Café Americano

Café Americano vol.10

第10回 栄光に向かって走れ!東京シティカップ (GIII)、今年も開催!

ありがとう、Thank you、Merci、Gracias、謝謝、Obrigado!

 早いもので、このコラムも連載開始より10回目を迎えました。いまだ大井競馬場の広報の方から「沼本さん、もうコラムは書かなくていいです」と言われないということは、多少なりとも愛読して頂いている方々がいらっしゃるからではないかと思います。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
 表題に書いた東京シティカップ(www.tokyocitycup.com)とはなんぞや!?と思われる方もいらっしゃると思います。後述致しますが、サンタアニタ競馬場とTCK・大井競馬場は、実は深~い関係なのです。長い相互の交流の歴史の中で、その友情の証として生まれたのが東京シティカップ。過去はサンバーナーディーノハンディキャップとして施行されていたレースですが、交流をきっかけに、米国内で唯一海外の都市名を冠としたレース名に変更。約2,400mというダートとしてはかなりの長丁場で施行されるレースです。その後の関係者の努力も実り、GIIIの格付けも取得。昨年の覇者・マジェスティックハーバーは、このレース優勝後にゴールドカップ(GI)にも勝ち、GI馬の仲間入りを果たしました。スピードのみならず、タフネスが重視され始めている米国競馬。このレースが西海岸の番組編成の中でも重要な役割を果たしていることは、言うまでもありません。

 同時に競馬場で開催しているのが、ジャパンファミリーデー。いまやロサンゼルスで開催される春の日本文化紹介イベントとして、不動の地位を獲得しましたが、これも長い時を経て、少しずつ進化。パドックエリア開催していましたが、昨年から内馬場に舞台を移し、大きなステージで大胆に開催するようになりました。TCKもバックアップされているこのイベントは、文化紹介のパフォーマンスやブースのみならず、文化遺産に登録された日本食も出てきます。さすがにお刺身・割烹料理・・・とは行きませんが、お好み焼きやたこ焼き、お寿司や肉まん等も提供されます。そろそろヨダレが出そうになってきましたので、このあたりで止めておきますが、楽しく美味しいイベントであることは間違いありません。今年も多くの方々に、足を運んで頂けることを祈っております。

腕や足腰が痛んできました。

 私的なことですが、今年の頭に子供が生まれ、土日も本当に余裕のない生活を送っています。ウィークデーはお仕事、土日は家族サービス(買い物や用事を含む)で駆けずり回り、疲れきったクタクタの姿でベッドに入り月曜日を迎えます。おかげで月曜日は一番疲れている日。「男はつらいよ」とはこういうことでしょうか(笑)
 2,945グラムで生まれたウチの坊主は、2ヶ月経過時点で約5,700グラム。少しずつ少しずつ体重が増えていくことは、子供の成長を意味していて非常に喜ばしいことなのですが、同時に腕や足腰に痛みが・・・。嬉しい痛みなのですが、運転が長く、重たいものを持ったりすることがある私には、腰の痛みは正直厳しいものがあります。ただ、家に帰って子供の顔を見られることが、こんなにも嬉しく楽しいものであるとは想像もしませんでした。寝かしつけながら私のお腹の上で気持ちよさそうに(脂肪があるからでしょうか??)寝ている小僧くんと一緒に眠りに落ちる時、疲れも吹き飛んでしまいます。

 小僧くんがどんな大人に成長するか、楽しみです。競走馬のように、2~3年で結果が出るわけではないので、はやる気持ちを抑えて20年に渡るロングスパート。じっくり調教していきたいと思います。

20周年を迎えたTCKと世界最高峰の競馬場の関係

 ということで、我が子が巣立つまで20年。その同じ時間をかけて築き上げてきたサンタアニタ競馬場とTCKの関係は、もはや切っても切れぬ間柄。当初、その当時TCKでトップを務めていた方が持っていた「TCKを世界の競馬場へ押し上げたい」という強い熱意は、世界の競馬場を見て回るという行動を生み出しました。行き着いた先は、ダート競馬の最高峰・米国はサンタアニタ競馬場でした。(写真1)

