重賞レース

第20回 JBCスプリント(JpnI)

  • 2020年11月3日(火)
  • 17:10発走
第20回優勝馬:サブノジュニア号

「ダート競馬の祭典」JBCの短距離部門です。2018年までJRA所属馬が過去18戦を17勝と圧倒する中、昨年は地元浦和所属のブルドッグボスが、2007年のフジノウェーブに続く地方勢2勝目を挙げました。地方馬の連覇、そしてフジノウェーブに続くTCK所属馬の地元勝利は成るのか?注目です。

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    <第20回 JBCスプリント(JpnI)>
    (10月27日現在)

    コパノキッキング
    通算タイトルは4勝ですが、デビューから一度も掲示板を外したことがなく高いレベルで走り続けています。昨年のJBCスプリント(浦和)は2着で、リベンジの一戦。

    サクセスエナジー
    前走のテレ玉杯オーバルスプリントなど4つのタイトルを獲得しています。大井コースでの勝ち星はありませんが、松山弘平騎手にエスコートされどんな走りを見せるでしょうか。

    ジャスティン
    今年の東京スプリントで重賞初制覇を飾ると、前走の東京盃は戸崎圭太騎手を背に、3番手からの差し切り勝ちを収めました。勝ちタイムは1200m1分10秒8(良)。

    サブノジュニア
    大井にゆかり深い生え抜き馬。今年のアフター5スター賞で念願の重賞初制覇を飾り、東京スプリントでは2着になるなどダートグレード競走でも好成績を残しています。

    ブルドッグボス
    昨年のJBCスプリント(浦和)を優勝して、NARグランプリ年度代表馬に!クラスターカップ、東京盃と、負けて強しの走りを見せていて、連覇をかけて臨みます。

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    <第20回 JBCスプリント(JpnI)>

    (11月1日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■ブルドッグボス
    *浦和 小久保智 厩舎 牡8歳
    *成績 43戦13勝2着9回
    *重賞タイトル
     ゴールドカップ(SII)(2019)
     JBCスプリント(JpnI)(2019)
     クラスターカップ(JpnIII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]
    ■ノブワイルド
    *浦和 小久保智 厩舎 牡8歳
    *成績 36戦13勝2着5回
    *重賞タイトル
     習志野きらっとスプリント(SI)(2020)
     習志野きらっとスプリント(SII)(2019)
     テレ玉杯オーバルスプリント(JpnIII)(2018・2019)
     プラチナカップ(SIII)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     南関東のリーディング、浦和所属の小久保智厩舎はJBC4頭出しです。JBCスプリントには、ブルドッグボスとノブワイルドの有力候補2頭を送り出します。

     昨年は御神本訓史騎手を背にJBCスプリント(浦和)などを勝ち、NARグランプリ2019年度代表馬など3部門を獲得したブルドッグボス。ダートスプリント王として、今年も満を持して臨みます。8歳になりましたが、春以降の成績を見てもわかるように高いレベルで安定しています。

     特に、この2戦は敗れているとは言え、クラスターカップはメンバー中一番重い59キロを背負い、日本レコードタイムが出る中で、勝ち馬から0.5秒差の3着。前走の東京盃もメンバー中最も重い58キロでしたが、勝ち馬からタイム差なしの2着。負けて強し。

     「去年はまだ半信半疑でしたが、今年は青写真通りにきているし、充実したなぁという感じです。前はむらっ気も多かったですが安定して走れるようになりました。不利さえなく回ってきてくれれば、直線は伸びてきてくれると思っています。中央馬は強いですし、今年もチャレンジャーです。『負けん!』という気持ちでは臨みます」(小久保調教師)。

     一方、快速馬ノブワイルドも、テレ玉杯オーバルスプリントと習志野きらっとスプリントでともに連覇を飾るなど、活躍を続けています。前走のテレ玉杯オーバルスプリントは3連覇をかけて臨みましたが、果敢に逃げるも早めに交わされてしまい、それでも最後はバタバタにならずに3着に踏み止まれたのは、力のある証。

