重賞レース

第8回 勝島王冠(SIII)

  • 2016年11月30日(水)
  • 20:15発走
第8回優勝馬:セイスコーピオン号

レース名称はTCKの所在地(品川区勝島)に由来します。年末の東京大賞典へのステップレースとして2009年に準重賞から重賞へグレードアップ。多くの南関東有力馬が参戦し、以前にも増してハイレベルで注目度の高いレースとなりました。<優勝馬に東京大賞典の優先出走権を付与>

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    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第8回 勝島王冠(SIII)>

    セイスコーピオン
    中央4勝の成績で南関東入り。初戦のムーンライトカップを圧勝し、前走のマイルグランプリもそうそうたるメンバーを一蹴して重賞ウイナーの仲間入りをしました。叩き3戦目で更なるパフォーマンスを期待したいところ。ここもどんな強さを見せるでしょうか。

    ケイアイレオーネ
    中央時代は重賞2勝を挙げ、ドバイにも挑戦し、実績はピカイチ。移籍後は大井記念を完勝しています。地力はトップクラスで、自分の走りをしっかりできたときの強さは抜きん出ているのはご披露済み。的場文男騎手自身が持つ重賞最高齢記録更新にも期待がかかります。

    ムサシキングオー
    大井生え抜き馬。3歳デビューで、長期休養を挟んだこともありましたが、コツコツと勝ち鞍を積み上げてきました。昨年の勝島王冠は念願のうれしい重賞勝ち。一時は元気のない成績が続いたこともありましたが、またここにきて復調の兆し。連覇を目指します。

    ジャルディーノ
    こちらも大井生え抜き馬。クラシックを戦った時期もありましたが、その後も休養を挟みながら勝ち鞍を積み上げ、今年は金盃を優勝して初めて肩掛けを取りました。本馬場入場時にピタリと止まって動かなくなるお馴染みのシーンが今回も見られるでしょうか?!

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    <第8回 勝島王冠(SIII)>
    (11月28日現在)

    ■調教インタビュー動画はこちら[ → ]

    ■調教追い切り動画はこちら[ → ]

    ■セイスコーピオン
    *川崎 八木正喜 厩舎 牡6歳
    *成績 43戦6勝2着6回
    *重賞タイトル
     マイルグランプリ(SII)(2016年)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代は4勝を挙げて、南関東へ移籍。準重賞ムーンライトカップとマイルグランプリを連勝中で圧倒的な強さを見せています。この勝島王冠ももちろん1番人気は必至で、どんな強さを見せるのか注目を集めています。

     前走のマイルグランプリは4、5番手外目を進めて、3コーナー手前から先頭に立つと、最後の直線では独走状態。2着のコンドルダンスが大外から脚を伸ばしてきて2馬身差まで詰め寄りましたが、着差以上の強さだったと思います。

     前々走は返し馬から気負っていて、レースでも手前を全く替えなかったそうですが、前走は状態も上向きで大井競馬場も2度目ということもあって、リラックスして走り、手前をちゃんと替えていたそう。

     「パワーがあって終いも確実に脚を使えるのがいいところですね。競馬は何が起こるかわかりませんが、こうやってスムーズに力を出せれば相当強いと思いますよ。ダートグレードレースでも期待したい馬だし、これから大きなレースを一緒に勝っていきたいです」と森騎手も褒めていました。

     レース後は全く疲れもなくて、翌日には馬房を蹴りまくるくらいに元気いっぱいだったそうです。体重もすぐに戻ったそうで、それだけ楽に気持ちよく走れたのでしょう。

     この中間は勝島王冠に向けて入念に調教を積んできて、最終追い切りは広いコースを希望し、大井競馬場で行いました。

     いつものように調教パートナーでお世話もしている担当の原田龍厩務員を背に単走で駆け、最後の直線に入ってからのダイナミックで伸びやかな動きには圧倒されました。

     「まだこの馬のマックスな状態はわからないですが、前走よりも元気でパワーアップしていると思います。一週前追い切りでしっかりとやっているので、今日は最後の50mから仕掛けたのは予定通りで反応もしてくれていました。息もすぐに入りましたしね」と原田厩務員。上がり運動している時からケロッとした表情も印象的でした。

     南関東に移籍後負けなしの2戦2勝。状態がさらに上向いてきているだけに、距離が200m延長する今回の折り合いは大きな鍵を握るでしょう。

     「考えている以上に強い競馬をしてくれています。こっちにうまく合ってくれたんでしょうね。今回はスローになった時の折り合いはポイントになるでしょうが、ここまでの内容からもいい結果を期待したいです」(八木正喜調教師)。

