Café Americano

Café Americano vol.15

第15回 アメリカの夏競馬は熾烈な戦い!人馬ともに夏の陣!

最強馬の競馬はファンを沸かせましたが・・・

 約2ヶ月ぶりにデルマー競馬場を訪れました。日本からの来られた競馬関係者の皆さん60名の接客・・・というよりは、英語での馬券購入のサポートが主でしたが、久しぶりに夏のデルマーの熱い2日間を過ごさせていただきました。前日入りした際には、競馬場近くにあるPacifica Del Marというレストランで、他のスタッフの方々と夕食を共にし、子供が生まれて以来・・・とまではいかないですが、久しぶりにちょっとだけゴージャスな夕食をいただきました。以前に関係者から「西海岸出身のアメリカ人は、『夏のデルマーで家族のリユニオンをしよう!』という感じらしい」と聞いたのですが、まさしくその通り。私たちの一行以外、周りはほぼすべてアメリカ人(当たり前?)。そして、ボックスシートや年間予約されたシートに、家族で来ていると思しき現地の人々で溢れかえっていたのです。そんな中、昨年末の東京大賞典に遠征したソイフェットのオーナーご家族にも久しぶりにご挨拶。遠征時のサポートに対して大変感謝されるとともに、遠征時には同行できなかったご家族の方にもお会いでき、個人的には忙しくも楽しい滞在となりました。
 同日、当社が管理させて頂いているお馬さんが出走する機会に恵まれ、オーナーサイドとして観戦。結果は5着に終わりました。先行された2頭(1頭は勝ち馬)にスローペースにセットされ、切れ味を削がれての入線となりましたが、着差を縮めていく形でのゴールだったので次走には期待が持てそうです。(写真1・2)

写真1
写真2

 翌土曜日のメインレースはG1のクレメント・L・ハーシュステークス。現役チャンピオンメア・ビホールダーの出走により大いに沸いたレースになりました。結果は圧倒的な強さを「魅せ」つけて、ビホールダーの圧勝。さらに、翌日の全米競馬ファンの大注目は、何と言ってもアメリカンフェイローの出走するモンマスパーク競馬場でのハスケルインヴィテーショナル。こちらも、いつもの4角先頭でケタが2つくらい違う勝利。2着のキーンアイスが強烈な追い込みを見せるも、当のチャンピオンホースは最後の1ハロンを持ったまま。米国三冠馬の存在感を十分にアピール。2つのレースとも、ファンが強烈な強さに酔いしれる一方、競馬そのものとしてはつまらないレースになってしまったなぁ・・・と個人的に思ってしまいました。こう書くと誤解を招くかもしれませんが、やはり競馬は、ハイレベルの馬が最後まで競り合うことで興奮度が増してくるのではないかと個人的に思っていまして・・・。大井で言えば、スマートファルコンがワンダーアキュートに競り勝った2011年の東京大賞典、最近の中央競馬ではジェンティルドンナとオルフェーヴルの、牡牝三冠馬同士のプライドをかけた2012年のジャパンカップ等々・・・。圧倒的な強さを誇る英雄と、それにぴったりと貼り付く好敵手がいてこそだと思うのですが。皆さんのご意見はいかがでしょうか。その意味で私のベストレースのひとつは、エアシャカールと競り合い、アグネスフライトが優勝した日本ダービーです。

米国競馬の中心は、あくまでブリーダーズカップ。

 欧州では英ダービーやキングジョージ、そして日本競馬関係者が優勝という夢を叶えたい、悲願でもある凱旋門賞などでしょうが、アメリカ競馬の中心はやはりブリーダーズカップ(BC)!!。まだまだ30年少々という、欧州と比較すると歴史が浅い中で、ここまでの地位を築いている関係者の努力には頭がさがる思いです(ドバイワールドカップも同じようなものなのですが、こちらは王様が味方ですので 笑)。ただ単にお金を積めばいいというわけでもありません。「このレース」が「アメリカナンバーワン」を決める!という位置付けと意識を、全競馬関係者に植えつけなければ、せっかくのレースにも実績馬が集まらず、開催そのものの存続に影響します。そのためには、「このレース」がどれだけの意味をもたらすのかを広く周知する必要もありましたし、各種牡馬繋養スタッドに、ルールとなっている「種付け料1回分」を、産駒のノミネート料として資金拠出を納得してもらわねばならなかったわけです。今は地位を確立したことによって、日本からも社台スタリオンステーション等が、ディープインパクトをはじめとする種馬たちの種付け料1回分をノミネート料として支払うなど、全世界からの協力が得られていますが、立ち上げ当初の尽力たるや並大抵のことではなかったと思います。

これからが、出走権をかけての大激戦

 日本ではターフディヴィジョンのBCチャレンジ競走(優先出走権を付与)として、宝塚記念が制定されています。今年はラブリーデイが優勝し、その切符を使用することなく国内のレースに専念すると発表されています。他の馬たちが、BC競走の出走権を獲得すべくしのぎを削る中、みすみすキップを捨てるのはもったいないな・・・と思うですが、陣営の決定ですから致し方ありません。
 これから、アメリカの強豪たちは熱い戦いを繰り広げます。残された約2ヶ月の間に開催されるBCチャレンジでポイントを稼げるかどうか。この夏は、「出走する陣営」と「残されたレースを勝つために刃を研ぎ澄ます陣営」が、10月末に開催される名誉ある出走に向けて、様々な想いを胸に戦いを繰り広げる熱い夏なのです。もっとも、勝ち上がって出走してもクラシックディヴィジョンには絶対王者・アメリカンフェイローがいるわけですから、いわゆる「メイチの仕上げ」はその時まで温存しなければならない、イコール8割くらいのデキでBCチャレンジのG1レースを勝たねばならないわけです。関係者は調整に一苦労ですね。

 今年の下半期は、アメリカンフェイローとそれを取り巻く人々(ライバル陣営含めて)の動きが大きな見もの。はたまた新たなスター誕生なるか。今回久しぶりに管理馬のレースに立ち会って再認識しましたが、競馬は想像や期待通りにはいかないものなので、「絶対王者が現れても打ち負かせるかもしれない」という希望が持てるわけです。だからこそ、常に希望をいだき続けることができる競馬は人々の心を掴んで離さないのでしょう。

筆者:沼本光生
1980年東京生まれ。U.S. Equine, Inc., Sales & Operations Manager
http://www.usequine.com
当社もこれから忙しい時期に突入していきます。9月を皮切りに、セール・輸送・セール・輸送というローテーションで年末まで怒涛の日々が待ち受けています。今年の東京大賞典にも、「勝てる」お馬さんを連れて帰国できればいいな・・・と、「希望」をいだいて仕事しています。