     「前回は返し馬から行きたがってしまい度外視でいいと思います。行かせたら展開次第では逃げ切るまであると思えるくらい、ワイルドも本当に具合はいいですよ。大井コースも問題はありません」(小久保調教師)。

    ■サブノジュニア
    *大井 堀千亜樹 厩舎(小林) 牡6歳
    *成績 35戦11勝2着9回
    *重賞タイトル
     アフター5スター賞(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井生え抜き馬の星サブノジュニアは、母も祖母も大井生え抜き馬という大井にゆかり深い血統。有力候補の1頭としてJBCスプリントの舞台に立ちます。

     これまでもダートグレード競走で好走してきましたが、2走前のアフター5スター賞は格の違いを見せるつける形での快勝。前走の東京盃は勝ち馬から0.4秒差の5着に敗れましたが、外枠や、直前で雨が降って馬場が湿ったことでの展開なども含め、この馬向きにはならなかったことから、改めてリベンジ。

     「(前走は)テンに行けなくても最後は伸びてくれていますが、ペースが案外速くならなかったし、もったいないレースになりましたね。本来はもっと走れていい馬です。

     ダッシュがつかない分、この馬に外枠は不利に思っていたので、今回は絶好の枠に入れたし、真ん中くらいの位置を取って、テンにもつれるような競馬になってくれれば。最終追い切りの反応も良くてすごくいい状態で、デビューしてから一番の仕上がりのように感じます。チャンスのあるレース、楽しみにしています」(堀調教師)。

     サブノジュニアの半兄サブノクロヒョウ(大井・阪本厩舎)は、3年前の東京記念の勝ち馬で、今回はクラシックに出走します。母サブノイナズマにとって、息子2頭がそろってのJBC出走。母にとっても思い出の大井競馬場で、息子たちがどんな走りを見せてくれるのでしょうか!サブノイナズマ、偉大な母です。

    ■トロヴァオ
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) 牡7歳
    *成績 31戦5勝2着6回
    *重賞タイトル
     フジノウェーブ記念(SIII)(2020)
     ダービーグランプリ(M1)(2016)
     ハイセイコー記念(SII)(2015)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     関わる人たちがポテンシャルの高さを常々口にしているトロヴァオ。2歳でハイセイコー記念を勝ち、今年7歳でフジノウェーブ記念を制覇。

     前走の東京盃は、南関東移籍後初の1200m戦で、さらには全国のスピード自慢たちが集う舞台。スプリント戦への対応力も見所でしたが、追走もしっかりと、3~4コーナーでは他馬の影響からひるんだり、直線ではつまって追えない所もあったという中で、ブルドッグボスらと並んで最速タイ(36秒0)の脚で突っ込んできて6着。勝ち馬から0.5秒差。

     フジノウェーブ記念は、荒山調教師の愛弟子でもある藤田凌騎手が手綱を取って、記念すべき南関東での重賞初制覇を飾ったのは記憶に新しいところ。今回も師匠と弟子で、JBCの大舞台に上がります。

     「前回はあれだけの競馬をしてくれたので、今回に向けても手応えはつかめました。交流で勝つことは甘いものではありませんが、力は出せる状態に仕上がっているので楽しみです。凌と一緒に臨めるのはうれしいことですし、今後もこういうチャンスを増やしていきたいですね」(荒山調教師)。

     「いつも調教には黛厩務員が乗っていて、僕は追い切りに乗せて頂くことが多いですが、感覚的なものですが、迫力もあって、跨らせて頂いてから一番いい感じがします。自厩舎でこういうチャンスのある馬に乗せて頂けるのは思いも強くなります。気持ちを強く持って臨みたいです!」(藤田騎手)。

    ■キャンドルグラス
    *船橋 川島正一 厩舎 牡6歳
    *成績 33戦11勝2着5回
    *重賞タイトル
     船橋記念(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年6歳で船橋記念を制して、悲願のタイトルを獲得。前走のアフター5スター賞はサブノジュニアに0.2秒差の2着でしたが、それ以降は東京盃を使わずにこのJBCスプリントに向けて仕上げてきたのは予定通りのローテーション。

     今回は、ミルコ・デムーロ騎手が初騎乗。川島調教師の父・川島正行調教師の手掛けたフリオーソが、フェブラリーSや川崎記念でデムーロ騎手が騎乗し2着になったこともあり、その他にも川島一族とは縁があることから決まったそうです。デムーロ騎手がキャンドルグラスのどんな新しい面を引き出すのでしょうか!

