいいという考えでしたが、スタートも良かったので馬の力を信じて迷わずハナに行きました」。

     3コーナー付近から、後続馬の騎手たちの手が激しく動く中、森騎手の手綱は持ったままで、後続を振り切る形で4コーナーへ。

     最後の直線で追われるとさらに突き放していき、スピードは衰えずにゴール板を駆け抜けました。大外から進出して2着に入ったディアリッキーに7馬身差をつける圧勝。森騎手もゴール後に大きく後ろを振り返って、後続との差を確認していた姿も印象的でした。勝ちタイムは1800m1分54秒2(良)。3着がティーズアレディー。

     「個人的に東京プリンセス賞は逃げがあまり良くないイメージでしたが、ケラスは全く問題なくすばらしい内容で2冠を取れて、次に向けても期待がふくらむ一方です」。

     ケラススヴィアは浦和生え抜き馬で、これで7戦6勝2着1回。重賞勝ちは昨年のローレル賞を皮切りに、東京2歳優駿牝馬、桜花賞、東京プリンセス賞と、早くも4つ目です。唯一負けたユングフラウ賞は、斤量差や休み明けなどもあり惜しい結果に終わりましたが、ほぼパーフェクトと言っても過言ではないレース振りが続きます。

     メンコを外すと非常にあどけない愛らしい表情を浮かべていますが、レースに行けば、この強さ。うら若き3歳牝馬、そんなギャップも魅力的な2冠牝馬です。

    「ケラスの優れているところはシンプルに脚が速いです。脚の回転は速いので乗っていても速く感じます。南関東のダートは、どちらかと言えば小柄な馬は分が悪いですが、ケラスは体重の軽さがプラスに出ていてスイスイ進んでいくんですよ。

     前は大人しくて超いい仔という印象でしたが、前走からレースというのがわかるようになってきて、ちょっとうるさくなってきたのはいい傾向だと思います。レースでは自分を見失ったり引っ掛かることがなくて、折り合いはつくので距離も大丈夫です。今年の3歳牝馬の中ではずば抜けた存在だと思います」。 

     南関東競馬史において牝馬3冠を制した馬は2006年のチャームアスリープただ1頭。ケラススヴィアの次走は、6月16日に川崎競馬場で行われる牝馬3冠目の関東オークス予定。大仕事が待っています!!!



    <他陣営のコメント>

    2着 ディアリッキー 本田正重騎手
    「気持ちよく走ってくれましたが、最後は離されてしまいました。もっとペースが速くなってくれた方が良かったです。距離は問題ないですが、今日は相手が強かったですね」

    3着 ティーズアレディー 達城龍次騎手
    「人気はありませんでしたが、地元で期待はしていました。終始ササる馬ですが、左回りよりも右回りの大井コースの方が走りやすいと思います。キックバックも嫌がっていて、道中も追いっぱなし。ササるし砂は嫌がるしで騎手泣かせですが、直線は砂をかぶらないところまで持ち出したら伸びてくれました」

    4着 ウワサノシブコ 和田譲治騎手
    「ちょっとフワフワしながらでしたが、気合を入れたら反応してくれました。3コーナー過ぎから置かれ出して、直線では離されてしまいました」

    5着 カイカセンゲン 張田昂騎手
    「道中はもっと前に行きたかったですが、返し馬で引っ掛かる感じもあったので、出していくのはためらいました。もうちょっと楽に前に行けていれば良かったです。競馬は乗りやすい馬で距離は延びても大丈夫ですが、もうワンパンチ欲しいですね」

    6着 フライングトリップ 山崎誠士騎手
    「終いを生かす競馬をさせたかったです。未勝利馬ですがこういうレースに出ることができて、いい経験になったと思います。距離も持ってくれましたね」

    7着 グロリオーソ 矢野貴之騎手
    「競馬としては理想的な位置取りでしたが、楽にあの位置につけた割には伸びませんでした。距離なのかな?」

    8着 イヤサカ 笠野雄大騎手
    「外を回ってロスの多い競馬になってしまい、もう少しやれるかなぁと思ったので、もったいないレースになりました」

    9着 レディブラウン 伊藤裕人騎手
    4コーナーまではスムーズにいい形で進めることができましたが、直線では手応え的にちょっと止めてしまった感じですね。次は馬具などを変えて臨むかもしれません」

    10着 サブルドール 今野忠成騎手
    「スタートしてから嫌がるところがあって、この間よりも若干入れ込んでいた感じはありました」

    11着 アイカプチーノ 町田直希騎手
    「道中はもっとハミが抜ければ違うでしょうが、入れ込んでいたし、距離も1800mは長かったと思います」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    35 令3 ケラススヴィア 牝3 森 泰斗
    34 2 アクアリーブル 牝3 矢野 貴之
    33 平31 トーセンガーネット 牝3 左海 誠二
    32 30 グラヴィオーラ 牝3 今野 忠成
    31 29 アンジュジョリー 牝3 笹川 翼
    30 28 リンダリンダ 牝3 桑村 真明
    29 27 ティーズアライズ 牝3 矢野 貴之
    28 26 スマートバベル 牝3 澤田 龍哉
    27 25 カイカヨソウ 牝3 今野 忠成
    26 24 アスカリーブル 牝3 今野 忠成
    25 23 マニエリスム 牝3 戸崎 圭太
    24 22 トーセンウィッチ 牝3 張田 京
    23 21 ネフェルメモリー 牝3 戸崎 圭太
    22 20 ブライズメイト 牝3 山田 信大
    21 19 アグネスターフ 牝3 町田 直希
    20 18 チャームアスリープ 牝3 今野 忠成
    19 17 テンセイフジ 牝3 石崎 駿
    18 16 ブルーロバリー 牝3 今野 忠成
    17 15 ディーエスメイドン 牝3 森下 博
    16 14 サルサクイーン 牝3 的場 文男
    15 13 ナミ 牝3 的場 文男
    14 12 アインアイン 牝3 市村 誠
    13 11 デアヴィクティー 牝3 張田 京
    12 10 ホクトオーロラ 牝3 石崎 隆之
    11 9 ミスジュディ 牝3 桑島 孝春
    10 8 スギヤマワッスル 牝3 湯浅 淳一
    9 7 ヘイワンリーフ 牝3 桑島 孝春
    8 6 ケーエフネプチュン 牝3 矢内 博
    7 5 アコニツトローマン 牝3 高橋 三郎
    6 4 チヤームダンサー 牝3 石崎 隆之
    5 3 ケイワンハート 牝3 早田 秀治
    4 2 ビツクワンシヨツト 牝3 佐藤 賢二
    3 平元 フジノダンサー 牝3 石崎 隆之
    2 昭63 イシノラツキー 牝3 尾形 秋徳
    1 62 ダイタクジーニアス 牝3 佐々木 竹見