重賞レース

第9回 勝島王冠(SIII)

  • 2017年11月29日(水)
  • 20:10発走
第9回優勝馬:ディアドムス号

レース名称はTCKの所在地(品川区勝島)に由来します。年末の東京大賞典へのステップレースとして2009年に準重賞から重賞へグレードアップ。多くの南関東有力馬が参戦し、以前にも増してハイレベルで注目度の高いレースとなりました。
<優勝馬に東京大賞典の優先出走権を付与>

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    <第9回 勝島王冠(SIII)>

    ユーロビート
    南関東の長距離戦でトップクラスの実力馬が、ここも満を持しての参戦です。重賞勝ちはマーキュリーカップ、東京記念2回、金盃。 前走の東京記念はスタートで遅れてしまい4着に敗れたのは度外視。大井競馬場は得意の舞台、巻き返しを図ります。

    ムサシキングオー
    貴重な大井生え抜き馬。2年前の勝島王冠で重賞初制覇を飾ると、それ以降も高いレベルで安定した走りを続けています。去年の勝島王冠は、直線で他馬にぶつけられる不利がありながらもひるむことなく、差のない3着に入った姿は感動を呼びました。

    サブノクロヒョウ
    こちらも貴重な大井デビュー馬。2走前の東京記念は12番人気でしたが、和 田譲治騎手とともに念願のタイトルホルダーの仲間入りを果たしました。前走のJBCクラシックは中央馬たちがいる中で2番手を進めての7着。経験を生かしたいところ。

    ウマノジョー
    青森産馬。岩手競馬からデビューし、その後は大井の渡邉和雄厩舎に仲間入りをし、ユーロビートとともに外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを積んでいます。今年の大井記念は岩手の山本聡哉騎手とともに優勝し、重賞ウィナーに!

    ディアドムス
    中央競馬からデビューし、全日本2歳優駿と北海道2歳優駿を制覇。現在は大井の森下淳平厩舎の一員となり、移籍2戦目となった前走の埼玉新聞栄冠賞は、優勝したカンムルとタイム差なしの惜しい2着。地力の高さを改めて証明した1戦でした。

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    <第9回 勝島王冠(SIII)>

    (11月27日現在)

    調教インタビュー動画・調教追い切り動画はこちら

    ■ユーロビート
    *大井 渡邉和雄 厩舎 セ8歳
    *成績 41戦9勝2着4回
    *重賞タイトル
     金盃(SII)(2017)
     東京記念(SII)(2014・2016)
     マーキュリーカップ(JpnIII)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]
    ■ウマノジョー
    *大井 渡邉和雄 厩舎 牡4歳
    *成績 23戦5勝2着4回
    *重賞タイトル
     大井記念(SII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     渡邉和雄厩舎の外厩馬として、ミッドウェイファームでトレーニングを積んでいる怖い馬たちが、ここも満を持して参戦してきます。

     ユーロビートは皆さんもご存知のように、この路線では大将格と言っていいでしょう。昨年のマーキュリーカップでは中央馬たちを打破するなど、通算重賞タイトルは4勝。

     前走の東京記念は1番人気に支持されていましたが4着に敗れました。スタートで遅れて後方から進めていく形になり、それでも最後に追い上げてきたところは力のある証。

     一方、ウマノジョーは今年の大井記念ではユーロビートを破って重賞初制覇を飾りました。青森産馬で父は砂の王者だったウイングアロー。岩手競馬からデビューし、コツコツと積み重ねてきて、地方競馬ファンにとっても魅了される1頭。

     前走の東京記念はユーロビートともに参戦しましたが、スタートで他馬に挟まれたことから行きたがってしまい11着と大敗。

     前走は2頭とも力を発揮していないだけに、ここはもちろん巻き返しは必至でしょう。

     「(ユーロビートは)斤量59キロで1800mというのは気になりますね。でも、59キロは経験もあるし、2000mでもあれだけ走れているのでこなして欲しいと思います。地力の高さで頑張って欲しいです。(ウマノジョーは)位置取りよりは折り合い重視で最後は伸びてきて欲しいですね。1800mなのでみんな早く動いてくれるような流れになれば」(渡邉調教師)。

