重賞レース

第22回 ジャパンダートダービー(JpnI)

  • 2020年7月8日(水)
  • 20:05発走
第22回優勝馬:ダノンファラオ号

羽田盃、東京ダービーと続いた南関東3歳クラシック三冠レースの最終関門です。地方・JRA共にトップクラスの3歳馬が結集する「砂のダービー」は、これまでにトーシンブリザード、カネヒキリ、フリオーソ、サクセスブロッケンなど数多くの名馬を送り出しています。近年は早い時期からダートの頂点を目指すJRA所属馬も多く、全国から大きな注目が集まります。

  • 注目馬情報
  • 重賞直前情報
  • レースレポート
  • 歴代優勝馬
  • 高橋華代子の注目馬情報

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第22回 ジャパンダートダービー(JpnI)>
    (6月29日現在)

    カフェファラオ
    ここまで目下3戦3勝。前走のユニコーンSも2番手から抜け出す競馬で、他馬を子ども扱いするような圧巻の勝利を飾りました。出走してきた際は大注目の1頭ですね。

    バーナードループ
    3連勝中。前走の兵庫チャンピオンシップは、初の地方コースでの競馬でしたが、3番手から進出していき、2着のダノンファラオに0.1秒差をつけて優勝しました。

    フルフラット
    サウジアラビア国際競走のサンバサウジダービーカップを制しているフルフラットが、大井競馬場に初登場。帰国後、ユニコーンS(6着)を使って2戦目です。

    ミヤジコクオウ
    エスポワールシチーの半弟ミヤジコクオウはまだ重賞勝ちはありませんが、デビューから4着以下がない抜群の安定感を誇ります。前走は鳳雛ステークスを制覇。

    エメリミット
    混戦ムードだった今年の東京ダービーは、山口達弥騎手を背に9番人気ながらも見事な勝利を飾ったエメリミット。成長著しい東京ダービー馬として、立ち向かいます。

    ブラヴール
    父はセレン、母がチャームアスリープという、南関東の夢の結晶。東京ダービーは残念ながら競走除外になりました(右トモのざ石)が、その無念を晴らして欲しいです。

  • 高橋華代子の重賞直前情報

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第22回 ジャパンダートダービー(JpnI)>

    (7月6日現在)

    調教追い切り動画はこちら

    ■エメリミット
    *船橋 林正人 厩舎 牡3歳
    *成績 12戦6勝2着1回
    *重賞タイトル
     東京ダービー(SI)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     南関東の大将として挑むのが、今年の東京ダービー馬エメリミット。東京ダービーは、山口達弥騎手を背に、道中は好枠を生かして内の3、4番手から、最後の直線に入って一気に外へ持ち出すと、東京湾カップで涙を呑んだ相手マンガンとの叩き合いを制しました。

     「砂を被っても我慢をして頑張っていて、あとは気分よく走ってくれればいいなぁと思いながら乗っていました。勝負根性のある馬なので、最後も外に出して併せる形になったのはよかったかもしれません」(山口騎手)。

     人馬ともに重賞初制覇がこの東京ダービーという舞台。馬主様のご理解を得ながら、デビューからこの大一番まで乗せ続けた林正人調教師と、その最高の舞台で恩返しをした山口騎手。そんな師匠と弟子がつかんだこの勝利は、多くの競馬関係者の心も打ちました。

     エメリミットは船橋生え抜き馬。最初は気性が邪魔をする所もあったそうですが、それでも素質の高さでコツコツと勝ち星を積み重ねていきました。重賞レースではもう一歩の成績が続き、平和賞は8着、クラウンカップが4着、東京湾カップではタイム差なしの2着。

     しかし、着順同様にパフォーマンス自体もどんどん上げていきながら、ついに南関東3歳馬の頂点へ!

     その後はこのジャパンダートダービーに向けてトレーニングを積んできたそうです。以前はヤンチャだったそうですが、最近は落ち着きが出てきたそうで、強い調教をしてもへこたれないというタフさもセールスポイント。

     「間隔もないので、今回は無理には攻めずに維持できるよう仕上げてきました。最終追い切りは前回と同じくらい動けているので問題はありません。

     前走は全てがうまくいきましたが、スタートだったり、もまれたりなど、不安材料はまだあります。相手は強いですが現状でどのくらいやれるのか。乗り方は騎手に任せます」(林調教師)。

