TCKコラム

TCK Column vol.63

夏休み特集~TCKの砂上を駆け抜けたあの馬に会ってきました~ Part3

TCKを盛り上げた卒業生たちの今

■ゴールドヘッド 重賞タイトル(羽田盃、マイルグランプリ、グランドチャンピオン2000、京浜盃、黒潮盃、大井記念、アフター5スター賞)


10歳になっても男前のゴールドヘッド

 20世紀から21世紀を股にかけて、その存在感を存分に発揮してきたゴールドヘッド。金色メンコ(あれは、黄色ではなく金色 by蛯名調教師)を着用し、勝負根性をむき出しにしたあの走りは、多くのファンを魅了し続けました。「大井の大将」というネーミングがぴったりの馬。
 現在は、オーナーでもある平取の中田和宏さんの牧場で種牡馬生活を送っています。山の奥に向かってズンズン進んでいくと、広大な敷地が広がっていて、昼夜放牧をするスペースが。そこの一角にゴールド専用の放牧地があり、緑に囲まれた空間で毎日を過ごしています。現役時代から気性の激しさが有名でした。この大自然に囲まれた生活で、少しは癒されて丸くなったのかと思いきや…今も性格はまったく変わらず(苦笑)。精かんなキリッとした顔つきも健在です。
 「この馬にはたくさんの夢と希望を与えてもらいました。毎年2頭くらいに種付けをして、一生のんびりと余生を過ごすようにしてあげたい」と中田場長さん。初年度は1頭になりましたが、今年は2頭のとねっこがすくすく成長。来年も2頭の産駒が誕生予定です。

■ゴールドヘッドの息子 (5月27日生 栗毛 母マロングラッセ) <撮影 7月21日>


こんにちは!うわっ、耳が垂れちゃった(笑)


お乳を飲んで大きくなるぞぉ!

 先ほども書いたように、今年は2頭の産駒が誕生しています。その1頭が、中田さんの牧場で生まれたこの仔。お母さんのマロングラッセは、中央競馬の金鯱賞を勝っている重賞ウィナーです。好奇心旺盛な性格をしているこの息子は、見知らぬ人(あたし)がやって来たこともあり興味津々。適度な距離感を持っていると写真撮影はしやすいのですが、すぐ近くにやってきて、カメラを覗きこもうとしていました(笑)。勝ち気そうなお顔はゴールドパパ譲り。「なかなかしっかりした体をしている」と、中田場長さんの期待も大です。

■ナミ 重賞タイトル(エーデルワイス賞、桜花賞、東京プリンセス賞、トゥインクルレディー賞、ゴールドティアラ賞、スーパーチャンピオンシップ)


大井のアイドル・ナミ

 ゴールドヘッドがいる放牧地の隣に、ナミが昼夜放牧している敷地がありました。今年は残念ながら仔馬はいませんが、昨年すでに愛娘(父コマンダーインチーフ)が誕生しています。
 北海道から南関東に移籍して、可憐なる走りながらも男勝りの活躍をしてきたナミ。その愛らしい名前からも、多くのファンがついていました。しかし…性格はなかなか勝ち気な女の子で(笑)。自分から人に寄って行くような懐っこいタイプではなく、常に凛としている姿を見せていました。まさかに孤独を愛する女王様って感じ。馬房では常にジーッとして無駄な力を使わずに、レースに行けばしっかり燃える…切り替えがしっかりできる優等生でした。
 そんなナミが、今回は自分から近づいてきたぁ!!お顔をなでなでされつつも、ひたすら青草を食べている姿も新鮮。お母さんになると、ここまで丸くなっちゃうのかなぁ…
 来年の出産に控えて(父コマンダーインチーフ)、ナミママは穏やかな毎日を送っているところです。

■ナミとゴールドヘッドの娘たち


ナミの娘でーす(左) ゴールドヘッドの娘でーす(右)

 左を見るとゴールドヘッドがいて、右を見るとナミがいる…そんなゴージャスな空間を堪能して、今度は子供たちのところへ。ちょうど1歳の女の子同士ということで、昼夜放牧をしているその場所には2頭が放されていました。これまた興奮状態(笑)!!
 仲良く並んでいるところをパチリ。ゴールドの娘(母アクセスイオウ、パッションキャリーのお母さん)は、キリッとした顔つきと毛色がゴールドパパ似。
 ナミの娘(父コマンダーインチーフ)は、毛色以外はすべてナミママを受け継いでいるというくらい、姿も性格も似ているとのこと。
 2頭とも、パパとママが育った蛯名厩舎から来年デビュー予定。今から待ち遠しい!!