     なお、渡邉厩舎からは、期間限定騎乗最後の大井開催となるクアトロ・ライアン騎手がコンビを組むシャドウパーティーも参戦するので、豪華な3頭出しです。

    ■サブノクロヒョウ
    *大井 阪本一栄 厩舎 牡4歳
    *成績 30戦5勝2着7回
    *重賞タイトル
     東京記念(SII)(2017)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     大井生え抜き馬としてA1まで上り詰めたサブノクロヒョウ。母のサブノイナズマも祖母のサブノアフロディアも大井からデビューした馬で、3世代に渡って大井で走り続けているゆかり深い血統です。

     2走前の東京記念は久しぶりに和田譲治騎手が手綱を取り、道中は3、4番手外目を進めていくと、最後は逃げ粘っていた東海地区の王者カツゲキキトキトを競り落として力強くフィニッシュしたシーンは圧巻でした。12番人気での重賞初制覇。

     前走はJBCクラシックに挑戦しましたが、中央の強豪たちが集う中でも楽に2番手につけていき、早めに交わされながらも最後まで踏ん張り、地方馬最先着の7着でした。6着だった川崎記念ホルダーのオールブラッシュとは0.7秒差。確実に力をつけていることを示したと思います。掲示板には残念ながらのれませんでしたが、クロヒョウ、立派でした!

     「レース後も疲れはないし、いつもタフな馬だなぁと思います。涼しくなってきたのもいいみたいですね。調教中のフットワークも軽くなりました」(山内秀太調教師補佐)。

     ここ2戦の走りと和田騎手との相性からも、今回はこれまで以上の人気を集めることは必至でしょう。

     「前回もあれだけの馬たちに囲まれても見劣りはしない体つきだったし、レース内容も伴ってきたと思う。今までは挑戦者の立場だったけど、今回はそういう訳にはいかないね」(阪本調教師)。

    ■ディアドムス
    *大井 森下淳平 厩舎 牡5歳
    *成績 22戦4勝2着1回
    *重賞タイトル
     全日本2歳優駿(JpnI)(2014)
     北海道2歳優駿(Jpn3)(2014)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代は全日本2歳優駿と北海道2歳優駿を制した逸材。今年に入ってから約2年ぶりの勝利を挙げていますが、それ以降ももう少しの成績が続いていました。南関東に仲間入りをして3戦目を迎えます。

     前走の埼玉新聞栄冠賞は名古屋の岡部誠騎手が騎乗し、道中は3,4番手外目、勝負所からカンムルと一騎打ちになり、最後は首の上げ下げで惜しくもハナ差の2着でした。着差が着差だけに非常に悔しい結果ですが、最近の成績を考えると、ディアドムス自身が今でも力があることを証明した大きな1戦になりました。

     調教でも上昇していることを感じさせるそうで、「行きっぷりも良くなって、速く走らせても余裕があって手応えもなくならないし、走りの質自体が上がってきています」と、ハッピースプリントなども手掛けている佐藤幹厩務員は言っています。

     最近の南関競馬は中央からの移籍馬が多く、重賞レースでは生え抜き馬以上の数が席巻。中央から鳴り物入りで入厩する馬、中央ではもう一つの成績ながらも舞台を変えて再び輝きを取り戻す馬。ディアドムスも約3年ぶりの肩掛けまで、もう少し……。

     「中央よりも地方は砂が重くてペースも少し遅くなるので、この馬には合うのかもしれません。活気も出てきているし、体のハリや毛づやも良化して、大きくしっかり動けるようになってきました。現状では一番いいですが、来年はもっと良くなりそうですし、まだ奥がある馬だと思います」(森下淳平調教師)。

    ■ハイテルカイト
    *大井 高橋清顕 厩舎 牡3歳
    *成績 10戦3勝2着1回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     今回出走メンバーで一番の上がり馬と言ってもいいでしょう。南関東生え抜き馬。大井の高橋清顕厩舎に来てからは4戦目を迎えます。この3戦は2勝し、前走の準重賞スターバーストカップは後方から進め、最後は37秒8の一番の上がりを使って2着に突っ込んできました。勝島王冠出走の権利をつかんでの参戦。

     いつも調教をつけてお世話をしている穂刈隆志厩務員は、「乗っていてもスタミナのある馬です。追い切りの後もレースの後もケロッとしていてタフだなぁと感じます。乗っていてスピード感も出てきたし、乗せてもらってきた中では一番いいなと思うので楽しみにしています」とのこと。

     重賞初舞台は古馬の一線級との戦い、これまで味わったことがないほどの厳しいペースになるでしょう。しかし、斤量51キロというのが何より魅力で、急上昇の瀧川寿希也騎手がガッツあふれる騎乗で、どうエスコートをするのかも非常に興味深いです。どのくらい食らいつくことができるでしょうか?!