    ■ケイアイレオーネ
    *大井 佐宗応和 厩舎(小林) 牡6歳
    *成績 28戦6勝2着2回
    *重賞タイトル
     大井記念(SII)(2016年)
     シリウスS(GIII)(2013年)
     兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)(2012年)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代には兵庫ジュニアグランプリとシリウスSを優勝して、ドバイのUAEダービーにも挑戦した馬で、このメンバーに入っても実績実力はピカイチです。南関東に来てからは重賞タイトル1勝で、大井記念での圧勝は記憶に新しいところ。しかし、いつも近くにいる陣営にとっては、もっともっと勝てる馬と大きな期待をかけています。

     前走の東京記念は3着に敗れてしまいましたが、4番手から行きたがりながらの競馬で流れにのれませんでした。それでも3着に粘ったのは、この馬の地力の高さを証明した形でもあったでしょう。この勝島王冠はリベンジの一戦。

     「最終追い切りはいつも通りの内容で申し分のない動きでした。いい意味で状態はキープをしているので、あとはレースで仕掛けないでつけられるところにつけていって、うまく流れにのれれば。不完全燃焼のレースが続いているので、この馬の走りを見せてくれればヒケは取らない力はあると思っています」と、いつもつきっきりで調教をつける佐宗応和調教師。斤量59キロは最大のポイント。

     コンビを組む的場文男騎手は、自身が持つ重賞最高齢勝利記録更新も目指します。

    ■クラージュドール
    *船橋 川島正一 厩舎 牡6歳
    *成績 26戦5勝2着5回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]
    ■モンサンカノープス
    *船橋 川島正一 厩舎 牡5歳
    *成績 27戦10勝2着3回
    *重賞タイトル
     川崎マイラーズ(SIII)(2016年)
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     船橋のリーディング・川島正一厩舎からは有力な2頭が送り込まれてきます。

     クラージュドールは母にレクレドール、半兄にベルーフ、叔父にステイゴールドがいる輝かしい血統の持ち主。自身も中央で5勝を挙げてオープンクラスで走ってきましたが、今年から南関東の一員となり、転厩初戦の報知グランプリカップ(8着)は度外視しても、それ以外は大崩れがありません。

     大井記念ではケイアイレオーネの2着、前走の埼玉新聞栄冠賞はタイムズアローの2着になるなど、重賞タイトルまでもう一歩……。川島調教師からも「重賞タイトルを取らせたい」と、入厩当初から期待をされ続けている馬で、今回は条件面もよく、きっかけひとつ。

     一方、モンサンカノープスは中央で1勝を挙げ、昨年夏から南関東へ移籍しました。7連勝を飾るなど勢いも抜群で、今年の川崎マイラーズではのちのオーバルスプリントで3着となるレガルスイを抑えて重賞初制覇を飾りました。

     前走のマイルグランプリはリフレッシュ放牧明け初戦でしたが、見せ場たっぷりの3着で、改めて力を見せつけた形。今回はこれまで持ち味を発揮してきたマイル戦から200m距離を延長しての1800m戦になるので、それがどう影響してくるのでしょうか。

     「2頭とも状態よく挑めるし、ここで勝つ力は十分にある馬たちです。それぞれの力を出し切って頑張って欲しい」(川島調教師)。

    ■センティグレード
    *船橋 稲益貴弘 厩舎 牡5歳
    *成績 32戦10勝2着5回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     中央時代は10戦未勝利で、2年前の秋から船橋の稲益貴弘厩舎に所属。C1クラスからコツコツと走り続けてきました。前走の勝島王冠トライアルの池月・磨墨賞A2以下選抜特別では、コンビを組む笹川翼騎手を背に、中団外目を追走していくと、最後の直線ではそのまま弾けて後続たちを突き放していく圧勝でした。

     「前走は右回りで外回りコースという条件もよかったと思いますし、ここまでの実績からも負けられないレースでした。リフレッシュ放牧明けを叩いたことで、上積みもありますね。最内枠に入りましたが砂をかぶっても心配ない馬です。重賞級の力は持っていると思うので期待したいです」(稲益調教師)。

     斤量も前走より2キロ軽く55キロで走れるのもプラス材料。

     厩舎を開業して3年の新進気鋭の稲益厩舎。今年はクラウンカップを生え抜き馬のガーニーフラップで制したことも話題を集めましたが、センティグレードも続くことができるでしょうか?!