    ■ブラヴール
    *船橋 佐藤裕太 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦3勝2着4回
    *重賞タイトル
     京浜盃(SII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     南関東重賞4勝馬セレンと南関東牝馬クラシック史上初の3冠馬チャームアスリープを両親に持つ、南関東夢の結晶ブラヴール。

     生まれてくるのも、デビューすることも、1勝を挙げることも、尊いこの世界で、この南関東夢の結晶がクラシックの前哨戦・京浜盃を優勝して重賞ウイナーになるという、こんなにドラマチックなことも競馬にはあるんですね。

     「繁殖入りしていたチャームにセレンを種牡馬にしてつけちゃいますって言った時には、みんなから驚かれて、リアルダビスタみたいなゲーム感覚だねって言われたこともありました。そういう仔がこういう所に出られたのもうれしかったですが、勝っちゃいましたね」という、山口圭子オーナーの言葉も印象的でした。

     その後は羽田盃に出走し、いつものように後方から、スローペースの中でも最後は一番の上がりを繰り出して、負けて強しの2着。「スタートしてから1ハロンの位置取りは課題ですが、最後は良い脚を使ってくれました。東京ダービーに向けて期待ができるレースだったと思います」(本橋孝太騎手)。

     しかし、その直後、管理していた佐藤賢二調教師が急逝されるという突然の悲しい別れがありました。オーナー様の意向から、『佐藤調教師の騎手時代の弟弟子、楠新二厩務員がいる所』ということで、佐藤裕太厩舎の一員に。(楠厩務員はアブクマポーロやベルモントアクター、最近ではリッカルドなど、数えきれないほどの重賞ウイナーを手掛けている方)。

     東京ダービーは転厩緒戦で、最終追い切りでも抜群の動きを見せ、陣営も非常に楽しみにしていたものの、当日に無念の競走除外になりました。 最終調整で出だしが硬く、乗っているうちにほぐれてきたそうですが、念のために調べたところ、軽度な右トモのざ石とのこと。

     その後は6日ほどケアに充てて、ここに向けて乗り込んできたそうです。

     「回復も早かったので、加減もせずに予定通りの調教を行ってきましたが、もうひと追い欲しかったかなというのは正直な所です。無事に送り出して、今後につながる競馬になってくれれば。後ろからの競馬にはなると思いますが、馬のリズムを崩さず、力はある馬なので、どのくらい脚を伸ばしてくることができるかですね」(佐藤調教師)。

    <中央馬の顔ぶれ>

    ■カフェファラオ
    *JRA 堀宣行 厩舎 牡3歳
    *成績 3戦3勝2着0回
    *重賞タイトル
     ユニコーンS(GIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     前走のユニコーンSは2着馬に5馬身差のレコード勝ちという圧巻の内容。去年のクリソベリルに続き、無敗のジャパンダートダービー馬が誕生するでしょうか!

    ■キタノオクトパス
    *JRA 高木登 厩舎 牡3歳
    *成績 6戦2勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央2勝馬で、ユニコーンSは5着。母のヒロアンジェロは中央と北海道で走り、大井所属として2010年のトゥインクルレディー賞を制したゆかり深い血統。

    ■ダイメイコリーダ
    *JRA 森田直行 厩舎 牡3歳
    *成績 10戦2勝2着3回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ここまでの成績は2勝を挙げ、先行力を生かした走りが続きます。前走は阪神競馬場の2000m戦に出走(2着)し、ジャパンダートダービーと同じ距離を経験。

    ■ダノンファラオ
    *JRA 矢作芳人 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦2勝2着2回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     2走前の兵庫チャンピオンシップは2番手から進めていき、3コーナーでは先頭に立ち押し切るかと思ったところ、バーナードループにクビ差涙を呑み2着でした。

    ■バーナードループ
    *JRA 高木登 厩舎 牡3歳
    *成績 4戦3勝2着1回
    *重賞タイトル
     兵庫チャンピオンシップ(JpnII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     前走の兵庫チャンピオンシップは3番手から、最後の直線で前を行くダノンファラオを抜き去って、重賞初制覇を飾りました。目下3連勝中で、勢いにのります。

    ■フルフラット
    *JRA 森秀行 厩舎 牡3歳
    *成績 7戦2勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今年はサウジアラビア国際競走のサンバサウジダービーカップを優勝。昨年はサンタアニタパーク競馬場のブリーダーズカップジュベナイルに出走し5着でした。

    ■ミヤジコクオウ
    *JRA 川村禎彦 厩舎 牡3歳
    *成績 5戦3勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     自在な脚質で、ここまで3勝し全てが3着以内という、抜群の安定感を誇っています。12歳年上の半兄は、数多くの重賞を勝ちまくったエスポワールシチーです。

