重賞レース

第66回 東京大賞典(GI)

  • 2020年12月29日(火)
  • 15:40発走
第66回優勝馬:オメガパフューム号

一年の総決算として行われる年の瀬のビッグイベント。2011年から地方競馬初となる国際GIに格上げとなり国際競走として実施されています。日本全国から集結したダートグレード戦線の実績馬に加え、海外で活躍する実力馬が参戦可能になり、その年のダートNO.1を決める真のグランプリレースとなりました。

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    <第66回 東京大賞典(GI)>
    (12月21日現在)

    オメガパフューム
    東京大賞典3連覇がかかります。昨年はノンコノユメやモジアナフレイバーを抑えての勝利。高いレベルで戦い続ける実力馬が、今年はどんな走りを見せるでしょう!

    ダノンファラオ
    今年のジャパンダートダービーは2番手から直線で先頭に立つ内容で、念願の重賞初制覇を収めました。前走の浦和記念で重賞2勝目を挙げて、古馬たちを一蹴。

    モジアナフレイバー
    南関東生え抜きの希望。2走前の南部杯は日本レコードが叩き出された一戦で、この馬自身もすばらしい内容でした(3着)。前走の勝島王冠は折り合いを欠き3着。

    ノンコノユメ
    中央から南関東に移籍後も活躍中。前走の勝島王冠は陣営が途上と公言していた中でも2着となり、改めて地力の高さを見せつけた形。昨年の東京大賞典は2着。

    カジノフォンテン
    上山と南関東で重賞6勝を挙げた女傑ジーナフォンテンの息子。今年の京成盃グランドマイラーズで重賞初制覇を飾り、前走の勝島王冠は強豪たちを一蹴して勢い抜群!

    ミューチャリー
    昨年の羽田盃馬で、今年のマイルグランプリはそれ以来となる重賞勝利を収めました。強い相手に果敢に挑戦し続け、前走のJBCクラシックは4着。末脚身上。

    ワークアンドラブ
    前走のサンタアニタトロフィーは圧倒的な強さで逃げ切り勝ちを収めました。非常に気の難しいタイプとのことですが、「ポテンシャルの高さは一級品」と厩舎サイド。

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    <第66回 東京大賞典(GI)>

    (12月26日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ノンコノユメ
    *大井 荒山勝徳 厩舎<小林> セ8歳
    *成績 38戦9勝2着8回
    *重賞タイトル
     サンタアニタトロフィー(SIII)(2019)
     フェブラリーS(GI)(2018)
     根岸S(GIII)(2018)
     東京中日スポーツ杯武蔵野S(GIII)(2015)
     ジャパンダートダービー(JpnI)(2015)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]
    ■ワークアンドラブ
    *大井 荒山勝徳 厩舎<小林> 牡5歳
    *成績 33戦8勝2着4回
    *重賞タイトル
     サンタアニタトロフィー(SIII)(2020)
     マイルグランプリ(SII)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     荒山勝徳厩舎から、頼もしい2頭が参戦してきます。

     ノンコノユメは、中央時代にはフェブラリーSやジャパンダートダービーなど重賞5勝、南関東に移籍後も高いレベルで走り続けている実力馬(通算重賞勝ちは6勝)。

     昨年の東京大賞典は優勝したオメガパフュームから0.2秒差の2着となり、あと一歩のところで涙を呑みました。あれから1年が経ち、ノンコノユメも8歳、もうすぐ9歳。

     前走の勝島王冠は、優勝したカジノフォンテンから0.4秒差の2着でした。この時は年齢からくるものなのか、状態の持ち上がりが以前よりも緩やかになっているようで、いい頃に比べると迫力や躍動感がもう少しであることを、レース前に陣営は公言していましたが、それでいながらもさすがの走り。

     とは言っても、「あくまでも南関東同士だったし勝って欲しかったですね」と荒山調教師は悔しさをにじませ、これもノンコノユメの地力の高さを身近に感じているからこそでしょう。

