重賞レース

第11回 フジノウェーブ記念(SIII)

  • 2020年2月26日(水)
  • 16:10発走
第11回優勝馬:トロヴァオ号

TCK唯一の1,400m重賞です。2013年までは東京スプリング盃の名称で実施しましたが、2014年からは同レースを4連覇したフジノウェーブの功績をたたえ、レース名を改称しました。翌月の交流競走・東京スプリントに向け、短距離路線を歩む有力馬たちが数多く出走します。
<優勝馬に東京スプリントの優先出走権を付与>

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    <第11回 フジノウェーブ記念(SIII)>
    (2月18日現在)

    キャンドルグラス
    前走の船橋記念を優勝し、6歳にして念願のタイトルホルダーの仲間入りをしました。このフジノウェーブ記念は3年連続の出走で、昨年はキャプテンキングの2着。

    サブノジュニア
    目下連勝中で、前走の準重賞ウインタースプリントは7番手からの差し切りで力の違いを見せつけました。悲願の重賞制覇に向けて弾みのつける勝ちっぷり。

    エポック
    中央時代は1200mから1700mのダート戦で通算5勝。今回は、大井の藤田輝信厩舎からの移籍初戦で、どんな走りを見せるでしょうか。ヴァーミリアン産駒。

    トロヴァオリコーワルサー
    大井の荒山勝徳厩舎<小林>は2頭出し予定。重賞ウイナーのトロヴァオとリコーワルサー。それぞれに高いレベルで百戦錬磨に戦い続けている頼もしい2頭です。

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    <第11回 フジノウェーブ記念(SIII)>

    (2月24日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■サブノジュニア
    *大井 堀千亜樹 厩舎 牡6歳
    *成績 29戦8勝2着8回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井生え抜き馬サブノジュニアも今年6歳になりました。3歳時は優駿スプリントで優勝したバンドオンザランの惜しい2着、アフター5スター賞では優勝したキタサンミカヅキから0.4秒差の4着。4歳の東京スプリントは優勝馬グレイスフルリープから0.5秒差の4着。昨年5歳時のアフター5スター賞は、キタサンミカヅキ、キャンドルグラスとタイム差なしの3着。

     若馬の頃から雰囲気たっぷりの馬で、大きな期待をかけられてきました。重賞レースでもう一歩、悲願のタイトルに向けて出走してきます。

     前走の準重賞ウインタースプリントは、フジノウェーブ記念のトライアルレース。矢野貴之騎手とコンビを組み、道中は7番手付近から、最後は残り200mから一気に脚を伸ばしてきて、力の違いを見せつけました。

     「追い出してからソラを使うのか?並ぶまで行くのか?その辺は毎回手探りの状態ですが、前回と今回はしっかり突き抜ける感じです。最後はフラ~ッとする所もありますが、抜け出すことを覚えてくれた感じがしますね。道中もいい位置で運べて我慢ができるのは馬の調子もいいからでしょう。次の1400mの距離(フジノウェーブ記念)も問題はないと思います。外枠にならなければ、内々で我慢できるので」(矢野騎手)。

     ブリンカーだけでは慣れてきてフワッとするところが増えてきたため、2走前からさらにパシュファイヤーも着用するようになり、完全防備で連勝中。

     この中間も順調に進め、悲願の重賞制覇に向けて調整をしてきたそうです。

     「追い切りも自分から動くようになってきていい状態ですね。集中できるようになった分、1400mもこなしてくれると思います。我慢をして仕掛けるというか、ジワジワ交わすのはあまりよくないので、この馬は一気に交わした方がいいように感じます。重賞を取る力はあると思い続けてきた馬で、何とか肩掛けを取らせてあげたいです」(堀千亜樹調教師)。

     現在、堀厩舎は重賞成績絶好調。昨年暮れの東京シンデレラマイルはローレライが重賞初制覇を飾り、報知グランプリカップではサルサディオーネも重賞初制覇あげたばかり。厩舎の大将サブノジュニアも続きたいところです!