    *ジャパンダートダービーの情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第22回 ジャパンダートダービー(JpnI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■エメリミット
    船橋7/3稍 1000m-66.7秒 800m-48.7秒 600m-34.9秒 G前仕掛
    ■ブラヴール
    船橋7/4不 1000m-64.8秒 800m-50.1秒 600m-37.6秒 末一杯追
    ■カフェファラオ
    美浦7/4W不 1000m-68.5秒 800m-53.9秒 600m-40.3秒 200m-12.6秒 馬なり
    ■キタノオクトパス
    美浦7/5W重 1000m-68.5秒 800m-53.1秒 600m-39.2秒 200m-11.8秒 馬なり
    ■ダイメイコリーダ
    栗東7/4P良 800m-53.0秒 600m-38.6秒 200m-12.8秒 馬なり
    ■ダノンファラオ
    栗東7/4坂路 800m-55.9秒 600m-39.8秒 200m-12.5秒 一杯追
    ■バーナードループ
    美浦7/5W重 1000m-68.9秒 800m-53.5秒 600m-39.5秒 200m-11.8秒 馬なり
    ■フルフラット
    栗東7/5坂路 800m-51.9秒 600m-37.7秒 200m-12.6秒 馬なり
    ■ミヤジコクオウ
    栗東7/2坂路 800m-52.4秒 600m-38.4秒 200m-12.7秒 一杯追
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第22回 ジャパンダートダービー(JpnI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     1999年に創設された3歳ダート王決定戦、22回目のジャパンダートダービー。南関東クラシックレースもいよいよ最終戦です。

     今年は初代チャンピオンに輝いたオリオンザサンクスのメモリアルレースも実施されました。大歓声の中、スピードとパワーで押し切ったオリオンザサンクスも、今年24歳。新ひだか町の荒木育成牧場さんで、種牡馬生活引退後も、荒木牧場功労馬サポーターズの功労馬として、元気に過ごしているそうです。

     今年のジャパンダートダービーの主役は、前走のユニコーンSで2着馬に5馬身差をつけるレコード勝ちを収めた無敗馬カフェファラオでした。1.1倍の圧倒的人気に推され、どんな強さを見せるのかと言っても過言ではなかった戦い。しかし、結果は7着。競馬は何が起きるかわからないことを改めて痛感させられました。

     そんな中、中央馬の中では人気薄だった6番人気のダノンファラオの勝ちっぷりが光りました。管理するのは矢作芳人調教師、鞍上が坂井瑠星騎手。大井にゆかり深い2人であることは皆さんもご存じのことですが、今年の東京スプリントをジャスティンで優勝したコンビが、ここも制することになりました。

     逃げたのはダイメイコリーダで、ダノンファラオは2番手。3番手の内にカフェファラオ、外にミヤジコクオウ。その後ろにはフルフラットやキタノオクトパスなど中央勢が続き、最後方のブラヴールまで大きく縦長の展開になりました。

     3~4コーナーではダイメイコリーダにダノンファラオが並びかけて、最後の直線に入ると、後続を大きく突き放して2頭の一騎打ち。残り200m手前ではダノンファラオがダイメイコリーダを完全に競り落として先頭に立つと、最後は1馬身4分の3差をつけてゴール。勝ちタイムは2000m2分5秒9(重)。2着がダイメイコリーダ、5馬身後方の3着にはキタノオクトパスが入りました。

     「結果を残せてすごいですし、素直にうれしいです。関係者に感謝の気持ちでいっぱいです。本当は逃げたかったですが、ダイメイコリーダが速かったので切り替えて2番手から。道中はしっかり走ってくれて、最後もどの馬が後ろからくるのか必死に追っていました。まだ体も緩くてこれから良くなる余地のある馬です」(坂井騎手)。

     ダノンファラオは最初に挑戦した重賞レースの兵庫チャンピオンシップでは惜しい2着でしたが、ここで念願の重賞勝ち、JpnⅠという称号まで手にすることになりました。



     一方、地方所属馬の最先着は4着のブラヴールでした。南関東重賞4勝馬セレンと南関東史上初の牝馬3冠に輝いたチャームアスリープを両親に持つ、南関東夢の結晶。管理していた佐藤賢二調教師が急逝され、佐藤裕太調教師が引き継いでの初戦。前走の東京ダービーはざ石により除外となり、ここに向けて途上であったことは陣営も公言していました。