     「最終追い切りは動きも時計も申し分なかったですね。大井1200mという条件もいいし、あとはどのくらいのペースで流れていくか展開次第です。胸を借りるつもりですが、力はある馬でダートグレード競走でも惜しい競馬をしてきているので頑張って欲しいですね」(川島調教師)。

    ■ベストマッチョ
    *川崎 佐々木仁 厩舎 セ7歳
    *成績 28戦7勝2着5回
    *重賞タイトル
     プラチナカップ(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央では1200mから1600mで6勝を挙げて、この夏から南関東へ移籍。川崎の佐々木仁厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームで調教を積んでいます。

     初戦の浦和スプリントオープンは逃げ粘るも王者ブルドッグボスに半馬身差交わされ2着に敗れましたが、この馬の力を示しました。その後はプラチナカップで重賞初制覇を飾ると、前走のオーバルスプリントでも地方最先着の2着。

     「今回は6枠12番に入りましたが、スタートのいい馬だし、前目につけられればヒケは取らないものは持っていると思います。1400mでも少し引っ掛かり気味なところがあったので、ペースは上げたいので1200mの方が折り合いもついていいと思います」(佐々木調教師)。

    <中央馬の顔ぶれ>

    ■コパノキッキング
    *JRA 村山明 厩舎 セ5歳
    *成績 19戦9勝2着4回
    *重賞タイトル
     カペラS(GIII)(2018・2019)
     東京盃(JpnII)(2019)
     根岸S(GIII)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     前走の東京盃は10番手から一気の末脚で、優勝したジャスティンから0.1秒差の3着。去年のJBCスプリント(浦和)は惜しくも2着に涙を呑み、リベンジの一戦。

    ■サクセスエナジー
    *JRA 北出成人 厩舎 牡6歳
    *成績 29戦11勝2着4回
    *重賞タイトル
     テレ玉杯オーバルスプリント(JpnIII)(2020)
     黒船賞(JpnIII)(2019)
     さきたま杯(JpnII)(2018)
     かきつばた記念(JpnIII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     前走のオーバルスプリントは中団から早め進出しての完勝。大井コースは未勝利ですが、どんな走りを見せるのでしょうか。母は南関東でも走ったサクセスアイニー。

    ■ジャスティン
    *JRA 矢作芳人 厩舎 牡4歳
    *成績 18戦7勝2着2回
    *重賞タイトル
     東京盃(JpnII)(2020)
     東京スプリント(JpnIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     東京スプリントで重賞初制覇を飾ると、前走の東京盃は3番手から差し切り勝ち。先頭に立って少し遊ぶような所もあったそうで、着差以上の強さ。大井は負けなし。

    ■ヒロシゲゴールド
    *JRA 北出成人 厩舎 牡5歳
    *成績 23戦6勝2着3回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     母は南関東で走ったエフテーストライクで、全弟はストーミーデイ。重賞勝ちはありませんが、ダートグレード競走でも好走。快速馬、最内枠から展開の鍵を握る1頭です。

    ■マテラスカイ
    *JRA 森秀行 厩舎 牡6歳
    *成績 31戦7勝2着7回
    *重賞タイトル
     クラスターカップ(JpnIII)(2020)
     プロキオンS(GIII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央、地方、海外と様々な舞台で走り続けています。前走の東京盃はスタートで躓き後ろから進める形になり11着と度外視。今回は自分の形に持ち込みたいところ。

    ■ミスターメロディ
    *JRA 藤原英昭 厩舎 牡5歳
    *成績 16戦4勝2着3回
    *重賞タイトル
     高松宮記念(GI)(2019)
     中日スポーツ賞ファルコンS(GIII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     昨年の高松宮記念覇者が、JBCスプリント(浦和)では優勝馬ブルドッグボスから1秒差の6着。その後は再び芝を走りましたが、ダート実績もあり、大井コースは初。

    ■モズスーパーフレア
    *JRA 音無秀孝 厩舎 牝5歳
    *成績 22戦7勝2着3回
    *重賞タイトル
     高松宮記念(GI)(2020)
     夕刊フジ賞オーシャンS(GIII)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年の高松宮記念の勝ち馬。一貫して芝で走ってきた馬が、ダートに初挑戦。芝でもハナを切ってきたスピードを、ダートコースでも生かすことはできるでしょうか!

