重賞レース

第42回 帝王賞(JpnI)

  • 2019年6月26日(水)
  • 20:05発走
第42回優勝馬:オメガパフューム号

ダート部門の実力馬たちが全国各地から集う上半期のグランプリレースです。ダートグレード制施行の1997年以降、JRA所属馬の14勝に対して、地方所属馬は8勝を挙げており、数あるダートJpnIの中で、最も地方所属馬が活躍しているレースです。
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    <第42回 帝王賞(JpnI)>

    インティ
    ダート界の新星として7連勝を飾ったインティ。先行力を武器にフェブラリーSと東海Sを制しています。前走のかしわ記念は2着で、大井コースと2000mは初。

    オメガパフューム
    前走の平安Sは斤量59キロを背負いながらも、勝ち馬から0.2秒差の3着に入り力は示しました。昨年3歳で東京大賞典を優勝。相性のいい舞台で巻き返しは必至。

    チュウワウィザード
    デビューから4着以下がない堅実派。昨年末の名古屋グランプリを皮切りに、ダイオライト記念、平安Sと、この短期間で重賞3勝目を挙げました。大井初出走。

    ノンコノユメ
    中央時代にフェブラリーSやジャパンダートダービーなどを優勝してきた実力馬が、南関東へ電撃移籍。緒戦は中央時代に遠征経験のあるこの帝王賞から始まります。

    モジアナフレイバー
    未知の魅力にあふれた大井生え抜き期待の星。昨年の勝島王冠は3歳で古馬のそうそうたるメンバーを打ち破り、前走の大井記念は休み明けで同斤ながらも圧勝。

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    <第42回 帝王賞(JpnI)>

    (6月24日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■モジアナフレイバー
    *大井 福永敏 厩舎(小林) 牡4歳
    *成績 10戦7勝2着0回
    *重賞タイトル
     大井記念(SI)(2019)
     勝島王冠(SII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     さぁ!!!大井・南関東の大きな期待を背負って、生え抜き馬モジアナフレイバーが再びJpnⅠの舞台に立ちます。

     何より前走の大井記念は圧巻の内容でした。東京大賞典(9着)後は放牧休養に出て、一時はブリリアントカップへ向けていたものの、疲れが抜けきらず調子が上がってくるのに時間がかかったため、無理はせずに自重。この大井記念は約5か月の間隔が空き、さらには強力な先輩たちと同斤での戦い。

     繁田健一騎手を背に、道中は中団内から進め、4コーナーで3番手の外に持ち出すと一気に伸びて、後続に3馬身半差をつける快勝。勝ちタイムは2000m2分5秒0(重)。東京大賞典の時より、タイムは3秒1もつめました。

     「ゲートに課題のある馬ですが、今日はうまくスタートも切れて、好きな位置を取れました。道中もすごい手応えだったので、これなら大丈夫かなと。今日は自分自身では何もしていなくて、モジアナが勝負所をわかっているかのように勝手に走っている感じで、この手応えはホントすごかったです」と繁田騎手。

     その後は反動も心配されましたが、大きなダメージもなかったことから、この帝王賞へ。福永調教師と繁田騎手からも全幅の信頼を置かれているのが、担当の荒美厩務員です。元々は益田競馬場の騎手で、大井競馬場で厩務員になってからは、マイルグランプリを制したボクや快速馬ブリーズフレイバーなどを手掛けてきました。

     「(モジアナフレイバーは)メンタルの持っていき方が難しい馬で、そのさじ加減には気をつけています。気持ちをどこまでのせてレースに持っていくのか……。前回はあれだけ走ってくれましたが、今回もいい意味で変わっていませんね。

     普段は『え?これで走るの?』ってそんなに派手なところはありませんが、速いところを走らせると、その加速力や瞬発力がすごいです」(荒美厩務員)。

     最近の南関東は中央から仲間入りをした馬たちが重賞戦線でも上位の活躍を見せていますが、そういう中で生え抜き馬モジアナフレイバーの存在は非常に大きいです。もちろん、まだ4歳でこれからの部分はありますが、現状でどのくらいやってくれるのだろうと、未知の魅力にあふれています。いろんなことを吸収して、無事に帰ってきて欲しいです!