    ■ロイヤルサーティン
    *大井 三坂盛雄 厩舎(小林) 牡5歳
    *成績 20戦8勝2着4回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ロイヤルサーティンは体質が弱く3歳デビューになったそうですが、その後はコツコツコツコツと走り続けて、ついに重賞の舞台へ。前走の準重賞ウインタースプリントは8番手から脚を伸ばしてくる内容で、優勝したサブノジュニアから0.4秒差の2着。このフジノウェーブ記念の優先出走権をつかんでの参戦です。

     高田調教師補佐のお話しでは、普段のロイヤルサーティンは無駄な力を使わない優等生で、馬房でも常にポ~ッとリラックスしているそう。あごっぱりもパンパンで、食欲は旺盛。よく寝るそうで、まさに寝る子は育つタイプとのこと。

     「今は体幹もしっかりしてきました。レースは上手な馬なので距離も問題はないと思っています。切れる脚はないですがジワジワと脚を使う馬なので、5、6番手からどのくらい伸びてこれるか。癖もない馬なので、テン乗り(本田正重騎手)でも問題はないです」(三坂盛雄調教師)。

    ■キャンドルグラス
    *船橋 川島正一 厩舎 牡6歳
    *成績 29戦11勝2着3回
    *重賞タイトル
     船橋記念(SIII)(2020)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     キャンドルグラスは前走の船橋記念で念願の重賞初制覇。御神本訓史騎手を背に4、5番手から前を見る形で進めていき、最後の直線では外に持ち出すと一気に抜き去って勝利を飾りました。

     「(キャンドルグラスは)1000mをあまり使ったことはありませんでしたが、前回もうまく対応してくれていました。スタートも決まったし、いい位置で競馬を進められたと思います」(御神本騎手)。

     このフジノウェーブ記念は3年連続の出走で、昨年はキャプテンキングの2着。ダートグレード競走でも好走してきた実力馬が、今回はどんな強さを見せるでしょうか。

     「体も充実しているし順調に仕上げることができました。展開がはまってくれればチャンスはあると思います。力のある馬なので期待しています」(川島正一調教師)。

     なお、同じ川島厩舎から脚質の幅も出てきたラブミークンが参戦します。コンビを組む藤本現暉騎手とともに人馬念願のタイトルを狙います。

    ■エポック
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡7歳
    *成績 42戦5勝2着7回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]
    ■グレンツェント
    *大井 藤田輝信 厩舎 牡7歳
    *成績 22戦6勝2着3回
    *重賞タイトル
     東海テレビ杯東海S(GII)(2017)
     レパードS(GIII)(2016)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     エポックは中央時代に1200mから1700mのダート戦で5勝。前走後、1月下旬に藤田輝信厩舎の一員になり、大井競馬場で調整を行ってきました。

     移籍してくる前は、オープンレースで後方から追い込んでは届かずという競馬が続いていましたが、勝ち切れなくとも着差的には勝ち馬からそうは離れず走ってきただけに、新天地での活躍が期待されます。

     グレンツェントは藤田厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを積んでいます。ダート1600mから1800mで6勝を上げている馬で、2016年レパードSと2017年の東海Sを制覇している重賞ウイナー。南関東では2戦し、距離が向くと思われていた前走の勝島王冠は、折り合いに欠き6着に敗れました。

     「(エポックは)入厩後も順調に進めることができました。落ち着きも出てきて、体がしっかり使えるようになって力強さがあります。ゲート練習も行い、中でちゃんと態勢を整えてスタートを切ることで二の脚がつくような対策は練ってきて、練習では沈み込む感じで出てくれます。

     (グレンツェントも)いい状態で出走できますし、実績的には抜けていると思います。短距離になってどんな走りをしてくれるかですね。

     1400m戦は内枠有利のイメージですが、このフジノウェーブ記念は最近の成績を見ても外枠の馬たちが勝っています。2頭とも外枠に入ってしまいましたが、外からじっくり見ながらもまれずにいけると、前向きに考えて悲観しないようにしています。2頭とも期待しています」(藤田調教師)。

    *フジノウェーブ記念の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第11回 フジノウェーブ記念(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■サブノジュニア
    小林2/21良 1000m-66.9秒 800m-49.5秒 600m-36.3秒 仕掛け
    ■ロイヤルサーティン
    小林2/21良 1000m-64.3秒 800m-50.7秒 600m-38.4秒 一杯追
    ■キャンドルグラス
    船橋2/22右重 1000m-65.9秒 800m-51.2秒 600m-37.7秒 馬なり
    ■エポック
    大井2/22稍 1000m-66.4秒 800m-52.3秒 600m-38.2秒 馬なり
    ■グレンツェント
    牧場2/22坂路 600m-37.9秒 200m-12.1秒 馬なり
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    <第11回 フジノウェーブ記念(SIII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     フジノウェーブは11歳になるまで走り続けた名馬です。地方所属馬として初めてJBC競走を制し(2007年JBCスプリント)、東京スプリング盃(現在のフジノウェーブ記念)は4連覇を達成。芦毛の体も晩年は真っ白く神馬のようないでたちになり、記憶にも記録にも残る多くの人たちの心を震わせた馬でした。