    *JBCスプリントの情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第20回 JBCスプリント(JpnI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ブルドッグボス
    浦和10/28良 800m-52.7秒 600m-37.3秒 強めに
    ■ノブワイルド
    浦和10/28良 800m-50.5秒 600m-36.4秒 馬なり
    ■サブノジュニア
    小林10/29良 1000m-65.9秒 800m-48.5秒 600m-35.3秒 馬なり
    ■トロヴァオ
    小林10/30良 1000m-66.7秒 800m-50.4秒 600m-36.5秒 馬なり
    ■キャンドルグラス
    船橋10/30稍 1000m-64.3秒 800m-49.7秒 600m-36.8秒 G前強
    ■ベストマッチョ
    牧場10/30坂路 600m-37.6秒 200m-12.1秒 強めに
    ■コパノキッキング
    栗東10/31坂路 800m-51.3秒 600m-37.5秒 200m-12.5秒 強めに
    ■サクセスエナジー
    栗東10/30坂路 800m-52.9秒 600m-38.4秒 200m-12.5秒 一杯追
    ■ジャスティン
    栗東10/30坂路 800m-53.4秒 600m-39.9秒 200m-13.0秒 馬なり
    ■ヒロシゲゴールド
    連闘のため中間軽め
    ■マテラスカイ
    栗東10/31坂路 800m-52.5秒 600m-38.0秒 200m-12.2秒 一杯追
    ■ミスターメロディ
    栗東10/29芝稍 1000m-61.2秒 800m-47.4秒 600m-34.3秒 200m-11.6秒 馬なり
    ■モズスーパーフレア
    栗東10/30坂路 800m-49.6秒 600m-35.8秒 200m-12.2秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第20回 JBCスプリント(JpnI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     大井競馬場に関わる人たち、ファンにとって、待ち望んでいた瞬間がやって来ました。このJBCスプリントでは、矢野貴之騎手がエスコートした8番人気サブノジュニア(大井・堀千亜樹厩舎<小林>)が優勝!!!

     サブノジュニアは大井生え抜き馬で、2歳9月にデビュー。2歳離れをした風格は、当初から目を引くものがありましたが、若い頃はかなり気難しい面があり、さらには2度の骨折もあり、出世は遅れました。しかし、6歳になった今年、アフター5スター賞を制して重賞初制覇を飾ると、ついにJpnⅠホースへと上り詰めました。

     JBCスプリントを地方所属馬が制したのは3回目(フジノウェーブ、ブルドッグボス、サブノジュニア)ですが、大井生え抜き馬という意味では初の快挙。

     激しい先行争いの中、モズスーパーフレアが先頭で進めていくと、サブノジュニアは11番手からの追走。最近はスタートしてからの行きっぷりが今ひとつだったことから、返し馬では気合をつけたことも功を奏し、いつも以上に進みが良かったと言います。

     「中央馬が入ると流れが変わってきてしまうので、3コーナー手前くらいから並びがどうなっているのかもわからなくて、その辺のさばき方がすごく難しかったです。ただ、いい位置でためられてはいたので、前さえ開いてくれればという感じでは乗っていました」と矢野騎手。

     3~4コーナーではかなりごちゃつくシーンもありましたが、そこから間を割っていき、前を行くモズスーパーフレアやマテラスカイらに猛追。

     「ごちゃついた時に危ないと思って一瞬控えましたが、逆に馬がその気になって燃えた感じがします。(ごちゃつきで)外に回したし、前とは離れていたので届くかな?と思いましたが、手応えは抜群で、今までの中では一番切れ味を発揮してくれました」。