     「ゲートに課題はある馬ですが、最近はモジアナなりの成長は見せてくれていますね。ちゃんと出てくれれば、ポジションを取れるスピードはあります。相手は強いですが、東京大賞典(9着)の時よりも通用する姿を見せたいです。チャレンジしなければ始まらないことですし、こうやって注目して頂けるというのはとても光栄なことです」(福永敏調教師)。

    ■ノンコノユメ
    *大井 荒山勝徳 厩舎(小林) セ7歳
    *成績 27戦8勝2着4回
    *重賞タイトル
     フェブラリーS(GI)(2018)
     根岸S(GIII)(2018)
     東京中日スポーツ杯武蔵野S(GIII)(2015)
     ジャパンダートダービー(JpnI)(2015)
     ユニコーンS(GIII)(2015)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ノンコノユメがいよいよ中央から南関東へ移籍して初戦を迎えます。実績をここで改めて書くまでもないと思いますが、フェブラリーSやジャパンダートダービーなどのタイトルを手にしているダート界のビッグネーム。そんなノンコノユメが大井へ移籍するというニュースは多くの反響を呼びました。

     5月10日に荒山厩舎へやって来て、予定通りに調整を進めてきたそうで、6月7日には大井競馬場で調教試験を受けました。これは、フェブラリーS時に枠内駐立不良で発走調教再審査を科せられたために、南関東では調教試験に合格しなければレースに出走できないためです。

     真島大輔騎手を背に、最大の課題であったゲートも無事にクリアし、道中は後方から、最後の直線では大きく外を回って余裕たっぷりの2着で、時計面なども全て無事に合格しました。

     「合格すればいいという試験なので、受かったことがよかったです。ゲートも我慢をしてくれて、道中はとぼけていてまだ本気を出して走っていないようでしたが、外々を回りながら迫力がありました。トモの緩さはありますが、馬も元気で7歳という年齢は感じさせないし、これからよくなっていきそうですね」(真島騎手)。

     真島騎手と言えば、女傑ララベルでもお馴染みでしたが、ノンコノユメを担当している横山厩務員と調教パートナーの青柳厩務員も、ララベルを手掛けてきたコンビです。

     「(ノンコノユメは)牡馬の中では小柄な馬ですが、力がグッと入った時の威圧感はすごいです。筋肉も柔らかくて馬も若々しいですよ。調教試験の後、さらにピリッとしてきた感じです。カイバは食べているので、身になってくれればいいですが……」(横山厩務員)。

     「柔らかさと力強さを兼ね備えていて、トモから背中、き甲、クビ、うなじ、ハミへと、力が無駄なくきれいに流れていく感じです。普通の馬は走り方を導いてあげるのですが、ノンコは何もしなくても自分で全身を使って走っているので、その邪魔をしないように気をつけています」(青柳厩務員)。

     ゲートが課題の馬ですが、地方競馬では尾っぽを持ってスタートを切ることができます(調教試験は持っていません)。練習で初めて尾っぽを持った時も、大人しく何もせずにスタートを切ったそうです。馬の中には、練習では大人しくても本番でガラリと変わる馬もいるのですが……。ノンコノユメのスタートが興味深いです。

     「ここまで順調に調整はできていますが、まずは移籍初戦ということもあるので、やってみないとわからないというのが正直なところです。体重維持が難しいタイプで、できれば減らしたくはないですね。ファンもたくさんいる馬ですし、今後に向けてもいい走りをして欲しいです」(荒山調教師)。

    ■サウンドトゥルー
    *船橋 佐藤裕太 厩舎 セ9歳
    *成績 56戦11勝2着11回
    *重賞タイトル
     金盃(SII)(2019)
     JBCクラシック(JpnI)(2017)
     チャンピオンズカップ(GI)(2016)
     東京大賞典(GI)(2015)
     日本テレビ盃(JpnII)(2015)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]
    ■リッカルド
    *船橋 佐藤裕太 厩舎 セ8歳
    *成績 44戦10勝2着7回
    *重賞タイトル
     大井記念(SI)(2018)
     ブリリアントカップ(SIII)(2018)
     フジノウェーブ記念(SIII)(2018)
     報知グランプリカップ(SIII)(2018)
     エルムS(GIII)(2016)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     船橋の佐藤裕太厩舎からは、サウンドトゥルーとリッカルドという豪華な2頭が参戦してきます。ノンコノユメよりもひと足早く中央から南関の仲間入りをしている馬たちです。