    ■ウマノジョー
    *大井 渡邉和雄 厩舎 牡3歳
    *成績 15戦4勝2着3回
    *詳細データ[ → ]
    *調教タイム[ → ]

     ウマノジョーは青森県上北郡東北町の有限会社フォレブルー様生産馬。岩手競馬からデビューし、今年春から南関東の一員になりました。大井の渡邉和雄厩舎の外厩馬として、茨城県のミッドウェイファームでトレーニングを積んでいます。

     移籍後勝ち切れないレースが続きましたが、前走の準重賞スターバーストカップ(大井・2000m)は圧勝。移籍後初めて長距離戦の外回りコースで持ち味が生かせたことも勝因です。

     まだ3歳なので未知の部分も大きい馬ですが、今回の最大の魅力は斤量51キロで走れること。最も重い斤量のケイアイレオーネは59キロで、その差は8キロ。岩手のリーディング・山本聡哉騎手が騎乗することになったのは、小柄で51キロでも負担なく乗れることと、過去にこの馬と2勝を挙げていることからだそう。

    「包まれるのは嫌なので、いい枠(6枠10番)に入りました。パワーがあって終いもしっかりしている馬で、入厩した頃に比べると幅が出て成長していると思います。この条件も使ってみたかったですし、挑戦者ではありますが楽しみにしています」(渡邉調教師)。

    *第8回 勝島王冠(SIII)の情報は、南関魂でもお伝えしていきます!

    第8回 勝島王冠(SIII)直前情報 調教タイム (協力:日本競馬新聞協会)

    ■セイスコーピオン
    大井11/26不 1600m-80.1秒 1000m-65.1秒 800m-51.4秒 600m-37.4秒 馬なり
    ■ケイアイレオーネ
    小林11/25不 1600m-78.8秒 1000m-60.3秒 800m-47.0秒 600m-35.5秒 一杯追
    ■クラージュドール
    船橋11/26右重 1000m-64.2秒 800m-50.0秒 600m-37.7秒 一杯追
    ■モンサンカノープス
    船橋11/26右重 1000m-64.2秒 800m-50.0秒 600m-37.7秒 強めに
    ■センティグレード
    船橋11/26右重 1000m-66.8秒 800m-51.2秒 600m-38.0秒 馬なり
    ■ウマノジョー
    牧場11/26坂路 600m-37.4秒 200m-12.1秒 強めに
  • 高橋華代子のレースレポート

    南関競馬リポーター たかはしかよこ ブログ南関魂などを更新中

    <第8回 勝島王冠(SIII)>

    ■優勝インタビュー動画はこちら[→]

     大井競馬場で行われる年末開催前のビッグレース、勝島王冠。1着馬には東京大賞典の優先出走権が与えられるトライアルレースです。今年も好メンバーが集いました。

     中央から南関東に移籍し、準重賞ムーンライトカップと前走のマイルグランプリを圧勝したセイスコーピオン(川崎・八木正喜厩舎)が、ここでも1番人気に推されていました。引き続き、森泰斗騎手とのコンビで、2つ目のタイトルを奪取。川崎勢にとってもこのレースは初制覇です。

     中央時代から折り合いは鍵を握る馬だったそうで、南関東に来てから初めての1800m戦で、そこはポイントになりました。「出たなりでとは考えていましたが、ある程度は先行したいなと思ってあの位置につけました」(森騎手)。

     モンサンカノープスが逃げる展開でスローな流れになったため、2番手につけたセイスコーピオンもかなり行きたがっていたそうで、森騎手も我慢をさせている様子がビジョンには映し出されていました。

     最後の直線で単独先頭に躍り出ようとしたところで、好位外目にいたムサシキングオーと中団前を追走していたケイアイレオーネも馬体を併せていき、3頭がデッドヒートを展開。

     しかし、ムサシキングオーの位置がかなり狭くなる不利があり、それでも食らいつこうとしていたシーンには胸を打ちましたが、最終的にはセイスコーピオンとケイアイレオーネの一騎打ちで、いったんはケイアイレオーネが前に出ましたがセイスコーピオンが差し返し、そのままゴールを迎えました。勝ちタイムは1800m1分54秒8(やや重)。

     「前半我慢が割と利いて最後は伸びてくれたと思うんですが、直線で他馬に迷惑をかけてしまい、すごく反省しています。交流レースも視野に入れていきたい馬なので、これからオーナーや厩舎と相談をして今後については決めていきたいですね」(森騎手)。


     2着のケイアイレオーネも、最後の直線で3頭が接触する形になって影響を受けましたが、それでも出走メンバー中1番重い59キロを背負って改めて地力の高さを見せつけました。