■ドラールアラビアン 重賞タイトル(大井記念)


初めてパパになったよぉ!

 女王ファストフレンドのハナ差まで詰め寄って2着に入った2000年の帝王賞。3コーナーから一気にまくって執念の勝利をあげた翌年の大井記念。重賞タイトルはその一つだけでしたが、あの堅実な末脚は多くのファンを魅了しました。記録よりも記憶に残る大井を代表する名馬の一頭。
 引退後、鵡川のフラット牧場にやってきました。今年、アラビアンの待望の宝物(母ドラールクラウン)が誕生。
 引退してから2年の月日が流れましたが、体つきもすっかりパパらしい貫禄です。「学習能力が非常に高くて頭のいい馬ですね。人には優しいですが、馬には闘争心をあらわにするタイプです」と伊藤場長さん。種牡馬といっても、適度な運動は必要。牧場スタッフの鈴木さんは時々、ドラールアラビアンに跨っているそうです。鞍やハミも使わずに、そのまま裸馬状態。それでも従順に駆ける姿は、信頼関係の深さを感じさせました。躍動感は現役そのものです。鈴木さんからは「ビアン」とか「パパ」と呼ばれているそうですよ。

■ドラールアラビアンの娘(4月7日生 栗毛 母ドラールクラウン) <撮影 7月17日>


はじめまして! ドラールアラビアンの娘です


耳を障られても、へっちゃらよ

 「バランスもいいし、体も柔らかい。性格もいい!!」とフラット牧場の伊藤場長さんが絶賛しているのが、アラビアンの娘のこと。垢抜けした馬で、生まれたときから好感触だったそうです。
 とにかく人懐っこい女の子で、何をされてもジーッとしているような感じ。それでなくても牝馬は繊細なタイプが多いんですが、かなりの大物かも。耳を触られるのは嫌がる馬が多いのに、この女の子は大人しくしていました。その光景にびっくり!!
 このままスクスク育って、また南関東で会えると嬉しいなぁ。

■ドラールオウカンとドラールクラウンも元気です!!


水をごくごく飲んでいるドラールオウカン


娘と一緒に並ぶドラールクラウン

 1986年の桜花賞馬ミネノオウカン。繁殖牝馬になってからも、東京大賞典を制したドラールオウカンや戸塚記念を優勝したドラールクラウンなど優秀な産駒を輩出しました。オウカンは現在17歳。これまで8頭もの子供たちを送り出している子宝母さん。クラウンのほうは13歳になり、こちらも繁殖牝馬として産駒たちを競馬場に送っています。クラウンの子育ての仕方は、甘やかさないでしっかりと教育するそうです。アラビアンとの娘を、どんな風に育ててくれるでしょうか…

<まとめ>

 3回に渡ってお届けした「TCKの砂上を駆け抜けたあの馬に会ってきました」いかがだったでしょうか?北の大地に足を運んで早5年。「このお馬さんがあの大レースを勝ったんだぁ~」と、現役生活を生で見ることができなかった歴代の名馬に会っては、感動。現役生活を目の当たりにすることができた馬たちからは、「あー!みんな元気に頑張っているんだぁ。わたしも頑張らなきゃなぁ…」と、刺激をもらう。同じ空間に何度足を踏み入れても、毎回新鮮な空気を味合わせてくれる牧場巡り。次はどのお馬さんと会ってこよう…早くも予定を立てていました、帰りの飛行機の中で(苦笑)