     フジノウェーブ記念には今年も頼もしい16頭が集結。藤田凌騎手が初騎乗の6番人気トロヴァオ(大井・荒山勝徳厩舎<小林>)が、そうそうたるメンバーを一蹴し、頂点に立ちました。これも、JBCスプリント3着馬の底力。

     トロヴァオにとってはハイセイコー記念、ダービーグランプリに続く3つ目のタイトルで、勝ち星としては約2年5か月ぶり。

     見事なエスコートだった藤田騎手は、ジェッシージェニー(大井・福永敏厩舎<小林>)とグランダムジャパン古馬シーズンの重賞を2勝していますが、南関東の重賞は初勝利です。全日本新人王争覇戦を総合優勝した経験のある藤田騎手も、デビューからもうすぐ丸4年。

     トロヴァオは抜群のスタートを切ると、2枠3番という好枠を生かし、クルセイズスピリツやリコーワルサーを前に行かせ、内の3番手をキープ。「基本的にはスタートの出る馬ですが、あそこまでいいスタートを切るとは思いませんでした。行かせるのは行かせてその後ろから、指示通りに一番取りたかったポジションにつけられました」(藤田騎手)。

     先頭から後方まで馬群は比較的固まった状態で最後の直線に入ると、トロヴァオは外に持ち出し一歩抜け出したリコーワルサーに並んで一気に先頭へ。

     「道中がすごい手応えで、ちょっと追い出したら抜群の反応でした。抜け出すのは速いかなとも思ったのですが弾けてくれたので、これは勝てるぞっていう感じでした。簡単な馬ではありませんが基本的には乗りやすいですし、真面目で人の扶助にもすぐに反応してくれる素晴らしい馬です」。

     トロヴァオが後続に2馬身差をつける快勝で、勝ちタイムは1400m1分25秒5(良)。2着から5着までがクビ、アタマ、アタマと、タイム差なしの大混戦。2着にはマッチレスヒーロー、3着にはドリームドルチェが入りました。

     藤田騎手はゴール後に大きくガッツポーズ。「自然に出てしまいましたね。あの瞬間はフワ~ッとした感じでした。乗せてくださった関係者の皆さんに感謝したいです。自厩舎で勝つことができたのもとてもうれしいです」。

     藤田騎手の師匠・荒山調教師にとっても、初のお弟子さんとの重賞制覇。枠場に引き返してきた藤田騎手に対し、「騎乗停止!」と声をかけていた照れ屋な荒山調教師。そこに向かうまでの通路で、「荒山調教師が涙ぐんでいた」と、見かけたマスコミは言っていました。

     「荒山先生からは一度も褒められたことがありません(苦笑)」と藤田騎手は言っていて、初騎乗の時から荒山調教師が藤田騎手を叱責する姿はよく見かけます。しかし、それは愛情あってのことで、このトロヴァオ騎乗に関しても、荒山調教師から馬主サイドにお願いして実現したものでした。この重賞を勝った夜でさえ、騎乗に関して厳しく言われたという藤田騎手。

     しかし、荒山調教師は報道陣にはこう言っていました。「今日の騎乗は満点に近いですね。1400mの内枠からあのポジションを取れたことが全てです。今日の重賞勝ちは本人の自信にもつながると思います」と。

     藤田騎手がこれからどんな騎手に育っていくのか見続けていきたいです!



    <他陣営のコメント>

    2着 マッチレスヒーロー 中島龍也騎手
    「乗っている感じでは、今の馬場は内がいいように思ったので、ロスなく回らなきゃダメだと思って乗りました。直線はちょっと狭くなってしまったのでスムーズに前が開ければ、勝った馬にもっと迫れたと思います。いろいろ噛み合えばという感じでした。馬は9歳ですがめちゃくちゃよかったです。手応えもすごくよくて、これはちょっとヤバイ!と思いながら乗りました。とても若いです」

    3着 ドリームドルチェ 本橋孝太騎手
    「もう1列、2列くらい前につける予定でしたが、外の馬が速かったのであの位置からになってしまいました。最後は差してきてくれましたが、展開一つでもっとやれたと思います。1400mはいいし、マイルくらいまでの距離が持ち味を発揮できそうです」

