真夏のハンデ戦・サンタアニタTは上がり馬vs実績馬
中川明美 (競馬ブック)

 昭和55年に創設されたサンタアニタトロフィーは第1回から16回までを「関東盃」というレース名で実施されていた。平成7年にTCKとダートの本場である米国西海岸のサンタアニタ競馬場が友好交流提携を結んだことから「サンタアニタトロフィー」と改称され現在に至っている。レースの位置付けは関東盃当時と変わりなく「真夏のハンデ戦」。春に成長を遂げた上がり馬が実績馬とここで激突。過去28回のうち11回は53キロ以下での戴冠。軽ハンデ馬の活躍が目立ち、グレードはSIIIながら次なるステップへと飛躍を遂げるチャンスになっている一戦である。

 今年注目の上がり馬といえばチェレブラーレ。三強に熱した2007年クラシックに出走するなど一線級相手に揉まれながら地道に力を蓄えてきたが先頃の浦和ゴールドカップでは待望の初タイトル。直線豪快に抜け出す脚は圧巻で、「レースを使うたびに良さを出すようになってきた。元々気の良いタイプだが距離に不安があった大井記念の2600mで最後4着に粘ったのは強化の証。その収穫をバネにゴールドカップを勝って今度はベストの地元マイル。ステップアップの機会だけに狙っていきたい」と太田進調教師は意欲満々。相手となる実績馬代表はマズルブラスト。前走の帝王賞こそ伸びを欠いたが6月の隅田川オープンでは持ったまま馬なりでの圧勝で格の違いを見せた。昨年の覇者ショーターザトッシはオープン入り後も善戦を重ね末脚に磨きをかけてきた。得意のマイルで一矢報いる。出否は微妙だが中央1600万クラスから転入二戦目で準重賞スターライトカップを鮮やかに差しきった軽量ゴットセンドに妙味。

[画像:第28回サンタアニタトロフィー ショーターザトッシ]

 さて想い出のサンタアニタトロフィー。2003年第24回の優勝馬はコアレスハンター。2歳新馬戦(当時の表記は3歳)から今年7月に11歳で登録抹消されるまで9年に渡りタフに走り続けた古豪も当時は6歳。かちどき賞で初重賞制覇するまで18戦するうち1着10回2着6回という超堅実派。サンタアニタトロフィーは三つ目の重賞タイトルとなったがこの年は馬場改修工事のため1590mで行われた。逃げるフジノテンビー、キングリファールが追いかけコアレスハンターは3番手から。ピタリと折り合った手応えのまま直線まで一番人気ベルモントアクターを待って一気にスパート。一騎打ちをクビ差振り切ってゴールした。

[画像:第24回サンタアニタトロフィー コアレスハンター]

 その後コアレスハンターは2004金盃を制したほか積極的に挑んだ遠征先の盛岡でみちのく大賞典、北上川大賞典を制している。

 「アドマイヤドンが全盛だったあの時代に地方代表として善戦し、岩手などに遠征しても着を外すことなく健闘してくれた。高橋三郎という調教師の名を全国に高めてくれた我が厩舎にとって最高の功労馬だよ。昨年のみちのく大賞典のあと右側の蹄の具合が悪く接着装蹄などを試みたが難しくなってね。あの年になっても馬体そのものは若いからもっと走らせたかったがオーナーと相談して引退させることにした。今は札幌の乗馬センターで乗馬の訓練を受けているが大人しくてなかなか乗馬の素養もあるようだよ。これからは静かに余生を送ってほしい」と高橋三郎調教師はねぎらった。


中川明美
競馬ブック南関東担当記者。ホースニュース馬社より移籍したばかりで馬や人の取材に奮闘中の日々。


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