     サウンドトゥルーは中央から移籍し金盃を制して以降、もう少しの成績が続いています。サウンドトゥルーだからこそ……と大きな期待を抱いているファンの方も多いでしょう。

     前走の大井記念は吉原寛人騎手を背に6,7番手のいつもより前目のポジションにつけていきましたが、最後はこの馬らしい末脚は不発で13着に敗れました。

     「レースは気合をつけて積極的にというのはあったのですが、馬も戸惑っている感じでした。道中も自分のリズムで走れなくて、前半脚を使った分、最後は手応えがなくなりました。年齢とともにズブさはあると思いますが、まだまだやれる馬ですよ!」と吉原騎手。

     一方、リッカルドも中央から移籍し重賞4連勝を飾るなどインパクト抜群の走りを見せてきましたが、それ以降は勝ち星からは遠ざかっています。

     前走の大井記念は約半年の休み明けの中で7着でした。「雰囲気はいい頃の感じに戻っていると思います。札幌遠征から帰ってきてからはゲートの中でイライラしていましたが、そこも解消されていますね。一度使ったことで、また状態が上がっていきそうな感じがあります」とコンビを組む矢野貴之騎手。

     サウンドトゥルーもリッカルドも実績はすばらしいだけに、古巣・中央勢にどれだけ食らいつくことができるでしょうか。

     「(サウンドトゥルーは)調子自体は悪くありません。最近はレースの流れに乗り切れていないところがありますね。前回はこの馬にとっては前目の競馬で、自分のペースに合いませんでした。今回は終いに徹する競馬で、自分の形で走らせたいです。

     (リッカルドは)前回は休み明けでしたし、2000mも長い中で、まだやれるところは見せてくれました。一度使ったことで心臓面での重さが解消されてきて、ひと叩きした効果は出ています。ただ、2000mは絶好調でもちょっと長いイメージはあるので何とか踏ん張って欲しいです」(佐藤調教師)。

    <中央馬の顔ぶれ>

    ■アポロケンタッキー
    *JRA 山内研二 厩舎 牡7歳
    *成績 35戦9勝2着7回
    *重賞タイトル
     日本テレビ盃(JpnII)(2017)
     東京大賞典(GI)(2016)
     みやこS(GIII)(2016)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ダートグレード競走ではお馴染みの1頭で、大井では3年前の東京大賞典を制覇。2年前の日本テレビ盃以降勝ち星はありませんが、安定感のある走りは戻ってきました。

    ■インティ
    *JRA 野中賢二 厩舎 牡5歳
    *成績 9戦7勝2着1回
    *重賞タイトル
     フェブラリーS(GI)(2019)
     東海テレビ杯東海S(GII)(2019)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     フェブラリーSと東海Sを制し、7連勝を飾ったダート界の新星。前走のかしわ記念は2着に敗れましたが、ここは巻き返しを図ります。大井コースと2000mは初。

    ■オメガパフューム
    *JRA 安田翔伍 厩舎 牡4歳
    *成績 11戦5勝2着2回
    *重賞タイトル
     東京大賞典(GI)(2018)
     シリウスS(GIII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井コースには2度出走。昨年の東京大賞典は3歳馬ながら制し、ジャパンダートダービーはルヴァンスレーヴの2着。期間限定騎乗のダミアン・レーン騎手が初コンビ。

    ■オールブラッシュ
    *JRA 村山明 厩舎 牡7歳
    *成績 34戦7勝2着5回
    *重賞タイトル
     浦和記念(JpnII)(2018)
     川崎記念(JpnI)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     地方競馬初出走だった2年前の川崎記念で重賞初制覇を飾ると、それ以降はダートグレード競走の常連馬として全国を舞台に走り続けています。帝王賞は3年連続の出走。

    ■チュウワウィザード
    *JRA 大久保龍志 厩舎 牡4歳
    *成績 11戦7勝2着2回
    *重賞タイトル
     平安S(GIII)(2019)
     ダイオライト記念(JpnII)(2019)
     名古屋グランプリ(JpnII)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     4着以下がない堅実派で、どんな競馬でもできる自在性は武器。昨年末の名古屋グランプリを皮切りに重賞3勝と勢いは抜群。初の大井でどんな走りを見せるのでしょう。