    4着 サブノジュニア 矢野貴之騎手(1番人気)
    「残念です。1400mの嫌な展開になってしまいました。スローになるのはわかっていたので、位置取りも含めて、もう少し前目で競馬ができる馬の方が有利ですね。できれば前目でゴチャゴチャしない所が理想でしたが、結局はゴチャゴチャして思っていたよりも1列2列後ろになってしまいました。スローで外を回りながら最後は伸びてくれているので、内容的には一番強い競馬をしてくれたと思います。力負けではないですし、1200mの方がより切れるので、巻き返したいです。

    5着 マイネルバサラ 山本聡哉騎手
    「中距離を使ってきたので、最初はあまりついていけませんでした。手応えはいいかなと思いましたが、最初フワフワしていて追走に戸惑った感はあります。最後は伸びてくれたので、1400mは使い慣れてくればもっと差のない競馬はできるようになると思います」

    6着 リコーワルサー 真島大輔騎手
    「休み明けでまだ緩いですね。道中はハミをちょっと噛みすぎていたし、この馬の習性的にはもまれた方が集中できるように思うので、そうすると使えるひと脚もすごいです。一度使ったことで、また上がってきそうです」

    7着 グレンツェント 森泰斗騎手
    「外枠(7枠13番)の分かもしれません。大井のこの距離だし、内枠なら違っていたと思います」

    8着 キャンドルグラス 御神本訓史騎手
    「スタートで躓いたし、内にもたれながら走っていました。本来の走りではなかったです」

    9着 ロイヤルサーティン 本田正重騎手
    「もっと内々を回りたかったですが……。1200mの方が持ち味は発揮できそうですね」

    10着 エポック 笹川翼騎手
    「枠(8枠15番)はきついですね。ちょっと出負けもしているので、枠が悪いのも重なって、あまりいい風には走れていません。それでも真ん中くらいまで追い上げてくれたので力はありますね。馬場は大丈夫そうです」

    11着 ヒガシウィルウィン 吉原寛人騎手
    「最近はマイルでも行きたがるのが多くなってきたので、短距離でどんなものかという感じでした。折り合いは問題ありませんでしたが、忙しいし、追ってからのトップスピードの差が出ちゃう感じですね。長くいい脚を使うタイプで、シュッと瞬間に切れる脚を使うタイプではないので、分が悪くなりました。今日の感じではもう少し長い方がいいのかなと。体は厩舎の人がしっかり整えているなぁという感じが伝わってきました」

    12着 タイセイエクレール 川島正太郎騎手
    「1400メートmの外枠(7枠14番)であの位置になりましたが、道中力ませずに乗ってきて欲しいということだったので、その通りには騎乗できたと思います。直線に入ってからもジワジワ伸びてくれました。これからもっとよくなりそうな感じです」

    13着 ブラックバゴ 服部茂史騎手
    「馬場は大丈夫だと思いますが、距離は短いですね。早めに出していった分、脚を使っているので、最後はジリジリになってしまいました。今日は忙しかったので、距離がもっとあってゆっくり行かしてやった方が、この馬場でも行けそうです」

    14着 ラブミークン 藤本現暉騎手
    「いい感じのレースは作れたのですが、枠が8枠16番でなければもっと違ったと思います」

    15着 ゴーディー 安藤洋一騎手
    「スタートはいつも通り速かったですね。ペースも遅かったのでついていく分には楽でしたが、ペースが上がり出してから苦しくなりました。馬は12歳になっても頑張っています」

    16着 クルセイズスピリツ 山崎誠士騎手
    「休み明けだったし、1400mもこの馬には少し長いので、4コーナーくらいでは苦しくなってしまいました」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    11 令2 トロヴァオ 牡7 藤田 凌
    10 平31 キャプテンキング 牡5 坂井 英光
    9 30 リッカルド セ7 矢野 貴之
    8 29 ケイアイレオーネ 牡7 的場 文男
    7 28 ソルテ 牡6 吉原 寛人
    6 27 セイントメモリー 牡8 本橋 孝太
    5 26 ジェネラルグラント 牡4 石崎 駿
    4 25 フジノウェーブ 牡11 御神本 訓史
    3 24 フジノウェーブ 牡10 坂井 英光
    2 23 フジノウェーブ 牡9 御神本 訓史
    1 22 フジノウェーブ 牡8 戸崎 圭太