     そんな中でも、メンバー最速38秒7の脚を繰り出して後方から追い込み、改めて力のある姿を見せつけました。「この馬、走る!」と言いながら、引き返してきた本橋孝太騎手。

     「この馬なりの位置取りでと思っていましたが、1コーナー手前で馬場が悪くて4頭くらいが躓いて、その時に抑えた分、かなり離される不利はありました。さすがに向正面に入ってからは離されすぎたなぁと思って、ちょっと追い出したら反応がイマイチで。

     それでも、3~4コーナー中間くらいからはグンとハミを取って、あれだけの脚を使ってくれました。まだ本来の走りではなかったですが、この馬は本当によく頑張ります」(本橋騎手)。

     南関東の夢の結晶ブラヴールが、今後に向けて希望をもたらす結果になりました。



    <他陣営のコメント>

    2着 ダイメイコリーダ 池添謙一騎手
    「スタートよく自分の競馬ができましたが、勝ち馬にピッタリこられました。それでもよく踏ん張っていました」

    3着 キタノオクトパス 田邊裕信騎手
    「この馬としてはいい位置でリズムよく運べました。もっと先行勢がやり合うかと思っていましたが。右回りの走りも良かったです」

    4着 ブラヴール 本橋孝太騎手
    同上

    5着 ミヤジコクオウ 幸英明騎手
    「馬場に尽きます。テンから最後まで追い通しで、忙しかったです。JRAのパサパサの良馬場が合っていますね」

    6着 エメリミット 山口達弥騎手
    「使い続けてきた分もあるので、もっと走れると思います。道中はペースが遅かったのでもう少し流れてくれた方がやりやすかったです。一気に早くなってしまい、切れる脚は使えないので、淡々と流れてくれた方がよかったです。いい経験になりました」

    7着 カフェファラオ ダミアン・レーン
    「1コーナー手前でタイヤの跡に反応して、逆手前でコーナーに入るミスステップが響きました。今まで経験したことがないキックバックにも反応して、ずっとバランスが取れませんでした」

    8着 バーナードループ クリストフ・ルメール騎手
    「あまり進んでいきませんでした。チークピーシーズなどを使ったら、集中力が増すかもしれません」

    9着 コージーサンラッド 本田正重騎手
    「1200mは忙しいところもありますが、2000mは折り合いもついて問題ないと思います」

    10着 リコーシーウルフ 真島大輔騎手
    「メンバーは強かったですが、一生懸命走ってくれました」

    11着 ガミラスジャクソン 鴨宮祥行騎手
    「1周目のゴール板過ぎにのめってしまったのは心配です。このクラスのペースになると厳しかったですが、最後は伸びてくれました。人馬ともにいい経験をさせて頂きました」

    12着 フルフラット 武豊騎手
    「距離も長かったとは思いますが、3コーナーから息遣いが本来のものではなくて、呼吸が乱れてしまいました」

    13着 ゴールドボンバー 矢野貴之騎手
    「ずっと使ってきているので、今回は本来の走りではなかったと思います。気の難しさもある馬ですが、リフレッシュできれば、もっとやれると思います」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    22 令2 ダノンファラオ 牡3 坂井 瑠星
    21 令元 クリソベリル 牡3 川田 将雅
    20 平30 ルヴァンスレーヴ 牡3 M.デムーロ
    19 29 ヒガシウィルウィン 牡3 本田 正重
    18 28 キョウエイギア 牡3 戸崎 圭太
    17 27 ノンコノユメ 牡3 C.ルメール
    16 26 カゼノコ 牡3 秋山 真一郎
    15 25 クリソライト 牡3 内田 博幸
    14 24 ハタノヴァンクール 牡3 四位 洋文
    13 23 グレープブランデー 牡3 横山 典弘
    12 22 マグニフィカ 牡3 戸崎 圭太
    11 21 テスタマッタ 牡3 岩田 康誠
    10 20 サクセスブロッケン 牡3 横山 典弘
    9 19 フリオーソ 牡3 今野 忠成
    8 18 フレンドシップ 牡3 内田 博幸
    7 17 カネヒキリ 牡3 武 豊
    6 16 カフェオリンポス 牡3 柴田 善臣
    5 15 ビッグウルフ 牡3 武 豊
    4 14 ゴールドアリュール 牡3 武 豊
    3 13 トーシンブリザード 牡3 石崎 隆之
    2 12 マイネルコンバット 牡3 大西 直宏
    1 11 オリオンザサンクス 牡3 早田 秀治