写真1

 過去は、日本競馬の皇帝・シンボリルドルフがサンルイレイハンディキャップに出走、または戦後直後に米国へ長期遠征し、ワシントンバースデーハンディキャップで日本馬として米国で初勝利を収めたハクチカラが走った、歴史の長い競馬場は、サンガブリエル山脈を背景に、アールデコ調の造りが映えるダート競馬のトップクラス。映画にもなったシービスケットの出走レース(写真2)には、数えきれないほどの人が訪れ、駐車場はビッシリと隙間なく埋まるほど(写真3)。

写真2
写真3

 米国競馬の祭典・ブリーダーズカップが行なわれ、数々の名勝負を繰り広げた競馬場に、日本の競馬関係者が感動しないわけがありません。「この競馬場から学びたい、姉妹交流が出来ないか?」との新たな展望を抱いたのは自然の流れでした。比較的新しい競馬ファンの方々には考えられないことかもしれませんが、20年前の日本競馬は「賞金は一流、人は二流、馬は三流」と揶揄され、日本の競走馬は海外遠征しても、その高い壁に跳ね返される時代でした。その日本競馬の一角を担うTCKが同じように思われていたと言っても過言ではありません。しかし、TCKトップの熱意はその当時のサンタアニタ競馬場の人間をうなずかせ、姉妹交流がスタートしたのでした。以来、毎年お互いの役員がお互いの競馬場を行き来し、交流を深めるとともに、お互いの競馬の仕組み、ファンサービスに刺激を与え続けてきました。先日も書きましたが、その関係性の結晶として、昨年は初めて東京大賞典に米国馬が参戦。国際G1という格付けが、ようやく本領を発揮したのです。残念ながら出走したソイフェット君は、肺出血のため最下位という結果に終わりましたが、両競馬場にとって大きな意味を持つ出走となったかと思います。(写真4)各関係者の長年に渡る努力は、時間経過のスピードを驚異的に早めてしまい、あっという間に今年で20周年を迎えるに至りました。

写真4

20周年記念で気合が入ります。

 そんなわけで、イベントオーガナイザーを務める当社も、今年のイベントには力が入っています。舞台をインフィールド(内馬場)に移して2回目の開催となりますが、昨年の東京大賞典の時にTCKがラーメンサミットを開催したように、今年もジャパンファミリーデーにはラーメン横丁が同時開催。いまやアメリカの大都市のどこに行っても、1つくらいはラーメンを出すお店があるくらいになりまして(これもまた、ちょっと前には考えられなかったことですが)、大変な人気を博していますが、ラーメン横丁には今年も10店舗以上が出店します。
 日本を代表する、「人」に関わる文化の一つといえば着物や紋付き袴。袴はお預けですが、今年は2012年のミス・インターナショナルで優勝した吉松育美さん(https://www.youtube.com/watch?v=H-YPKJHpovs)、また映画・スシガールで体当たりの演技を見せたコートニー・パームさん(Cortney Palm)が、日本の文化・着物をまとい、会場で皆様を迎えて頂きます。

 肝心の東京シティカップでは、一昨年の東京シティカップの覇者・スカイキングダム(Sky Kingdom)等が登録となりました。他のお馬さんたちの関係者も、過去にTCKへ来場されたことがある方々が多く名を連ねているため、名実ともにTCKに縁深いレースになりそうです。

 今から今年の話をするのは気が早いのですが、来年の東京シティカップ・ジャパンファミリーデーには、ぜひ大井競馬場所属の競走馬に遠征してもらいたいと個人的に思っています。国際交流というと大きく聞こえますが、要は人と人との交流です。経費や賞金などの問題はついてまわるとしても、国際交流を、競馬を媒体に行なうかどうかということであると思います。「国際競走」は、お互いの国の競走馬が、お互いの国で走るようになり、関係者やファンが交流を深め合うことによって、初めて「国際交流競走」と言えるのではないでしょうか。

 「何でも初めてが大好き」なTCKならば、実現するのはそう遠い日ではない・・・と密かな期待を抱いています。でも今は東京シティカップが大事!そろそろ準備に戻ります!
 この時期にロサンゼルスへお越しになるご予定の皆さんは、ぜひサンタアニタ競馬場へも足を運んでください!心より歓迎致します。