     残り200mからライバルたちを一気に抜き去るシーンは圧巻で、最後は突き抜け、2着のマテラスカイに1馬身4分の3差をつけての勝利。勝ちタイムは1200m1分10秒7(やや重)で走り、自身の持ち時計を一気に更新。3着がスタートで躓きながらも一番の上がり36秒1の脚で追い込んできた昨年の覇者ブルドッグボスでした。

     「ジュニアの力はもちろん認めているのですが、ゴールした瞬間はマジか?!と信じられなかったです。数年前に初めて乗せて頂いた時から、この馬はダートグレード競走を狙える馬だと思ってきたので、それが証明できたこともとてもうれしかったです」。

     サブノジュニアの馬主は中川三郎様、生産が藤沢牧場様(新ひだか町)。父が2003年のJBCスプリントの勝ち馬サウスヴィグラス、母はサブノイナズマ、母父がカコイーシーズという血統の6歳牡馬。

     母も祖母も大井競馬場デビュー馬で、1歳上の半兄は2017年の東京記念を勝っている生え抜きのサブノクロヒョウ。全て所有されてきた中川オーナーと生産してきた藤沢牧場さんの思いが強く詰まっている一族です。

     藤沢牧場さんからこういうエピソードを聞いたことがありました。

     ~遡って30年前、藤沢牧場の藤沢澄雄さんがシンコウラブリイを初めて見た際、自分の中の繁殖牝馬の理想の形であったことから、似た雰囲気を持っていたサブノジュニアの曾祖母にあたるサニーモーニングに惚れ込み、アイルランドから導入。

     そのサニーモーニングの血統に惚れ込んだ中川オーナーが、「フジキセキをつけて欲しい」と藤沢さんに懇願し、生まれてきたのがジュニアの祖母になるサブノアフロディア。

     サブノアフロディアは現役時代に管骨の骨折で引退して蹄の調子があまり良くなかったため、子供を多くは望めないだろうと思われていた中で生まれてきたのが、サブノジュニアの母サブノイナズマ~

     そして、サブノジュニアが誕生。

     一方、矢野騎手は2007年にJBCスプリントを制したフジノウェーブの調教パートナーだったことでも知られています。高崎競馬場廃止後に大井競馬場へやって来た矢野騎手は、乗り鞍も集まらずに騎手を辞めようと思っていた時期でもあったそうです。

     「あの頃は、調教とは言えウェーブに乗ることが心の支えになっていたし、助けられました。ウェーブがJBCを勝ったことは僕も衝撃的だったので、大井競馬場に来てからの騎手人生の中では基礎になっています。

     当時はレースでウェーブに乗りたいという気持ちはなかったのですが、御神本さん(御神本訓史騎手)を見ていて、心の底ではいつかはあーなりたいなというのはあったと思うんです。必死にここまでやってきて、気づかぬうちにサブノジュニアのような馬を依頼して頂き、本当にありがたいとしか言いようがありません。

     ウェーブに会っていなければ騎手を辞めている可能性もあったので、辞めなくて良かったなぁって、今はすごく思っています。フジノウェーブを管理されていた高橋三郎先生にも報告したいです」。

     あれから13年が経ち、今はトップジョッキーとなり、自身が騎乗してのJBC初制覇となった矢野騎手。

     関係者にもファンにも大きな夢や希望を与えてくれた今回のサブノジュニアの勝利。夢は夢で終わらない実現できることを教えてくれました。1頭の競走馬誕生のドラマ、そして、そこに関わる人たちのドラマ、語り尽くせません。



    <他陣営のコメント>

    2着 マテラスカイ 武豊騎手
    「外から少しプレッシャーがありました。状態は良かったですし、力のあるところは見せたと思います」

    3着 ブルドッグボス 御神本訓史騎手
    「(スタートで)躓きました。あれだけの状況ではどうにもならないですね。勝てたレースだと思います」

    4着 モズスーパーフレア 松若風馬騎手
    「雰囲気もすごく良くて、ナイターでもいつも通りの精神状態で臨めました。スタートでトモを滑らせたのが痛かったです。ダートの走りも良く、いつものように好スタートを決めていれば」

