TCKコラム

TCK Column vol.03

「好みは固定化する」 3連単・3連複攻略法

3連単・3連複の前にまずこの話。
「好みは固定化する」
これは、人間心理学のうえで、間違いなく事実であると人間心理学の先生から聞いたことがある。「いや、オレは相当にフレキシブルな頭を持っているよ」と競馬風俗研究家の立川末広は豪語していたのだが、その先生から簡単なテストを受けたところ、30枚の幾何学模様の絵のなかから、これが好きですと選んだ3枚は、いずれも円型を含み、暖色だけで構成されていることが共通していて、他の27枚の絵と明らかに違っていた。好みは固定化するのだと、確かにうなずかざるを得なかった。
 そういえば、結婚相談所の所長からこういう話を聞いたことがある。「丸顔で、ショートヘアで、下まぶたがプクッとしているタイプが好きですという男性がいたとして、その条件どおりの女性を紹介したとしますね。しかし、付き合ってみたらどこか肌が合わなかったのか、ケンカ別れしてしまった。しばらくしてその男性が訪ねてきて、違う人を紹介してくださいという。もう、ああいうタイプは懲り懲りなのかと思っていると、これがまた同じで、丸顔で、ショートヘアでしたまぶたの・・・というんですよ。本当に好みというものは変わらないんですよ。」
 じつは、このように好みが固定化するというわれわれの性向こそが、馬券的中を難しくしている理由らしいのである。
 われわれは馬券を買う際に、多くの要素を考えて買う馬を選んでいると思い込んでいる。血統、体格、持ち時計、最近の成績、体重、パドックの気配など、さまざまな要素を考えた末に買う馬を選んだと思いこんでいる。ところが、違うのだ。やはり好みで選んでいるのである。ある人は血統のいい馬が好き、ある人は持ち時計のある馬が好き、またある人はパドックの気配がいい馬が好きで、それが買う馬を選ぶ際の最終的な決め手になっているのだ。馬選びを支配しているのも好みなのである。
 そしてレースは、好みばかりで決まるものではない。
 それは世の中が、自分の好みばかり言っていても通用しないのと同じ理屈である。世の中には雑多な好みが存在しており、レースもまた、自分の思いどおり、好みどおりに決まらなくて当たり前なのだ。
 当てようと思ったら、自分の好み、考え方ばかり押し通そうとせず、他人の好みや考え方に聞く耳を持たなければならないということらしいのだ。
 自分がいいと思うA馬
 他人がいいと言っているB馬
 みんながいいと言っている人気のC馬、D馬
3連単・3連複は、この「A・B・C」または「A・B・D」の組み合わせで決まっていることがもっとも多い。
自分の好みだけで買っていると当たらないタイプの馬券なのである。

井崎 脩五郎
明治大学商学部除籍。現在、競馬専門紙ホース・ニュース「馬」広報部長。主な著書に「アオよ走れ」「小説・競馬必勝法」「読む競馬」シリーズ等がある。またフジTV「スーパー競馬」、TBS「噂の!東京マガジン」、文化放送「梶原しげるの本気でDONDON」(水)などのレギュラーパネラーとして活躍中。