     その後は当初からの予定通りこの東京大賞典に向けてきたそうで、状態も持ち上がっているそうです。

     「『まだ良くなっていきそうな雰囲気はありますね』と、前走後に翼(笹川翼騎手)も言っていました(今回は矢野貴之騎手騎乗)。やはり、年齢を重ねたことで状態が上がってくるのは遅くなったみたいです。前回使って良くなってきました。

     前より馬込みでの競馬もできるようになってきたし、位置取りはどこでもいいですが、ノンコの終いは生かしたいです」(荒山調教師)。

     一方、ワークアンドラブは大井生え抜き馬ハナライの長男。自身は中央や北海道、そして、南関東で走り、昨年10月のマイルグランプリ優勝後、勝ち星からは遠ざかっていました。

     この馬に関わる人たちが、「ポテンシャルの高さは一級品で、東京大賞典などのビッグレースを勝ってもおかしくない馬」であることは口にしていますが、一方で、調教でもレースでも非常に気難しい面があることも公言してきました。

     前走のサンタアニタトロフィーは圧巻の逃げ切り勝ち。「放牧休養から帰ってきて、午後乗りをしてみました。馬場を回らなくなる所のある馬ですが、今回は追い切りでスムーズに回れた時もあり、ただ、止まるような仕草も見せていたのは、ワークらしさも残しているのでいいのかなと思います」と、レース前に言っていた荒山調教師。

     当初から東京大賞典を目標に仕上げられてきて、この中間も短期放牧を挟んでの小林牧場での午後乗りは、変わらず続けたそうです。

     「トラックマンとも話していますが、前回同様にワークらしさも残しながら、気持ちの切り替えはできていて、やる気などはすごくて良化していると思います。レースでは気持ちよく走れるかどうかが鍵を握る馬なので、本来はハナに行った方が持ち味は発揮できると思いますが、この馬にとって一番いいリズムで走れるかですね」(荒山調教師)。

    ■モジアナフレイバー
    *大井 福永敏 厩舎<小林> 牡5歳
    *成績 19戦9勝2着0回
    *重賞タイトル
     勝島王冠(SII)(2019)
     大井記念(SI)(2019)
     勝島王冠(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     南関東生え抜きの希望として、ドバイ遠征やフェブラリーS、南部杯など、ビッグレースに挑戦し続けているモジアナフレイバー。

     2走前の南部杯は、優勝したアルクトスから0.3秒差の3着。優勝タイムは1600m1分32秒7(やや重)で、日本レコードを更新したことでも話題になりました。これまでの日本レコードは、2001年の武蔵野Sをクロフネが出した1分33秒3(良)。モジアナフレイバーも1分33秒0で駆けています。改めて全国区の実力があることを証明した形。

     しかし、前走の勝島王冠は、メンバー中一番重い58キロを背負っての競馬だったとは言え、優勝したカジノフォンテンから0.4秒差の3着。繁田健一騎手の話しでは、見た目以上に折り合いを欠いていたそうで、3コーナー手前では手応えも怪しくなってしまったそうです。それでいながら最後まで追い詰めたのは地力の高さでもあるでしょう。

     東京大賞典は3年連続の参戦となり、1年目は9着、2年目は3着と、着順も時計もパフォーマンスも上げているだけに、今年の走りも非常に楽しみです。

     「レース後もしっかり調教を積むことができて、最終追い切りでもかなり負荷をかけました。間隔はありませんが、いい方に向かっていると思います。

     日本レコードが出たレースでもいい所についていけるスピードのある馬です。前回はその直後のレースだったので、馬もその気になって戸惑った分もあるのかなと思います。今回はペースが少し速くなって欲しいですね。

     去年よりも経験値は上がって成長してくれていると思うので、去年以上のパフォーマンスを期待しています。3歳からこういう舞台にチャレンジし続けているからこそ、オーナーさんにもモジアナにも、こういうタイトルを取らせてあげたいです」(福永敏調教師)。