    5着 キャンドルグラス ミルコ・デムーロ騎手
    「凄いスタートでびっくりしましたが、それだけ状態は良かったのでしょう。3、4コーナーで前の馬が下がって進路がなかったです。手前を全然替えないのは、一生懸命に走り過ぎて気持ちに余裕がないので、替えるようになればもうひと伸びできると思います」

    6着 コパノキッキング 藤田菜七子騎手
    「すごく落ち着いていたし、返し馬も問題はなかったです。ゲートも出てくれましたが、砂をかぶって嫌がる仕草を見せていました。追走にも忙しかったです。よくわからないですね……」

    7着 ベストマッチョ 佐々木仁調教師
    「久しぶりの右回りでちょっと外にもたれていたので力を出し切っていないと泰斗(森泰斗騎手)は言っていましたね」

    8着 ジャスティン 戸崎圭太騎手
    「落ち着いていて雰囲気は良かったのですが、もまれる競馬が板についていないのが課題ですね」

    9着 トロヴァオ 藤田凌騎手
    「東京盃は道中の手応えもグッときたのですが、今回は押っ付け同士でたまる所がありませんでした。1200mは忙しい訳ではないと思うのですが、悔しいです」

    10着 サクセスエナジー 松山弘平騎手
    「砂をかぶるともまれ弱い馬なので、今日はこの馬の持ち味を生かせなかったなぁと思います」

    11着 メイショウアイアン 落合玄太騎手
    「後ろからでもいいとは思っていましたが、追走で一杯になってしまいました。最後は砂をかぶらない所に出したかったのですが、横にも広がっていたので、そこまで外に出すのもなぁと。こういう軽い馬場と速いペースに苦戦しましたが、もうちょっとやれる馬だと思います」

    12着 ミスターメロディ
    昨年の高松宮記念の勝ち馬で、ダートコースは昨年のJBCスプリント(浦和、6着)以来。大外枠から6番手につけていくも、最後はもう一歩。

    13着 クルセイズスピリツ 西啓太騎手
    「ゲートからの一歩目は出ていますが、周りが速かったですね。外枠だったので、あの位置取りになりました。砂をかぶせてもこっちが思っている以上に我慢をしてくれたのは良かったです」

    14着 シャインヴィットゥ 笹川翼騎手
    「相手も強く周りのスピードは速かったですが、この馬なりには走ってくれているとは思います」

    15着 ノブワイルド 左海誠二騎手
    「スタートは一番速かったです。道中は手前を替えずに直線も内にささってしまい、左回りの方がより持ち味が発揮されると思います。1200mよりは浦和1400mの方が合いそうですね」

    16着 ヒロシゲゴールド
    南関東でも走ったエフテーストライクの息子。好スタートから内の3番手につけていくも……。
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    20 令2 サブノジュニア 牡6 矢野 貴之
    19 令元 ブルドッグボス 牡7 御神本 訓史
    18 平30 グレイスフルリープ 牡8 C.ルメール
    17 29 ニシケンモノノフ 牡6 横山 典弘
    16 28 ダノンレジェンド 牡6 M.デムーロ
    15 27 コーリンベリー 牝4 松山 弘平
    14 26 ドリームバレンチノ 牡7 岩田 康誠
    13 25 エスポワールシチー 牡8 後藤 浩輝
    12 24 タイセイレジェンド 牡5 内田 博幸
    11 23 スーニ 牡5 川田 将雅
    10 22 サマーウインド 牡5 藤岡 佑介
    9 21 スーニ 牡3 川田 将雅
    8 20 バンブーエール 牡5 松岡 正海
    7 19 フジノウェーブ 牡5 御神本 訓史
    6 18 ブルーコンコルド 牡6 幸 英明
    5 17 ブルーコンコルド 牡5 幸 英明
    4 16 マイネルセレクト 牡5 武 豊
    3 15 サウスヴィグラス 牡7 柴田 善臣
    2 14 スターリングローズ 牡5 福永 祐一
    1 13 ノボジャック 牡4 蛯名 正義
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