TCKコラム

TCK Column vol.66

ハイセイコー記念注目馬プロフィール紹介

川崎、船橋につづき、いよいよ大井でも2歳馬ちゃんたちの重賞が行われます。今年はどんな顔ぶれなんでしょう。このコラムでは、みんな記念すべき初登場。初々しい素顔もたっぷり交えてご紹介していきます。
11月11日現在

<項目>
(1)普段の呼び名 (2)性格 (3)クセ (4)ご機嫌になること (5)好きな食べ物 (6)これからの課題
(7)セールスポイント (8)チャームポイント (9)初めて見た時、跨った時の印象


■グッドストーン 船橋 岡林光浩厩舎
2003年3月25日生まれ
父 ディアブロ 母 サフィニア 母父 コマンダーインチーフ
馬主 後藤繁樹    生産 小岩ファーム(門別)
ここまでの成績 5戦5勝 (平和賞優勝)


ゴールドジュニアー時

 「この馬、厩舎で一番最初に入ってきたんだ。ちょっとスペシャルウィークに顔が似てるよね(笑)」と夏間厩務員が言っていたのは、今年の5月くらいだったかな。まだあどけなくて、とっても大人しく親しみやすいその子を、「スペシャルウィークちゃん」ってしばらく呼んでいました(お父さんはディアブロだけど、苦笑)。
 そんなスペシャルウィークちゃんが、新馬戦を圧勝、2戦目も、3戦目も・・・だれもが驚いたのは、4戦目の大井で行われた準重賞のゴールドジュニアー。初物尽くしだったにもかかわらず、なんとパドックで放尿。出そうで出ないから、しばらくは立ち止まって動かない・・・だから、後ろのお馬さんたちは渋滞状態。それでも気にせず、やっと出したら、気持ち良さそうな表情(笑)。よっぽどその行為が気に入ったのか、前走の平和賞もパドックでまたまた放尿。この時は何と、返し馬後の日除けのところでも放尿していたとか。(ボロをよくするところは見かけますが、放尿は珍しいですよ)この図太い神経は、何よりの宝かも。
 放尿と岡林厩舎の相性は抜群(なんか、不思議な表現だな。笑)。実は、アローセプテンバーやヒミツヘイキといった南関東を代表する馬たちもまた、そんな特徴?があったのです。厩舎は違うけど、南関東4冠馬トーシンブリザードも馬場に入る際、放尿していたのは皆さんもご存知ですよね。そんなスタイルは、新人スペシャルウィークちゃん改めグッドストーンに引き継がれました。
 さて、放尿の話しはここまで(笑)。この馬がどれだけ強いのか・・・ちょっと裏側を紹介しますね。実はゴールドジュニアーの時。鞍上の石崎駿騎手は、最後の直線でステッキを落としてしまったそうです(書くことは駿騎手に断わっていますよ。念のため)。それでも何にも関係なかったあの強さ。
 前走の平和賞は、ハイセイコー記念のことも考えセーブした仕上げ。でも、他馬を子供扱いした走りは記憶に新しいところですよね。レース後の石崎駿騎手に話しを聞いて、またビックリ。「フワフワしていて、まだ本気で走っていない」とのこと。走った後はすぐに息が入り、翌日も全く疲れがなくて、追い切りをかけた後のような感じだったとか(驚)!!
 このハイセイコー記念は満を持して登場してきますよ。「うちの厩舎で、もうこの時点で6戦目になるなんて、あまりいないよ。新馬戦にソエが出たくらいで、後は何も心配することがないんだものなぁ。こんなに変わる馬も珍しいね」と岡林調教師。


グッドストーンと夏間厩務員

<夏間洋平厩務員に聞いたグッドストーンの素顔>
(1)チビタ、スペシャルウィークちゃん (2)基本的には大人しいけれど、ヤンチャな部分もある
(3)馬場に出るときに立つ、パドックでの放尿 (4)耳の中をかいてあげると喜ぶ (5)青草
(6)性格はパーフェクトなので、馬体がもう少し成長してくれれば
(7)持久力がありバテない(距離が伸びても大丈夫)、疲れない (8)かわいい顔
(9)体の線が細いと思ったけれど、顔つきはいいなぁと思った


■カネショウマリノス 川崎 照沼一二厩舎
2003年4月2日生まれ
父 アジュディケーティング 母 ローザンヌシチー 母父 ミルジョージ
馬主 清水正裕  生産 三石橋本牧場(三石)
ここまでの成績 6戦1勝2着2回3着1回 (鎌倉記念優勝)


カネショウマリノスと安池厩務員

 初勝利が鎌倉記念と、ど派手な芸当を打ち立ててくれたカネショウマリノス。ソエの具合が良くなってきて、さらには力も一戦ごとにつけてきました。5番人気と評価は低かったのですが、「いい勝負はできるはず!」陣営の期待を胸にしっかり結果を出しました。
 この中間は大井に馬場見せに来て、11日には小向で本追い切り。ジャンサークルと併せましたが力強い動きを披露してくれました。「この前(鎌倉記念の本追い切り)よりも動きは良かったですよ」と今野騎手。いつも調教をつけている増田騎手も「前よりも、どんどん良くなってきていますね」と陣営は好感触。そういう中でも「心臓の音はまだまだ子供だよ」(入江獣医師)と言うように、これから強くなってくる要素は十分です。
 「相手も強くなるし、初めてのコースだし、いくら重賞を勝っていても挑戦者ですよ」と照沼調教師。平成6年には東京ダービー馬カネショウゴールドも手掛けている方です。「ゴールドには近づけそうですか?」と聞いてみると「そうなってくれると有難いけどね(笑)」という答えが。一度も掲示板を外さず大崩のない堅実さんが、今回はどんな走りを見せてくれるのか・・・興味深いです。