    ■ミツバ
    *JRA 加用正 厩舎 牡7歳
    *成績 44戦11勝2着7回
    *重賞タイトル
     川崎記念(JpnI)(2019)
     マーキュリーカップ(JpnIII)(2017・2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     百戦錬磨に戦い続けるキャリアが豊富な馬で、今年は川崎記念でJpnⅠ勝ちを収めています。大井コースは3度目のチャレンジで、2年前のJBCクラシックは3着でした。

    <他地区馬の顔ぶれ>

    ■グレイトパール
    *佐賀 川田孝好 厩舎 牡6歳
    *成績 17戦10勝2着0回
    *重賞タイトル
     佐賀スプリングカップ(2019)
     アンタレスS(GIII)(2018)
     平安S(GIII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代には2つの重賞を制し、実力の高さを示してきました。昨年末から新天地の佐賀競馬場所属となり、前走は地元の重賞を制したばかり。今回は大井初コース。

    ■スーパーステション
    *北海道 角川秀樹 厩舎 牡5歳
    *成績 26戦16勝2着1回
    *重賞タイトル
     赤レンガ記念(H3)(2018・2019)
     コスモバルク記念(H3)(2018・2019)
     道営記念(H1)(2018)
     瑞穂賞(H2)(2018)
     旭岳賞(H3)(2018)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     北海道最強馬が展開の鍵を握ります。昨年末の東京大賞典は持ち前のスピードを生かして粘り込み、勝ち馬から0.8秒差の6着。このすばらしい走りに場内がわきました。

    *帝王賞の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第42回 帝王賞(JpnI)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■モジアナフレイバー
    小林6/21良 1200m-79.4秒 1000m-63.4秒 800m-48.7秒 600m-35.7秒 馬なり
    ■ノンコノユメ
    小林6/21良 1200m-82.0秒 1000m-64.0秒 800m-48.4秒 600m-35.4秒 直線追
    ■サウンドトゥルー
    船橋6/22右良 1000m-65.0秒 800m-50.2秒 600m-37.7秒 馬なり
    ■リッカルド
    船橋6/22右良 1000m-63.8秒 800m-49.8秒 600m-37.6秒 馬なり
    ■アポロケンタッキー
    栗東6/19坂路 800m-51.1秒 600m-37.5秒 200m-12.8秒 叩一杯
    ■インティ
    栗東6/22CW重 1200m-88.3秒 1000m-70.8秒 800m-54.1秒 600m-38.6秒 200m-11.5秒 直強めに
    ■オメガパフューム
    栗東6/22坂路 800m-53.5秒 600m-38.5秒 200m-12.7秒 強めに
    ■オールブラッシュ
    栗東6/22CW重 1200m-85.5秒 1000m-67.3秒 800m-51.8秒 600m-37.9秒 200m-12.6秒 強めに
    ■チュウワウィザード
    栗東6/22坂路 800m-52.1秒 600m-37.7秒 200m-12.6秒 末強めに
    ■ミツバ
    栗東6/20坂路 800m-52.6秒 600m-37.8秒 200m-12.7秒 馬なり
    ■グレイトパール
    佐賀6/20良 800m-50.4秒 600m-36.1秒 200m-12.8秒 馬なり
    ■スーパーステション
    門別6/22坂路 600m-35.2秒 200m-12.3秒
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第42回 帝王賞(JpnI)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     数多くの名馬たちが駆けてきた帝王賞も42回目。ダート上半期の総決算に各地から強豪たちが集いました。1番人気はインティ(2.0倍)、2番人気がチュウワウィザード(3.1倍)、3番人気はオメガパフューム(3.4倍)と、この3頭が断然の人気を集め三つ巴の戦い。パドック付近は歩くこともままならないほどのお客様でにぎわい、大一番を見守りました。

     宝塚記念で牝馬のリスグラシューを勝利に導いたばかりのダミアン・レーン騎手が、ここもオメガパフューム(中央・安田翔伍厩舎)を見事なエスコート。この馬の力がしっかり発揮できるようにとすばらしい仕上げで挑んだ厩舎サイドと、それに応えたオメガパフュームの頑張りと、全てが噛み合ってのすばらしい勝利となりました。

     オメガパフュームは東京大賞典に続く2つ目のG1・JpnⅠ制覇。昨年の3歳馬は最強世代とも言われてきましたが、年をひとつ重ねて、引き続きその強さを証明した形と言えるでしょう。