    ■ミューチャリー
    *船橋 矢野義幸 厩舎 牡4歳
    *成績 15戦6勝2着2回
    *重賞タイトル
     マイルグランプリ(SII)(2020)
     羽田盃(SI)(2019)
     鎌倉記念(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     遡ると、デビューしてから3戦3勝で鎌倉記念を制した時の、目が覚めるような末脚に魅了されてから約2年。昨年は羽田盃などを勝ち、東京ダービー2着、ジャパンダートダービー3着と、この世代のトップクラスで活躍を続けています。

     その後も、フェブラリーSやセントライト記念などの中央の舞台や、南関東でもダートグレード競走を中心に走り続けているのは、関わる人たちの期待の表れでもあるでしょう。

     前走のJBCクラシックは、37秒4の終いの脚を繰り出し4着に入り、地方馬最先着。「4着に食い込めたのは力がある証拠でよく頑張ってくれました。距離の融通も利くし、この先も通用すると思います」と、コンビを組み続けている御神本訓史騎手。

     この中間も順調に進めてきたそうで、再びビッグレースの東京大賞典へ!

     「休み明けのマイルグランプリ(優勝)の時は雰囲気も良かったので、今回もテンションを上げないように考慮して、プレッシャーはかけすぎないようにやり過ぎないようにしてきました。ペースは速くなるでしょうが左右されないように、自分のリズムで運んで、この馬の切れ味をうまく引き出したいですね」(矢野義幸調教師)。

    ■カジノフォンテン
    *船橋 山下貴之 厩舎 牡4歳
    *成績 17戦9勝2着0回
    *重賞タイトル
     勝島王冠(SII)(2020)
     京成盃グランドマイラーズ(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     上山と南関東で重賞6勝を挙げた女傑ジーナフォンテンの愛息カジノフォンテン。

     自身も素質の高さに定評があったものの、若い頃は体質が弱くトモの緩さなどもあり、持ち合わせたエンジンに体がついてこない状態だったそうです。歯がゆいレースが続いたこともありましたが、大事に育てられ、ついに、この路線のトップにいる馬たちを打ち破る存在にまで成長しました。

     今年は京成盃グランドマイラーズで念願の初タイトルを獲得すると、前走の勝島王冠は、ノンコノユメやモジアナフレイバーというこの路線の南関東トップに君臨する馬たちを一蹴。東京大賞典はダートグレード競走への初挑戦となり、一戦ごとに強くなっている成長著しい4歳馬が、どんな走りを見せるのか非常に楽しみです。

     「7枠14番に入りましたが、もう少し内枠が欲しかったです。内目に入ったワークアンドラブは行くでしょうし、どういう位置取りになるかは現段階では想像がつかないです。ただ、最近では番手からの競馬でも気にしないので、後ろになりすぎなければどこでもいいかなと思っています。

     距離が延びるのは歓迎ではありませんが、前回も思っている以上に折り合ってくれました。ある程度はペースが流れてくれた方がいいです。

     来年はダートグレード競走を中心に戦っていかなくてはならないと思っているので、こういう強いメンバーとどういう競馬をしてくれるのか、早く見てみたいです」(山下貴之調教師)。

    <中央馬の顔ぶれ>

    ■ウェスタールンド
    *JRA 佐々木晶三 厩舎 セ8歳
    *成績 32戦6勝2着9回
    *重賞タイトル
     アンタレスS(GIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     芝からダートに転向後、チャンピオンズカップで2着になるなど実力の高さを示し、アンタレスSで念願の重賞制覇。広い大井コースになるのはプラスで、末脚身上。

    ■オメガパフューム
    *JRA 安田翔伍 厩舎 牡5歳
    *成績 18戦8勝2着5回
    *重賞タイトル
     平安S(GIII)(2020)
     東京大賞典(GI)(2018・2019)
     帝王賞(JpnI)(2019)
     シリウスS(GIII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井との相性は抜群で連を外していません。ここ2戦は惜しくも2着に敗れましたが、今回のメンバー中実績ナンバー1!東京大賞典史上初の3連覇がかかります。