■アタゴハヤブサ 大井 蛯名末五郎厩舎
2003年4月20日生まれ
父 ヴィクトリースピーチ 母 スナークルビー 母父 テユデナム
馬主 坪野谷和平  生産 鵜木唯義(浦河)
ここまでの成績 4戦4勝


アタゴハヤブサと浦厩務員

 グッドストーンが5戦5勝で負けなしとするならば、このアタゴハヤブサも4戦4勝の無敗馬。何と言っても、前走のはくたか特別でのパフォーマンスは度肝を抜きました。スタートはそんなに悪くなかったのですが、徐々に下がって、向正面はなんと最後方。しかし、4コーナー手前から一気にエンジン全快!コーナーではグルーッと1頭だけ大外を回り、直線は他馬が止まっているかのような目の覚める末脚でゴールイン。マイル戦を1分43秒5とタイムは少々平凡も、その勝ちっぷりには目を引きました。本当に2歳馬の走りなんだろうか・・・と。いや、古馬でもなかなかできない走り。
 レース後も疲れはなく、順調に調整が進められています。「前走は強かったですねぇ」と蛯名調教師に聞いてみると「いやいや。タイムは普通だから」と謙遜気味。それも、この馬への期待が大きいからこその厳しさなのです。「でもね、前回はタイムより内容。本当にすごかったね」「完成されるのはまだまだ先。この馬で大きいところを狙っていきますよ」

<浦喜代史厩務員に聞いたアタゴハヤブサの素顔>
(1)アタゴ (2)自分をしっかり持っていて、ガンコ (3)暴れるときは、前脚を小刻み
にあげてジャンピングする、嫌いな馬(数頭いるらしい)が目に入ると、そこでもジャンピングする
(4)新しい寝わらを引くと、富士山のように中央に脚でかき集めて、そこで寝る (5)バナナ
(6)カイバ食いが今以上になれば・・・ (7)根性 (8)目がキリッとしている、オシャレにすいた前髪
(9)大人びた雰囲気があり、背中が柔らかかった。最初からやれると思った

■プレミアムサンデー 大井 渡部則夫厩舎
2003年5月2日生まれ
父 マーベラスサンデー 母 ミセスヒンギス 母父 アーミジャー
馬主 小林宏光 生産 西村和夫(静内)
ここまでの成績 3戦2勝3着1回(鎌倉記念3着)


プレミアムサンデーと佐竹基調教師補佐

 渡部調教師が初めてプレミアムサンデーを見たのは1歳になったばかりの時。「脚が長くて薄い馬でした」(渡部調教師)それが、半年後にまた会った時。「馬の作りがグンと良くなってきたんです」育成されていたBTCでの評価も高く、期待も日々大きくなっていきました。
 体型的な面やトビが大きかったことから、1400メートル以上から本来の力が発揮できるだろう。そんな陣営の読みをいい意味で裏切り、1000メートルの新馬戦は完勝。距離が500メートル延びた2戦目は、後続に7馬身差をつけて圧勝。その後は積極的に鎌倉記念に遠征し3着。「ビチャビチャの不良馬場。先に行ける馬じゃないから展開面も向きませんでしたね。でも、自分と一緒の脚質の子たちには負けていませんから」渡部厩舎と言えば、積極的に他場に遠征する姿を目にしますが、この厳しい経験は2歳の若駒にはきっと大きな財産になったはず。
 「体質的にはまだ弱いところがあるので、これからだと思っています。1800メートルや2000メートルの外回りでどんな走りを見せてくれるんだろうと、思い描かせてくれる馬ですね」

<佐竹基調教師補佐に聞いたプレミアムサンデーの素顔>
(1)おい! (2)きつい (3)特にない (4)ニンジンを食べること (5)ニンジン大好き
(6)まだ幼いのでもっと大人になって欲しい。体や骨の成長も遅く、これからもっと良くなる
(7)背中が柔らかい (8)男前の顔 (9)初めて跨った時から背中が柔らかくて乗り味が違った

他の注目馬・・・
■ ジャンサークル(川崎・八木仁厩舎)
掲示板を一度も外したことがない堅実さん。雄大な馬体も魅力的ですが、今回は510キロ台では競馬をさせたいとのこと(前走は525キロ)1頭になるとフワッとするために、前に馬がいたり併せた方がしっかり力を出せるタイプです。長くいい脚を使うことから1800メートルや2000メートルの外回りで威力を発揮しそう。今回はマイル戦の内回りですが、その辺りは得意の大井コースで魅せてくれるでしょう。

■ キングトルネード(川崎・八木仁厩舎)
 完成度も高く能力はピカイチ。しかし、レースにいってのテンションが常に課題になってきます(普段はすっごく大人しいんですが)。大井での馬場見せは落ち着いていたそうなので、当日のパドックと返し馬の雰囲気は要チェックです。前走の鎌倉記念は1番人気に推されながらも4着。ビチャビチャの泥をもろに被ってしまったからではないか・・・ということ。持っている能力をそのまま出すことができるなら、チャンスは十分です。酒井忍騎手&酒井正男厩務員の親子コンビで重賞初制覇を目指します。

■ キタニッポン(大井・赤間清松厩舎)
 北海道からの転入組。前走の平和賞は3着。北海道の長旅も物ともせず、パドックではムキッとした立派な体は目を引きました(それでも体重は9キロ減っていましたが)。レース後、そのまま大井の赤間厩舎に仲間入り。今年は例年よりも、北海道からの転入馬が続々と入厩しています。その辺りを占う意味でも、キタニッポンの力は見てみたいです。ちなみに、お母さんはキミガヨ!

高橋華代子
東京シティ競馬中継レポーター
厩舎関係者にファンも多い。