     レースはシュテルングランツが果敢に先頭に立っていくと、2番手にインティ、3番手にはスーパーステション。その後ろにチュウワウィザードやモジアナフレイバー、ミツバなどが追走。1~2コーナーではすでに縦長の展開で、1000m通過タイムは61秒2。オメガパフュームは後方2番手から。

     「前半はもう少し前にいられるかなと思っていたのですが、スタートは元々そんなに速い馬ではないですし、ペースも速くて折り合いに集中していたのであの位置になりました」(レーン騎手)。

     3コーナーでは馬群がかたまり、オメガパフュームも大外に持ち出し徐々に進出。4コーナーを回った時にはまだ10番手付近でしたが、最後の直線ではメンバー中最速の36秒7の脚でライバルたちを力強く抜き去り、2着のチュウワウィザードに1馬身4分の1差をつけての優勝。勝ちタイムは2000m2分4秒4(重)。3着には移籍初戦のノンコノユメが入りました。

     「最後の1000mから800mくらいの手応えもよかったので自信は持っていました。直線の反応もとてもよくて、すばらしい脚を見せてくれましたね。厩舎のお陰で仕上がりは完璧でした」(レーン騎手)。



     一方、3着だったノンコノユメは中央から大井の荒山勝徳厩舎<小林>に移籍しての初戦。真島大輔騎手が手綱を取り、道中は中団から、最後はグイグイと詰め寄っていくシーンは熱くなった人たちも多かったでしょう。

     中央時代からゲートは課題でしたが、地方では尾っぽを取ってゲートが切れるだけに、今回は初めて尾っぽを取り、真島騎手の話しでは調教試験の時に頭をなでてあげたことで落ち着いたことから、この本番では首筋をなでて落ち着かせていたそうです。

     「基本的にゲートの中は触らない方がいいんですけどね。普通の馬は愛撫が合図のように感じて反応がよすぎてしまいますが、ノンコの場合は愛撫が効くタイプで、落ち着くというか、安心するんでしょうか。スタートも上手に切って、行きっぷりもすごくよくて、思っていたよりも前の位置につけることになりました。道中も気持ちよく走ってくれました。

     直線を向いて、オメガパフュームが後ろからやって来た時に反応したので、おっ!と思ったのですが、その一瞬でしたね。向こうは36秒台の脚を使っているので。でも、力があることは改めてわかったし、一線級でもまれている馬はこれだけ違うんだなぁと思いました」(真島騎手)。

     中央時代はフェブラリーSや大井のジャパンダートダービーも制してきたビッグネーム。今回は移籍初戦で陣営も手探りの中でこれだけのパフォーマンスを見せてくれました。「もっとよくなる」というのは厩舎サイドも言っていることで、『大井のノンコノユメ』が、これからどんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。



    <他陣営のコメント>

    2着 チュウワウィザード 川田将雅騎手
    「道中の雰囲気もよくて直線もいい感じで伸びてくれましたが、勝った馬は強かったです」

    3着 ノンコノユメ 上記参照

    4着 ミツバ 和田竜二騎手
    「状態はよかったし、イメージ通りの競馬ができました。(上位との)決め手の差はありますが、消耗戦に持ち込んで力は出せました」

    5着 モジアナフレイバー 繁田健一騎手
    「ゲートの中は変わらず落ち着かなかったですが、スタートはうまく出てくれました。ペースが思っていたよりも流れた分、結果的には1、2頭分、後ろのポジションがよかったかもしれません。

    この馬は4コーナーを回って追っているようではなく、あそこで持って回れるくらいだと、いい勝負ができるかなという感じです。東京大賞典(9着)の頃より明らかに力はつけているし、乗っていての安心感も出てきました。まだ4歳でこれからの馬ですし、すごく進歩をしてくれているので楽しみです」

    6着 インティ 武豊騎手
    「引っ掛かりました。今日は折り合いがつかなかったです。前の馬を一生懸命追いかけてしまって、リズムがよくなかったです」

    7着 サウンドトゥルー 森泰斗騎手
    「テンの入りがかなり速かったので、最後方というのはいいポジションだと思っていました。オメガパフュームの真後ろにずっといて、流れも向いているなぁと思いましたが……」

    8着 リッカルド 矢野貴之騎手
    「4コーナーまでの流れや手応えはよくて合格点です。去年くらいの感じだったら、その後もうひと伸びするのでしょうが、馬もまだ気分が乗り切れていない感じで、きっかけをつかめたら復活しそうです。良化はしていますよ」