    ■ダノンファラオ
    *JRA 矢作芳人 厩舎 牡3歳
    *成績 11戦4勝2着2回
    *重賞タイトル
     浦和記念(JpnII)(2020)
     ジャパンダートダービー(JpnI)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     JDDで3歳馬の頂点に立ち、前走の浦和記念は古馬たちを一蹴。先行力を武器に、再び古馬たちに挑みます。3歳馬が優勝した場合は2年前のオメガパフューム以来。

    ■テーオーケインズ
    *JRA 高柳大輔 厩舎 牡3歳
    *成績 9戦4勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     デビューから4着以下は1度だけという抜群の安定感。初物尽くしや中8日での参戦でクリアしなくてはならないことも多いですが、未知の魅力たっぷりです。

    ■デルマルーヴル
    *JRA 戸田博文 厩舎 牡4歳
    *成績 18戦4勝2着6回
    *重賞タイトル
     名古屋グランプリ(JpnII)(2019)
     兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     兵庫ジュニアグランプリと名古屋グランプリを勝ち、UAEダービー(4着)にも出走。ダートグレード競走を中心に走ってきた実績馬で、きっかけをつかみたい1戦。

    ■ハナズレジェンド
    *JRA 矢作芳人 厩舎 牡7歳
    *成績 49戦6勝2着8回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     デビューから芝の中・長距離を走ってきましたが、前走の阪神競馬場で行われたカノープスS(オープン)で初ダートも苦にせず快勝し、ダート適性の高さを見せたばかり。

    ■ヒストリーメイカー
    *JRA 新谷功一 厩舎 牡6歳
    *成績 31戦14勝2着4回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     金沢と南関東で活躍したチヨノドラゴンの息子。自身の重賞勝ちはありませんが、高いレベルで好走を続け、前走の浦和記念は5着。母の走った大井競馬場の大一番へ!

    *東京大賞典の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第66回 東京大賞典(GI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■テーオーケインズ
    中間軽め
    ■デルマルーヴル
    美浦12/24B良 1000m-68.8秒 800m-52.8秒 600m-39.3秒 200m-12.6秒 一杯追
    ■モジアナフレイバー
    小林12/24良 1200m-80.6秒 1000m-62.6秒 800m-48.5秒 600m-35.5秒 末一杯追
    ■ヒストリーメイカー
    栗東12/25坂路 800m-55.3秒 600m-39.4秒 200m-12.5秒 末強めに
    ■ダノンファラオ
    栗東12/25CW良 1200m-85.5秒 1000m-68.4秒 800m-53.0秒 600m-39.5秒 200m-12.1秒 馬なり
    ■ワークアンドラブ
    小林12/24良 800m-49.2秒 600m-36.0秒 強めに
    ■オメガパフューム
    栗東12/25坂路 800m-52.6秒 600m-38.1秒 200m-12.6秒 末強めに
    ■ノンコノユメ
    小林12/24良 1000m-65.6秒 800m-49.7秒 600m-36.6秒 馬なり
    ■ウェスタールンド
    栗東12/23坂路 800m-53.8秒 600m-39.6秒 200m-12.9秒 一杯追
    ■ハナズレジェンド
    栗東12/24坂路 800m-52.1秒 600m-37.8秒 200m-12.8秒 叩一杯
    ■ノーブルサターン
    大井12/25良 1000m-64.9秒 800m-50.3秒 600m-36.7秒 強めに
    ■クロスケ
    大井12/25良 800m-52.2秒 600m-38.2秒 馬なり
    ■ナイトオブナイツ
    大井12/25良 1000m-67.0秒 800m-52.3秒 600m-37.9秒 馬なり
    ■カジノフォンテン
    船橋12/25良 1000m-64.0秒 800m-48.8秒 600m-36.1秒 馬なり
    ■エイシンスレイマン
    大井12/24良 1000m-65.1秒 800m-51.0秒 600m-37.6秒 一杯追
    ■ミューチャリー
    船橋12/25良 1000m-65.4秒 800m-49.4秒 600m-35.6秒 一杯追
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第66回 東京大賞典(GI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     年末を彩るダート界の総決算、東京大賞典。今年で66回目を迎えた大井競馬場伝統の一戦で、数多くのダート界のチャンピオンホースたちが名勝負を繰り広げてきました。