     「前よりも落ち着きが出てきて、スケジュール通りの調整はできました。思っている以上に頑張ってくれている馬なので、相手はかなり強くなりますが、斤量差を生かしてどのくらいやれるんだろうと。内に包まれても競馬はしているので、最内枠は問題ありません。差し脚を生かせるように、あとは瀧川騎手に任せます」(高橋調教師)。

    *勝島王冠の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第9回 勝島王冠(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■ユーロビート
    牧場11/25坂路 600m-37.7秒 200m-12.2秒 一杯追
    ■ウマノジョー
    牧場11/25坂路 600m-37.9秒 200m-12.3秒 馬なり
    ■サブノクロヒョウ
    大井11/25重 1000m-67.0秒 800m-52.5秒 600m-38.1秒 G前強
    ■ディアドムス
    大井11/25重 1000m-65.6秒 800m-51.8秒 600m-37.1秒 仕掛け
    ■ハイテルカイト
    大井11/25重 800m-51.0秒 600m-37.0秒 馬なり
  • 高橋華代子のレースレポート

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    <第9回 勝島王冠(SIII)>

    優勝インタビュー動画はこちら

     2009年に準重賞から重賞に格上げされた勝島王冠。その初代チャンピオンに輝いたのは、船橋所属だったセレンです。南関東生え抜き馬として通算4つの古馬重賞を制覇。現役引退後はオーナー様の深い思い入れから種牡馬入りをし、来年には待望のセレン産駒がデビュー予定です。

     勝島王冠が重賞になってから今年でまだ9回目ですが、これからまた時を刻んでいき、どんなチャンピオンホースが誕生していくのでしょうか。

     今年の勝島王冠は、中央時代に全日本2歳優駿と北海道2歳優駿を制しているディアドムス(大井・森下淳平厩舎)が、再び花を咲かせた一戦になりました。

     ディアドムスは今年に入ってから2年ぶりの勝利を挙げていますが、それ以降はもう少しの成績。

     大井の森下厩舎に移籍してからこれが3戦目でした。前走の埼玉新聞栄冠賞は優勝したカンムルにタイム差なしで惜しくも敗れましたが、力を残していることはしっかり証明した一戦。能力一級品の馬が復活したとするならば……ここは1番人気に推されていました。

     騎乗したのは名古屋の名手・岡部誠騎手。「岡部さんは多くを語らずとも上手に動かしてくれるので、イメージ通りに乗ってくれたと思います」(森下調教師)。

     レースはクラトリガーがハナを主張していくと、2番手にはイッシンドウタイ、続いて、オウマタイムやサブノクロヒョウ、タイムズアロー、その外にディアドムスが追走していきました。「ある程度前に促してあげて好位を取ろうと思っていたので、理想通りに進めることはできました」(岡部騎手)。

     向正面で後方にいたグレナディアーズが一気に先頭に並びかけてペースが上がる中、ディアドムスも徐々に上がっていき、4コーナーでは単独先頭へ。3~4コーナーのごちゃつく不利で力を出し切れない馬たちも多数いたのは残念でしたが、ディアドムスは特に影響なく進めることができたのも強さと言えるでしょう。

     「早め先頭に立って強気の競馬ができました。馬の状態は毎回良くなっているのを感じたし、今日は返し馬の段階でいい勝負ができるなと思いました。前回が悔しい負け方だったので本当にうれしいです」(岡部騎手)。

     岡部騎手は2014年の戸塚記念をキットピークで優勝して以来の南関重賞勝ちで、大井競馬場では重賞初制覇。森下厩舎はプーラヴィーダ、ハブアストロールに続いて勝島王冠は3度目の勝利。

     2着には9歳馬タイムズアローが入り、3着には51キロと最軽量だったハイテルカイト。勝ちタイムは1800m1分54秒5(やや重)。

     最後の直線で後続馬たちを突き放していくディアドムスを見て、『あ~、これがJpnⅠ馬の走りなんだぁ』と、地力の高さを改めてまざまざと証明した一戦。

     最近の南関競馬は中央からの移籍馬が多く、特に古馬重賞で言えば、地方生え抜き馬よりも中央からの移籍馬の方が多い現実があります。舞台を変えたことでどんな走りを見せていくのだろうということも醍醐味のひとつとも言えるでしょう。