    9着 オールブラッシュ 田邊裕信騎手
    「相手が強くなって厳しかったです。ゲートを出てちょっと躓いてしまい、予定よりもポジションは後ろだったのですが、ゲートを出ていたらよかったとか、そういう感じでもなくて、道中の手応えもあまりよくありませんでした」

    10着 サブノクロヒョウ 藤本現暉騎手
    「3~4コーナーくらいまでの手応えはムチャクチャよかったです。素直で乗りやすい馬ですね」

    11着 スーパーステション 阿部龍騎手
    「いつも通りこの馬のリズムでと思っていて、今日は速そうな馬たちもいたので、行くのが無理そうなら早めに切り替えて番手でという話しもあったので、早めに切り替えて3番手から進めました。追いかけながら追いかけながらいう形になって、先にしんどくなってしまいました」

    12着 グレイトパール 鮫島克也騎手
    「相手が強かったです。スタートはよかったので前につけようとも思いましたが、進んでくれなくてあの位置になりました」

    13着 アポロケンタッキー 戸崎圭太騎手
    「手応えがいつもより微妙に怪しかったです。直線もフラフラしている感じで、ちょっと力が出せなかったです。体重が15キロ重いのも影響したのかな?と」

    14着 シュテルングランツ 川島正太郎騎手
    「小久保調教師から『何が何でも逃げて欲しい』という指示があったので、指示通りには乗れました。あんな楽に行けるとは思わなかったのですが、もう少しためるところがないと厳しかったです」
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    42 令元 オメガパフューム 牡4 D.レーン
    41 平30 ゴールドドリーム 牡5 C.ルメール
    40 29 ケイティブレイブ 牡4 福永 祐一
    39 28 コパノリッキー 牡6 武 豊
    38 27 ホッコータルマエ 牡6 幸 英明
    37 26 ワンダーアキュート 牡8 武 豊
    36 25 ホッコータルマエ 牡4 幸 英明
    35 24 ゴルトブリッツ 牡5 川田 将雅
    34 23 スマートファルコン 牡6 武 豊
    33 22 フリオーソ 牡6 戸崎 圭太
    32 21 ヴァーミリアン 牡7 武 豊
    31 20 フリオーソ 牡4 戸崎 圭太
    30 19 ボンネビルレコード 牡5 的場 文男
    29 18 アジュディミツオー 牡5 内田 博幸
    28 17 タイムパラドックス 牡7 武 豊
    27 16 アドマイヤドン 牡5 安藤 勝己
    26 15 ネームヴァリュー 牝5 佐藤 隆
    25 14 カネツフルーヴ 牡5 松永 幹夫
    24 13 マキバスナイパー 牡6 K.デザーモ
    23 12 ファストフレンド 牝6 蛯名 正義
    22 11 メイセイオペラ 牡5 菅原 勲
    21 10 アブクマポーロ 牡6 石崎 隆之
    20 9 コンサートボーイ 牡5 的場 文男
    19 8 ホクトベガ 牝6 横山 典弘
    18 7 ライブリマウント 牡4 石橋 守
    17 6 スタビライザー 牡6 柴田 善臣
    16 5 ハシルショウグン 牡5 的場 文男
    15 4 ラシアンゴールド 牡5 蛯名 正義
    15 4 ナリタハヤブサ(1着同着) 牡5 横山 典弘
    14 3 チヤンピオンスター 牡7 高橋 三郎
    13 2 オサイチブレベスト 牡6 丸山 勝秀
    12 平元 フエートノーザン 牡6 安藤 勝己
    11 昭63 チヤンピオンスター 牡4 桑島 孝春
    10 62 テツノカチドキ 牡7 佐々木 竹見
    9 61 トムカウント 牡7 石崎 隆之
    8 60 ロツキータイガー 牡4 桑島 孝春
    7 59 スズユウ 牡6 石川 綱夫
    6 58 トラストホーク 牡5 高橋 三郎
    5 57 コーナンルビー 牝4 堀 千亜樹
    4 56 アズマキング 牡4 岡部 盛雄
    3 55 カツアール 牡4 高橋 三郎
    2 54 ハツマモル 牡4 福永 二三雄
    1 53 ローズジヤツク 牡5 阪本 泰之