     今年は中央から王者クリソベリル不在も、3連覇をかけて挑んできたのは、大井との相性抜群の1番人気オメガパフューム(中央・安田翔伍厩舎)。

     南関東からも、ノンコノユメやモジアナフレイバー、ミューチャリーなど、この路線のトップホースたちが集結。2005年にアジュディミツオーが連覇したのを最後に、南関東勢の東京大賞典勝利は遠ざかってきただけに、今年こそはと胸を躍らせるメンバー。

     結果的には、1着から6着までが0.2秒差という中、ミルコ・デムーロ騎手エスコートのオメガパフュームが、東京大賞典史上初の3連覇を飾りました。クビ差の2着は、大金星までもう一歩だった張田昂騎手が手綱を取った9番人気カジノフォンテン。3着は、向正面で後方から中団に押し上げ、最後は猛追してきたウェスタールンド。

     レースは、ワークアンドラブが先頭で進めていき、2番手にカジノフォンテン。モジアナフレイバーやダノンファラオも続いていき、その後ろにオメガパフューム、中団にはノンコノユメやミューチャリーも追走。

     ラップタイムが12.3-12.1-13.4-13.7-13.4-12.7-12.6-12.7-11.6-12.4。前半1000m通過が64秒9という非常にゆったりした流れ。

     最後の直線に入り、残り200m付近で先頭に立ったのがカジノフォンテン。直後に中央馬たちが迫ってくる中、必死に粘り強さを見せたものの、オメガパフュームが力でねじ伏せるかのようにクビ差出たところがゴール。勝ちタイムは2000m2分6秒9(良)。

     「3連覇は難しいのでとてもうれしいです。早めに抜け出す展開は物見をするので、ペースなどいろいろ考えて騎乗しました。直線の手応えは良かったですが、ペースは遅かったので早めに先頭には立ちたくなかったです。最後200mで差し切ろうと思っていたので気持ちが良かったです。この馬は大井との相性もいいですね」(デムーロ騎手)。



     一方、南関東の新星カジノフォンテンにとっては、初のダートグレード競走ながらも、堂々たる走りを見せました。しかし、この着差だけに、本当に惜しい結果。

     「馬もどっしりしてきて乗りやすくなっているので、折り合いもすごくついてくれたし、理想的な形で競馬は運べました。最後はオメガに交わされましたが、本当ならもっとサッと行かれるかと思いましたが、踏ん張ってくれました。今回はいろんな要因で勝つチャンスだったとも思うので、あの差だし余計に悔しいです。

     (自分の)技術とか判断とか、ちょっとずつの差のクビ差だったと思います。カジノは全能力を出して頑張ってくれたことは伝わってきました。GI2着馬にふさわしい乗り役としてこれからも成長していきたいし、カジノと一緒に勝ちたいです」(張田騎手)。

     上山と南関東で走った女傑ジーナフォンテンの息子カジノフォンテン。元々の能力の高さに定評はあったものの、体質の弱さもあり、東京ダービーは6着で、1年前はB1B2クラスで走っていた馬。

     大事に育てられていきながら、今年は京成盃グランドマイラーズで重賞初制覇を飾ると、勝島王冠ではノンコノユメやモジアナフレイバーらを一蹴。そして、この東京大賞典は初のダートグレード競走でクビ差の2着。


     大井のチャンピオンディスタンスでもある2000mを舞台に、南関東勢が再び頂点に立つ日がやって来ることを、多くのファンも待ち望んでいます。夢は夢だけで終わるものではないということ、可能性を強く感じた今年の東京大賞典でした。