     「生え抜き馬を育てていくことももちろんですが、移籍馬たちが場所が変わっても輝ける舞台を作っていくことも大切だと思っています。こちらの競馬でまた能力を発揮させられるよう、もっと技術を身につけて、オーナーさんやファンの皆さんから喜んで頂けるよう、スタッフ一同頑張っていきたいと思っています。

     ディアドムスはさすがはG1馬だなぁという強さを見せてくれました。現状ではいいコンディションですが、来年はもっと良くなりそうですし、まだ奥がありそうに思います」(森下調教師)。



    <他陣営のコメント>

    2着 タイムズアロー 笹川翼騎手
    「鞍をつけている時から力を出せる雰囲気にあるなぁと思いました。4コーナーで不利を受けた時も、これまでならやめてしまうと思うんですが、馬の気持ちも向いていたようで、やめないで粘っこく最後まで頑張ってくれました。今年9歳で来年10歳になりますが、今はまだフレッシュな感じですし年齢は感じませんね」

    3着 ハイテルカイト 瀧川寿希也騎手
    「もう少しだけ前で競馬をさせたかったかなというのはありますが、ほぼ思い描いた通りの競馬はできたと思っています。折り合い重視で、最後は51キロを生かして頑張ってくれました」

    4着 タマモネイヴィー 繁田健一騎手
    「ゲートで待たされてしまったことで変な体制になって少し遅れたので、もう一つ前で競馬はさせたかったですね。タイミングさえ合えば重賞を勝つチャンスはあります」

    5着 サブノクロヒョウ 和田譲治騎手
    「ペースが上がった時にすぐに対応しきれなくて展開が向きませんでした」

    6着 ドレッドノート 中野省吾騎手
    「折り合いもついていたし、伸びてはくれていますが、本来ならもっといい脚を使ってくれると思います」

    7着 オリオンザジャパン 矢野貴之騎手
    「今日はブリンカーを着けて耳覆いを取って、気難しい馬ですがレース内容自体は一番良かったと思います。4コーナーでリズムを崩したところもあって、スムーズなら2着もあったんじゃないかなという手応えでした」

    8着 ウマノジョー 本田正重騎手
    「普通にゲートさえ出ていればまた違ったと思うんですが……」

    9着 ユーロビート 吉原寛人騎手
    「いい位置が取れずに、前が止まらない展開になりました。59キロを背負っていたし、この馬には距離も短かったです」

    10着 クラトリガー 本橋孝太騎手
    「持ち味を生かせるかなと、今日は逃げようと思いました」

    11着 イッシンドウタイ 内田勝義調教師
    「いい感じでしたが最後はとまっちゃいましたね。まだこれから良くなってくると思います」

    12着 キープインタッチ 服部茂史騎手
    「ゲートもすんなり出てくれていい感じだったんですが、3~4コーナーでごちゃつくところで下がってしまったので、もっとスムーズなら違っていたと思います」

    13着 グレナディアーズ 今野忠成騎手
    「ペースも落ち着いていたので上がっていったんですが、(3~4コーナーの不利で)完全にブレーキをかける形になってしまって、もったいなかったです。気難しさはありますが、素質も高いし背中もいいものがありますよ。広いコースの方が合いますね」

    14着 オウマタイム 左海誠二騎手
    「1~2コーナーで外に張っていて、向正面ではササってラチにへばりついていた感じですね。苦しいという感じでもなさそうですが、前よりズブさは出てきています」

    15着 デュアルスウォード 小林拓未騎手
    「毎回一生懸命走ってくれた頑張り屋です。新天地に行っても無事に頑張って欲しいです」

    *ここが南関卒業レースとなり、高知競馬場へ移籍しました。

    16着 シャドウパーティー
    中団から徐々に後退し、最後は大きく離されての入線。
  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    9 平29 ディアドムス 牡5 岡部 誠
    8 28 セイスコーピオン 牡6 森 泰斗
    7 27 ムサシキングオー 牡6 笹川 翼
    6 26 ハブアストロール 牡4 左海 誠二
    5 25 ガンマーバースト 牡6 森 泰斗
    4 24 プーラヴィーダ 牡3 戸崎 圭太
    3 23 スマートインパルス 牡4 A.ムンロ
    2 22 スーパーパワー 牡5 真島 大輔
    1 21 セレン 牡4 石崎 隆之