     3着だったムサシキングオーは久しぶりに和田譲治騎手が騎乗。デビュー前から調教も含めて手綱を取り続けてきましたが、和田騎手がレース中の大怪我で長期休養に入ったため、2年5か月ぶりのコンビ復活となりました。


     気持ちを最優先にして好位外目からスムーズな競馬を心掛けたという和田騎手。

    「手の内に入れているつもりなので、この馬にとって最高な騎乗ができました。直線を向いた時にひょっとしたらと思うくらいの手応えだったんですが、あの接触は痛かったですね。馬がバランスを崩すくらいにぶつかりましたから。それでも狭くなったところをこじ開けていくつもりだったんですが、馬もやめないで応えてくれていました」と、和田騎手は愛馬の頑張りを称えていました。

     これも競馬とは言え、もしあの致命的な不利がなければ……と思わずにはいられません。しかし、一時は元気のない成績が続いていたムサシキングオーが、昨年制したこの思い出の舞台で復活をとげたと言ってもいいでしょう。

     「久しぶりに乗せてもらえて、やっぱり乗り味はよかったです。あ~、これがムサシキングオーの背中だなって。デビュー前から乗せてもらってきた馬だし気持ちは入ります。一緒に重賞を取りたいです」(和田騎手)。


    <他陣営のコメント>

    2着 ケイアイレオーネ 的場文男騎手
    「最後の直線(不利)がね……。それでも59キロを背負って頑張ってくれたと思う。いったんは前に出たんだけど……」

    3着 ムサシキングオー 和田譲治騎手
    文中に表記

    4着 ウマノジョー 山本聡哉騎手
    「51キロの斤量面も利いたとは思いますが、馬も充実しています。前は精神的にヤンチャな面はありましたが、今は自分でちゃんと競馬をしていて、その成長にはビックリしました」

    5着 ブレーヴマン 吉原寛人騎手
    「いい状態だったし、直線でも脚を使ってくれました。経験を積めばもっとよくなりそうです」

    6着 クラージュドール 赤岡修次騎手
    「スタートしてからみんな押していたので速くなるのかなと思ったんですが、意外に落ち着いてしまいましたね。結果的にはもっと前にいればよかったです。能力は高い馬ですよ」

    7着 モンサンカノープス 矢野貴之騎手
    「最後まで走りは悪くなかったんですが、ずっとプレッシャーをかけられる形になったので。競馬の仕方次第ではこの距離もこなせると思います」

    8着 コンドルダンス 柏木健宏騎手
    「ペースが遅くて1コーナーでは特に遅かったので、前回はフワッと抜けていたんですけど、今回はハミを噛むところもありました。ヨーイドンの形になって伸びきれませんでしたね。距離はもう少し短い方が持ち味は生きます」

    9着 ジャルディーノ 真島大輔騎手
    「調子は上がってきているので、道中の感じはよかったんですが、ペースが上がったときに対応しきれなかったです。58キロを背負った時に、その部分で対応できるようになれば」

    10着 ストゥディウム 石崎駿騎手
    「スローでしたが、本来ならそれでももっと伸びてこないと。間隔なく使っているので、しんどかったのかもしれません」

    11着 スパイア 宗形竹見調教師
    「ゲートを出てからスピード負けをして理想の位置を取れなかったですが、それでも最後まで我慢してくれていました。自己条件で巻き返したいですね」

    12着 センティグレード 笹川翼騎手
    「あんなスローになって前の展開になったので、ペースが合わなかったです。1枠だったので動くに動けませんでした。前回の勝ち方はよかったし、展開が噛み合えばもっと走れると思います」

    13着 ヴァーゲンザイル 秋元耕成騎手
    「頑張ってはいるんですが、どうしてもこの馬の気分を大事にしながら走らせようとすると、道中は離されてしまいます。展開に左右されますね」

    14着 コスモカウピリ 宗形竹見調教師
    「外を回らされる形になってロスもありました。乗り慣れている騎手にお願いしましたが、いい時はレースで引っ掛かるところがあるということで、調教でも素直すぎたので、次はピリッとできるように仕切り直します」

  • 回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
    8 平28 セイスコーピオン 牡6 森 泰斗
    7 27 ムサシキングオー 牡6 笹川 翼
    6 26 ハブアストロール 牡4 左海 誠二
    5 25 ガンマーバースト 牡6 森 泰斗
    4 24 プーラヴィーダ 牡3 戸崎 圭太
    3 23 スマートインパルス 牡4 A.ムンロ
    2 22 スーパーパワー 牡5 真島 大輔
    1 21 セレン 牡4 石崎 隆之