    <他陣営のコメント>

    3着 ウェスタールンド 藤岡佑介騎手
    「今日は気持ちも入っていて、返し馬から久しぶりに元気が良かったです。その分、スタートも良くていつもより流れにのっていけましたが、思ったよりも流れが落ち着いたので、向正面ではかなりハミを取るような感じになって、あまり気持ちを削ぐよりもポジションを上げていきました。思った通りの競馬はできましたが、流れが落ち着いて捕まえきれなかったので、もっとペースが流れていれば」

    4着 ヒストリーメイカー 北村友一騎手
    「内から渋太く伸びてくれました。スタートの一歩目に躓き加減でちょっと遅れてしまいましたが、全体的によく頑張ってくれていると思います」

    5着 ミューチャリー 御神本訓史騎手
    「大外だったので1コーナーでポジションを取るまでに脚を使っているし、それであれだけつめてくれました。ペースが遅い中でも、ノンコが隣にいてオメガが前にいて、いいポジションは取れたなぁと、最後は上がり36秒の脚を使ってくれました。できる限りのことはできたし、悔いはありません。

    (前と比べても)馬体重は変わらないですが、強い馬と戦っていくうちに強くなっているように思います。展開と乗り方、メンバー次第では、JRAとでもやっていける力はついてきていると思います。よく頑張って走ってくれました」

    6着 テーオーケインズ 松山弘平騎手
    「ポジション的に、今日は逃げ馬の後ろが欲しかったです。ちょっと取れなかったですが、最後は強い相手を前によく頑張ってくれていると思います」

    7着 ハナズレジェンド 坂井瑠星騎手
    「状態自体はすごく良かったです。もう少し流れてくれたら違ったとは思いますが、それでも初めてのGIで、初めての地方競馬で、いい脚を見せてくれました。明けて8歳になりますが、まだまだ頑張れると思います」

    8着 デルマルーヴル 戸崎圭太騎手
    「前半はリラックスしていけましたが。ペースも遅い分、後ろからでは届かないなって感じでした。最後はいい脚を使っているので、うまく展開がハマってくれればいいと思います」

    9着 モジアナフレイバー 繁田健一騎手
    「折り合いはついていましたが、あのスローペースで最後に伸びないのはおかしいですよね。乗っている感じで返し馬は前と変わりませんが、レースに行ってこういう感じだと、目に見えない疲れもあるのかな?と。こんな馬ではありません」

    10着 ワークアンドラブ 笹川翼騎手
    「いいペースで行けたし、思ったより後ろもこなかったのでいいかなと思いましたが、いつもの反応がないというか、この馬も伸びてはいるのですが、距離やメンバーで、瞬発力勝負になると分が悪いですね。

    中央馬が入るようなメンバーでは2000mは長いですが、南関東同士なら許容範囲内だと思うので、今回はそこに尽きるかなと。今回は馬自身も走りを止めてないし、最後はモジアナに交わされた時にまた抜き返そうともしていました」

    11着 ノンコノユメ 矢野貴之騎手
    「内にこだわった分の進路取りの差です。伸びていますが、最後は脚色が一緒になってしまいました」

    12着 ダノンファラオ 川田将雅騎手
    「競馬自体はスムーズにできて、直線も頑張れるのがこの馬の特徴でしたが、今日はそういう走りはできませんでした」

    13着 ノーブルサターン 服部茂史騎手
    「だいぶ良くなってきていますが、もうひと絞りできれば、さらにひと脚利くかもしれません。相手は強かっですが、南関東同士ならもう少しやれる手応えはありますね」

    14着 クロスケ 町田直希騎手
    「この馬なりには頑張っていますが、追走で一杯になってしまったし、相手も強かったです」

    15着 ナイトオブナイツ 千田洋騎手
    「体型もそうですが、走りもダートは問題ない感じです。距離は短い方がいいですね。ペースが遅かったのでついていけましたが、ペースが上がった時についていけませんでした」

    16着 エイシンスレイマン 松﨑正泰騎手
    「道中はついていけましたが、3コーナーくらいから手応えが怪しくなりました」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    66 令2 オメガパフューム 牡5 M.デムーロ
    65 令元 オメガパフューム 牡4 M.デムーロ
    64 平30 オメガパフューム 牡3 M.デムーロ
    63 29 コパノリッキー 牡7 田邊 裕信
    62 28 アポロケンタッキー 牡4 内田 博幸
    61 27 サウンドトゥルー セ5 大野 拓弥
    60 26 ホッコータルマエ 牡5 幸 英明
    59 25 ホッコータルマエ 牡4 幸 英明
    58 24 ローマンレジェンド 牡4 岩田 康誠
    57 23 スマートファルコン 牡6 武 豊
    56 22 スマートファルコン 牡5 武 豊
    55 21 サクセスブロッケン 牡4 内田 博幸
    54 20 カネヒキリ 牡6 C.ルメール
    53 19 ヴァーミリアン 牡5 武 豊
    52 18 ブルーコンコルド 牡6 幸 英明
    51 17 アジュディミツオー 牡4 内田 博幸
    50 16 アジュディミツオー 牡3 内田 博幸
    49 15 スターキングマン 牡4 武 豊
    48 14 ゴールドアリュール 牡3 武 豊
    47 13 トーホウエンペラー 牡5 菅原 勲
    46 12 ファストフレンド 牝6 蛯名 正義
    45 11 ワールドクリーク 牡4 加藤 和宏
    44 10 アブクマポーロ 牡6 石崎 隆之
    43 9 トーヨーシアトル 牡4 松永 昌博
    42 8 キョウトシチー 牡5 松永 幹夫
    41 7 アドマイヤボサツ 牡5 芹沢 純一
    40 6 ドルフィンボーイ 牡3 山崎 尋美
    39 5 ホワイトシルバー 牝5 荒山 勝徳
    38 4 ドラールオウカン 牝4 堀 千亜樹
    37 3 ボールドフェイス 牡3 堀 千亜樹
    36 2 ダイコウガルダン 牡5 早田 秀治
    35 平元 ロジータ 牝3 野崎 武司
    34 昭63 イナリワン 牡4 宮浦 正行
    33 62 テツノカチドキ 牡7 佐々木 竹見
    32 61 カウンテスアツプ 牡5 的場 文男
    31 60 スズユウ 牡7 石川 綱夫
    30 59 テツノカチドキ 牡4 本間 茂
    29 58 サンオーイ 牡3 高橋 三郎
    28 57 トラストホーク 牡4 高橋 三郎
    27 56 アズマキング 牡4 岡部 盛雄
    26 55 トウケイホープ 牡4 秋吉 和美
    25 54 エビチカラ 牡6 山田 秀太郎
    24 53 ハツシバオー 牡3 宮浦 正行
    23 52 トドロキヒリユウ 牡3 岡部 正道
    22 51 フアインポート 牡3 竹島 春三
    21 50 スピードパーシア 牡4 佐々木 竹見
    20 49 トドロキムサシ 牡3 岡部 盛雄
    19 48 ヒデムサシ 牡5 辻野 豊
    18 47 フリユーフアスト 牡3 渥美 忠男
    17 46 フジプリンス 牡4 角田 次男
    16 45 ダイニヘルスオー 牡3 出藤 篤
    15 44 ヤシマナシヨナル 牡5 福永 二三雄
    14 43 アシヤフジ 牡4 赤間 清松
    13 42 ヒガシジヨオー 牝4 竹島 春三
    12 41 ゴウカイオー 牡7 松浦 備
    11 40 オーシヤチ 牡5 赤間 清松
    10 39 オリオンホース 牡4 佐々木 竹見
    9 38 シンニツケイ 牡3 小筆 昌
    8 37 ダイサンコトブキ 牡5 宮下 哲朗
    7 36 サキミドリ 牡3 松浦 備
    6 35 オンスロート 牡3 赤間 清松
    5 34 ダンサー 牡5 武智 一夫
    4 33 ダイニコトブキ 牡3 須田 茂
    3 32 イチカントー 牡4 藤田 安弘
    2 31 ケンチカラ 牡4 小筆 昌
    1 30 ミスアサヒロ 牝5 安藤 徳男